降谷零のクローンなオリ主とコナン世界   作:ラムセス_

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ピスコと待つ者

 

 電話が来なくて寂しい今日この頃。

 

 きっと連絡してこないだろうなぁとは思っていた。

 どっちにしろ今後安室さんとは接触することになるから、ゆっくり考えていればいい。

 そう思っていたのに、実際に直面すると推しに避けられて悲しみは大きいなり。

 

 私がシナシナしていることはすぐにコナン君にバレて、ゲロらされることになった。

 

「バーボンに会った!?!?」

「はい。おそらく向こうも買い物かと。エコバッグを持っていましたから」

「エコバッグ持ってスーパーで買い物してるのか…組織幹部が……」

 

 いや仕方ないじゃろ、バーボンだって人間なんだから買い物ぐらいするよ。

 

 灰原さんが眉間に皺を寄せて物憂げに目を細めた。

 

「私はあまり外に出ない方がいいわね。母親の面影から特定されても厄介だし」

「だな。灰原は気をつけておいてくれ」

 

 二人が今後について話を手短に交わしたあと、本題はバーボンそのものに移った。

 

「それで、バーボンはなんて?」

「彼は私に関わるつもりはないようでした。僕を行きずりの女性との子供だと誤認して、僕と君は無関係だと、そのように」

「…………」

 

 思わず言葉の端が震えてしまう。

 悲しさではなく、現実で推しと実際に言葉を交わせた喜びからだ。

 漫画の中に入り込みたいとはよく言うが、そんな夢のようなことが実際に起こりうるとは。

 我が生涯にいっぺんの悔いなし。

 

 いや悔いはある。推しともっと仲良くしたい。強欲である。

 

 無言で俯く私に、コナン君がギリ、と奥歯を噛み締めたが何も言わなかった。

 やばい、言い方が端的すぎてあむぴの株が下がったかもしれない。

 慌ててフォローに入ることとする。

 

「彼は情報を扱う組織幹部として多くの敵がいます。下手な弱みを作るのは面倒を引き起こします。オリジナルの反応は妥当で、僕もそれは承知済みでした」

「でも、それは貴方の事情とは関係ないわ」

 

 灰原さんが吐き捨てて、コナン君も憂鬱そうに俯いてしまう。

 うーむ。

 これまであむぴアゲを細かくやりすぎて、フラれた片思いの人みたいになってしまっているのかも。

 

 私は「彼は冷酷でしたが誠実で、隠すことはありませんでした」「彼の立場を考えれば当然の処置です」と言い募った。

 しかし、二人はフーンみたいな様子で反応は芳しくない。

 なぜだ、なぜ登場前にこんな好感度が酷いことになってしまったんだ…!

 すまぬアムピ…!

 

 コナン君が私の肩を持って優しく微笑む。

 その顔は穏やかで、見る人を安心させるような真摯さに満ちている。

 

「気にするなとは言わねーけど。お前には俺たちがついてる。それだけは忘れないでくれ」

「ええ。ここが貴方の帰ってくる場所だと、どうか覚えていて」

「………ありがとうございます、二人とも」

 

 あったけぇなぁ。

 あとアムピは許して。

 

 二人ともあむぴへの悪口言わないけど、それが余計に二人の怒りを示していそうで震える私である。

 今からでも遅くはないから潜入捜査官であることを言っておくべきか。

 潜入捜査官をする中で危険に巻き込まないようにあえて冷たく接したのだとか言えば、彼らも見直してくれるはず。

 

 いや、「警官なのに子供を突き放したのか!仕事のために!」って余計に拗れる気がしてきたなコレ。

 うぉぉおおお誰かなんとかしてくれ!

 

 私は内心苦悩しながら「僕は大丈夫ですから」と無事をアピールするしかなかったのであった。

 

 

 

 

 そんな翌日のこと。

 

 阿笠博士が何やらコソコソと車を出そうとしているのが目についた。

 ちょうど時刻は学校帰りごろから。

 買い物も終わっているし、今日の予定はないはずだが。

 

 どうも私に知られたくない様子が見て取れたので、ならばと私も見ないふりをした。

 

 

 それが間違いかもと思ったのは、3時間も経った頃のこと。

 もう夕飯の時間だと言うのに、灰原さんも阿笠博士もちっとも帰ってこない。

 

 TVでは「坂巻監督を偲ぶ会」にて事故があったと報道が賑わっている。

 現場が混乱していて状況もよくわからないが、外は雪が深々と降り積もり、暗い夜闇が東都を覆っている。

 

 コレは長丁場になりそうなので、夕飯もサランラップをかけておく。

 外に出て、積もった雪で小さな雪だるまを玄関前に作った。

 

 明日はすっかり雪景色で、子供たちと一緒に雪遊びとなることだろう。

 

 阿笠博士たちを迎えに行くべきかとも思ったが。

 私が言っても余計に心配させてしまうだけな気がしたのでやめておくこととする。

 

 ふと思い立って、私は三個ほどの雪だるまを置いて家の中に戻った。

 せっかくなので今のうちにラボに侵入して、私の研究データを見ておくことにしよう。

 

 なにせ私は自分のことなのに全然見せてもらえないから、気になっていたのだ。

 

 こっそり地下室へと降りて、PCを起動する。

 パスワードは手の動きで覚えているからスルスル突破。

 生体認証があったら諦めるしかなかったが、それはないようで一安心だ。

 

 じろっとファイルを検分していくと、それらしい資料の一覧があった。

 灰原さんはまめらしく、資料を階層に分けて細かく整理して一覧を作るタイプらしい。

 お、これか。

 

 まず一番、私の知りたいのは己の寿命だ。

 

 私はやはり現在幼体の位置付けらしい。

 というか、正確に言えば「第二段階」とのこと。

 全部で第四段階まであり、最長でもおよそ10年程度だと推察されるようだ。

 生物兵器としてはかなり長めに設定されているのは、培養槽期間を入れてのことだからだろう。

 

 まあ、私は幼体のまま培養槽から出てしまったから、その負荷で半分近くになってしまっている可能性は否定できない、と資料には記されていた。

 現在約四歳。

 10年の半分ということは、あと一年。

 原作期間の一年あれば十分だから、私としては半分になっても特段の問題はなさそうだ。

 

 その間に安室さんと和解できるといいなぁ、と淡く思う私である。

 

 肉体性能は私の知っているものと特に変更はない。

 コマンドに関しては私も実験に参加してるのでスルー。

 

 一応私の脳のコマンド機能を停止させられないかの研究も添えてあった。

 ただ、私の生体機能と密接に関係しているらしく、単純に外科的な処置でチップを取り出しても死ぬだけだ。

 例えば、生命維持に関わる機能だけを持たせたチップと入れ替えれば。

 

 でも短い生命の彼に、そんな大手術をするのか。

 回復し切る前に寿命が来ないとも限らないのに。

 

 淡々とした記録の中には、灰原さんの深い苦悩が見て取れた。

 

 そんなに気にしなくても。

 命令は私の方で弾けるし、酒はうまいから悪いことなんてないのに。

 

 一通り確認してから、PCを落として何食わぬ顔で部屋へと戻る。

 それにしても遅いことだ。

 TVでは続報がやっていて、坂巻監督を偲ぶ会で死んだのは収賄疑惑で世間を騒がせている有名政治家だったと報じられている。

 シャンデリアに押しつぶされるという凄惨な死に様、SNSに話が出回っているらしい。

 

 それでようやく、これがピスコの一件であるということに思考が行き着いた。

 

 たった今、灰原さんが攫われて命の危機に晒されているのだ。

 

「ッ!!!」

 

 飛び出そうとするも、理性がそれを押し留めた。

 あんな遠くに足もないのに徒歩で向かってどうする。

 挙句電車を乗り継いだとして、警察の厳重な規制線で近づくこともままならない。

 メディアも殺到しているだろうし、子供を通す義理は微塵もないだろう。

 

 そもそも今からの時間ではホテルにたどり着いた頃には事件は全て解決しているはずだ。

 

 ままならない想いに、私は肩を落とさざるを得なかった。

 大人の体ならば、もっと確かな身分ならば、彼女を助けられたかもしれないのに。

 

 きっとコナン君が原作通り救い出してくれると信じるしか無いだろう。

 

 

 

 しばらくして。

 灰原さんが病院に運ばれたと連絡があった。

 阿笠博士から先に寝ていてくれと言われているが、コレで寝られるはずもなし。

 コナン君は今晩は病院に付き添うようだ。

 

 己の無力が忌まわしい。

 今日も電話は来ない。

 

 深々と降る雪は、静かに窓の外を暗く静かに覆うのみであった。

 





・クローン
あむぴ全肯定BOT。
ことある事にオリジナルを褒め称える。
クローン「車の運転技術は素晴らしい」「敵地潜入の腕前は高レベルでまとまっている」「学習能力が抜群に高いオールラウンダー」
コナン君「フーン」
灰原さん「フーン」
クローン「どうして」
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