降谷零のクローンなオリ主とコナン世界   作:ラムセス_

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今日の更新はたぶんこの一話だけ。



沈黙の記憶②

 

 北ノ沢村にやってきた!

 

 というのも、コナン君が探偵としての勘でここに目をつけたからだ。

 ダムの底に沈んだ旧北ノ沢村に代わって建てられた村で、今日はその5周年を記念してスノーフェスティバルが開かれているのだ。

 

 たくさんの屋台が出て、向こうには大きな雪像の姿も見える。

 スノーモービルの体験場も作られていて、子どもたちの歓声が響き渡る。

 実に楽しそうな場所だ。

 連れてきた少年探偵団一行もテンションマックスである。

 

「わあああ!凄い!歩美あれ乗りたい!」

「俺屋台で肉の串焼き買う!うなぎ売ってねーかなぁ」

「売ってるわけないですよ…あ!モツ鍋売ってますよ!あったかいやつ!」

 

 子供達が目をキラキラせてあちこち確認している。

 というか光彦君、君渋い趣味してるな…もつ鍋に目をつけるとは。

 

 かく言う私もフランクフルトに吸い寄せられて

最近凄くお腹が減るんだよな。

 毎食二食分食べてる気がする私である。

 ちょっと異常な気がするが、死の直前のアレとかだろうか。

 しかも全然太らないし。

 

「僕は子供達を見てます。君は行ってくるといい。調べたいことがあるんでしょう?」

「悪いな宙。子供達を頼んだ!」

 

 そう言って駆けていくコナン君の後ろ姿を見ながら、灰原さんがため息をついた。

 

「あの推理オタク。こっちは泥棒に憧れる不良息子だし。頭が痛いわ」

「その節は本当に申し訳ありませんでした…」

 

 しおっと私は頭を下げた。

 それを言われるとどうしても弱い。

 

 

 あの東都線爆破の後。

 阿笠邸で家族会議が開かれた。

 議題は「ルパン三世の一味入りする不良息子について」。

 

 私は今回分の泥棒お勉強パックを提出し、正座で諸々白状させられた。

 毎回送られてくるお勉強パックはその度に終えたら念入りに処分しているから、これしか残っていなかったとも言う。

 送り先も暗号化されており、毎回私が教えられた手順で復号していた。

 

「ルパンへ直通のアドレス?お前なぁ、何渡されてんだよ!」

「読解方法は教えられませんよ。僕も信用問題があるので」

「自分で解くっつの。ったく、この頑固者!」

 

 そんな会話がありつつ、しかしこの暗号解読で予想外の出来事が起こった。

 コナン君が読解を試みたのだが、そこで一度誤ったアドレスにアクセスしてしまったのだ。

 

 そこにはルパンの短いボイスメッセージが残されていた。

 

『ご両親につきましてはぁ〜、……愛に曇って現実から目を逸らすのはお勧めしないぜ。こいつが表で生きるってことは、周りを危険に晒すってことだ。本人がそれを望まねーことぐらいわかってんだろう?』

 

 コナン君が読解を試みることは重々承知だったのだろう。

 ルパンはただそれだけ言って、ふっつりと音声は途切れた。

 

 私が生物兵器であることは否定しようがない事実だ。

 

 その存在のみで人類種の滅亡すらもありうる、最悪の感染源。

 私の情報が公になれば、間違いなくあらゆる公的機関が排除を目論むことだろう。

 名目は…そうだな、「害獣駆除」とかか。

 いや、国民感情もあるから秘密裏に始末が一番だ。

 

 なんにせよ表にはいられない。

 それをルパンは、ある種無慈悲なまでに突き付けていた。

 

 コナン君はルパンの言葉が誠意から出たものだと理解したのだろう。

 長く重苦しい沈黙の後、瞳を伏せたまま口を開いた。

 

「……お前は、人に追われることになって苦しくはないのか」

「ルパン一味なら楽しそうな気はしています。どうせ追われるなら愉快に生きたい。そう思います」

 

 私の本音だ。

 お通夜みたいな空気で長く過ごしたくない。カラカラ笑って死ぬときゃ死ぬ。

 そう言うものでいいだろう。

 

 彼は眉を下げて「……そっか。そうだよな」と言葉を落とした。

 横からやさしく、あまりにも優しく灰原さんに抱きしめられる。

 柔らかな体温が肌に触れた。

 

「じゃあその前に江戸川君の解毒薬を作成しておかないといけないわね」

「え…」

「貴方の体調を一番よく知ってるのは私よ。一緒に行く義務があるわ」

 

 予想外の申し出に私は動揺した。

 確かに、灰原さんならルパン一味も無碍にはしないだろう。

 なにせ人を若返らせる神秘の秘薬アポトキシン4869の制作者だ。

 多少身体能力が水準外でも、峰不二子さんが保護してくれるはずである。

 

 コナン君が頭の痛い顔をして唸った。

 

「そうなったら定期的にオメーらがどうしてるか見に行くから、向こうでもシャキッとしとけよ」

「どうやって見に行くつもりよ」

「探偵の流儀で。ルパンを追うのは探偵の祖もやってた一大行事だぜ?」

 

 パチっとウィンクする。

 エルロック・ショルメは趣味じゃないだろうに、私たちのためにルパンを追ってくれるらしい。

 これだから、みんなハートフルな一家は困るのだ。

 

 何となく、話はまとまったようだ。

 どこか儚い夢物語に似た語り口ではあっだが、確かにそこには希望が見えた。

 それもルパンのおかげだ。

 足向けて寝られないとはまさにこのこと。

 ルパンは夜中に飛び回るので、ルパンを避けるため夜中にぐるぐる足を回す必要がありそうだ。

 

 私は肩をすくめて少しだけ笑った。

 

「それまでにコナン君が戻るのがいちばんの難関ですね。薬剤データは手に入れてますので、早めにナイトバロンを掻い潜る方法を手に入れたいところです」

「今のところベルモットに登録済みの機器を手配してもらってるが、難航してるらしい」

「データが手に入ってもすぐにポンとはいかないわ。慎重に実験を重ねないと命を落としかねない」

 

 なんにせよ課題は多いということか。

 だが不可能でもないということで、二人の顔は明るかった。

 嬉しい限りだ。

 

 灰原さんを巻き込むのはあまり気が乗らないが、彼女が望むのならば私に否やはない。

 せめて彼女が幸せに暮らせるよう、全力で守り抜くのみである。

 

 

 

 さて、夕方。

 ひとしきりスノーフェスティバルで遊んで、私たち宿に戻ってきていた。

 

 子供達に付いて体力の限り遊んでやったのだが、光彦君たちはまだまだ元気だ。

 

 子供ってほんま無限に体力あるやんな。

 意外と持久力のない私はへとへとになったが、少年探偵団たちはまだまだ物足りないようでスノーモービルに興味津々である。

 

「夕飯の後にスノーモービルやるかい?」

「やる!ねえ元太君みんなで乗ろう!」

「ははは、一人ずつ小型スノーモービルに乗ろうね」

 

 子供用三人乗りは危険すぎるんよ。

 念のため私がついていた方がいいだろうと準備をする。

 子供一人3500円か。よしよし、阿笠博士から預かってる金で足りるな。

 

 ワックワクの歩美ちゃんが灰原さんに話しかける。

 

「哀ちゃんはどうする?」

「私はパス。寒いし、宙さんと一緒に貴方たちが乗ってるのを見てるわ」

 

 一応見ててくれるらしい。

 子供達が心配なのもありつつ、私が心配なのもありつつだろう。

 多少気恥ずかしくなるものの、灰原さんの表情の鋭さに少しだけ怯む。

 

 灰原さんが「体調に変化はない?」と私に聞いてきた。

 

「はい、問題ありませんよ」

「ここのところそうだったけど。さっきのバイキング。いくら貴方の筋力量でも、小嶋君の三倍の量食べるのはおかしいわよ」

「………それはその通りですね。何か変化があったらすぐに伝えます」

「そうしてちょうだい。貴方の身体は何が起こってもおかしくないんだから」

 

 そんなわけで。

 多少の事故はありつつスノーモービル体験を終わらせて。

 私たちは満足に宿に戻ったのだった。

 





・ルパン講座
すごく律儀に意欲的に学んでる様子に、ルパンもワクワクしてる。
「何だこいつ、良い子ちゃん過ぎんだろ。泥棒向いてないんじゃねぇか?」
「そう言うなって次元。こいつは20点、時間かかり過ぎ。こっちは60点、脱出できてるけど跡が汚い。うひひ」
「しかも採点厳しすぎんだろ」
「愛の鞭ってやつだよん。次はこっちの課題に挑戦しようねぇ。実際に某組織であった仕掛けを流用して、と」
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