アンケートの回答もありがとうございます。
『アンケートやるなんて初めてだし、せいぜい10人くらいの人が答えてくれれば御の字かな』とか軽く構えていたのですが、思っていたよりも遥かに多くの回答を頂戴し感謝感激です。
本日(7/30)の昼12時を持ちまして今回のアンケートは締め切らせていただきます。
なんだ、こいつらは。一体なんなんだ。
苛立ちというより、敗北感。反発というより、無力感。
「へえ、これが。こう言っちゃアレだけど、……思ってたより、微妙?」
「姉さん、もっと正直に言っていいのよ。『ショボい』って」
「それはミネアの感想じゃないの!? 私はそこまで言ってないし!」
一人で三人分も姦しい女が騒いでいる。その声がうるさいと思うより、それがあまりにも違和感なくこいつらの中に溶け込んでいることに、ある種の羨望すら覚える。
『どうしてオレはアイツを偽者だと疑わなかった?』
『どうしてオレはアイツの偽者を見抜けなかった?』
『どうして、どうして、どうして――』
親友、だと思っていた。こいつらにも劣らないほど、オレとアイツは強い絆で結ばれていると。
だというのに、オレは自分を殺そうとしたのが偽者だとは疑いもせずに、アイツが裏切ったのだと頭から信じ込んでいた。今の今まで、ずっとだ。
「ホフマンさん? 取らないんですか?」
顔を上げる。目の前には、台座の上に乗せられた大粒の宝石がある。その傷一つ無い光沢といい、歪みも狂いもない真球に研磨された職人技の見事さといい、なるほど確かにこれは世界でただ一つしかない宝物だろう。
「……本気かよ。本気で、こんなものをオレに」
確かに売ろうと思っても、これだけの品は逆に買い手がつかないかもしれない。一国の王が家宝として城の宝物庫に飾るような代物だ。だが、逆に言えば王に献上して歓心を買うことぐらいは出来るだろう。噂に聞くエンドールの王に献上して商売に便宜を図ってもらったりするぐらいの事は出来そうなものだ。
「? そういう約束だったでしょう?」
「そういう意味じゃねえ」
約束があろうとなかろうと、欲しいなら奪っちまえばいい。こいつらにはそれだけの力がある。オレは一人。こいつらは四人。言うまでもなく勝てやしない。例えオレがこいつらの武器を預かっていようとも、だ。
「持って行けばいいじゃねえか。これだけじゃねえ。宿にある馬車も、パトリシアも」
洞窟の中で、この宝物と引き換えにオレに譲ってもらったと言えば、親父だって強くは止められねえだろう。ここでオレを殺して宝物は懐に隠し、宿に戻って馬車もパトリシアも奪っちまえば、全部がこいつらのものになる。それが一番簡単だ。
「……ええと」
困惑したように人差し指で頬を掻きながら、いつも隣から離れないフード付きの外套の女にチラッと目を向ける。
「ええ、まあ、そういうやり方もあるんでしょう。人を騙して、脅して、盗んで、というのも、一つの方法なのかも」
「でも、ソロ。前にバルザックも言ってたわ。『魔物だから好きに命を奪っていい、ってことにはならない』って。人の命を奪うのはダメだけど、魔物ならいい。なら、人でないエルフにもそうしていい。そういう論法になるのよ」
ミネアと呼ばれてる女が警句を発すると、何度も頷く。
「そうですね。自分もそう思います。そして、そうはなりたくないです」
澄んだ青い目がオレを映し出している。こんな
「ホフマンさん。自分は、
オレは、そうじゃなかった。
「一度きりだから。これっきりだから。そんな風に自分に言い訳をして一度でも罪を犯してしまえば、その次はもっと簡単に一線を踏み越えてしまうでしょう。それが必要だから、そうしないといけないから、って。そして最後には、きっとそれが当たり前になります。
小さく肩を竦めて、何でもない事のように言う。
「だから、どうかこれからも、ホフマンさんは自分たちを信じないでいてください」
「そこは『信じろ』じゃねえのかよ」
「信じてもらったら、いつかそれを裏切ってしまうかもしれません。これはバルザックからの受け売りですけど。――『神様だって信じるな』って」
「誰だよ。知らねえよ」
トルネコとかいう太った商人のことは出発前に軽く紹介されたが、さっきのミネアといい、また知らない名前が出てきた。
「昔からものすごく疑り深くて臆病で慎重で、ものすごく頭が良くて何でも知ってる自分自身でさえも全く信じてなくて、そのくせ私たちのことだけは頭から信じてる矛盾の塊よ」
「逆じゃない?
「おかしいわよね。なんだってあんだけ色々なことが出来て、自分だけは信じられないのよ」
姉妹がオレの知らない人間の話で勝手に盛り上がっているせいで、すっかり置いてけぼりだ。小さく咳払いしたソロが二人を黙らせる。
「すみません。話が逸れました。ホフマンさんは自分たちが間違えそうになった時、それを止めてくれると嬉しいです」
「なんでオレがそんなことを」
オレはこいつらの仲間でもなければ友人ですらない。たまたま立ち寄っただけの宿の息子だ。
「自分たちには馬車が必要です。南の砂漠を越えるのに。コナンベリーで船が手に入ればと思っているので」
「……それで?」
「でも、馬車を牽くのには馬が必要で。その馬の世話が得意な人って、自分たちの中にはいなくて。良かったらホフマンさんに、馬の世話をお願いできればと思って」
馬、お好きでしょう?と、オレがパトリシアを世話していた様子を見ていたせいで、何の屈託もなく言ってきやがる。
「オレが途中で、馬と馬車を荷物ごと持ち逃げするとは思わねえのか」
「? しないでしょう?」
ああ、
こいつは、オレには『自分を信じるな』とか言うくせに、そのくせオレをあっさり信じやがる。なんなんだよ。本当に。
「……担保だ」
「はい?」
「この宝は、お前らにパトリシアと馬車を貸す担保としてオレが預かる。お前らが何者で、何のつもりで旅をしているかは知らねえが、そういう条件でなら――まあ、ひとまず貸してやるさ」
「ありがとうございます」
ニコニコと嬉しそうに笑う顔を見ていられなくて思わず目を逸らしかけると、フードを目深に被った女が鎧の手甲をつけた腕をチョイチョイと軽く引っ張っているのが見えた。
「ねえ、ソロ」
「ん?」
「まだ自己紹介とかしてなかったの? 私たちの旅の目的とか」
「いや、だって、ほら……なんか、恥ずかしいし。
「ブランカの王様は来る人来る人に全部同じようなことを言ってたでしょ?」
宿に泊まる隊商やら旅人なんかが噂してる、地獄の帝王の復活がどうのとかいう話か。そういう荒唐無稽な話を真に受けて、『自分たちが世界を救う』とか大法螺を吹く連中も、たまに宿に来ていたことを思い出す。
「なんだ、お前らも勇者がどうとか言って回ってるのか」
「え? あ、ははは……そ、そうですね。そんな感じです。自分は、そういう御大層な話はあまり好きじゃないんですけど。勇者って何なのか、未だによくわかりませんし」
「ソロったら……変なところで奥ゆかしいんだから」
フードの下で女が小さな溜め息を吐くのが聞こえた。
「ホフマンさんは信じてないんですか? 地獄の帝王の復活とか、世界を救う勇者とか」
「あんな下らない与太話を本気で信じてどうするんだよ。どっかに逃げろってのか? 逃げりゃどうにかなるのか?」
オレがそう言うと、澄んだ青い目を眩しげに細めて、大きく頷いた。
「はい。それでいいと思います。どうかこれからも、そんな話は
次で第二章は終わります
なお原作ゲームでは旅立ってすぐに木こりの家で家探しした経験から、それが当たり前になってしまい、行く先々で不法侵入と窃盗行為を繰り返すようになった4勇者……(;'∀')
アネイルの夜の温泉に登場する女性との掛け合いシーンは、どちらの視点で読んでみたいと思われますか?(具体的に誰の視点になるかは未定です)
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男性陣(可能性としてはホフマンも含む)
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女性陣(パトリシア? さすがにそれは…)