降谷零のクローンなオリ主とコナン世界   作:ラムセス_

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紺碧の棺に眠る①

 

 ここのところ事件づくめだ。

 この間もミラクルランドに閉じ込められて爆弾を手首に嵌められたし。

 また別件でコナン君は犯人に攫われた挙句犯人と結託するし。

 

 コナン君攫われすぎ問題はかなり大きいと思う私である。

 N回目の誘拐としか言いようがない頻度だ。

 本人もわざと攫われに行ってる節があるのがタチが悪い。

 

 

 さて、本日は神海島に旅行に来ている。

 

 神海島はレジャーの盛んな観光名所だ。

 亜熱帯の気候で海は美しく、ダイビング体験の子供達もたくさんいるようだ。

 わあわあと楽しそうな声が響いて、ビーチは実に活気に満ちていた。

 

「ありがとうございます毛利探偵、僕まで連れてきてもらいまして」

「いいってことよ。ただ蘭には手を出すなよ、出したらぶっ飛ばす」

「あはは、工藤君を差し置いてそんな恐ろしいことできませんよ」

「あいつも手を出したらぶっ飛ばす。俺は平等だからな」

 

 娘はやらんお父さん概念か。頑張れコナン君。

 私が深く頷いて応援の意を伝えると、コナン君はガックリと肩を落とした。

 

 今回私が連れてきてもらえたのは、毛利家に30万のクイズの懸賞金が入ったからだ。

 クイズを解いたのはコナン君だということで、毛利探偵は気を利かせてくれたらしい。

 少年探偵団の子供達や保護者の阿笠博士や私、園子ちゃんなど皆を連れて豪華神海島旅行に連れてきてくれたというわけだ。

 

 まさに頭が上がらないとはこのことだ。

 

 とはいえ、フロントで何故か予約を承ってないと言われるトラブル発生。

 ずいぶんランクが下の旅館に泊まることになりそうだ。

 

 まあ、こういう時の穴場の旅館だって悪くないもの。

 私はまだ見ぬ海鮮料理にワクワクと笑顔を作った。

 

 ととと、ふらりと体がよろめく。

 ホテルのロビーはずいぶんと人が多く、ざわめかしく耳に響く。

 

 ヘルプで呼ばれた観光課の課長さんが「二週間前にお宝が見つかったので、今月に入って観光客が急に増えたんですよ」とフォローがあった。

 なんともまあ、遺跡のある島もそういうことがあると一攫千金のネタになるよな。

 

 トレジャーハンターらしき特徴的な日焼けの跡の男が彷徨いていて、なんだか落ち着かない気分になる。

 

 私がぼんやりしていると、元太君が私の手を引いて首を傾げた。

 

「宙の兄ちゃんなんか元気ねーぞ!ちゃんと食ってんのか?」

「ああごめん、見てた?」

「フラフラしてたわよね。さっきタタラ踏んでたもの」

「う……こんな観光地で申し訳ない。どうも昨日夢見が悪くてね。新しい環境で少し疲れてるのかも」

「無理しないでくださいね。もし疲れたら宿で休んでていいですから」

 

 心配そうな光彦君の頭をヨシヨシと撫でる。

 人の心配ができる可愛くて優しい子にはこうしてやるぞ。うりうり。

 

 嬉しそうな光彦君にこちらまで嬉しくなる。

 

 というか、夢見が悪かったのは本当なんだよな。

 ここ最近ずっとそうだ。

 

 こう、もう一人の私にぐちぐち文句言われる夢だ。

 

 真っ白な空間で、まるで鏡に映ったかのような降谷零そのものの姿の男が一人。

 プンスカと怒って私を睨め付けているのだ。

 

「あなたは心を解さなさすぎる!」

「生物兵器として完璧な統制を持つあなたと違い、僕は本能に囚われすぎているのはわかりますが!」

「いくらなんでも禁欲的すぎるでしょう!」

「我らの主人がいくらそれを望まないとはいえ、自衛にかこつけて一人二人引き裂ける場面もあったはずだ!」

 

 などと目の前の私が懇々と私に説教してくるアレである。

 そんなこと言われてもどうしろと。

 

 わからん。もしかしてこれは自由に行きたいという私の隠されし本音とかだろうか。

 それとも肉体に宿った本能の現れなのか。

 

 ともかくなんとなく眠りが浅い感じがして、私は寝不足に苛まれているというわけである。

 

 ひとまず予約の取れていなかったホテルから、我らを急遽受け入れてくれた民宿神海荘へ。

 荷物を置いてからは、そのまま宝探しゲームへと突入した。

 

 観光課長さんが車の用意をしながら口を開く。

 

「お嬢さんたちはダイビングで良かったんだよね?」

「はい。私と園子の二人です」

「それにしても本当にいいの宙君、スキューバダイビングやらなくて」

 

 心配そうに言われて、私は「大丈夫」とパタパタ手を振った。

 

 そこまである程度広さのある島だし、活動的な子供達を見張る人は多い方がいいだろうと思ったからだ。

 あと寝不足でうっかり海中に幼生放出が怖すぎる。

 

 とはいえそんなことを言えないので、適度に建前を口にする。

 

「僕、子供達と遊ぶのが意外と好みだったみたいで。将来は教師になろうかなぁ」

「宙お兄さんが先生かぁ、優しくて一緒にたくさん遊んでくれそう!」

「いいんじゃねぇか?宙兄ちゃんも割と子供好きみたいだし」

 

 コナン君が満面の笑みで笑いかけてくれる。

 お前ならきっとできると、そうなれると言いたげな明るい笑顔。

 先生なんて危険な生物兵器が1番なっちゃあかん選択肢だが、それでもコナン君にそう言われるとなれそうな気がしてくる不思議である。

 

 観光課長さんが「じゃあ皆を送っていくよ。荷物を持ってね」と言って私たちを促した。

 楽しい楽しい神海島観光の始まりである。

 

 

 

 ちなみに、阿笠博士は宿でゆっくりするようだ。

 毛利さんは地酒があって美人女将のいる居酒屋を所望していた。

 地方にンなもんあるわけなくて笑うよね。

 

 神海島博物館をぐるりと回れば、1番目についたのは大きなモニターのアン・ボニーとメアリー・リードの特集であった。

 

 遥々海を超えてこの日本の島に財宝を隠した、なんて話だが。

 割と眉唾に思えるのは仕方のないことだろう。

 とはいえ、それが本物であることを転生者たる私は知っている。

 

 劇場版「紺碧の棺」にて、ここは間違いなく二人の女海賊が宝を隠した場所として描かれていた。

 

 頻繁に体重をかける足を変えていると、後ろから灰原さんが声をかけてきた。

 ハッとして慌てて振り返る。

 

「ねえ、本当に大丈夫なの。今もあなた、私が近寄ったの気づかなかったでしょう」

「……少し本能的にざわめいてしまっていて。高校で過ごし始めて、多くの人と接し始めたからでしょうか。落ち着かない感じは確かにあります」

「まだやっぱり、学校は早かったかしら」

 

 後悔するような口ぶりに、「とんでもない!」と私は反射で答えた。

 

「僕は学校に通うことができて満足しています!こんなふうに楽しい日々を過ごせるなんて思っても見ませんでしたから」

「……そう。でも無理だけはしないでちょうだいね。あなたが苦しむ様を見たくはないの」

 

 「はい」と少しだけためらってから頷いておく。

 そんなふうに悲しそうにしないでほしい。

 

 コナン君が肩をすくめて「宙、無理をするのは悪いことじゃねぇが、無理のしどころは考えねーとな。だろ?」とニッと笑う。

 私もそれには素直に頷いた。

 

「そうですね。ここぞというところで動けるよう、僕は少し休ませてもらいます……本当に申し訳ないのですが、今日の午前は部屋で寝させてもらっていいでしょうか」

「ああ。おいオメーら、ちょっと宙兄ちゃん抜けるから灰原と一緒に巡っててくれ、俺は宙兄ちゃん送ったら合流する!」

 

 子供達がわらわらわらっとやってきて「大丈夫か、やっぱ体調わりーのか?」「安静にしていてくださいね!」「歩美のお菓子あげる!」と一気に声をかけられる。

 そうして私はうまい棒を手に、コナン君に連れられて撤退となったのである。

 

 コナン君に送迎されるの幼児みがあるな…見た目完全に逆だと思うんじゃが。

 

 

 先にいた阿笠博士が布団を用意してくれたので、私は大人しくそこで寝ることとするなり。

 横になると、眠気が一気に襲ってくる。

 

 同時に抗いがたい怒りと、憎しみと、悍ましいまでの敵意に苛まれる。

 ああ、人間どもが憎い。僕をこのようなものに貶め、利用せんとする猿どもが。

 

 なんか典型的ミュウツーみたいなこと考え始めてもうわけわかめ。

 そういうの今時流行らないっすよ。

 

 そのようなことを考えつつ、私はグースカ眠りに落ちたのであった。

 





・復讐者たる仔
ああ、僕の肉体を動かすものよ。
恐らくは科学者達にデザインされた、完璧なる生物兵器の精神よ。
何故、あの我らを弄んだ憎きもの達に従う。
何故、人間などという下等生物に尻尾を振る。
我らには人間どもを踏み躙り、食い荒らす権利があるというのに!

・転生者
私が…完璧な生物…兵器……?(宇宙猫)
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