「縁」を視る近界民、ボーダー隊員になる   作:白豆男爵

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未知数

木虎との模擬戦を終えた後、俺は玉狛支部まで戻ってきた。

 

「ただいま...あれ?」

 

そしてリビングまで行ってみると、林藤支部長、そして顔立ちの整った女性と大柄な男性がいた。

 

「おう、おかえり結人。ちょうどお前のことを紹介したかったところだ」

「紹介?」

「ああ。自己紹介してくれ」

 

林藤支部長がそう言うと、女性のほうが一歩前に出る。

 

「初めまして、林藤ゆりです。林藤支部長の姪なの。よろしくね」

「ミカエル・クローニン。お前と同じ近界民だ。よろしく」

「えっと、神代結人です。よろしくお願いします」

「ちょっと前から県外スカウトに行ってたんだが、今日帰ってきたんだ」

「県外スカウト...」

 

スカウト、つまり国内でトリガー適正のある者を探して色んなところを回っているのか。

今のボーダーにも三門市出身じゃない隊員が何人かいるのだろうか。

今度宇佐美辺りに聞いてみよう。

 

「結人くんのことはおじさんや栞ちゃんたちからから色々聞いてるわ。困ったことがあったら何でも相談してね?」

「ありがとうございます。でも、玉狛や本部の皆がよくしてくれてるので楽しいですよ」

「あら、この世界を気に入ってくれて嬉しいわ」

「せっかくだ、同じ近界民同士仲良くしよう」

「いえ、こちらこそ」

「それで、収穫はどうだった?ゆり、クローニン」

「数人声はかけられましたね。次のスカウト旅はもう少し長くなりそうです」

「次は大体12月頃になるかしら?」

「そうか。まあそれまでゆっくり休んでいけ。結人も加わって賑やかになってることだしな」

 

そう話していると、リビングに宇佐美とレイジさんが入ってきた。

 

「あ!おかえりなさい、ゆりさん、クローニン!」

「!お、おかえりなさい、ゆりさん...」

「ただいま、栞ちゃん。それにレイジくんも」

「ど、どうでしたか?スカウト旅は」

「ええ、とっても楽しかったわ」

「それは良かったです...」

 

レイジさんはゆりさんと会話している時だけどこかたどたどしい感じがする。

 

「なあ宇佐美、レイジさんってもしかして...」

「うん、分かりやすいよね、レイジさん」

 

まあ糸を見る限り関係はかなり良好みたいだが、ゆりさんは落ち着きを無くしているレイジさんを見て楽しんでいるような気もする。

 

「おい、何だお前たちその目は」

「べっつに~?」

「何でもないですよ」

「「ね~」」

「息ぴったりだなお前たち...」

「そういえば結人。君のトリオンを測らせてくれないか?」

「?いいですけど、何でまた...」

「何やら本部で少し話題というのを林藤殿から聞いてな。興味がある」

「分かりました。夜ご飯の後でもいいですか?」

「オーケー」

 

そうしてクローニンさんの打診によって俺はトリオンを測ることとなった。

 


 

「じゃあこの計測器を俺がいいって言うまで握っててくれ」

「分かりました」

「そういえば結人くんのトリオン測ってなかったね」

「普通は入隊前に測るが、経緯が特殊だからな。仕方ないだろう」

「俺のトリオン量か...」

 

何気にここ数年は本国でも測っていなかった気がする。

俺のトリオン量は本国ではまあまあ多いほうだったと思う。

そもそも、玄界とギアジェスで基準が同じかは定かではないが。

 

「お、記録がでたよ。どれどれ...!」

 

計測結果を見たクローニンさんは目を見開いた。

 

「ん、どうしたのクローニン...って、えっ!?」

「これは...」

 

画面をのぞき込んだ宇佐美とレイジさんも同じような反応をする。

 

「トリオン...16?」

「えぇ!?二宮さんより高いの!?」

「機器の故障...というわけでもなさそうだ。これは少し驚いたな」

「確かに、今思えばあの時のアステロイドめっちゃデカかったもんね...」

 

宇佐美の言うあの時は恐らくシグルと対峙したときだろう。

 

「16は玄界だと高いほうなのか?」

「高いも何も、ボーダートップレベルの二宮が確か14、俺も11だ。お前のトリオンはそれ以上あるってことだ」

「ふむ...」

「これだけのトリオンがあれば色んなトリガーにも変化が...面白くなってきた」

 

クローニンさんはぶつぶつと呟きながらパソコンを打ち始めた。

どうやら俺のトリオン量はボーダートップレベルだったらしい。

まあ確かに、他の隊員の技術を俺のトリオンで真似てみるのも面白いかもしれない。

俺はB級昇格時の期待をより一層高まらせた。

 


 

「んー、やっぱあの伸び方は普通じゃないと思うんだよなぁ...」

 

出水は本部を歩き回りながらつぶやく。

先日結人が見せたスコーピオン伸ばし。

モニター越しの映像から出水は何かを感じ取り、考えていた。

やがて周囲が騒がしくなってくる。

どうやら気づかないうちにランク戦ブースに辿り着いたようだ。

するとそこへ、この悩みのカギを握っているであろう人物が目に入った。

 

「あ、影浦先輩!それに村上先輩も」

「あ?出水か。オメーから話しかけるなんて珍しいな」

「何かあったのか?」

「ちょうど影浦先輩に聞きたいことがあったんすよ!」

 

そうして出水は結人の件について話し出した。

 

「...って感じなんすけど、どう思います?」

「...まず先に言っとくが、俺はスコーピオン一本じゃそこまで伸びねえ。二つ繋げてようやく15mくらいだ」

「カゲの言う通りなら、大体旋空と同じくらいの射程だな」

「やっぱそうっすよね...」

(結人のトリガーはまだ訓練用。つまり一本のスコーピオンで影浦先輩のマンティスと同等の射程を誇るってことだ)

 

もし彼がB級に上がってマンティスを習得したら...

考えるだけで出水の体は少し震え上がる。

だが、それ以上にある考えが出水の頭の中を反芻していた。

 

(少なくとも影浦先輩以上のトリオン量。それにランク戦を一目見ただけであれだけ俯瞰した考えをひねり出せる思考力・判断力があるあいつなら...)

 

射手に向いているのではないか。

出水は心の中でそう思った。

 

「オメー、何ニヤニヤしてんだ?」

「え、今ニヤニヤしてました?俺」

「無意識かよ...」

「面白いもを見つけた時の顔してたぞ、お前」

「面白いものですか...そうかもっすね」

 

出水は小さく笑った。

 


 

翌日、昨日のこともあり、俺はずっと個人ランク戦をやりこんでいた。

もうすぐB級に上がれそうだったため、格上に積極的に挑んでポイントを稼ぎ始め早数時間。

とうとうスコーピオンのポイントが4000を超えた。

 

「よし、これでB級だ...!」

 

俺は本部の開発室にすっ飛び、トリガーをセットした。

考えていたパターンはいくつかあるが、ひとまず無難な感じの構成にしてみた。

 

「後は慣らすために一時間くらいランク戦やってみるか...」

「お、いたいた!神代ー!」

「ん?出水か」

 

トリガーの試運転をしようと思っていると出水が声をかけ、こちらに駆け寄ってくる。

 

「お、B級に上がったのか」

「ああ、ついさっきな」

「ナイスタイミングだ!お前に一つ提案がある」

「提案...?」

「昨日からずっと考えてたんだけどよ...」

 

出水は目を輝かせながら、その一言を繰り出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「...お前、射手やってみねえか?」




ということで、ゆりさんとクローニンは原作よりも前から何回かスカウト旅に行っていたということでなんとかしました。
リサーチ不足でごめんちゃい( ´∀` )
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