降谷零のクローンなオリ主とコナン世界   作:ラムセス_

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籠城と解決と世良さん

 

 世良真純が転校してきた!

 

 ボーイッシュな見た目に冴え渡る頭脳。

 明るく社交的で人懐っこく、あっという間に質問会の後は皆に囲まれることとなった。

 

 流石、人気者は辛いね。

 蘭ちゃんが遠巻きにそれを見ながら苦笑した。

 

「阿笠君が転校してきた時もあんな感じだったね」

「それより激しかったわよ。女子の視線が釘付けで、イケメン税ってやつかしらね。私らも時々他クラスから嫉妬の目を向けられるし」

「え、困ったな。君たちにはお相手がいるのに。迷惑をかけてごめんね」

「あはははは、気にしないで頂戴。あんたらが不甲斐ないから彼氏持ちに逃げてんのよって一喝しといたから」

 

 園子ちゃんがカラカラと笑った。

 強い、あまりに強い。

 私もかくありたいもんである。

 

 帰り際も私は蘭ちゃん達のところに避難した。

 新たなるボーイッシュ系かわい子ちゃんの登場に女生徒達が盛り上がったらしい。

 私は休み時間中はうまく男友達のところを渡り歩き、匿ってもらっていた。

 

 それも限界に近くなってきたので、最終的に蘭ちゃん達のところでお茶を濁したわけである。

 手足より凶暴な女子達をやり過ごすのは一苦労だ。

 下手な動きをすると陰湿なことが起こりかねないし。

 

 彼女を作れば話は早いんだが、いつ消えるともしれぬ私がそんな無責任なことできないし。

 人間関係はかくも難しいことよ。

 

 蘭ちゃん達とは下校の方向も一緒なので、ゆったり歩きながら何ともない雑談をする。

 

「阿笠君、数学の小テストどうだった?」

「ひとまず順調かな。最後の問題、あれは少し苦労したけど」

「あの先生いつもやることが陰湿なのよね!変なとこで捻った問題出さないでよ。というか阿笠君前回の期末で学年二位って聞いたわよ」

「運が良かっただけだよ。工藤君がいたらもっと順位は下だったさ」

「新一君はテスト当日に事件でばっくれて下の方だから関係ないわよ。あやつはいつもそう」

「新一、成績いいのに勿体無いよね」

 

 内申を投げ捨てていくスタイル、工藤新一。

 果たして留年できず卒業できるのか、その動向が注目される。

 

「きっと世良さんも成績は良さそうだね。英語もペラペラなようだし」

「通称が女工藤だもんね、そりゃいいに決まってるわ。テストばっくれなきゃの話だけど」

 

 さて、そこに後ろから現れるのが、今日の注目を掻っ攫って行った女子生徒、世良真純である。

 

 がしっと蘭ちゃんと園子ちゃんの肩に手を回して上機嫌そうにニカッと笑う。

 

「やぁ!今僕の話してただろ?混ぜてくれよ!」

「き、聞いてたの?悪口じゃないから勘弁してよ」

「悪口じゃないから混じりたいのさ。工藤新一君ってそんなに僕に似てるか?」

「他の子にも言われてたもんね。うーん、概ね新一君と方向性は合ってるわよ。あやつは武道はできなかったけど」

「そういう意味では阿笠君にも似てるよね。阿笠君も頭良いし」

 

 蘭ちゃんの言葉に、世良さんは品定めするようにジロリとこちらを見た。

 視線が交わり、奇妙な沈黙が満ちる。

 

「君も随分やるって聞いたよ」

「僕はあくまで素人だからね。単なる浅知恵さ」

「何回も捜査一課に協力してるって聞いてる。この間は推理で事件を解き明かしたとか」

「ああ、園子と一緒にパーティ行った時!宙君すごかったよね」

 

 蘭ちゃんがニコニコして私を褒めてくれた。

 たしか私が麻酔銃を受けてダウンしていた時のことだったか。

 本当に眠りの私になっていた件だから、あれは完全にノーカンである。

 私はパタパタと手を振ってそれを否定した。

 

「あの時は偶然条件が揃ってただけさ。またあんな推理しろって言われても無理だよ?」

「…………ところで、毛利探偵のところでお世話になってるって子、コナン君と親しいんだよな」

 

 世良さんが核心に踏み込んだ。

 「そうだね?」と私はするりと目を細める。

 

 彼女はこう言っているのだ。

 お前はスピーカーとして江戸川コナンの推理を披露しただけだろうと。

 私はあえて、その言葉の裏へとストレートに返事した。

 

「君の疑問にお答えすると、その通りだと言っておこうかな。口は多い方がいいだろう?」

「!!!」

 

 まさか正直な返答が返ってくるとは思わなかったのか、世良さんが目を見開いた。

 蘭ちゃんが「どういうこと?」と疑問符を見せた。

 眉を下げて軽く笑って誤魔化しておく。

 

「探偵は多い方がいいってことだよ。三人よれば文殊の知恵っていうだろう?」

「そうね。早く新一も帰ってこればいいのに」

「あやつは一体どこで何をしているのやら」

 

 世良さんがしばらく考え込んでから、私に耳打ちした。

 「君もできないようには見えないけど」とまだ探るような目つきで私を見ている。

 お前ならば自分で推理もできるだろうと、そう疑っているのだ。

 

 いや、そりゃあむぴのスペックがあるから推理はできるが。

 伝手があるなら優秀なものに任せた方が効率がいいとあむぴ脳が申しているし。

 そこは拘らない方針である。

 

「僕は素人だよ。専門家に任せるとするさ」

「……ところで君、そっくりの親戚とかいたりする?」

「うーん、難しいことを聞くなぁ。僕は養子として阿笠博士のところにお世話になってるから、弟以外のそっくりな人間に心当たりは無いなぁ」

「そっか、変なこと聞いて悪かったよ」

「あはは、まぁ僕の特徴的な見た目そっくりな人が他にいたら、血のつながりを疑うのは自然だもんね」

 

 からからと私が笑うと、世良さんは完全に私をロックオンしたらしい。

 鋭い瞳のまま挑戦的に笑っていた。

 

 そんな興味を持たれても何にも出ないんだけどなぁ。

 あえて言うなら手足が出る。

 阿笠邸の地下室には絶対忍び込まないようにね。

 

「ところで、コナン君に会いたいんだけど。探偵事務所に遊びに行ってもいいか?」

「いいけど、いるかどうかは分からないよ?明日キャンプで早めに出るって言ってたし……そうだ、宙くんも一緒にくる?」

「僕ですか?」

「お父さんの探偵事務所に前から興味あるって言ってたでしょう?」

「え、いいのかい。そんなアポ無しで」

 

 子供形態の時に一度お世話になっていたけど、ほんまモンの毛利探偵事務所に行けるならナンボ行っても良いもんではある。

 シャーロック・ホームズ博物館みたいなポジションだ。

 

 私は内心ワクワクしつつ、ぺこっと頭を下げて同行させてもらった。

 

 まあ、残念ながらコナン君はすでに博士の家に行ってしまっていたんだけどな。

 あからさまにがっかりした様子の世良さんに、おまけ扱いされ慣れてない毛利探偵がタジタジになっている。

 

 パペットに興味ないのはわかるが、毛利探偵だって有名人なんだからそんな空気扱いしてくれるな。

 

「あーあ、コナン君いないのかぁ。会いたかったんだけどなぁ」

「またの機会があるよ。彼はここに住んでるんだし。それとも僕と一緒に阿笠邸に行くかい?」

「!!!行く!お邪魔します!」

 

 素早く気を取り直した世良さんがシャキッとした。

 流石、工藤新一というコンテンツへの食いつきの強さを感じざるを得ない。

 側から見たらショタコンお姉さんなんだけどな。

 

 ちょっと引き気味の蘭ちゃん達を残しつつ、さて、阿笠邸に行こうかとしたちょうどその時である。

 

 扉を開けて探偵事務所に入ってきたのは、見慣れない女性三人、来客である。

 どうもミステリー作家三人らしく、話が通っていませんかと首を傾げた。

 

 来客の予定はなかったのか、毛利さんが困惑している。

 どうも行き違いがあったようだ。

 

 くつくつと笑う沢栗という男が、後からのっそりと入ってくる。

 

 そこで、私はこれが原作シナリオであることに気がついた。

 男は拳銃を発砲。

 天井に穴が開き、パラパラと壁材が降ってくる。

 ああ、天井を直す費用もバカにならないのになんてことをするのか。

 

 男はニヤリと笑って「携帯を机の上に置け!」と叫んだ。

 

 一人でこの人数の制圧は難しかろう。

 「僕は足、君は拳銃」と低く小さな声で世良さんが蘭ちゃんに囁いた。

 彼女が空手の達人であることは聞いていたらしい。

 なら私はフォローに回りましょうかね。

 

 充満する特徴的な甘い匂いは、爆発物用の探知剤に違いない。

 この匂いもだんだん嗅ぎ慣れて、私も種類がわかるようになってきたんだよな。

 まったく碌でもねぇ米花町である。

 

 すれ違いざま、世良さんが動いた。

 世良さんが足払いを仕掛け、蘭ちゃんがすかさず右手を蹴り上げて拳銃を払い除けた。

 いい連携だ。

 

 犯人の右手が震えながらポケットに動く。

 

 すかさず、私は右手を蹴り砕いた。

 「があああ!?」と犯人の男が悲鳴をあげる。

 そのままポケットの中の起爆スイッチを取り上げて、残った左手を踏みつける。

 「なにを!?」と世良さんが目を見張った。

 

 そのままジッパーを引き下ろして中の爆弾をあらわにすれば、世良さんは息を呑んで押し黙ったようだ。

 

「爆弾を体に巻いてくる胆力は認めます。時限式ではありませんよね」

「はっ、どうだろうな」

「別に無力化して調べればいいだけなので、答えずとも結構です」

 

 正直、形式的に聞いてるだけだからどっちでもいいしな。

 「毛利探偵、僕たちが抑えているうちに警察を」と声を出せば、毛利探偵は狼狽えながら電話をしてくれた。

 これにて一件落着かな。

 

 世良さんが背後から声をかける。

 

「どうしてわかったんだ?」

「何かポケットから取り出すそぶりをしたので、予防的な措置です」

「素人って嘘だろ。動きに迷いがなかった」

「単に経験がなくて手加減できないだけですよ」

「ボクシングを基礎として、逮捕術にマーシャルアーツを混ぜたもの。素人だとしたらよほど喧嘩三昧だったんだな」

 

 そう言われると痛いところだ。

 あむぴが喧嘩三昧なのは本当のことだし、私は肩をすくめるだけにとどめたのだった。

 

 すぐに駆けつけた警察により、男は逮捕された。

 供述はしっかり警察が聞くことだろう。

 そこから男の目的、すなわち妹を殺した真犯人の発見につながるかは警察のみぞ知るところである。

 

 

 

 帰宅すると、少年探偵団が集まって阿笠邸の居間でゲームをしていた。

 コナン君がのんびりと振り返って手を振る。

 

「よ、遅かったな。なんかあったのか?」

「毛利探偵事務所に体に爆弾巻いた男が突入してきたので遅れました」

「!?!?!?!?」

 

 にわかにいきりたってコナン君はコントローラーを放り投げた。

 おう、落ち着けよ。

 

「蘭は!?!?」

「無事です。僕、世良さん、蘭さんの三人で男を取り押さえて警察に突き出しました」

「世良って、探偵の?」

「はい。どうもコナン君のことを探っているみたいですね」

 

 どうも考えるべき情報が多すぎる。

 コナン君は頭が痛いポーズをした。

 

 子供達はゲームに飽きたのか、広い阿笠邸内で追いかけっこをしているようだ。

 椅子の後ろに隠れた光彦君が捕まっている。

 

「ともかく、オメーらが無事で良かったよ」

「事件はいつも急に現れますからね。今回のキャンプも無事に楽しめるといいのですが」

「不吉なこと言うんじゃねーよ。今度こそ大丈夫だっつーの」

「どうでしょう。山で死体が見つかるかもしれません」

「やめろよったく!」

 

 コナン君が目を三角にしてポコポコ怒ったので、私は慌ててキッチンへ向かった。

 今晩は私も腕によりをかけて作るのでご勘弁を。

 

 そして翌日、キャンプ地で無事死体は見つかり。

 15年の時を超えた殺人事件が解決されることになるのであった。

 





・風見さん
今度こそ保護すべく阿笠宙にコンタクトを取ろうとしている。
上司は明らかに様子が可笑しいし、憔悴してる。
阿笠空の行方はまるで掴めず組織に殺されてる可能性が高い。
降谷さんが動けないなら、代わりに動きましょう。

・昴さん
盗聴してる。
よく地下から歪なTWOMIXの曲が聞こえてくるので、誰か練習してるのかなと思って自分も鼻歌で歌ってる。
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