「縁」を視る近界民、ボーダー隊員になる   作:白豆男爵

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先に言います。オリキャラが大量発生します


開戦

「軍旗艦!?まさか、最初から攻撃するつもりか!?」

「いや、まだそうと決まったわけじゃない」

「忍田君の言う通りだ。もしものために実力の高い兵士を送り込んだだけの可能性もある。しかし、交戦となる確率は高い。最大限警戒しておけ」

 

『頼んだぞ、神代隊員』

「了解」

 

俺は短く返事をして指令室との通信を切る。

さて、ヴァルハラが来たということは下りてくるのは恐らく...

 

「久しいな、リーヴ」

「シグル隊長...」

 

ギアジェスきっての騎士隊長、シグル...まさかこの人が来るとは思わなかった。

 

「帰還命令を無視して玄界にとどまるとはどういう要件だ?遠征艇の故障なら本国に連絡すればよいものを...」

「シグル隊長...俺はもう、ギアジェスには帰りません」

 

俺はシグル隊長に向かって、はっきりと告げる。

 

「...何?貴様、自分が何を言っているのか理解しているのか?」

「はい、何度でも言います。俺はギアジェスには戻りません...ここに残ります」

「理解できん。リーヴ、少なからず私はお前を評価していたのだがな...」

 

シグル隊長は少し残念そうにそう呟く。

元々超がつくほどの愛国者だが、彼はそれ以前に騎士だ。

戦士として、俺に敬意を持っていたのも知っている。

だが、俺も譲るつもりはない。

 

「俺はこの星に価値を見出しました。元々上層部は、旧王政勢力の俺が嫌いでしょう?俺がいなくなって清々するんじゃないですか?」

「問題はそこではない。問題は貴様がブラックトリガー...グングニルを所持しているということだ。知っての通り、我が国のブラックトリガーは二つのみ。そのうちの一つが持ち逃げされたとなってはギアジェスが危険にさらされることになるのだぞ?」

 

やはり、上層部の一番の目的はグングニルか。

予想通りの反応といったところだな。

 

「貴様は優秀な兵士だった。旧王政の出とはいえ失うには惜しい。だから私が上層部に進言し、帰還を命じて頂いたのだ」

「...それでも、俺は戻れません」

「...」

「ギアジェスの上層部にとって俺は、グングニルの付属品だった。でも、ここでは違った。あいつらは俺自身を見てくれた。共に在る仲間として。俺はどれだけ説得されても揺らぐつもりはありません。ですから、ギアジェスに帰ってくれませんか?」

「...最後に問う。リーヴ、今ならまだ帰還扱いにできる。私が剣を抜く前に答えろ」

「何度でも言います...断る」

 

俺の返事を聞き、シグルは数秒だけ目を閉じた。

 

「そうか、残念だ...」

 

シグルはそう言いながら背中の大剣を引き抜き、こちらに向ける。

 

「いいだろう。ならば力づくで貴様からグングニルを回収する...クロウ」

 

シグルがそう言うと共に大量のゲートが発生し、トリオン兵が出現。

それと共に鴉のような見た目のトリオン体が空中に現れる。

やはりクロウも一緒か...いや、今はシグルに集中しなければ。

 

「負けてやるつもりはない、シグル。トリガー、起動(オン)!」

 

俺はグングニルを起動し、トリオン体となる。

それを合図に、ギアジェスとボーダーの戦いが始まった。

 


 

「トリオン兵発生!本部南の交渉地点を中心として、東と西に出現しています」

「待機している隊員は全員出動しろ。トリオン兵自体はすでに知っているものばかりだ。各隊で対処にあたってくれ」

 

忍田の指示で、ボーダーの隊員たちが警戒区域内へと散会していく。

4年前の大規模侵攻程ではないが、かなりのトリオン兵が出現している。

 

「敵の目的は神代隊員だ。彼には人型ネイバーとの戦いに集中してもらわなければならない。各隊、トリオン兵を彼に近づけるな!」

 


 

「何だ、この鴉のような物体は...」

「トリオンで出来てるっぽいですね。かなりの数がいるみたいです」

「でも飛び回ってるだけね。何が目的かしら?」

 

玉狛第一は西エリアから結人の元へ向かいながら、鴉型のトリオン体について考察していた。

しかしそこへ、幾つもの光線が降り注ぐ。

 

「っ!?避けろ!」

 

先程までレイジが運転していたボーダー製の車は木っ端微塵になって爆発する。

 

『3人とも、上空に巨大なトリオン反応!』

「!上...!」

 

宇佐美の通信を聞き、3人が空を見上げると、翼の生えた女性が宙を舞っていた。

 

『分かっているな、バルキア。私とリーヴの戦いに手出しは無用。周囲の雑兵を近寄らせるな』

「ええ、分かってるわ...まったく、贅沢な隊長ね。まあいいわ、あなたたちと遊んであげる」

 

上空を舞う戦乙女...バルキアは3人を見下ろし、槍を構えながらそう言い放った。

 

「敵は空を飛べるトリガーのようだ。俺と京介で撃ち落とす」

「小南先輩は高度が下がったところを叩いてください」

「任せたわよ。あいつの減らず口、私が叩けないようにしてあげるわ!」

 


 

「諏訪さん、こっちは片付きました!」

「おう、こっちもだ」

「このまま倒していこう」

 

諏訪隊は東エリアのトリオン兵の対処をしていた。

今出現しているのはバムスター、バンダー、モールモッドと、どれも見慣れたものばかり。

数こそいれど、少しづつ処理していけば大して苦戦もしない。

 

「わっ!?」

「日佐人、大丈夫か?」

「はい、何かに引っかかって...」

「これは...糸?誰かのスパイダーか?」

「いや、周りにスパイダー使ってるような部隊は...」

 

刹那、

 

──ギリギリ

 

と耳をつんざくような音と共に何かが諏訪隊に迫る。

 

「なっ!?」

「避けろ!」

「ぐっ!」

【トリオン供給器官破損、緊急脱出】

 

その攻撃を避けきれなかった堤は一瞬にして切り刻まれ、緊急脱出。

諏訪と笹森が攻撃の方向に視線を向けると、その先には一人の少女が佇んでいた。

 

「もう一人壊れちゃった...」

 

少女は少しだけ首を傾げ、本当に分からないといった様子で疑問の言葉を投げかける。

 

「ねえ、玄界の人って弱いの?」

「何だアイツ、ネイバーか?」

「さっきの攻撃もあの子が...?」

「...人形劇(ドーラペア)

 

少女がそう呟いて手を振りかざすと、トリオンでできた無数の糸が諏訪と笹森に迫る。

2人は咄嗟にバックステップし、なんとかその攻撃を躱す。

先ほどまで2人がいた位置のコンクリートは抉れ、ガードレールは微塵切りになっていた。

 

「なんて切れ味だ...」

「日佐人、俺たちだけじゃ分が悪い。ほかの部隊と合流するぞ!」

「はい!」

「あれ、逃げちゃうの?私と遊んでくれないの?」

 

少女は無垢な声音でそう言い放ちながら2人の追跡を始めた。

 


 

「西と東にそれぞれ1体ずつ人型ネイバーが出現。西は玉狛第一が、東は諏訪隊が交戦中です」

「西の人型は玉狛に任せろ。東の人型は複数の部隊で合同で対処に当たってくれ」

 

忍田がそう通達した直後、異変が発生した。

 

「っ!レーダーに異変発生!トリオン反応を感知できません!」

「何だと!?」

 

レーダーが突如トリオン反応を捉えられなくなった。

本部だけでなく、その他の隊員やオペレーターのレーダーも同様であった。

 

「原因は?」

「不明です!エンジニアが対処にあたっています」

「まさか、これも敵のトリガーなのか?」

「レーダーを妨害するトリガーだと!?」

「もしや、このまま電子系がすべてダウンしてしまうんじゃ...」

 

結人から共有されているのはギアジェスの全兵共通のトリガーの情報のみ。

固有のトリガーは挙げればキリがないため、その都度共有するようになっている。

 

「もしそんなことになったら、神代から情報をもらうこともできんぞ!早急にトリガーの情報を聞き出せ!」

「分かっている。神代隊員、聞こえるか?」

『大まかな状況は把握しています。ただ、こちらも余裕がないので手短に話します』

 

結人は現在シグルと戦闘している状態。

悠長に話している余裕は彼には無かった。

 

『ジャミングは恐らく、クロウのトリガーです。上空を飛び回っているトリオン体の鴉がそれです』

「あれがすべてトリガーだと!?」

 

鬼怒田が驚くのも無理はなく、警戒区域内の上空はほとんど鴉で埋め尽くされている。

 

『正確にはトリガーで生成したトリオン物体です。以前任務に同行したときに見たことがあります。電波妨害と索敵が可能です。トリオンでできてるので、トリオンで攻撃すれば壊れます。ただし、そうすると周囲の鴉が反撃してくるので注意してください』

「情報感謝する。そちらも、健闘を祈る」

 

その会話を最後に結人との通信が切れる。

そして、本部は即座に全体に指令を出す。

 

「全隊員に告ぐ!トリオン兵に対処しつつ、上空の鴉を撃ち落としてくれ。殲滅すれば、その地点のジャミングは回復するはずだ。西地区の半分は天羽に受け持たせる」

「待て忍田本部長!いくら鴉を迎撃しても、本体を倒さなければまた鴉を増やされる!」

「問題ない。クロウは迅に対処させる。トリオン体を飛ばしている以上、警戒区域内にいるはずだ。頼んだぞ、迅」

 

「了解」

 

迅はそう短く返事をして通信を切る。

 

「さて、そっちは上手く隠れてると思ってるみたいだけど...」

 

迅は目の前の景色ではない光景を見据えながら呟く。

 

「かくれんぼは、終わりだよ」




規模感はガロプラ以上アフト未満くらいのつもりです。
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