降谷零のクローンなオリ主とコナン世界   作:ラムセス_

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完全コナン君視点。誤解も多し。
内心クローンは喚いててギャグ。



生き方と人の道

 

 コナンと灰原は、阿笠博士の車に乗って空の行方を追っていた。

 

 バスジャック事件をギリギリ終えて、組織の気配に怯える灰原を宥めて。

 そうしている間に、爆発のどさくさに紛れて空は姿を消してしまっていた。

 

 しかも灰原曰く、組織の気配はすでに遠ざかっているらしい。

 悪い想像ばかりが頭に浮かぶ。

 空は攫われたのか。何故。どうして。

 

 幸い彼は探偵バッジを持っていたので、その反応を追ってレンタカーを走らせている。

 近場に大きな駅があって助かった。レンタカー店が無ければ電車を使うしかなかったからだ。

 

 空の事情を考えると警察の手は借りたくない。

 犯人追跡メガネが、またポイントの移動を描写する。

 

「また動いてる!この速度は…徒歩?」

 

 コナンがメガネに手を添えて疑問を口にした。

 非常に低速だ。

 先ほどは車で動いていたのは間違いないから、一体何があったのか。

 

 阿笠博士が歯を食いしばってアクセルを踏み込んだ。

 

「飛ばすぞ新一!哀君もしっかり掴まっておるのじゃぞ!」

「っ、空君……!」

 

 灰原が悲痛な声を出す。

 震える肩が心細そうに縮こまっている。

 気付けば空の生活圏内にまで車は来ていた。

 

 組織の人間がこの辺を彷徨いている可能性は十分に考えられる。

 こちらが注目されるだけで、危険度は跳ね上がることを心得なければならない。

 

 阿笠博士の車の中から必死で空の姿を探す。

 

 すると、通学路付近をのんびりと歩く空の姿が確認できた。

 灰原が思わず叫んだ。

 

「博士!車を停めて!」

 

 阿笠博士を車に残し、急いで駆け寄って彼の無事を確かめる。

 しかし距離は保ったままだ。

 もし相手が本当に組織の人間なら、コマンドを使われた可能性も十分に考えられる。

 今一人で解放されているのは、すでに敵の制御下にあるからか。

 悪い想像ばかりが加速して頭の中を占有する。

 

「空!」

「ああ、コナン君に灰原さん。ご心配をおかけしたみたいですみません」

「お前どうしてこんなところに!?」

 

 空はいつも通りの淡い無表情で頷いた。

 その様子に変わったところは見受けられない。

 

「組織幹部ベルモットにお誘いを受けましたので、敢えて乗って着いて行きました」

「!!!……何があった?」

 

 灰原が息を呑む。

 警戒が一段上がり、どうしても手足に力が入る。

 こちらの警戒を察したのか、空が頷いて淡々と口を開いた。

 

「ご安心ください、僕はコマンドは受けていません。彼女も僕のことを組織幹部バーボンの子供と誤解した様子でした」

「っ、なんで同じ幹部の子供を攫ったんだ?」

「二人は険悪な仲ですから。バーボンへの弱みとして確保したかったのでしょう」

 

 バーボンの方もベルモットの弱みを握っている。

 よく一緒に行動するがその関係は最悪で、ベルモットも隙あらばバーボンの命を狙っているらしい。

 

 それを聞いて、コナンは困惑と共に彼へと問いかけた。

 

「なら、なんで空が解放されてるんだ。逃げてきたのか?」

「いえ。せっかくなので、同じ組織の研究を憎むもの同士、協力関係を結ばせてもらいました」

 

 そこでようやく。

 空は花が綻ぶ様な美しい笑みを浮かべた。

 そこに邪気はなく、悍ましいほどの鮮やかさだけが彩りを添えている。

 

 コナンは無意識に息を呑んでいた。

 

「……どういう意味だ」

「どうせ僕の存在がバレた段階で、同じ家に住む灰原さんと阿笠博士に迷惑をかけることは必至。ベルモットの口を封じることは最優先でした」

「殺した、わけじゃないんだよな」

「はい。もっと良い手がありましたので」

 

 発達した犬歯を見せて、空がうっそりと怪しく嗤って見せる。

 灰原が驚愕に目を見開いて、一歩後ろへと下がった。

 

「まさか…貴方、噛んだんじゃないでしょうね!?」

「はい。僕の周囲への危害を禁止し、秘密を口にできないように設定しました」

 

 軽やかに返ってきた言葉に、灰原が頭を押さえて俯いてしまった。

 コナンは話についていけず、困惑の表情で灰原へと問いかける。

 

「どういうことだ」

「寄生虫よ。生物兵器たるこの子のメイン機能で、人の脳に辿り着き行動を操ることができるの」

「………は?」

 

 理解が追いつかない。

 いくつかの寄生虫は実際に人の脳に寄生してその行動を変容させることが確認されている。

 だが基本的に脳構造に対して寄生虫は小さすぎる。

 そんな複雑な行動制御が寄生虫にできるとは思えない。

 

 コナンの疑問に答えるように灰原が目を強く閉じた。

 

「幼生の群れが自己組織化して…いえ、今はいいわ。ともかく、それはありうる。完璧に機能しうるの」

 

 ニコニコと笑う空は至極満足げで、無垢にすら見える仕草で首を傾げた。

 

「ベルモットはどうやら灰原さんの正体にも辿り着いているようで、その暗殺計画を練っていました」

「なっ!!!本当なのか!?」

「ええ。つまりコナン君の正体も分かっていたということ。だからここで動きを封じることができてよかったです。二人の命の危機は、無い方がいい」

 

 空は灰原の手を取って、頬を寄せた。

 褒めて欲しそうに、甘える様に灰原へと擦り寄る。

 人を操る外道働きの結果として、本能を満たされ彼は幸せに微笑むのだ。

 

 灰原が優しく強く、空を抱きしめてやる。

 

「………良い子ね。私達のことを、考えてくれたのね」

「はい。あなた方の無事が僕の幸せですから」

「でも、こんなことは二度としないでちょうだい。貴方がされたような、人の自由意志を奪うことは良くないことよ」

「……?」

 

 きょとんと空は瞬いた。

 そこに邪気は微塵もない。

 

「コマンドは、心地いいものですよ?悪いものではない」

「………」

「灰原さん、リワード(報酬)が欲しいです。僕、うまく働けましたよね…?」

 

 灰原の手に指を絡めて、恍惚と微笑む生物兵器。

 それは間違いなく、自らの生まれた意味に囚われた哀れな人形であったのだろう。

 

 灰原はもう一度、強く空を抱きしめて言葉無くその髪を梳いた。

 コナンはその役割として、キッパリと彼に言葉を落とす。

 

「空、お前は間違ってる」

「……え」

「お前は兵器として生きるべきじゃない。俺たちはお前にそんなことをしてほしくない。普通の幸せを歩んで欲しい」

 

 困惑した空が、所在なさげにウロウロと視線を彷徨わせる。

 コナンは抱きしめられたままの彼の頭を優しく撫でた。

 

「ですが、僕は事実として生物兵器です」

「そう作られたからと言って、そう生きる必要はない。お前は自由なんだ。研究者達の思惑に囚われる必要なんてないだろ?」

「………」

 

 揺れる瞳を真っ直ぐに見つめ返す。

 空のスカイブルーの瞳は深く透き通って青い。

 

「でも、俺たちを思って動いてくれたんだよな。ありがとう、空。お前は優しい子だ」

「……すみませんでした。僕は、失敗したのかな」

「取り返せるさ。あらゆる失敗は、取り返せる。俺たちがそうであるように」

 

 コナンは失敗している。

 灰原も、今この瞬間にその過ちを取り返そうとしている。

 

 問題は山積みだ。

 それでも、彼を守れるのは自分たちしかないのだと。

 

 そのように、コナンは思ったのだった。

 





・ベルモット
クローンに「とりあえず禁止事項これな!後で詳しい話を連絡するからヨロ!」って色々言われてドカ鬱になってる。
はーーやっぱバーボンは害悪。はっきりわかんだね。

・クローン
パパママに怒られてしょぼしょぼのしょぼ。
ベルモットに「バーボンクリソツ」って褒められてテン上げになってたのに。
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