ソシャゲ転生したら主人公の偽物だったので、偽りの久条運命としてGARDENに所属します 作:木津
「こいつを味方にするとしても、どうするんだ我が読者。騎士どもに記憶を抜かれでもしたら、ボクらの計画が知られてしまう」
「リリィが保護できない? ここに干渉できるってことはリリィ側からも干渉できると思うんだけど」
「……確かに前まで無かった繋がりを感じる。離れていても干渉できそうだ」
「なら監視もできるし、丁度いいんじゃない?」
運命陛下の言葉にリリィ様は呆れたように口を開いた。
「あのなぁ我が読者。そうなると記憶の保護を二人にしないといけないんだが。監視も含めると二倍以上の労力だぞ」
「お願いできない……?」
「何故そんなにこいつの肩を持つんだ? 騎士どもへのご機嫌取りか?」
黙って正座しながら結論を待つ自分をリリィ様は目で指した。
カノン達三人に運命陛下は自分を受け入れることに賛成のようだ。やさしい……自分の忠誠心をアップさせる目的なら大成功である。
「確かに歓迎したらカノン達は喜ぶだろうね。私は単純に仲間が増えるのはいいことだと思ってるだけだよ。それに自分と同じ存在だと思うと、無下にするには心苦しいし……」
長い付き合いの二人だ。運命陛下の意志は硬いとリリィ様は受け取ったのだろう。はぁーっと大きくため息をついた。
「間接的に現実へ干渉できる手段が増えるのはボクにとっても大きい。騎士どもの言うことよりボクの言うことをちゃんと聞くんだぞ」
「はい、もちろんです! 運リリこそ至高です」
リリィ様の言葉に忠誠を誓う。少しでも二人の役に立てるなら精一杯頑張るつもりだ。
「よし! ならば仮としてキミを我らの仲間に加えてあげよう」
「ありがとうございます!」
自分の運リリ至高発言に運命陛下は何言ってんの……みたいな顔をしたが、リリィ様は気を良くしたらしい。ちょろい……
「騎士団の階級はどうする? JOKERにする?」
「こいつに階級なんて勿体ないんじゃないか?」
今後の予定を話し出す運命陛下とリリィ様。だが、今の発言で少し疑問が生まれる。
「え、第九のJOKER? 内定者いないんですか?」
「む……内定者? そんなやついないが」
「どういうこと?」
「そういえば今って……」
そこまで言った瞬間世界が大きく揺れた。
「ばしばし、てしてし」
「はっ……!」
いつの間にか現実の魔界に戻ってきていた。どうやらシオンに小突かれていたらしい。
「触れた状態で二人とも固まったので心配していたんです。大丈夫ですか?」
「なになに? 二人は触れたら交信でもできるの?」
プロブレムの鋭い問いをなんとか誤魔化し、カノンに問題ないと二人で伝える。
(なるほど、こういう感じか……)
突然頭のなかにリリィ様の声が響く。
(リリィ様?)
(我が読者を傍から見るのはなかなか新鮮だな)
自分の視界を共有しているのだろう。リリィ様は視界に映る本物の運命陛下を見ながらしみじみとしている。
これが頭のなかに別人がいる感覚……変な気分な上、プライバシーが完全に死んだが、信頼を得るためだ。命には代えられないので甘んじて受け入れよう。
(とりあえず先ほど話していたことは全てできそうだ。このままGARDENに連れて行っていいだろう)
リリィ様のオッケーが出た。運命陛下もこちらを見て頷いてくれる。
本当に良かった……後は無事にGARDENに連れて行ってもらうだけだ。
「じゃあ帰ろ……」
「まず、ママたちに偽運命くんのこと説明しなきゃね」
「連絡は私がするよ」
四人に促されて立ち上がる。カノンにシオン、プロブレム、そして運命陛下がこちらを見る。青空を背景に並ぶ四人の姿はゲームで見ていた姿そのもので、今目の前にいて感じれるのにどこか非現実的な感覚を湧かせる。
「さぁ帰りましょう。GARDENランヴィリズマへ!!」
「……はい!!」
カノンに呼ばれ、俺は四人に向かって一歩踏み出した。