降谷零のクローンなオリ主とコナン世界   作:ラムセス_

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ミステリー入りミステリー抜き

 

 本日はミステリートレインの当日である。

 

 バーボンの介入がない、すなわち組織の影もないミストレだ。

 つまり平和に通常の殺人事件が起こるだけ。

 爆弾なし、陰謀なし、銃撃戦なしのそれは少しだけ張り合いがないかもしれない。

 

 なお、ベルモットは連絡するたびに「シェリーのしていた研究は危険なの」「始末しましょうよ、ねぇ」と不満そうに唇を尖らせていることを追記しておく。

 ママンを殺すなんてとんでもない。

 

 

 そんなわけで今。

 東都駅にて、私たちはベルツリー急行に乗り込む時を待っている。

 鈴木財閥がスポンサーということで本日のこれも園子ちゃんが席を取ってくれたようだ。

 

 なんでも鈴木次郎吉氏がキッドの次の対決の舞台にするらしく。

 キッドにくびったけの園子ちゃんは目をハートにして愛を叫んでいた。

 うーむ相変わらずの愛の戦士よのぉ。

 

 蘭ちゃんが困り顔で苦言を呈した。

 

「宙君にもキャピキャピしてたし、京極さんに怒られるよ?」

「あやつは観賞用よ、牧場のポニーに本気になるやつなんていないわよ」

 

 凄い言われようだ。

 むすっとして私はブツブツ文句を言った。

 なんだよあむぴ姿の私がかっこよくないってか!?

 

 ぷくっと頬を膨らませて会話に耳をそばだてる。

 

「でも珍しいわよね。そんなふうに園子が言うなんて」

「まあね。展示用のフレンチディナーのディスプレイ品って感じだし、映えはするけど食べ物じゃないのよね。なんというか、熱が入らないというか」

「そう?良い人だと思うけど」

「誰も彼もなんとも思ってないから良い人なのよ。老人に親切にするみたいなもんかな。道で困ってるお婆さん扱いされて恋なんて芽生えないわよ」

 

 コナン君が半笑いで私の肩を小突いた。

 

「言われてんぞ」

「僕そんなに枯れてます???高校生相手に真摯にしてただけなんですけど!」

「お前はもうちょっとわがまま言って良いと思うぞ?」

「今すぐハーゲンダッツ食べたいです」

「そういうのじゃなくて」

 

 私はぷくぷくに膨れて灰原さんに言いつけた。

 灰原さん!!あいつが、あいつらが酷いこと言う!!!

 灰原さんは私を柔らかく迎え入れてくれた。

 

「よしよし。辛かったわね。博士が隠し持ってたポテチ一緒に食べましょうね」

「う゛ん゛……」

「わしのポテチ!?!?」

 

 博士がこっそり溜め込んでいたお菓子の類がついに見つかってしまったらしい。

 灰原さんがカラフルなお菓子のパッケージをとりだした。

 それを子供達が目ざとく気付いて「あーっ!キャラメル味だ!」「一緒に分けて食べましょう!」と目をキラキラ輝かせ始める。

 もはやこうなってしまっては博士の分など存在しない。

 

 博士はしおしおにしょぼくれてしまった。

 

 でも戦争型の始末で凄く働いてくれたし、あの時は重労働で汗だくだったからな。

 後で一部でもくすねて博士に持っていってやろう。

 

 と、そのあたりで世良さんもやってきたらしい。

 女子高生組に加わって雑談している。

 彼女も原作通りミステリートレインに加わっているようだ。

 

 ちなみに、世良さんの高校での評価は「ショタコンかもしれへん…」とのこと。

 コナン君にずっと張り付いてるの同級生に見られてるからな。

 その評価をかけらも気にしない男らしい世良さんを添えて。

 

 コナン君が眉間に皺を寄せて私に耳打ちした。

 

「なあ、あいつが…赤井さんの妹の」

「ええ。露骨に探りにきてますね。兄の行方を探りにきたか、それとも別の何かか。コナン君に注目していることはまず間違い無いかと」

「………」

 

 本当は彼女の母、すなわち世良メアリーが関係してくるのだが。

 私はそれを知る由もないので説明はできない。

 ベルモットも殺しの仕事を一件ずつ丁寧に情報共有なんてしないし。

 

「ああ、遅くなったかな空君」

「!!安室さん!来てくれたんですね!」

 

 やや遅れてやってきたのは安室さんだ。

 黒いベストに青い宝石付きのループタイをつけた姿は麗しい。

 品のいい姿はイケメン極まれりだ。

 

「毛利先生も、園子さんも、突然お邪魔させてもらってすみません」

「いいのよ、その子と訳ありなんでしょ?たまにはゆっくりしなさいよ」

「ありがとうございます」

 

 ぺこりとお辞儀をしたあと、実に嬉しそうにニコニコと私と手を繋いだ。

 

 目の回るほどに忙しいだろうに、私がミステリートレインに乗ると聞いてついてきたのだ。

 この間群馬のキャンプで殺人事件に遭遇してから「遠出する時はなるべく僕もついていくから」とか何とか言ってはいたが。

 まさか本当にやってくるとは。

 

 コナン君が不機嫌そうに安室さんを見上げた。

 

「どう言う風の吹き回しなのさ」

「純粋に空君が心配で。変な殺人犯に危害を加えられたら大変だろう?」

「気持ちはわかるけど僕ら全員まとめたより空君の方が強いよ」

「それは、まあ、置いておいて」

 

 置いておくらしい。

 オランオラン、ワイは強いやで!

 気持ち拳を振り回せば、灰原さんにヨスヨスと撫でられた。

 嬉しみである。

 

 まあ変な雑談は置いておいて。

 時刻になると、煙を噴き上げて走り出した。

 凄い迫力だ。

 特徴的な振動が体に心地よい。

 

 終着駅までノンストップらしいが、時刻表の変更部分を調べるに、到着駅は名古屋の予定らしい。

 

 前日にすでにコナン君が調べてある。

 宿をとって一日名古屋観光をする予定である。

 動物園を巡ったりとワクワク予定が目白押しだ。

 

 まあ、殺人事件があるので全部台無しになるのは知っているが、夢はあったほうがいいからな。

 

 私は園子ちゃんが気を利かせてくれたので、安室さんと二人部屋だ。

 まったり席に座ってペットボトルのジュースをもっていると、安室さんがゆるゆると笑って話しかけてきた。

 

「その。楽しいかい?」

「はい!オリジナルと旅をしているようで心が躍ります!」

「そっか。よかった」

 

 それだけ言って、再び安室さんは口を閉ざした。

 バーボンなんて口から生まれたみたいな存在なのに、雑談となると上手くいかないらしい。

 突如ものすごい口下手になってしまったかのように「えっと……その……」ばかりを繰り返している。

 私は思わずふふっと笑いをこぼしてしまった。

 

「オリジナル、さっきから言葉になってませんよ」

「……困ったな。普段なら言葉なんていくらでも出てくるのに、君の前だとどうにも上手くいかなくなる」

「それだけ大切に思われてるなら、それ以上に嬉しいことはありません」

 

 私はニコニコして安室さんと向かい合った。

 安室さんは少し眉を下げたあと、「君が喜んでくれるなら、僕もこの場に来た甲斐があったよ」と同じく柔らかく微笑んだようだった。

 

「友達とは仲良くやってるかい?」

「はい。少年探偵団の皆はとても聡明で、時折ハッと核心をつくようなことを言います。教え導いているつもりで、その実僕の方が教えられているのでしょう」

「それはそれは。将来が楽しみだな。勉学の方を教えてあげたりしてるのかい?」

「元太君に少しだけ。あの子たちは本当に小学生離れしていますからね。僕のできることはわずかです」

 

 本当に光彦君とかアポトキ被害者疑惑出るレベルで頭いいからな。

 とはいえ、あむぴのコピペである私の方がずっとスペックはいいから、探偵世界であるここの上澄みレベルがすごいと言うべきなのかもしれないが。

 

「来週は遠足の予定です。オリジナルのいるポアロの前も通る予定なんですよ」

「はは、その日のシフト梓さんに代わってもらおうかな」

「……オリジナル、仕事パズルをそう乱すような真似は謹んでください。風見さんが泣きますよ」

「パズルか。そうだな、スケジュール落ちものパズルだったかもしれない」

「しかもエグい難易度の。やはり全ては体力ですね。年取ったら脳溢血で死にますよ…」

「違いない……」

 

 うむ、と頷きあって、それからクスクスと笑い合う。

 

 すると、扉が控えめにノックされた。

 どうやら子供達が私を迎えにきたらしい。

 

 「俺たちが探偵役になったんだぜ!ほらこれ手紙!」「一緒に車内を探索しましょう!」「空君も行こっ!」と子供達がわっと話し出す。

 私が困って安室さんを振り返ると、彼は笑顔で柔らかく口を開いた。

 

「行っておいで、こんな機会またとないからね」

「……はい、オリジナル」

 

 まだ血の香りはしない。

 赤井秀一も乗り合わせておらず、組織の関わりもない。

 

 あとは殺人さえなければ完璧なミステリーの旅なのだが。

 なんともまあ血生臭さとは縁のあるもので、このあとすごく事件解決する羽目になるのであった。

 





・園子評の阿笠宙
「なんというか、温度がない?燃え上がらないのよね。いい人ではあるんだけど。高級フレンチの食品サンプルみたいな。そもそも食いもんではない的な」
「その点安室さんはわかりやすいわよね。あの人、『義理』ってでっかく全身に印字してあるバレンタインチョコみたいなものだし。義理チョコの化身よあれは」
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