降谷零のクローンなオリ主とコナン世界   作:ラムセス_

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最強金庫と師弟の誘い

 

 今日も今日とて夜な夜な実験の日々である。

 

 どうも、コナン君には実験の詳細を知らせるなと言い含められているんだよな。

 特に幼生の成長実験。

 そのため、心苦しいがコナン君には地下で行われている実験の数々は秘密にしている。

 

 あのキモイ「手足」達、私には懐いているので微妙にかわいそうなんだよな。

 つつくと困った感じで狼狽えるので可愛いし、指先ぺろぺろ舐めて来るから愛嬌がある。

 

 まあ、非常に獰猛で、ほぼ同サイズのはずのマウスとか丸齧りにするんだが。

 多分大きくなれば人間も丸齧りにするので全然ダメな生き物である。

 

 

 まあ、そんな暗い話は置いておいて。

 今日は怪盗キッドの予告の日である。

 

「本当にありがとうございます。まさか僕まで呼んでもらえるなんて」

「いいのよ、阿笠君がマジック趣味なのは私も知ってたし。この間の瞬間移動マジックの時も来てたもんね」

 

 園子ちゃんのご好意に、私は深々と頭を下げて感謝の意を示した。

 キッドは私のお気に入りコンテンツだ。

 できれば生でそのショーを見たいと言っていたのを覚えていて、私も呼んでくれたらしい。

 優しい…嬉しい……このお礼は必ず。

 

 毛利探偵がいかにも怪しい奴を見るような目で私を見た。

 

「なんだこいつ。まさかあいつみたいに高校生探偵だとか抜かさねぇよな?」

「ははは、まさか。僕は単なる高校生ですよ。工藤君のように鮮やかに事件解決はできません」

「でも宙君も凄かったよ、この間の紙飛行機の時も、まるで新一みたいだった!」

 

 目をキラキラさせた蘭ちゃんに「そんな、僕なんてまだまだだよ」と謙遜しつつ。

 ギラリと殺気をはらんだコナン君の視線をいなすなどする。

 君ホント妖怪嫉妬男だな。

 ますます胡散臭いものを見る目になってしまった毛利探偵を添えて。

 

 どうしてこうも針の筵なのか。

 

 今日のキッドの獲物はこの家に伝わるからくり金庫、鉄狸だ。

 一週間前の夜に予告状がきて、翌朝に新聞に載ることになったらしい。

 

 屋敷の前にはこの日のためにメディアのカメラが山ほど来ている。

 

 蘭ちゃんがやや困ったように首を傾げた。

 

「でも、怪盗キッドにしては変よね。文章は古めかしいし、マークもいつもと違うし」

「縦書きも初めてじゃない?」

 

 コナン君の言葉に、皆がうんうんと頷いた。

 私も鉄狸の件は正直うろ覚えだ。

 たしか金庫の中に犬君が閉じ込められちゃってたんだったか。

 

 今回の怪盗キッドは偽物かもしれない、ということでちょっとばかり肩透かしになりつつ。

 今回の目標たる鉄狸のある部屋の前に向かうと、気合の入った警察の一団が目に入ってきた。

 

 前に立つのは中森警部か。

 短髪にスーツ姿の刑事さんがずいと私に不審そうな目を向けた。

 

「あん?毛利探偵か。そっちの坊主は見ない顔だが」

「初めまして。園子さんの学友です。特別に怪盗キッドの現場を見せてもらえることになりまして」

「……はん、犯罪者を前に呑気なもんだ」

「でも阿笠君もマジックの腕はなかなかのもんよ!ね、阿笠君!」

「ははは」

 

 瞬間、部屋の端から差し貫くような好奇の視線が私を捉えた。

 たぶんマジックと聞いた怪盗キッドが「あん?」と値踏みタイムに入ったんだと思われれる。

 

 いや流石にキッドに見せられるレベルには至ってないんですけど!?

 私が内心目を剥いていると、誇るように園子ちゃんが「見せてあげなよ!」と私を前に押し出すなどする。

 勘弁してくれ。

 

 私はルパン三世をリスペクトし、手に渡るように国旗の連なる飾りを出してみせた。

 カリオストロの城でルパンがやった奴

 全力である。全身冷や汗。

 

 これに中森警部は眉間に皺を寄せて険しい顔になった。

 そして私の頬をぎゅむり。

 

「…………」

「いたたたたたキッドではないですから。光栄ですがそこまでマジックは上手くないです」

「ふん。まあいい。現場はうろちょろするなよ」

 

 蘭ちゃんが私の出した国旗マジックに「わあ、可愛いね!」と感動してくれたようだ。

 いい子だ、本当に。

 

 さて、そのあたりでやってきたのは鈴木次郎吉相談役であった。

 

 一応鉄狸の紹介をしてくれるようだ。

 部屋の前には重量センサー。

 鍵の開け方を間違えた人間の命を狙って来るからくり。

 無数のダイヤルにはそれぞれに仕掛けが施され、それを正規の開け方を知らずにこじ開けるのは困難と言えた。

 

 流石の私もこれをこじ開けるのは無理そうだ。

 「手足」より上位の系統個体が腐食性の唾を吐けたはずだから、そいつにドアを溶かさせるのが最善か。

 

 紹介のために重量センサーを一時解除し、中を見せてくれるあたり非常に鈴木相談役は親切だ。

 

 まあともかく、今回来るのは偽物だろうと鈴木次郎吉氏は繰り返し述べた。

 警察を遠ざけたいかのような口ぶりは、コナン君も疑問に思ったらしい。

 何か考え込むそぶりを見せている。

 

 皆帰れ、との言葉に仕方なく不完全燃焼のまま撤退を決める。

 

 その時。

 蘭ちゃんがぶつかったのがこの屋敷のメイドさんであった。

 

 どん、と尻餅をついたメイドさんがお尻をさする。

 

「まあ、すみません!ワンちゃんを探してて、よく見てなかったんです!」

「いえ、大丈夫です。……でもルパン君のことですよね、それ。先週から入院してるって聞いてますけど」

「!!そうだったんですか。私ワンちゃんが好きで、会えるのを楽しみにしてたんですけどね」

 

 しゅんとした様子のメイドさんに、思わず私は息を呑みそうになった。

 

 ラバーマスクの人工的な鼻をつくツンとした香り。

 そして化粧に紛れて、私の鋭敏な鼻がその体臭を嗅ぎ分けれる。

 

 この人物は間違いなく怪盗キッドだ。

 

 では、と言って離れる間際。

 私を興味深そうに眺める視線が一瞬だけ私を捉える。

 一応蔑まれてないあたり、先ほどのマジックは合格点には達していたようだ。

 よかった。恥をかかなくて済んで。

 

 彼女と別れてすぐに、背後で警察官たちが素っ頓狂な声を上げた。

 どうやら先ほど何もなかったはずの金庫室で、怪盗キッドの予告状を見つけた様子。

 

 スイッチを切ってる間に置いたとして、すごい早技、すごいタイミングであることは間違いない。

 さすがは怪盗KID。

 

 マジックは仕込みが全てだというのに、それをその場に合わせて軽やかに演じ分けて見せるその手腕。

 マジシャンとして極限までの高みにいると見て間違いないだろう。

 

 コナン君が私の袖を引っ張って、ちょいちょいと手招きした。

 

「なあ、お前さっき何かに気付いたろ」

「そうですね。あの瀬戸瑞紀ってメイドさん、怪盗キッドです」

「!?!?!?」

 

 コナン君が目を剥いて驚愕しているので、私も声を潜めて内緒話の姿勢に入る。

 

「前に会ったことがあるので匂いで同定できました。正直、ロジックでの同定でないので言いづらいのですが」

「おま……ん?っつーことは、キッドの変装はお前には無意味…?」

「何か強烈に香水を効かせるとか、香辛料をばらまれるとかしなければ判別はつきますね。対策されると僕が苦しむことになる気もします」

「流石にそんなヒデーことはしねぇだろ。怪盗キッドだし」

 

 まあでも、とんでもないアロマディフューザーで鼻を潰されるぐらいはある気がしている私である。

 鼻が曲がるのでやめて欲しいところ。

 

 鈴木次郎吉氏はというと、予告状が見つかったというのに「顔を引っ張るな」「証拠がないなら調べるな」「偽物だから放っておけ」と違和感のある発言を連発。

 その場の全員に疑念を抱かせまくっていた。

 

 それでようやく思い出したのだが。

 今回の予告状は次郎吉氏の自作自演だったはずだ。

 愛犬ルパンが金庫である鉄狸の中に閉じ込められ、それを助けるために怪盗キッドへ手を貸してくれるよう求めたのがことの真相だ。

 

 大変だなぁ、なんて思いつつ。

 思い出してすっきりした私は早くも事態に飽き始めた。

 

 私は仕事も終わり、その辺の廊下を彷徨くなどして気を紛らわせる。

 やはり掛けてある絵一枚をとっても高級なのがこの鈴木邸である。

 

 ほへぇ、という顔をしていると。

 

 食事の台車を運ぶメイドキッドさんと遭遇した。

 メイドキッドさんはぱあっと顔を明るくした。

 

「あ、先ほどの方!どうですか、捜査の状況は」

「新しい予告状が見つかったので、キッドの犯行の線が濃厚だとのこと。慌ただしくはなりましたよ」

「そうなんですか!まあ、大変ですねぇ」

 

 他人事みたいな言い方で驚くと、そのまま好奇心旺盛なメイドさんのふりをして身を乗り出す。

 

「そういえばさっき、他の人から聞いたんですけど貴方はマジックをなさるみたいですね」

「下手の横好きですよ。実はキッドのショーを見て始めたんですけどね。まだまだ全然です」

 

 私は恥ずかしさでやや俯いて恥じらった。

 なんでご本尊の前でそんなこと言わなあかんのか。

 

 メイドキッドはパチクリと瞬いた後、満面の笑みで口を開いた。

 

「そんなことありませんよ、あの国旗のやつ、私も目の前で見てみたいです!」

「それくらいなら、はい」

 

 羞恥を抑えてからするすると国旗を出していく。実は手作りルパンチャーム付き。

 そして両端の爪楊枝を持ってぴらぴら振る。

 

 じっっっっ、と見たメイドキッドが「貸していただいても?」と言ったので私の国旗紐を渡してやる。

 それをキッドはぱっと消し去ったあと、するすると両手指先から生やすように生き生きと出して見せる。

 明らかに私のそれより高品質で、まるで魔法のようだ。

 

「手つきは凄くいいです。ただ、まだ緊張が残ってるので自信を持って大胆にやってみてください!こんな感じです!」

「…………師匠と呼んでいいですか。というか弟子入りしても?」

「あはははは、私も素人ですよぉ」

 

 嘘つけ怪盗キッドが素人なわけないだろ。

 私はやや挑戦的な顔をしてメイドさんの耳元で囁いた。

 

「鮮やかに騙す方も得意ですが、暴く方も同じ程度には得意です。貴方に弟子入りするのは諦めませんからね、怪盗キッド」

「………!…………さて、じゃあお手並み拝見と行こうかな」

 

 それだけ言って、メイドさんの皮を被り直したキッドは廊下を何事もなかったかのように進んでいったのだった。

 





・怪盗キッド
自分のショーに憧れてマジック始めたって聞いてやや満足。
結構いい線行ってるから頑張りたまえ!

・コナン君
実験が度を超していることに気づいてない。
このまま平穏に、普通の人間のように過ごして欲しいと願っている。

・ルパン三世
最近VS複製人間をクリアした。
クローン技術の一部が別の組織に流れていたことを知り、動き出している。
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