異世界転生したサモナーさんは呪いの世界に行く   作:cohaku

4 / 37
pixivでも投稿してます


第4話

「甚爾が結婚」

呆然とした顔をした兄貴にちょっと居心地が悪くなった。

兄貴が禪院の当主になってからガキどもは学校に行き、呪術高専に通う事を許されるようになった。俺だって例外なく京都だと保守派がうるさいから東京の高専に禪院の蔵から出した特級呪具を幾つかと兄貴が用意した呪具と札を持って行くことになった。

そして任された任務の途中で出会った女と交際しこの度めでたく結婚する事になったんだが、女は非術師だし結婚式も興味ないというから写真だけを取ってその写真を兄貴に見せるのと同時に結婚したことを報告した。

「はぁ、そういう事はもっと早く教えてほしかったな」

そう言いながら近くに控えていた俺の紫梱と同じ収納能力のある呪霊を見るとその口からアタッシュケースが吐き出された。見た目はウツボカズラなので俺のよりは気持ち悪くない。

「ほら、ご祝儀。後子供が出来たら教えろよ、出産祝いも用意しとくから」

アタッシュケースを開けてそこに入っていた札束の山から一つ取り出して俺に渡してくる。特級術師である兄貴にとっては大した金ではないがすぐさまこの金額をポンと渡す金銭感覚にちょっと引いた。

「あと、定期的な差し入れのアレは非術師なら一か月に一つだからな」

「流石に分かってるよ、俺や兄貴と違ってそう頻繁に食べていいものじゃないことぐらいは」

「あと、護衛もつけておく。何もないとは思うが一応な」

「サンキュー、助かるぜ」

兄貴が俺になるべく毎日食べる様にと渡している飲むヨーグルト的な奴。あれを食べるたびに兄貴の呪力は目に見えるほど増えている。そして俺の身体能力の上昇も著しい。

禪院家の一部がそれが呪力を高め、俺の肉体の性能を向上させている代物だと知っている。無条件に食べられるのは兄貴と俺だけで他の奴らは余程兄貴の気まぐれか認められないと食べる事すら許されない。

「非術師に食べさせ過ぎると呪力が増える、一月ぐらいなら健康的な体になるだけだ上手く使えよ」

「おう」

「で、どこに住むんだ。家は?」

「あ~」

更にアタッシュケースを取り出している兄貴にこれは家をプレゼントされる流れだと察した。

「妻は埼玉にいるから」

「埼玉だな、今住んでいる場所を教えろ。近くに良い物件がないか調べておく」

「いや、俺だって1級術師なんだ俺が買うぜ?」

「その金は奥さんと産まれてくるだろう子供達に使え。金なんて腐るほどあるから使わせろ」

そしてしばらくして探し出した物件の情報をまとめた書類を持った兄貴が嫁にあいさつに来て遠慮する俺達を押し切って家を一つプレゼントされた。

リフォームはされていて家具などは個人の好みがあるから自分たちで買い揃えろと札束を3つ渡してきてやっぱり金銭感覚は狂ってるなと思わずにはいられなかった。

「甚爾くんてお兄さんに愛されているんだね」

「ああ、とびっきりな」

そんな兄貴を見ても能天気に笑う妻に俺も笑い返した。

 

 

 

子供が生まれた。甚爾によく似た男の子、禪院恵。

禪院家の相伝の一つ、とびっきりのレアを持って産まれた子供。

「可愛いな」

甚爾とは違うツンツンとした髪質の赤ん坊は甚爾の赤ん坊の頃にそっくりで懐かしさが沸き上がる。

「俺はもう可愛くないか?」

「勿論かわいいぞ、甚爾は強くてかっこよくてかわいい」

「そ、そうかよ」

「この子は持っている子だな」

私の言葉に照れてそっぽを向いていた甚爾が振り返った。

「ああ、やっぱり兄貴は分かるか。多分、影に関わる術式だ」

「そうだろうな、呪力を抑える呪具を持ってきた身に付けさせるがいいか?」

「俺も頼もうと思ってた」

それは子供が飲み込めない位の大きさの勾玉の呪具で一応ペンダントとして使えるよう革ひもが付けられているが首が閉まっては大変だ。さてどうするかと考えていると恵が抱きかかえている白と黒の犬のぬいぐるみが目に入った。

「これにするか」

使うのは金毛羊の皮で作った羊のぬいぐるみ。それに呪具を仕込んで恵に渡すと手触りが気に入ったのかすぐに抱きしめた。

「直接持たせたら奥さんが気にするだろうからぬいぐるみに仕込んだ」

「これって、あれだよな」

「材料はまだあるぞ?」

口元を引きつらせた甚爾を見て苦笑をした。

「それにお守りにもいいだろう。下手な呪霊は近寄れなくなる」

「まぁ、そうだな」

私が使う素材は高位のものになるとかの両面宿儺の指と同じように呪霊除けとして機能する。その中でも金毛羊皮は魔を退ける力を秘めているとフレーバーテキストにある様に呪霊除けとしては最上位の効果がある。

「変えのぬいぐるみもいくつか置いておくから好きなように使うといい」

「…これアクセサリーか小物にもなんねぇか?」

「ふむ、小さなキーホルダーでも作るか」

奥さんに持たせたいと言外に伝える甚爾に頷く。

「しばらくは近場の任務だけを回すから、しっかりと子育てを手伝えよ」

「へいへい、わかってる」

「何かあればすぐに連絡しろよ。すぐに対応する」

「おう、頼りにしているぜ。兄貴」

 

 




サモナーさんは識別スキルで産まれてすぐに術式の判別が出来るという設定
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。