ソシャゲ転生したら主人公の偽物だったので、偽りの久条運命としてGARDENに所属します 作:木津
第001話 魔界に転生
リバースブルー×リバースエンド
通称は『リバxリバ』もしくは『リバリバ』
神々によって8度の滅亡がもたらされた魔界。滅亡のたびに人類は不老不死の少年少女『騎士』を生み出し、滅亡を乗り越えていた。
そして此度となる9度目……
神々は新たな世界となる空間を生み出し、その定着をもって星の認知を塗り替え、人類史を上書きし人類を間接的に滅ぼそうとしてきた。
そんな神々にとって都合のいい世界『神域』に、リバxリバというソシャゲの一般プレイヤーであったはずの俺は、顔をディスプレイで覆った黒い服の不審者の姿で立っていた。
「……」
「……」
「………………」
いつの間にかここにいた俺は目の前にいる人物たちと黙って見つめ合う。
大きな剣を携えた金髪の少女に、不思議な機械を左右に浮かせるギャルっぽい子。巨大なチェーンソーを持った黒髪の猫耳少女。
そして、今の自分と全く同じ姿をした黒い服の不審者……もとい少年。
顔をディスプレイの仮面で覆い隠した彼こそが、我々リバxリバプレイヤーの化身であり、物語の主人公たる『久条運命』である。
……状況が全くわからない。
リバxリバの主人公である『
何か反応をしてくれないかと視線を向けてみるも、顔の覆われた彼の表情は伺えない。
彼のディスプレイに映った顔はデフォルトの目つきの悪い顔のまま、不敵な雰囲気を纏っていた。
同じくディスプレイに覆われたこちらの困った表情も伝わってないのかもしれない……
「「…………」」
無言で見つめ合う状況に危機感を抱いたのか、周りの少女達が動きを見せる。
チェーンソーが唸りを上げて回転し、機械の砲口に光が集い、聖剣が白いパリパリを出してきた。
一触触発の雰囲気。このままではまずい……
「!」
唯一手に持っていた武器を取り落とすとおずおずと手をあげる。
「……なんでもするので殺さないでください」
「え……!?
「そうだよ」
突然の降伏宣言に毒気を抜かれたのか、状況把握のための会話は緩やかな雰囲気で行われていた。
神域を探索していた久条運命一行は、拾った星遺物のスイッチをなんとなく押してみたところ、星遺物が起動。
スイッチを押した張本人である久条運命の姿になったということだった。
自分の出生? がわかったことでひとまず胸を撫で下ろす。
「あ〜自分を神域の再現体だと思ってたんですね……」
「まあたしかにこの状況ならそっちの運命くんはそう考えても仕方ないか」
「運命がふたり……本当にそっくり、ね」
カノン、プロブレム、シオンの3人が少し安心した自分に声をかけてくる。
神域の再現体、神域の住人たる彼らは神々によって用意された都合のいい人類だ。
往々にして星の記憶を用いて作られる彼らは、不老不死の騎士達のかつての敵であったり、友であったり、本人の姿をして現れることがある。
そして神域の住人は神域と運命を共にする。本物になってはいけない神域は騎士たちの組織である『GARDEN』によって滅ぼされる運命にあるのだ。
そうしてかつての思いや友情が交差し、神域と共に別れるのが稀によくあるリバxリバの物語だった。
自分がそんな神域の住人でないと分かったのは、死刑宣告を取り消された気分だ。
とは言っても何度も起こった滅亡によりこの『魔界』は人類が住める環境ではない。神域から放り出されれば、始まるのは滅亡世界でのサバイバル。
そんなことができる自信はないので、このまま生き延びるには、なんとか彼らGARDENに保護される必要があるだろう。
そして何よりリバxリバで見続けてきた騎士達が目の前にいるのだ。できることなら彼女達と一緒にいたい。
「じゃあ皆様はこれからこの神域の対処に?」
「はい! もちろんです」
へりくだって謎の敬語となった自分の言葉に、
聖剣の聖女 カノンが返事をする。
「というか直近の記憶は再現とかされてないの?」
二対の巨大ドローンを従える天才 プロブレムがこちらに聞いてくる。
直近の記憶……
…………?
プロブレムに問いかけられて思い出そうとするもよく思い出せない。自分はどんな人間だった?
リバxリバのプレイヤーであることは思い出せるのだが、どんな人物だったかが思い浮かばない。
リバxリバについての記憶もよく思い出そうとするとおかしな感覚がある。プレイして1年半くらいだったような気もするが、サービス開始から何年もプレイし続けたような感じもする。
「なんか記憶がおかしいみたいです」
「え……やばいじゃん」
プロブレムは運命やカノンと話し出した。どうするか話し合う周囲をそっちのけでこの場の最後の一人、
チェーンソーを持った猫耳の少女 シオンに小突かれた。
「てしてし」
「……えっと」
気ままで猫っぽい彼女はこちらに興味津々のようだ。
「にせうんめいは何者? なにするの?」
にせうんめい……まあそうとしか表現できないから仕方ないか……
「これからかぁ」
割とどうしようもないというか、どうすればいいかわからないというか……
期待を込めて久条運命の方を見る。
「一緒に来る?」
「行きます!!」
とりあえず我らがGARDENの皇帝陛下に忠誠を!
【謎の
運命たちが神域で拾った星遺物。手のひらサイズの薄型の機械でかつてスマートフォンと呼ばれた電子端末に酷似している。久条運命が起動しその姿を模倣したようだが、彼がスイッチを押したのは偶然だったのだろうか……