降谷零のクローンなオリ主とコナン世界   作:ラムセス_

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カウントダウンと組織の影①

 

 本日はレンタカーでキャンプにいっていた。

 今はその帰りで、西多摩市に寄っている最中だ。

 

 遠くには勇壮な富士山が見えていて、その横の空を貫くように立つツインタワービルが美しい。

 あらゆるところが前世とは違うこの世界だが、富士山は相変わらず美しいんだなぁと少しばかり感慨深くなる私である。

 

 ツインタワービルは西多摩市に新しくできたオフィスビルだ。

 

 正確には片側はオフィスで、もう片側が商業施設になっているんだったか。

 子供達が窓に張り付いて「おーーすっげー!」「高いですねぇ!」と感嘆の声をあげている。

 

 元太君がふと前の席に張り付いて首を傾げた。

 助手席は今は灰原さんが座っている。

 

 「オメー昨日はどこに電話してたんだ?」と灰原さんに問いかけたようだ。

 まあ、返答はすげなく「見間違いじゃないかしら」だったが。

 

 昨日の夜は灰原さんがまた悪癖を繰り返していたようだった。

 

 彼女は夜な夜な、姉の元へと電話をしている。

 ただの録音音声を聞くためだけの行為だ。

 姉の元気だった頃の声が、留守番電話の形で聞こえてくるだけ。

 

 それだけのために組織に知られる危険を冒しているのだ。

 

 止めてやらねばならない。

 でも彼女の唯一の心の支えを取り上げるのは忍びなくて、未だ私はその悪癖を止められずにいた。

 

 なんとも心が沈むものだ。

 私が勇気付けられたらと思えど、こんな何処の馬の骨ともしれぬクローンでは肉親の情には入り込めない。

 心のうちに巣食う悲しみを拭い取るには力不足というほかないのだ。

 ああ、力無きこの身が嘆かわしい。

 

 子供達がわあわあと騒いで、私にストップウォッチを渡してきた。

 「次、空君の番ですよ!」「その次コナン君だよ!」とのこと。

 

 ぼんやりとして話を聞いていなかったが、どうやら30秒当てゲームをしていたらしい。

 

 ふむ、では少し失礼して。

 

 ちょうど30秒。

 私はジャストでストップウォッチを停止させた。

 まあ、私は脳内に機械があるからそれはそうだ。

 時間管理は軍事行動の基本だから、その辺りの正確さは折り紙付きである。

 

 「おお!やるじゃねーか空!」とコナン君がわしゃわしゃした。

 そう、クローン体はハイスペックなのです。えへん。

 

 私が誇らしげにしていると。

 むすっとした歩美ちゃんが、何故か私の頭を同じようにもしゃもしゃ撫で出した。

 撫でてもらえないなら撫でればいいじゃないの理論らしい。

 ええんかそれで。

 

 そして、歩美ちゃんはハッとした顔になった。

 「なでなでするのって嬉しいね!」と新たな気づきを得た様子。

 そのまま歩美ちゃんにくしゃくしゃにされてしまった。

 コナン君が「あ、歩美ちゃん…?」と困っている。

 

 困り果てたコナン君が歩美ちゃんをぎこちなく撫でてやる。

 すると可愛い歩美ちゃんはコナン君の隣で頬を染めて照れ照れして、余計に私の頭をくしゃくしゃにした。

 

 元太君が真似して光彦君を撫でくりまわそうとして「嫌ですけど!?嫌ですけど!?!?」と拒否されている。

 

 カオスである。小学生理論怖い。

 

 

 

 さて、ツインタワービルに到着した。

 と言ってもまだ開業前だから下からほへぇと眺めるだけだ。

 

 だけだったはずなのだが、そこに毛利探偵と蘭ちゃんたちが姿を現して話が変わってきた。

 

「あら、コナン君に阿笠博士、みんなどうしてここに?」

「わしらは単なる建物の見学じゃよ。そっちは何か依頼かね?」

 

 阿笠博士の質問に、毛利探偵が襟を直しながら自慢げに答えた。

 

「俺の大学時代の後輩がこのビルのオーナーなんだよ。それで、オープン前に特別に招待してくれたんだ。どうせだし俺の連れってことで見てくか?」

「そりゃありがたいが、いいんじゃろうか」

「向こうもゲーム開発もしてるから子供がいた方が嬉しいっつってたし、ちょうどいいだろうよ。蘭はガキっつーには育ちすぎてるし」

「お父さん!」

 

 恥ずかしそうな蘭ちゃんだが、その後ろの園子ちゃんは「そう、私達はガキンチョとは違うのよ!」と誇らしげ。

 彼女も愉快なお嬢様である。

 

 ともかく、一緒に中を見学させてもらえるのは嬉しい限りだ。

 子供達は降ってわいた幸運に小躍りして、テンションの上がった小型犬のように走り回っている。

 

 

 お邪魔させてもらった内部はオフィスとしてできたばかりだからか、おしゃれに整っていて綺麗であった。

 ゲーム開発も手がける会社に招かれたということで、子供達はみんな目をキラキラさせている。

 専務取締役さんが案内してくれたのだが、その子供達の嬉しそうな様子には満更でもなさそうであった。

 

 なんと、十年後の顔をAIが予想してくれるという専用試作機まで試しに体験させてもらえることになった。

 

 なお、予想通りだが私の場合出てきたのは単なるあむぴである。

 イケメンだとみんなには好評だった。

 園子ちゃんも「このガキンチョ、将来有望だとは思っていたけどここまでだとは…!」と慄いている。

 何キャラだ君は。

 

 蘭ちゃんも妃弁護士似で美しい大人になる様子。

 最後のコナン君と灰原さんは原作通り安定のエラーであった。

 なんとも、空気の読める賢い機械である。

 

 まあ、別にコナン君が新一そっくりに出ても「親戚だから」で余裕で押し通せると思うが、それはそれか。

 幼児化しましたの方が百倍無理筋だしな。

 

 コナン君がそっと私に近づいて声をかけた。

 

「なあ、さっきの顔画像ってさ」

「はい。バーボンそのものですね。あれを見てバーボン、安室透と思わない顔見知りはいないだろうという程度には似ていました」

「そうか。あいつが……」

 

 わずかな怒りを表出させ、コナン君が拳を握りしめた。

 そういえばコナン君は安室さんを見たことがなかったんだったか。

 でも何故に怒る。ただの野生のあむぴだぞあれは。

 

 ふと見ると、専務取締役でプログラマの原さんが、すっかり子供達と仲良くなっていた。

 ゲームの意見を聞きたいからと家に子供達を呼んでいる。

 おいおい、知らない人の家に小学生がお邪魔するのはダメだろうに。

 まあ、彼らは小学生の上澄みだし、身分のしっかりした人だからそこまで問題ではないか。

 

 そんなことを思いながら窓の外の勇壮な富士山を眺めていると。

 

 ふと、下階にポルシェ356Aの姿が見えた。

 

 私は勤めて冷静に灰原さんのそばへ近寄り、彼らの裾を引っ張って小さく声をかけた。

 

「灰原さん、コナン君、なるべく早めに理由をつけてここから脱出しましょう」

「どうしたの空君。何か用事でもあるのかしら」

「ビルのロータリーにポルシェ356Aが停まっています。色は黒です」

「!!!」

 

 灰原さんが凍りつき、同時にコナン君が全速力で駆け出した。

 これすなわち、「天国へのカウントダウン」が始まったということだ。

 

 今行ってももうジンの車は走り去った後だろう。

 でも、彼にとって因縁の相手だ。

 

 その必死さは、私にもよく理解できた。

 

 

 

 

 それからしばらく。

 西多摩市議長が刺殺され、事件は水面下で着々と進んでいった。

 

 子供達はみんなで刺殺事件を調べているらしく、あちこち動き回っているようだ。

 コナン君がついているから問題ないと思われるので、私は沈みがちな灰原さんに付いていることとした。

 

 今日は原さんの家に行く予定らしい。

 灰原さんも珍しく付いて行くと言い出したので、私もご一緒する。

 そんなことを言ったのはなんとなくもあるだろうが、組織がプログラム関連に力を入れていることも知っていてのことかもしれない。

 

 コナン君が灰原さんにバレないよう、私にこっそりと声をかけた。

 暗い顔だ。

 まさかな、と疑いたくない人を疑うような顔をしている。

 

「……なあ、灰原に最近変わったことはなかったか?」

「悪癖の頻度が高くなってます。あまり褒められたことではないので止めたいのですが、どうにも止められず」

「悪癖?どういうことだ?」

 

 私は声を一段潜めて小さな声を出した。

 灰原さんから距離をとったまま自然に内緒話をする。

 

「留守番電話音声に吹き込まれた彼女の姉の声を聞くために、姉のかつての拠点に電話を繰り返しています。無論、組織に拠点を押さえられれば非常に危険な行為です」

「………そうか、博士が見た夜中の電話は」

「はい。彼女の唯一の心の支えなのでしょう。僕も、あまり口出しできずここまでズルズルと行為を許すことになってしまいました」

 

 コナン君が沈鬱に俯いた。

 

 彼女はまだ18歳。

 唯一の肉親を失い、孤独の只中にいる。

 ただ声を聞きたいという切なる願いをどうして無碍にできようか。

 

 とはいえ、それが彼女のみならず周りの命を危機に晒していることは否定できない事実である。

 

 コナン君もそれがわかっているが故に、緩く息をついたらしかった。

 

 原さんのマンションに着くと、私はそれを見上げて思わず鼻を押さえた。

 コナン君が「どうした?」と心配そうに背に手を置いてくれる。

 

「血の匂いです。火薬の匂いも一緒に。ですが時間が経っているのだと思われます。匂いがかすかで、だが不快な匂いだ…」

「な、どの部屋だ!?」

「そこまでは。ですが上からします。原さんの部屋は407号室だったはずですが」

「とりあえず行ってみよう!」

 

 やはりというべきか。

 開け放たれたままの扉の向こうには、射殺され亡くなった原さんの遺体が放置されていた。

 死後1日と言ったところか。

 

 子供達は慌てて「け、警察に連絡します!!!」「歩美、入り口見張ってる!」「俺マンションの人探してくる!」と動き出した。

 訓練されすぎてる小学生である。

 

 コナン君が転がったおちょこを見て、目の色を変えた。

 

 「ベルモットに奴らの動向を聞けるか?」とコナン君が低い声を出す。

 灰原さんが肩をすくめて首を振った。

 

「彼らがこんなオープンに動くわけないわよ。おちょこなんて、ストレートに自らを誇示するようなものを置くわけがないわ」

「それには同意見ですが、ジンの好む銘柄のタバコの匂いがまだかすかに残っています。被害者はタバコを吸わないみたいですから、殺してから一服したのかと」

「!!!」

 

 灰原さんが目を見開き、肩を震わせる。

 

 私がどう動くべきか。考えるべき時が来たのかもしれなかった。

 





・安室さんの動向
風見に「貴方似の子供についてですが」「戸籍が無いようで」等々言われて鬱。
グローブボックスは開けたくないから使えなくなってしまって不便だし。
しばらく様子見でいい、危険があるようなら保護を頼むって言って思考に蓋をした。

これ以上背負えない。
あの子が松田の仇を取った。
あんなに冷たく突き放したのに。本人もそれと分かっていなかっただろうに。
公的な身分もなくあの容姿では、日本人と認められるかすらわからない。
俺のせいだ。
まだ仕事がある。次の殺しがある。景光の死を絶対に無駄にはできない。友は誰も残っていない。
あの子の純粋な瞳が俺を見ている。
もうこれ以上背負えないんだ。

・ベルモット
ニタニタバーボンを観察してウザがられている。
勝手にクローン作られて!利用されて!
どんな気持ち?ねぇ今どんな気持ち???
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