降谷零のクローンなオリ主とコナン世界   作:ラムセス_

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青の古城と生物兵器①

 

 あれから、無事大爆発大事件ののち事件は解決した。

 

 結局コナン君一人で解決したから、私はと言えば蚊帳の外。

 らーーーん!とかあっただろうに、見たかったな。

 寂しい私は少年探偵団の皆と集まってダウトをするしかないのである。

 

 そして嘘を見抜くのが得意過ぎて接待プレイと化すのであった。

 アムピ、僅かな表情とこれまでの手の記憶から嘘を読み取るのがうますぎるんだよな。

 あと嘘も上手い。

 

 何はともあれ、今日は振替キャンプの日だ。

 ハイキングがなくなってしまったから、代わりのキャンプにやってきている。

 

 子供達は盛り上がり切っていて、謎の挿入歌を大合唱中。

 やや大きめの車を借りてのキャンプだから、一層テンションも上がるのだろう。

 喧騒を特に気にした様子もなく、灰原さんはPCを開いて作業を続けている。

 

 光彦君が果敢に灰原さんへと話しかける。

 

「灰原さん、それは何をやっているんですか?」

「ちょっとね。自由研究よ」

「あ!夏休みにやるやつってお母さんが言ってた!でも夏休みは先だよ?」

「俺うな重作るんだぜ!」

 

 自由研究でうな重作るのか君……?

 

 ちょっと宇宙猫になりつつ、私は灰原さんが邪魔されないよう「みんなは夏休みに何をする予定ですか?」と聞いてみることにした。

 

 今、研究が佳境に入っているらしいからな。

 「今いいところだから今日のキャンプパス」の一言で今日のキャンプも不参加にしようとしていたし。

 ただ、私がいくと聞いて念のため着いてきてくれたようだ。

 優しさに頭が下がる思いである。

 

 灰原さんの研究とは、私の肉体についての再調査だ。

 海外医療機関に前に調査した結果と照らし合わせながら、私が研究所からコピーしてきたデータをチェックしているとのこと。

 

 どうも私の肉体にはまだまだ未知の機能がたくさんあるらしい。

 

 特に特徴的なのは、生物兵器をコントロールするための豊富なコマンド群だ。

 

 これは「967-OA2、オーダー」の文言でいつも使ってるやつのことである。

 本当は「967-OA2、◯◯」の形式であるコマンド群の一つでしかない。

 

 例えば「リワード(報酬)」「スタンドバイ(待機)」「スローター(殺処分)」などが挙げられるだろう。

 不穏な感じがするこれらコマンドのほとんどは、機能が不明である。

 というか、個々の研究者が勝手にノリで追加していくから研究所側も困っていたようだ。

 とりあえず追加したらリストに記すこと!と一覧だけ作って放置してあった。

 

 だから予算減らされるんだよ君らは……。

 

 不明なままでも怖いので、今は一つずつ試していく過程を踏んでいる。

 

 万が一命令を撥ね除け損ねた時のために、クマ用の鉄の檻も用意する予定だ。

 実験も檻に入って行うつもり。

 凄まじく憂鬱そうな灰原さんと阿笠博士に、どうにも気後れして仕方がない。

 

 これは仕方ない処置だと思うんだが、心情として納得しかねる様子だ。

 クローンは実質ヒグマ。間違いないんだがなぁ。

 

 ちなみに、「リワード(報酬)」については比較的資料が揃っていて安全そうだったので、すでに実験済みだ。

 

 これは予想通り、生物兵器へのご褒美のためであった。

 

 通常のオーダーがいつもの生中であるとして。

 風呂上がりのキンキンに冷えた生中ぐらいの至福の一杯であった。

 

 大変気に入ったので酔いのままに媚を売りまくったのだが、灰原さんはすごく落ち込んだままもう二度とリワードはくれなかった。

 コナン君にも擦り寄ったのだがダメだった。

 我に酒をくれたもう。ほんまに。

 

 さて、ようやくキャンプ場に到着したらしい。

 東都山渓キャンプ場は見た目もさわやか、風に川の水飛沫が混じり、春の日に相応しい景観だ。

 

 そして忘れる肝心のテントである。

 トランクは空。がっかりする子供たち。最終確認をしなかったことを後悔する私。

 場はあっという間にどんよりとした空気に包まれた。

 

「す、すまん空君、行きがけに注意を受け取ったのについコロッと」

「仕方がないですよ。玄関に置き忘れるのは定番と聞きますから」

 

 コナン君がデカため息をついているので、「すみません、ボクの確認不足でした」と頭を下げておく。

 「お前のせいじゃねーよ。ま、キャンプだってまた次にできるんだしな」と軽く肩をすくめてコナン君が笑う。

 素早く川辺を走り出す少年探偵団を見ながら、私は思わず笑みを浮かべて頷いた。

 

 と、いうわけでUターン帰宅となったわけである。

 テントないのに一泊なんてできないし、明るいうちに森を抜けねばならんからな。

 だが無情にも道に迷い、山を出ることすら叶わなかった。

 

 私も流石にこんな森だけの空間で道案内はできかねるからな。

 この車もカーナビついてないし。

 というか元凶は地図に書いてない道が多すぎることだし。

 

 もうテンションがどん底になり始めた子供達が、ブーブーと声を上げ始めた。

 

 「歩美、車で野宿やだ……」「そうですね…がっかりです」「俺腹減ったぞ!」と不満を口々に表明する。

 私は仕方ないので車内で手品を披露することとした。

 最近の私の新たな趣味だ。

 

「歩美ちゃん、好きなカードを選んでください。元太君も光彦君も」

「おう、手品か?」

「最近空君いつもトランプ持ってましたもんね」

 

 それらのカードの束の中にバラバラにしまい、ジャッと見えるように派手にシャッフルする。

 もちろん、数字は見えないようにしたままだ。

 

 派手なシャッフルに「おおー!!」と子供達の歓声が上がる。

 

「では僕があなた方の選んだカードをこの4枚のエースで見抜きましょう」

 

 私は別途用意しておいたエース4枚を前に、パチンと指を鳴らして演出を見せた。

 エースの間からするりと現れるのは、先ほどトランプに混ぜたはずの選択カードたちである。

 

 再び子供達から歓声が上がった。

 「スッゲー!どうやったんだ!?」「すごいです!」「歩美もできるかな!?」と大盛り上がりの様子だ。

 おうよ歩美ちゃん、難しいがコツコツ練習すればできるようになるよ。

 うむ。毎日練習した甲斐があったというものだ。

 

 コナン君も微笑ましいものを見た顔で微笑んで頬杖をついた。

 

「へえ、古典的なトリックだけどすごく上手いな。手の動きが全く見えなかったぜ」

「貴方、それ褒めてないわよ」

「まじで?」

「ははは、古典的トリックなのは本当ですし。楽しいですよ、緻密に体を動かす訓練にもなります」

 

 灰原さんの注意にコナン君がタジタジとした。

 まあ、探偵からすればそのトリックは明瞭だったろうからな。

 有名で知ってる人も結構いるし。

 

 だがこういうのは「知っていてもうまくできない」職人のはじめの一歩だ。

 意外と楽しいんだが、練習には限界もある。

 できれば誰かに教えて欲しいところだが、そう都合よくマジシャンなんていないんだよなぁ。

 習い事とかないかな。

 

 そんなふうに話していると。

 

 進行方向、鬱蒼と茂った森の合間に、大きな青色の城が見えてきた。

 西洋の邸宅のようなそれは壮観だ。

 森の中ではさぞ維持が大変だろう。

 

「あそこで一泊させてくれんかのぉ」

「無理だろ。宿泊施設ならともかく、民家なら道聞けるだけありがたいけどな」

 

 コナン君が助手席でそっけなくため息をついた。

 

 

 

 と、いうわけで。

 

 ぐだぐだの流れで私たちのこの城での一泊が決まった。

 ありがたいが、余所者の何処の馬の骨とも知れない子供連れを家に上げるのはどうかと思いますよ。

 いや、逆に田舎に子連れだから警戒心が無かったのか。

 

 広い庭は手入れが行き届いていて実に美しい。

 庭師さんもいるようだし、相当な金持ちのお宅だろう。

 

 十五年前の遺言のままチェスボードの形に整えられた庭。

 四年前に起きた大火事。

 生き残ったいく人かの家族が、この不便な山奥に滞在して何かを調べている。

 

 まあ、そのぐらい符合すれば流石の私も思い出す。

 青の古城事件だったか。

 詳しい流れは覚えてないが、確かこの城の当主である老婆が犯人だったと思われる。

 実は本物の当主に成り代わっていた財宝目的の赤の他人だったとか、そういう話だ。

 

 なんともまぁ面倒な場所に来てしまったものだ。

 

 犯人も、金持ちの当主になれたのだから、換金できるかもわからない財宝などよりその地位の方が大切だろうに。

 老い先短い中金なんてあったってどうしようもない。

 あの世に金を持ち越せないのは、私が身をもって実証している。

 

 コナン君は二階の部屋からチェス模様の庭を眺めて考え込んでいる。

 

 私は隣に立って熟考中の彼に話しかけた。

 

「コマの並び方に何か意味があるのか」

「通常のチェスではあり得ない配置ですね。ポーンが縦に並んでいる」

「だな。たぶん大旦那様とやらがしかけた暗号だろう。暗号で財宝を隠すなんて、よくやるよ」

「そう言いながら楽しそうですよね」

「まあな」

 

 コナン君も楽しそうで、私も嬉しい限りである。

 持ち運び用の薄型PCを畳んでバッグに入れ、灰原さんがあたりを見分している。

 

「貴方の好きそうな暗号に、怪しげな一家に、これみよがしで巨大な洋館。行方不明にならないでちょうだいね」

「バーロー、大丈夫だっつの」

「どうかしら、こういう話では真っ先に消されそうじゃない?」

 

 軽口を叩き合う二人が、イタズラする少年探偵団を叱りつつしっかり保護者を務めている。

 まだ現時点では何も起きていないし、今のうちに屋敷の間取りの把握でもするか。

 

 一人で館内を歩く。

 トイレは二階には無いらしい。少々不便な館だ。

 間取りから露骨な隠し部屋がいくつか。

 

 あちこちからじめっとした空気が流れてくるあたり、隠し通路もたくさんあるのだろう。

 軽く手帳にメモして練り歩く。

 人の家の仕掛けを稼働させるつもりはないから眺めるだけだ。

 匂いの違いで隠し通路がある場所ぐらいはわかるからな。

 

 ついでに庭も散策。

 本当は焼けた別棟を歩いてみたいが、遠いし危険なので私だけでいくと咎められることは間違いない。

 

 戻ると、ちょうど夕食の時間だった。

 どうやら豪華な晩餐まで用意してくれているらしい。

 いい人すぎるだろ。

 

 コナン君の姿が見えないので、少年探偵団に聞いてみる。

 

「コナン君がいない様子ですが、どうかしましたか?」

「なんかコナンのやつ、どっか行っちまったまま全然戻ってこねぇんだよな」

「隠れんぼでしょうか。せっかく美味しい夕食なのに」

「歩美、コナン君のためにパンをとっといてあげる!」

 

 可愛らしい発言である。歩美ちゃんは優しいねぇ。

 

 だが危険なことに変わりはない。

 特に過去に死者も出した別棟もあるし。

 

 ………風に混じって、ほんのごく微量の血の香りもする。

 コナン君に出血があったのだろう。

 

 夕食後に家人も入れて捜索が行われたが、結局彼の姿は見つからなかった。

 雨が降り始めたのか、空は曇り見通しは悪い。

 森を調べるのは少々危険だろう。

 

 私がやや俯いて静かに目を伏せた。

 阿笠博士がワタワタ私の前に出て肩を優しく叩いてくれる。

 

「まあ、新一なら無事じゃろうて!便りがないのは無事な証拠と言うし!」

「事件性はありそうですよ。あちこちの隠し通路に、何時間も連絡すらしないこの状況。何か不都合なものを彼が見てしまった可能性があります」

「ふ、不都合?」

「そうね。誰かに監禁されているとか。そう言う感じかしら?」

 

 灰原さんが同意した。

 彼女とてこの状況に不信感は抱いているのだろう。

 

 遠くに視線を感じる。

 誰かがこちらを盗み見ているのは明らかだった。

 

 血の香りは、この屋敷の中からする。

 思わずペロリと唇を湿らせて、私は艶やかに笑んだ。

 強く窘めるように「空君、あまり焦らないで」と灰原さんが眉間に皺を寄せる。

 

 私はクスクス笑って目を細めた。

 

 身近なものすら守れず何が生物兵器だ。

 邪魔者は排除しろと、脳内で誰かが嘯いている。

 別にそんな命令聞く義理はないが、私もその意見には賛成だ。

 

 人間、来世はあるのだから。

 今が早めに終わったって、別に構いやしないだろうに。

 

 私は後ろで盗み聞きする者に聞こえるように、滴り落ちるような言葉を残したのだった。

 

「───あは。夜闇の狩りは、僕の方が得意ですよ」

 





・リワード(報酬)
クローン洗脳機構。
転生者の魂にとっては風呂上がりの生中でしかない。
洗脳だと分かってるので灰原もコナンも絶対にクローンへは与えようとしない。
リワードを懇願されてすごくブルーな気持ちになった。

・灰原さん
めちゃくちゃ悲痛な気持ちになってる。
コマンドは言いたく無いし、でも間違いなく兵器としてスイッチ入ってて止められない。
この子に人殺しはさせたく無いのに。
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