降谷零のクローンなオリ主とコナン世界   作:ラムセス_

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沈黙の記憶①

 

 本日は科学館に大宇宙展と言う特設展示を見に行く日である。

 レンタカーでわっくわく、子供達と共に車内で盛り上がっているなり。

 

 現在は私のトランプでババ抜きをしている。

 時々私の出番で私がマジックを披露すれば、「宙お兄さんマジックでズルしちゃダメだよ!」と歩美ちゃんに注意された。

 

 「気をつけます」と神妙にしながら歩美ちゃんの手持ちのハートのエースをクイーンに変えれば「ダメって言ったのに!」と怒られてしまった。

 ふはは、かわゆいのぉ。

 

 わあわあと騒いでいると、話題は安室透の話題に映った。

 

 歩美ちゃんがすごく険しい顔をして言い募る。

 

「絶対空君のお父さんだよ!そっくりだったもん!」

「っつーことは宙にーちゃんの父さんってことか?」

「そういえば年齢が合いませんね…コナン君はどう思います?」

 

 コナン君がため息をついて光彦君の質問を一蹴する。

 まあそこは深く突っ込まれても困るところだからな。

 

「あんまり複雑な家庭事情に首突っ込むなよ。宙兄ちゃんが困ってんだろ」

「はーい…」

「ごめんなさい宙お兄さん」

「別に構わないよ。実際僕も良くわかってないしね」

 

 本当によくわかってねぇんだよなぁ。

 このネタ、私の周りで広まってしまって収拾つかない状態になってしまったし。

 

 設定をおさらいしよう。

 

 あむぴには金がある。

 高級車を乗り回し、フリーターなのにお金に困ったところがない。

 これは実家がよほど太いか、何か後ろ暗い金が入っていることを示す。

 その顔面の良さと卒のない会話術を合わせると、あまり良くない想像が働くのは仕方のないことだろう。

 

 安室透にそのような設定がないからか、両親や家族の話はしない。

 

 阿笠空は小学一年生程度の子供で病弱。

 父親はおらず養子として阿笠家に迎え入れられている。

 計算すると22、23歳頃の子供。

 

 阿笠宙は阿笠空の兄。

 少なくとも父方の血の繋がりはあるのは確定の顔立ちをしている。

 計算すると12、13歳頃の子供になってしまう。

 

 諸情報をあわせると、とんでもない闇が浮かび上がるわけだ。

 

 子供の頃、周囲の人物から性的被害を受けた安室透が大人になって荒れた生活を続け、自ら過ちに手を染めたとか。

 あるいは実家が太いパターンだと、お家騒動の顛末によるもので現在の羽ぶりの良さは手切れ金とか。

 もっと複雑にするなら、便宜上弟と呼んでいるだけで、阿笠空と阿笠宙はもっと遠い血縁関係にあるとか。

 

 現実はあむぴのクローンが勝手に大きくなっただけなんだがなぁ。

 現実が一番トンチキなのなんとかしたほうがいいと思う今日この頃。

 

 考えれば考えるほどとんでもねぇ設定が噴出し、安室さんは割と頭を抱えていることだろう。

 

 なお、子供達は現在トランプに飽きてゲームに熱中している。

 車酔いするからほどほどな。

 

 灰原さんが肩をすくめて私に流し目を送った。

 

「まあ、あの男のことなんてどうだっていいじゃない。それよりあなた、最近夜に何をやってるの?」

「ん?手足に組体操を仕込んでタワー作ってる話ですか?」

「それこそ何やってんのよ。そうじゃなくて、ロープを扉にくくりつけたりとかしてたでしょ」

 

 灰原さんに奇行を見られていたらしい。

 いや手足組体操も十分奇行だがそうではなく。

 

 これはルパン三世の課題で、拘束状態からいかに素早く抜け出すかのテストが含まれていた。

 まあ、そろそろ正気を疑われる局面でもなくなったし話しても良かろうよ。

 

 子供達が聞いてないことを確認してから、こっそり灰原さんに耳打ちする。

 

「あのですね、実はルパン三世と接触しまして。この度一味の内定を得ました」

「ブッッッ」

「このクローン技術にルパン三世も関わっていたみたいで、その縁で僕が暴走しないか見に来ていたみたいです」

 

 ルパンとしては、マモーの技術でとんでもない生物兵器が生み出されていたから、危険がないか確認しに来たというだけだろう。

 で、思いの外平和そうだったから巻き取ってくれたというわけだ。

 実にハートフルである。

 

 私の言葉に目を見開いて灰原さんが驚愕する。

 

「い、いつから!?」

「少し前です。彼から研修代わりに泥棒通信教育セットが送られてきてるので、個人的に勉強してました」

「サル顔男!!!宙君になんてこと教えてんのよ!!」

 

 教育ママみたいなこと言い出した灰原さんが憤っていきりたっている。

 コナン君も気になってチラチラ助手席からこちらを覗いているようだ。

 

「どうしたんだよ灰原、何があったんだ?」

「着いたら説明するわ。あなたも説教に参加してちょうだい。あの子夜な夜なとんでもないことしてたのよ!」

 

 怒られを感じ取って素早くピエンの体勢に入る私である。

 パパン、ママン、これには深いわけがあってですね…。

 

「いや僕もその、将来を考えて就活すべきだと思いまして。いやどちらかと言うと終活?ともかく未来を見据えての活動でぇ」

「泥棒はダメよ。ダメ。江戸川君のとこで事務員してなさい」

「そんな、一番丸い選択肢なのに」

 

 ママン!でも現実問題ルパンが一番万事丸く収まる選択肢でね!

 

 と、そのあたりでふと、車もないのに退避場で一人佇む男性が目に入った。

 同じく気になったのか、コナン君が眉間に皺を寄せる。

 

「宙、さっきの男の顔見えたか?」

「ええ。見覚えのない男でしたが、何か機械のようなものを手に持っていましたね」

「………」

 

 コナン君は考え込んで犯人追跡メガネを起動させた。

 暗視機能に望遠機能付きの、実に多機能なメガネだ。

 そのまま高速道路の天井を確認。

 

 すぐさま「博士!車止めてくれ!」と叫んだ。

 

 凄まじい確認速度で、あれが爆発物の類だと理解したらしい。

 それとも、先ほどまでスマホで見ていたTVニュースの内容と合わせて考えていたのか。

 

 どうやら野生の爆弾魔がいたらしい。

 いや、よく考えたら今日は東都線の開通式の日だ。

 昨日「新しい東都の大動脈の完成」とか言って特集もやっていたから覚えている。

 すなわち沈黙の15分冒頭ってことだろう。

 

 慌てた阿笠博士がワタワタと道を確認して困り果てたように眉を下げた。

 

「待避所はまだ先じゃ!しばらく止められんわい!」

「ッ、そこまで待つしかねーのか…!」

「コナン君の腕なら、やや速度を緩めてこのワンボックスカーの上を飛び立つ手は使えませんか」

 

 私の言葉に、コナン君が目を見開いて息を呑む。

 本当なら正気を疑う手段だろう。

 だがコナン君の超人的なスケボーの腕なら十分可能な範囲のはずだ。

 

 博士がゆるゆるとスピードを落として、その間にコナン君が窓から外へと這い出していく。

 私がサポートして彼の小さな体を押さえる。

 

 そのまま無事に出立できたようだ。

 素晴らしい速度の違法スケボーが高速道路の間を縫って走っていった。

 レンタカーの天板には傷ができただろうから、それは後で弁償せねばなるまいよ。

 

 とんでもねぇなしかし。

 あらゆる法律に違反しているんじゃよ。

 

 だがそれが結果的に多くの人の命を救うのだ。

 爆弾を止め、犯罪を止め、あり得ざる奇跡を生む。

 

 私たちは次の待避所で車をストップさせた。

 ここからでは状況は分からない。

 

 劇場版だと東都線が落下してきたが、いくら待ってもトンネルから落下した東都線の車両が現れることはなかった。

 爆発の衝撃はやってきたから、それは車の中に退避してやり過ごした。

 

 早めに動き出せた分、どうやら多少の被害軽減はできたようだ。

 私はほっと息をつきつつ、これからどうやってルパン案件説教を回避できるか考えていた。

 





・女王
全ての手足の頂点に立つ女王蜂。
正式名称はI/Oデバイス。
I/Oデバイスなので見た目にも凝ってみた。
コマンドで洗脳して使う前提。
「自分で自分を産む、というのは新たな試みだった。永遠の実現のためとはいえ、記憶を含めたクローンを生体機能のみで作成するのは、多くの技術的困難があったのだ」
「特に問題だったのは女王が二体になることによる命令系統の混乱だ」
「そこで我々は革新的な回答を得た」
「前女王の体そのものを卵と見立て、それそのものを次代の礎とするのだ」

「一定のサイクルで生まれ直し、それは完全なる永遠と完璧なる兵器としてのあり方を両立する」
「めっちゃかっこいいじゃん。採用」
「せっかく実験記録にポエム書いてんのに勝手に書き足すなカス」
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