異世界転生したサモナーさんは呪いの世界に行く 作:cohaku
結構な話数になったので短編集ではなく独立した形で投稿する事にしました
視点がコロコロ変わります
「結界と封印は大丈夫だな」
ここは召魔の森の地下にある地下迷宮の一角。新たに場所を確保して作られた秘密の場所。
「少し警備を強化しておかないとな」
元からあった結界にさらに結界を被せる。いくら両面宿儺でもここにたどり着くのは実質不可能とは言え警戒しておくのは悪い事じゃないだろう。
「作っておいてよかったな」
この世界に産まれ落ちて任務などで手に入れた呪具や呪物。その中でも両面宿儺の指の様な危険物だと判断したものを封印する場所。絶対に誰にも侵入できないと確信できるここに土精霊達やドラゴン達、神様達とかの助力を得て作った俺だけの忌庫。
ショートカットも存在しないし一から攻略しようとしてもすぐに出来るものでもないし、異変があれば俺が感知できる。
「一先ずこれで両面宿儺が完全な力を取り戻すことはない」
6本の指は完全に秘匿できる。俺の本当の領域は知られていないからここまで侵入してくることすら両面宿儺には出来ない。高専のものを奪われても14本なら大した問題じゃないだろう。
まぁ、領域の場所が知られたとしてもまず侵入は不可能だろうが。
「問題は体の主導権を奪われた場合の被害か」
どれ程の術式かは知らないがあれほど恐れられた呪いの王。少しでも自由にするわけにはいかない。
完全に封じ込めるなら封印術があった方が良い。呪符を使うなら人型が一番都合がいい。
「……逢魔と言祝。後はレプリカントとインビジブルストーカーの4体編成が無難か」
レプリカントとインビジブルストーカーは付けていたが、そこからさらにオリジンの召魔である逢魔と言祝をつける。2体を一度呼び出して作りためていた封印術の呪符を持たせて虎杖悠仁に付けた。
「さて、じゃあ腐れミカンどもを黙らせに行くか」
「相変わらず面倒な事だな」
報告書を睨みつけた。
既に概要は悟君から連絡は受けているし式神たちからも簡単には聞いていた。宿儺の器・虎杖悠仁を殺すために上層部が仕掛けた少年院の任務。
これには高確率で宿儺の器の製造者が関わっているだろう。今日本に放置されている宿儺の指は存在しない、あんな危険な物存在を知った時点で回収するに決まっている。代わりの呪物は置いてあるから問題はないだろう。
宿儺の指を取り込んで特級になった成り立ての呪霊。成り立てで術式もない特級に区分するのも躊躇うがまだまだ2級の恵や3級の野薔薇ちゃん、成り立て術師の悠仁君には荷が重い。
少年院に入ってすぐ生得領域に囚われた恵はすぐに護衛を呼び出して事なきを得たが、連絡を受けた悟君がまだまだ呪術師としての経験や修行の足りない悠仁君に修行をつけようと言って死を偽装してとある場所に匿う事を提案してきた。
それに俺は了承して、甚爾にも個別指導を頼んだ。
「呪力に関しては悟君が、体術に関しては甚爾が、結構恵まれた育成環境になったかな?」
上層部共は宿儺の器を始末できたと上機嫌だと報告書には書いてあった。
「まったく、私の式神が付いていて死ぬわけないだろうに」
そんな当然の事さえも分からない愚かな腐ったミカンどもに溜息を一つ吐いた。
「だから利用されるんだ」
今回の計画、確実に宿儺の器の製造者が関わっている。それが上層部と結託しているのか利用しているのか知らないが上層部を動かせるとなるとそこそこ厄介だ。
「まぁ、それでも何とかしないとな」
今回の計画、上層部は宿儺の器の抹殺が目的だが製造者は違うだろう。
「少なくとも死んでも何とかなる算段があったと考えるべきか」
宿儺の器を人工的に作り出した製造者はこんな所で器が死ぬわけないと判断している。だからこそ、今回虎杖君と呪霊を戦わせた。
「…少し探りを入れる必要があるか」
両面宿儺が受肉してから両面宿儺に関する資料を集めているが詳しい事は分からなかった。そんな資料不足である過去の術師である両面宿儺の力量について製造者が詳しく知っている場合、製造者と宿儺が関係がある可能性が高い。
「相手も呪物が受肉したのか、それとも」
天元という存在がいる以上、そういう可能性も考慮に入れるべきだろう。
「お前、自分よりも身体能力が高い奴に会った事ねぇだろ」
「…すげぇ」
地面に投げ飛ばされた俺を上から覗き込む男…禪院の父親禪院甚爾。呪術高専の体術教師と名乗った禪院甚爾が楽しそうな笑みを浮かべて俺を見下ろしていた。
「なぁなぁ!もっと相手オネガイシマス!」
「おう、兄貴からもお前を揉んでやれって言われたからなちゃんと相手してやるよ。その為にわざわざここを用意したしな」
ぐるっと周りを見渡すように視線を動かした甚爾さんの視線につられて俺も周りを見回した。
ここは五条先生が樹さんに借りた樹さん個人所有の無人島。そこの中心には白亜の城館がありそれ以外は原生林がそのまま残っている。
「樹さんって金持ちなんすね、無人島を持っているとかホントすげぇ」
「必要だから買っただけだ。お前みてぇな厄介な事情を持った奴を匿ったり疲れた術師共の療養所的な役割もある」
「療養所?俺みたいなやつを匿うってのは分かるけど」
「ここは無人島だからな呪霊がいない、そういう場所で療養するのが必要な疲れた術師はいるってわけだ。呪霊なんて人間がいる以上無限に湧き出てくるもんだしな」
たまにその一生終わらない呪霊との戦いで病んでしまう人がいるらしい。そういう人たちを此処みたいな呪霊のいない療養所で療養させて休ませることもあるらしい。
「ケヒッ、現代の呪術師は随分と生ぬるい奴らが多いようだな」
「特に一般人出身者達が多いな。最近は一般人でも兄貴の庇護下で幼少期から教育されていた奴らが多いから病む奴はすくねぇけど」
「?それって」
「どうしても非術師からの理解がないと術師ってのは迫害されるからな、兄貴はそういう奴らを保護する施設も運営してんだ」
「ほう」
「そっか見えない人が理解するのって難しいよな」
確かについ最近まで呪霊の存在なんて知らなかった非術師だった俺が禪院の説明を聞いて納得したのは呪霊そのものを見たからだ最初は何ってんだ此奴って思ってた。
「さて、休憩はもう終わりで良いだろ。さっさと再開っすぞ」
「オッス!」
地面に倒れていた体を勢いよく起こして立ち上がる。
[newpage]
「悟君、進捗はどう?」
「順調だね、結構飲み込みいいよ」
「そうか」
闘技場で殺し合いをしている宿儺と甚爾の様子を観戦していた樹の隣に座った。
「やっぱり指3本じゃ、甚爾に押されているね」
甚爾は樹の強化術式を身に纏い素手だけで宿儺を翻弄していた。領域展開をしても呪力の無い甚爾に必中効果もないし、甚爾には樹の呪符もある。むしろ領域展開後の術式の焼き切れで隙を晒す結果になってから甚爾相手に領域展開を使う事はやめたらしい。
「あれほど恐れられていた術師の術式だからどれほどのものかと思ったけど効果はシンプルなんだな」
「そうみたい、ただ応用力と呪力量と出力が半端ないタイプなんだろうね」
「確かに縛りを戦闘に用いるのは凄いな」
「閉じない領域も驚異的だよね。領域の押し合いに強そう」
「反転術式の力量も脅威だと思うよ。多分悟君も出来ない他者への反転も出来そうだ」
「しょうがないじゃん、どうしても僕と他人の呪力が合わないんだもん」
宿儺と甚爾の殺し合い、これはここに悠仁が匿われてから幾度か行われている。最初は興味本位だが、その一回で甚爾を気に入った宿儺が暇つぶしにやらせろと言って樹が許可を出した。
此方としても宿儺の実力が分析できるしメリットがあったので樹の闘技場で行うならと許可を出し今に至る。
「宿儺がたまに甚爾と戦うお陰で悠仁の体に宿儺の戦闘技術が馴染んでそれが良いみたいだね」
「成程、呪力操作などの感覚を体が覚えているのか」
お陰で悠仁の修業は順調に進んでいる。
「そろそろ、実践させようと思うんだけど樹はどう思う?」
「いいじゃないか?悠仁君の身体能力なら呪力を纏わせた拳だけで雑魚ならすぐに祓えるだろ?」
「そういえばさ、ついこの間特級に襲撃されたんだよね」
突然の僕の話題の転換に樹の目が鋭くなった。
「襲撃…つまり完全に自我があるタイプか」
「そういうこと、しかもそいつしっかりと喋ってたんだよ」
「へぇ」
「しかもそいつを助けに来た他の特級もいて逃げられちゃった」
「呪霊が徒党を組むか、しかも特級同士」
「他にもいるかもしれないね」
「宿儺の器の製造者に特級呪霊共が組んだ一味…一気にきな臭くなったな」
首を切り落とされた宿儺を見届けた樹が目を閉じて空を見上げた。
「何かが起こっているな」
「そうかもね」
「悠仁君の任務の同行者は?秘密を守れる奴じゃないと駄目だろ?」
「それは大丈夫。絶対秘密を守ってくれる子達を選ぶさ」
「はーい、ってことで特級呪霊に騙されてた元非術師吉野順平君でーす」
「は、初めまして」
僕は今、虎杖君の担任であるという五条先生に連れられて周りが森だらけの何処かに連れてこられて二人の男性の前で自己紹介をされていた。
「初めまして、君の事は聞いているよ。魂を変質させることで肉体も変質される術式を持つ特級呪霊に呪術師にされた子なんだってね」
「まさかそんな術式があるとはな。しかも領域持ち、対処法を確立しねぇとほぼ即死じゃねぇか」
「今回は樹さんの呪符があったから助かりましたがなかったら命はなかったでしょうね」
「今後は携帯を義務付けた方が良いかもしれませんね!」
「順平君も悠仁と一緒にここでお勉強してもらいます。そんで交流会でお披露目ね!」
「は、はい!」
「順平頑張ろうぜ!」
紹介された人は禪院樹さんと禪院甚爾さん。ここは樹さんの所有物である無人島で虎杖君を匿いながら修行をつけていると聞いた。
虎杖君は僕の母親を殺すために呪霊を引き寄せるために使われた宿儺の指の器で両面宿儺という平安時代に大暴れした呪詛師が体に宿っているらしい。その両面宿儺を恐れた呪術師の上層部が虎杖君を殺そうとしたので死んだ事にしてここに匿って最低限殺されないように力をつけさせるために修行をしていると話してくれた。
特級呪霊…真人に騙されていた僕は母親を殺されたと誤解してもう少しで人殺しをしそうになった所を虎杖君に止められて真人に殺されそうになった所を樹さんの式神に助け出され、宿儺の指に気づいて保護されていた母親とも再会したがいくら真人に騙されていたとはいえ僕が術式を使っていじめっ子どもを害したのは変らない、呪術師として働いて罪を償うか呪詛師として殺されるかと問われ僕は呪術師になる事を選んだ。
「それじゃあ、まずは悠仁と一緒に呪力操作の練習をしながら座学もしようか。ここに樹監修の「簡単呪術師について」があるから悠仁ももう一回見ながら復習しよう」
「「ハーイ」」
「樹さん、久々に手合わせできますか?」
「いいよ、七海君がどれだけ強くなったか楽しみだ」
「ハイハイ!じゃ、俺も甚爾さんと手合わせしたいです」
「おう、やるか」
「……の前にこの二つの試合の観戦をします!ついでにそれで呪力操作の練習もやっちゃおうっか!めっちゃボコボコにされるかもしれないけど勉強になるからちゃんと見るようにね!」
「「ええぇぇ」」
その後闘技場で行われた白熱した試合に夢中になりすぎて二人して呪殻に殴られ続けることになった。
「成程な」
不機嫌そうな兄貴の声に背筋が伸びた。
「まったくさっさとあいつらを切らなかった私の判断が間違っていたみたいだ。悠仁君の殺害まではまだ理解できるが、まさかここまでやるほど抱き込まれているとはな」
手に持っていた報告書を放り投げた。
交流戦で現れた特級呪霊達に関する報告書。交流戦で暴れた呪霊とそれを囮にして忌庫に侵入して高専に保管されていた宿儺の指と呪物を奪っていった特級呪霊。
そしてそれの成功確率を上げるために前日に海外出張を言い渡されていた俺たち二人。これは確実に上層部とそれを画策した呪詛師が繋がっている何よりの証拠だ。
「で、どうすんだ?」
「呪詛師は近々大きなことをしそうだな、その時にきっちり追及してほぼ全員首を切らせてもらう」
完全にブチ切れている兄貴にご愁傷さまと心の中で手を合わせた。
「しばらくはそれに対応する準備を整えるために籠るからレプリカントを置いておく。それで任務は遂行できるだろう」
「俺は?」
「内通者の監視を頼む。まぁ、事情が事情だから何とかしてやりたいしな」
兄貴は俺にその内通者を探った報告書を渡した。
「成程な、分かった。多分殺されるだろうから監視していて救出すればいいわけだな」
「ああ、しばらくはお前に任務が回されないように牽制しておく。何かあればすぐに呼べ」
「了解」
レプリカントが召喚されて兄貴の姿に変わるのを見届けて兄貴はテレポートしていった。
「しばらくよろしくお願いします」
「おう、お前も上手くやれよ」
「お前達だな、高専から盗まれた呪物は」
「「は?」」
「で、お前が長男ってわけだな」
「なっ!」
特級呪物・九相図。呪詛師認定はされていないが加茂家の汚点と称される加茂憲倫によって生み出された、呪霊の子を孕む特殊体質を持つ哀れな女を使って生み出された9人兄弟。
そのうち、3兄弟が盗まれた。受肉できる呪物がその上の3兄弟だけだという事だろう。
戦力目的、とは言えないか捨て駒目的で奪っていったってのが正しい表現だろうか。
成立して150年とはいえ実践を経ていない奴を突然組み込んだって捨て駒にしかならない。
流石にそれは可哀想だと思ってしまった。
加茂憲倫の写真を入手してそれを見てしまっては余計に。
だから、宿儺の指が収められていた場所の近くに現れた次男と三男を、そしてその気配をおって不可視の結界の前に立ち往生していた長男を問答無用で保護した。
「で、なんでお前らを保護したかっていうと余りにも哀れだからだ」
「哀れ?」
「哀れだろ?自分たちを面白半分に生み出した馬鹿にさらに利用されるなんて」
そう言って三人の前に加茂憲倫の写真を掲げた。
「その絵が何を…!?」
「ほら、よく見てみろ。この額の傷見覚えがあるだろ?」
「まさか!」
「「兄さん/兄者?」」
しっかりと親の記憶があったのは長男だけなのだろう、自分たちを受肉させた人物と自分たちを作った男の共通点を見つけ出しその顔は怒りで歪んだ。
「加茂憲倫ぃぃ!!」
「そういう訳で、流石に可哀想だと思ってな。お前ら三人を保護したってわけだ、まだ人も殺してないみたいだし暫くはここで大人しくしてもらえないか?」
「貴方に何の得があるの?」
「得とかはあまり考えてない。ただ利用されるだけされて殺されるなんて嫌だろうなって思っただけ」
「俺達どうなるんだ?」
「まず、これを始末して繋がっている上層部も一掃するまではここで大人しくしててほしい。しばらくしたら動くんだろアイツら」
「五条悟を封印すると聞いた」
「ま、そっちは私たちが何とかするから君たちは大人しくしてて、流石に突然連れて行ったら処刑だなんだってうるさいし、落ち着いてから君たちの処遇は決めるよ。
あ、大丈夫。私がいる以上、処刑は絶対にないから」
「よう」
「禪院甚爾!」
突然の乱入者に男の顔色が変わった。
「まったく無茶をしたな坊主。まっ、よかったじゃねぇか捨てられてよ」
禪院甚爾、俺とは真逆の天与呪縛を持ち呪術界最強の術師禪院樹の寵愛を受ける最強の非術師。
「お前何でここに」
「あ?兄貴の情報網を甘く見んじゃねぇよ、とっくの昔にお前の場所もお前が内通者だってのも兄貴は掴んで監視してたんだぜ。お前ら全員気付いてなかったみたいだけどな」
「なに!?」
「お前の存在を認知しているってのも知っているだろ?なぁ、宿儺の器の製造者さんよ」
「くっ、そこまで知られていたか」
「津美紀にまで手を出そうとしてんだってな、なら俺に殺されても文句ねぇよなぁ!」
いつの間に持っていたのか紙の束が引きちぎられる。それと同時に俺の周りに結界が張られ傷ついた体が癒され
「ここで引導渡してやらぁ!」
「くそっ!真人逃げるよ!」
「ちょ、ちょっとなんで俺が呪力なしなんかから逃げなくちゃ!」
「ただの呪力なしだと侮るな!いいから逃げるよ!」
「逃がすか!」
凄まじい呪力を放った禪院甚爾が呪詛師と特級呪霊に襲い掛かっていた。アレは禪院樹が売っている呪符だったんだろう、あれほどの枚数を一度に使い強化された禪院甚爾から逃げようと特級呪霊を引きずって走り出した呪詛師を追いかけるが肉体の性能が違うすぐに追いつかれて
「呪霊操術使いか!」
突如として現れた大量の呪霊に舌打ちをした禪院甚爾がもう一枚呪符を取り出しそれを破り捨てる。
瞬間あたり一面が炎に包みこまれ解き放たれた呪霊が一匹残らず焼却されてしまった。
「すごい」
「…チッ、もう逃げたか。逃げ足が速い奴らだな、まぁいい最低限の仕事はしたからな」
追跡は出来ないと判断したのか立ち止まった禪院甚爾がこちらに振り返った。
「与幸吉、お前にはスパイ容疑があるしばらくは俺達の元で大人しくしてもらうぞ」
「…わかった」
「ただお前の絡繰りは使えるし、奴らについての情報を喋れば五条と禪院の連名で助命懇願が出来る。大人しくこちらの指示に従った方が身のためだ」
「ハイ!」
そして俺は禪院樹の監視下に一時的に置かれることになった。
与幸吉の情報通り10月31日の前日に海外任務を割り当てられた俺たちは一先ず大人しく飛行機に乗り込んだ…と見せかけて俺に変装した奴と兄貴に変身したレプリカントを飛行機に乗せて、文句が言われないように任務先の転移拠点に転移して対象の特級呪霊を始末して誰も知らない兄貴の拠点の一つに待機していた。
「獄門疆…成程、まずは悟君の無力化からか」
「傑のやつが九十九に協力して海外にいて、優太の奴も海外任務、そして俺達も前日に海外任務で日本から追い出しているうちに五条の坊の無力化って事だろうな」
「まぁ、それを見逃す私たちではないけどね」
コロコロと笑いながら儀式のための装束を身に着けている兄貴を見る。
すでに禪院の奴らに命じて儀式のための補助の魔法陣の準備はやっている。無くても出来るが、こういう風に補助を入れる方が呪力消費が少なく範囲も広くなるからって事で態々作った特注品だ。
ジャラジャラと音が鳴るほどの装飾品は全て呪力をため込んだ代物で術の発動を補助し装飾品の土台である金属も魔法陣が刻まれそれを効率的に還元する特注品。
布にさえ魔法陣が織り込まれ、その全てが兄貴が使おうと思っている呪文を補助するためのもの。
「これを使う事になるとはな」
使おうとしている呪文は、兄貴が滅多に使う事がない、使う必要のない呪文だがその効果は絶大だ。
「今回はしょうがねぇよ、保護すべき対象が多いからな」
「そうだな、多少の被害はしょうがないとはいえそれを抑える努力はしないといけないからな」
渋谷に閉じ込められる無数の非術師達。それは全て五条悟の力を抑えるための人質だ。
「やっていることが狡いけどな」
「まぁ、弱者が強者に勝つために策を練るのは当然だ。ただ無関係の一般人に手を出すのはダメだと思うけどね」
「呪詛師がそんなこと考えねぇからな」
儀式用の装束を身に纏った兄貴が笑う。
「悟君が封印されても何とか出来る手段はある。まずは悟君の救出よりもそいつらの捕縛及び殺害が優先だ」
「ああ、そうだな」
五条の坊よりも呪詛師や呪霊を優先する。冷酷だと言われるかもしれないが、五条の坊が封印されても兄貴がいればそれほど問題になる事柄はない、兄貴が居なければ混乱していたかもしれないが兄貴が健在な以上問題が起きることはあり得ない。
「なんで兄貴が狙われなかったのかって思うが、そもそもその兄貴が本物の兄貴じゃない可能性もあるからそういう奴がいない五条の坊を狙ったって事かね?」
「さぁね、単純に六眼と無下限の抱き合わせが怖いだけかもよ?」
兄貴が茶化すように言うが、推定相手が宿儺と同年代の呪物が受肉したか天元様と同じように何らかの術式で延命していた相手だ。過去の六眼と無下限の抱き合わせに負けてそっちを警戒しているのかもしれない。
「そっちの可能性もあるか」
「とりあえず、被害を最小限に抑えるために悟君の救助は後回しで、自分の作戦が上手く言った奴ほど油断するものだからね」
「了解」
「はぁ、めんどくさい事してくれたなぁ」
渋谷に一般人だけを閉じ込める帳が下ろされた。相手側の要求は「五条悟を出せ」確実に樹さんが警戒しとる宿儺の器の製造者である呪詛師の何らかの策だ。
「しかも情報通り、樹さんと甚爾君を海外に飛ばすとはわかりやすい奴やな」
まぁ、そんなことをしても無意味や。奴らは分かっとらんのや樹さんの規格外さが。
「直哉さん設置完了しました」
「ようやったわ、後で樹さんにボーナス弾むように行っとくわ」
呪術界で唯一反転術式のアウトプットが出来る家入さんが常駐する救護所の近くに設営した舞台。禪院家が資材を運んで作ったステージや。
「アンタらいったい何してんの?」
「家入さんか、勿論当主様からの指示で準備しとったんや」
「樹の指示?」
僕らが色々しているのを見て様子を見に来た家入さんと夜我学長が僕らが準備したものを見た。
「さてと、樹さん。準備できたで」
「樹は海外任務んなんじゃ」
「なんや、君らも樹さんを舐めすぎや。そんなの障害にもならへんよ」
僕の連絡を合図にステージの中央に樹さんと甚爾君が現れた。樹さんはいつもの格好じゃない装飾過多な服装をしとるがそれも何か意味があるんやろ。
「甚爾、お前は帳の中に」
「了解」
「さて、久々にちょっと本気を出すか」
甚爾君が樹さんの指示を受けて帳の中に入っていく。そして樹さんは僕らが用意したステージ、複雑な魔法陣らしきものが描かれた石板の中央に立ちいつの間に持っていたのか巨大な魔法の杖の様なものを両手に持ち目を閉じた。そして普段は抑えている樹さんの呪力が解放されそれに反応するように魔法陣が光り輝く。
「サモン・レギオン」
樹さんの言葉に呼応し魔法陣のみならず服装についている煌びやかな装飾も光り輝き地面や空に無数の魔法陣が展開される。
「呪詛師も呪霊を探し近くに味方が居なければ速やかに殺せ、近くに味方がいれば誘導し補助をしろ、一般人は保護しすぐに避難させろ」
現れたのは数えるのも嫌になるほどの樹さんの式神たちや。それが一斉に指令を受けて方々に散っていった。
「直哉、縛りの関係上私はここを動けない。準一級以上は前へ、以下はここの防衛を」
「了解や、まぁそいつらが居れば樹さんに護衛は必要ないもんなぁ」
既に警戒態勢で樹さんの傍にいる白い狼と白いフクロウを見た。一番樹さんが信頼している式神のヴォルフと黒曜や。下手な特級呪霊達より強い奴らや、何の心配も必要あらへん。
「ほな、俺は前線に出ますわ。いくで、お前ら」
「「「「「「「「ハッ」」」」」」」」」」
そして俺は周りに待機してあった準一級以上の家の連中を連れて呪詛師共と呪霊共を殺すために走り出した。
実は海外からテレポートできるって隠していた禪院樹
海外任務を渡してもテレパスで連絡取られてテレポートで急行できる特級術師。これを知っているのは同じように何かあった時戦力として頼れる同じ特級術師と裏切らないだろうと思われている禪院家だけ。(売っているテレポートは国内に限定している)
九相図達は人を殺してないし、自分の意思で受肉したわけではないし、まだ被害者側だと判断して保護した。ほんのちょっとの同情心なども込みで自分の昔を思い出したから見捨てたくなかった
色々な技術や儀式の知識は、師匠たちに叩き込まれている。そのために必要な道具なども作れるように鍛えられた
術式の詳細を知っているのは神様達やドラゴン達を除いた禪院甚爾ただ一人なので色々と噓の情報を流していたりしている
最低限の仕事はした禪院甚爾
指3本の宿儺を叩きのめしている最強の非術師。領域?浄土曼荼羅使えば意味ねぇよな?術式?よければ問題なし!という感じに叩きのめしている
幸吉の保護が最優先で呪詛師と呪霊は殺せたら殺すだったので逃がしてしまった。
天与呪縛によって特別な肉体の為、レプリカントのコピー対象外。なので影武者が必要な場合は特殊メイク技術を習得した禪院家の諜報部隊の誰かが見た目だけを似せて何とかしている
世界で唯一禪院樹の術式の詳細を知っている人間。嘘の情報を信じている奴らを見るたびに内心爆笑している
宿儺の器虎杖悠仁
樹の護衛によって宿儺が表に出てきているのは闘技場で甚爾と宿儺が戦う時ぐらいで縛りも結んでいない状態。
呪力操作と体術の技量も上がって多分実力的には一級手前ぐらいにはなった
檻に入れられた両面宿儺
縛りを結ぶ隙が無いので基本的に檻で大人しくしているしかできない特級呪物。
少年院の後、樹の拠点で器が甚爾に鍛えられているのを見て呪力0のフィジカルギフデットに興味を持ち闘技場で対戦。指3本では歯が立たず領域展開するも呪符によって攻撃が届かずむしろ術式の焼ききれの隙を突かれ2回ぐらい負けた時点でこいつに領域展開は悪手だと判断して肉弾戦と術式で勝負を楽しんでる
樹の管理下にある指を取り戻す方法は現状存在しないので最大で指14本分しか力を取り戻せない可哀想な呪いの王。
助けられた吉野順平
虎杖悠仁についていた式神たちが母親の救助もしてくれたので母親も生きているラッキーボーイ
ただ治療の為に拠点に避難させていた間に原作通りになって無為転変で作り替えられる一歩手前に救助された
年齢的に2年生だが、虎杖悠仁と仲がいいし完全な素人だから1年に編入になった
七海&灰原
術師として順調に経験を積んでいる二人。付き合いが長いのでペアになることも多い
真人の領域では呪符を使って難を逃れている
虎杖悠仁に関しては樹の護衛兼監視がいるので大丈夫だろうと思っているし、悠仁本人は普通に気に入った
保護された九相図兄弟
高専から盗まれて受肉された特級呪物
しかし、樹に同情されて何かをする前に保護されて隠された拠点に匿われた。
脹相としては推定加茂憲倫を殺したいが圧倒的な強者である樹の意見に反対して不興を買い弟たちに何かあったらと大人しくしている。
壊相と血塗は脹相の判断に従うので大人しくしている
保護された与幸吉
実は樹が預かろうとしていたが保守派達に邪魔されて保護できなかった子。樹の元で保護されていれば樹の領域の中だけならある程度自由に動ける可能性もあった(拠点にいることによる自然回復量の増加やアイテムなどで)
だからこそ、裏切り者であっても保護の対象とされ甚爾に監視され殺されかけた時に保護された
原作と違って普通に良い子な禪院直哉
高専に通っていたので特別一級術師じゃなくて普通の一級術師。男尊女卑も産まれる前から禪院家が矯正されたのでごく一般的な価値観を持つに至り普通に女性に優しい好青年。
強い人が大好きであっち側の呪術界のトップ3の禪院樹・禪院甚爾・五条悟の3人が大好き。夏油傑はどっちかって言えばこっち側やろとライバル視している
普通に部下達からも信頼されているのでレビューを取ったら星4ぐらいは貰えそう
メロンパン
どうやってか知らないが呪霊操術を持った人間の肉体を手に入れているので原作通り動き出した。
海外に飛ばせばそうそう帰ってこれないやろと樹と甚爾を海外任務に当てたが実はいつでも戻って来れるしお前が二人だと思ってたのは影武者でした!という可哀想な状態になっている
樹の術式の詳細を調べようとしても術式開示もせんのでわからず嘘情報に踊らされている1人
腐ったミカン達
騒動が終わったら真っ先にクビを切ると確定されている哀れなミカン達
既に樹の派閥にはミカンが呪詛師と癒着しているのを証拠付きで教えられているのでクビになった後一新される上層部のメンバーの選定が始まってる。
今まで通りだとまた腐るだけなので呪術家系出身者と一般家庭出身者を半々にして実戦を経験している呪術師から選ぼうかとか話し合われている
一度脅してサモナーさんの術式の詳細を喋らそうとした時があったがサモナーさんの殺気で気絶して有耶無耶になった
サモン・レギオン
1人軍隊を生み出すサモナーさんの奥の手の一つ。
今回は長期戦を前提に魔法陣の補助に、儀式用の装束の着用、召喚するモンスターの種類の限定など様々な縛りをつけて発動しているため呪力消費はだいぶ抑えられているし、式神たちの行動範囲も馬鹿広くなっている
地下迷宮に作られた忌庫
宿儺の指などの樹が危険だと判断した呪物などを保管する為に作られた。
その時の地下迷宮の最深部に作られ、入り口も神様からの称号がないと入れない結界・ドラゴン達からの称号がないと入れない結界・精霊を供わないと入れない結界の3重結界で守られている。
今回足されたのは特定のスキルを持っていないと入れない結界。
地下迷宮を攻略してこの結界も攻略するとなると攻略する事はほぼ不可能なレベル
メロンパンに邪魔だとばかりに海外に飛ばされる樹と甚爾なので基本あとで報告書とかで知る状態。他の特級たちは九十九は海外、夏油は九十九のヘルプ、乙骨も海外。基本的に日本にいる特級は五条悟・禪院樹の二人で禪院樹の護衛の禪院甚爾がいる状態。(二人は御三家の当主なので日本にいないと困ることが多いので日本にいる時間は他の特級より長い。甚爾は樹がブチ切れた時止められるのが甚爾しかいないから基本的に樹が日本にいるなら甚爾も日本にいる)
此奴ら原作知識とかないから、先回りとかは難しいのだ。だけど護衛に付けている式神たちが現場で動いて救済している状態
海外に飛ばせば何とかなると思っているお花畑メロンパンはこの後地獄を見るのかもしれない。上層部は証拠を押さえられてクビ確定なので呪術界の変革も近い