降谷零のクローンなオリ主とコナン世界   作:ラムセス_

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高校生活の始まり

 

 あれから、少しのトラブルがありつつも、安室さんは無事に帰宅していった。

 

 トラブルというのは、私が彼を騙してコマンドを使わせた件だ。

 話が乗ってきて、趣味や好きなことは何かあるかという話題になった。

 あむぴならばコマンド使わせても怒らないと思って、私はついいたずら心で「『967-OA2、リワード』と言ってみてください」と頼んだわけだ。

 

 そりゃもう大変良かった。

 普段のそれが風呂上がりの生ビールとするなら、あむぴのリワードはロマネ・コンティ1945みたいなノリである。

 

 これはあむぴが「親」として元来登録されているからだろう。

 

 本来、コマンドは「親」を登録して使用するものだ。

 親の命令は優先順位が高く、強烈な命令となる。

 その親からの命令は実に甘美で、私の心に深く入り込んだ。

 

 私もあえて自らコマンドを受け入れたとはいえ、ついつい自意識を放棄して傅いてしまったぐらいだ。

 阿笠博士が割って入るまで、私は完全酔っ払い自動人形モードに入っていた。

 

 なお、安室さんはべしょべしょに凹んで帰られた。

 そして私も帰宅した灰原さんにとてつもなく怒られた。

 しょぼぼぼぼぼんぬ。

 あと安室さんはすまん。いきなり私の様子がおかしくなって怖かったよね。

 

 

 まあともかく、そうして私は各方面に挨拶を済ませ。

 本日、高校入学とあいなったのである。

 

 帝丹高校は名門私立だ。

 金持ちが多いからこそ融通が利き、だからこそ工藤優作氏の口添えで身分の怪しい私も途中入学することができた。

 

 とはいえ、もちろん学力試験と面接はあったがな。

 

 事前に軽く対策をしたが、さすがはあむぴの頭脳。

 試験は完璧、面接も卒なく受け答えと全く隙がなかった。

 

 私なんて全部忘れてて何も思い出せなかった高校範囲の試験内容だったのにな。

 少し対策するだけでするすると全問突破できるあたり、あむぴのスペックの違いが浮き彫りになる。

 

 そうして無事入学が決まり、制服と教科書を受け取り。

 今日が入学初日である。

 

 私はどうやら奇遇にも蘭ちゃんと同じクラスのようだ。

 

 おじさんな担任の先生「お前ら席に着け、転校生だぞ」という声を受けて、私が扉を開けて入る。

 入った瞬間、女子の黄色い歓声があがった。

 

「阿笠宙です。これからよろしくお願いします」

「はいはい!宙君は彼女いますか!」

「どこ住んでたの?海外?」

「部活どこ入る予定!?」

 

 すごい勢いでわっと食いついてくる。

 私は愛想笑いでその質問に一つ一つ答えていった。

 これから死ぬほど同じ質問に答えることになるだろうが、自分の設定を確認するにはちょうどいい。

 

 この各種設定はコナン君も一緒に考えてくれたもので、全て頭に叩き込んであるからな。

 

 蘭ちゃんも私におずおずと話しかけてきてくれる。

 

「あの、阿笠君って、もしかして阿笠空君のお兄さん?」

「そうだよ。兄弟だ。今弟は海外の病院に入院してて、こっちには僕一人だけどね」

「そうなんだ……心配だね」

 

 なんとも困ったような顔をして、蘭ちゃんが眉を下げた。

 最近姿を見ないからどうしているだろうと心配してくれていたらしい。

 

 これにびっくりしたような顔をしたのが他の女子組だった。

 

 「蘭と知り合いなの!?」「ついに旦那と破局して新しい男!?」とにわかにざわめき立つ。

 嫉妬と言うより「うっそ!?!?」という驚きが大きいようだ。

 どれだけ公認のカップルなんだ君らは。

 

 蘭ちゃんが「そんなんじゃないってば!!ただ知り合いの男の子と顔似てたから!」と顔を赤くして否定する。

 旦那ということ自体は否定しないあたり、熱愛カップルであることが窺える。

 

 私も「ああ、弟が世話になったみたいだからね」とさらり髪を揺らして微笑んだ。

 女子たちはうっとりと夢見心地の顔になっている。

 弟に優しい完璧お兄さんの幻想に囚われているらしい。

 

 ケッ、と面白くない男子達が「イケメン反対!」「スカしやがって!」とブーイングを飛ばした。

 なんだか愉快で仲のいいクラスらしい。

 

 私の席は1番後ろだった。

 隣の森という男子がヒソヒソと私に声をかける。

 

「お前、どうする気だよ色男。このままじゃみんな敵だぜ」

「勘違いされてるみたいだけど、彼女を作る気はないよ。男色というわけでもないけど」

 

 私は深いため息をついて頬杖をついた。

 というか、私は生態からして蜂社会におけるクイーンであるので人間の男女観を当てはめるのは難しい。

 森君が眉間に皺を寄せてずいと顔をこちらに向けた。

 

「はぁ?やっぱスカしてんのか?」

「違う違う。………実は前の学校で女性関係で怖い目に遭った。本当に。もう彼女は作りたくない。一生独り身でいい」

「………お、おう。なんか悪かったよ…」

 

 私のマジトーンに、森君はしょぼんと小さくなった。

 

 ちなみに、怖い目にあったのは私ではなく降谷さんの記憶である。

 具体的には貞子でリングなノリの本当にあった怖い話。

 迫り来る女子高生って迫力あるよね。

 

 私が降谷さんの記憶に肩を抱いて怯えていると、森君は「俺のノート見せてやるよ」とさっとフォローの態勢に入ってくれた。

 優しい。ありがとナス。

 

 帰り際には部活動の見学の時間が設けられた。

 

 競技性の高い運動部は私のスペックだと悪目立ちしてしまう。

 なるべく本能を発散しつつ、かつ一般の生徒を押し除けない運動部があるといいのだが。

 

 体はボクシング部を望んでいるが、私の膂力でボクシングなんてとんでもないので却下。

 とすると、水泳部か山岳部あたりが狙い目だろうか。

 いっそスポーツは諦めて料理部にするか。

 

 なお、部活を巡る時は女子に囲まれることは無かった。

 私の被害報告が森君を通して素早く男子諸君に伝わったらしく。

 男子達の協力でさりげなく女子アタックが阻止されたからだ。

 

 平穏を掴み、私はストレスフリーな穏やかな部活見学を得ることができた。

 本当に優しい、暖かみを感じる学校やで。

 

 そうして一通り見学して、阿笠邸へと帰宅する。

 小学校ゆえに一足早く灰原さんが玄関先で私を出迎えてくれた。

 

「どうだったかしら、初めての高校は」

「優しい方ばかりでした。ここでなら、僕も楽しい高校生活を送れそうです」

「そう。良かったわね」

 

 優しい灰原さんが私の言葉に嬉しそうに微笑んでくれる。

 私はしゃがんで頭を向けた。

 きょとんと灰原さんが首を傾げたので、こちらも困惑して眉をハの字に下げる。

 

「撫でないんですか?」

「………甘えん坊ね。もう高校生なのよ?」

「ですがまだ四歳ですから。甘えたがりなんです」

 

 灰原さんはクスクスと笑って、さらりと私の頭を撫でてくれた。

 これが結構心地いいんだよな。

 歩美ちゃんが撫でられたがる理由もわかる気がする安らぎである。

 

 灰原さんが優しい手つきのまま問いかける。

 

「友達はできた?」

「はい。サッカー部の男子が一人。優しい人で、これまでのノートを見せてくれました」

「良かったじゃない。まあ、貴方なら授業に置いていかれることなんて無いでしょうけど」

 

 信頼が胸に染みて心地いい。

 しかし次の瞬間、キッと灰原さんは私を睨んで頭をもしゃもしゃにした。

 

「ところで、誰彼構わずコマンドをねだったりしてないでしょうね」

「し、信用ないですね……してませんとも」

「バーボンを騙してコマンドを好き放題言わせる人に信用も何も無いわよ。蘭さんもダメよ、わかってるわよね」

 

 なんでいなんでい。ブツブツ。

 私がいかにも反抗的な顔をしたものだから、灰原さんはベシッと私の頭をはたいた。

 なんでや。みんな私に酒をくれないのがわるいんじゃ。

 

 灰原さんが嘆息して、もう一度私の頭を撫でる。

 

「しょうがない子。ともかく明日からは早く寝なさい。学校があるんでしょう?」

「そうですね。夜遅くまでのマジックの練習は控えないといけませんか。学校も面倒ですね」

「何言ってるの。それが普通なの。四歳が日付変わるまで起きてていいと思ってるの?」

「それはそうですね………反省しました。それを示すため、今日の夕飯は灰原さんにはデザートをつけます」

「それより博士の分を減らしてちょうだい。また体重増えてるのよ」

「なんと。間違いなく隠れて食べてますね」

 

 そんなふうに和やかに。

 私たちは新たな生活に踏み出したのであった。

 





・男子内での評価
明るく親切でいいやつ。嫌味がなく意外にノリもいい。
過去女で酷い目にあったから昔は遊んでたのかも。

・女子内での評価
物腰穏やかで知的で王子様。
珍しく同年代に園子がときめいてて見もの。
観賞用男子枠。
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