なんでコナン君がいるんだ...
楽しく男と話すつもりだったのに予想外の刺客の登場に俺は動揺して頭が回らなかった。
「今店長さん、ドリンクに何か入れてたよね?」
「.....いや、そもそもその位置から見える筈は...」
「否定はしないんだね。酷いことするなぁ。ね?そうは思わない?合図をしたおじさん?」
「!...あ?何だこのガキ!」
「まあまあおじさん落ち着いて。店内で騒ぎを起こすと迷惑だよ?」
凄い速さで話が進んでいく。俺は完全に蚊帳の外だ。というか待って、ドリンクに何か入れてたの?本当に?
「うるせぇ!あらぬ疑いかけやがってガキが!店長が勝手にやったことだろ?俺が合図したなんて証拠がどこにある」
「証拠はないけど、疑うに足る要素はあるよお姉さん。このおじさんは店長にドリンクを頼んだ時、いつものを強調した言い方をした。それだけじゃない。お姉さんから見えない左目でウインクをしたよね?それをみた店長さんはその後の返答が少し遅れていた。」
「そしてその後の店長さんはドリンクを作る短い時間で2回も物を落とした。それに、瞬きの回数が30秒間に22回。明らかに異常だ。極め付けは、僕がさっき店長に何かを入れたと疑惑をかけた時に否定しなかった。つまり、あんたら2人は共謀してこのお姉さんを嵌めようとしていた。違う?」
おお...!いざ目の前で見ると凄いなコナン...!キッドは名探偵って呼んでたっけ。でもそう呼ぶのも頷ける...この僅かなヒントをもとにズバズバと真実を導いていく姿は感動ものだな...!......というか待って、俺嵌められてたの!?全然気づかなかった...。
今俺は可愛い女性だし、男が狙うのはまず間違いなくそっち系の欲望を発散するためだろう。何か、おそらく睡眠薬だろうが、薬を使うということは尚更だ。しかし、それでもし仮に俺がホテルに連れ込まれたとして、俺は男だ。自分の性自認がとかではなく、れっきとした。つまりアレがあるのだ。ここまで手を回してやっと連れ込んだ女が男だった。それはこの米花町においては容易に死因になりうるだろう。ってことは、もしかして俺、今コナン君に救われた、?なんならさっきの推理も俺に呼びかけて怪しいことを伝えてくれていた気がする。
「っ...!...〜〜〜〜〜!!!!!このガキィェエアア!!!!!」
っまずい!!!
逆上した男はコナン君に殴りかかって、自分の思惑が潰れた鬱憤を晴らそうとしている。コナンくんも麻酔銃を開いて応戦しようとしているが、おそらく男の拳の方が早い。仮にも体は小学1年生のコナン君に成人男性の本気の一撃が入ったら最悪死んでしまう!コナン君がこんなところで俺なんかを助けて死ぬ、大怪我を負っていい訳がない!どうするっ!?
自分を救ってくれた相手を、自分は助けないのか!?助けられないのか!?
コナン君は俺を助けてくれた。なら俺は絶対にそれに応えなければ!!!
でもどうする!?今はおそらくキッドの身体能力と一時的に|超集中≪ゾーン≫に入っている影響で状況がゆっくりに見えているが、体が動くスピードは別に早くはならない!いや待て、
俺は昔怪盗キッドだった。
なら、俺が適当に選んだ服にも仕掛けがあるんじゃないか?
記憶の中の怪盗キッドは、変装がバレた時毎回煙幕弾を投げて逃走していた。その隠し場所は2枚重ねた上着の1着目の裏ポケットだったり、帽子の裏に貼り付けていたり下着の中だったりと様々だった。だが、総じて言えるのは簡単に見つからない場所にあるという所。また、服に改造を施してある所だ。この服、オシャレだから選んだ服だが、このスカート、妙に太もも辺りが重い。はじめは俺が女装で外を歩いているから緊張しているのかと思ったが、心理的に落ち着いてきても足を上げづらかったことに疑問を抱いていた。おそらくスカートの生地の裏側にポケットがあり、そこに隠してあるのだろう。ここなら人から見られることはない。
しかし、スカートの裏側にあるものをどうやってこの短時間で取るんだ?どう考えても間に合わないだろう。
いや、それはキッドも知っていたはず。隠された煙幕弾を使う時なんて緊急事態なのに、それを取り出すのに手間がかかる仕様にするはずはない。
太もも前の裏ポケットの物をすぐに取り出せる方法は!
スボボッ
やはり!このスカートのポケットは適度に穴を開けて作られているんだ。そして緊急事態ならこうやって...
ビリバリバリ!!
その穴を広げて完全に穴を開けて手を伸ばせ通路が開く!!
これで!
そうして俺は煙幕弾を手に取ってそのまさに今ぶつかりそうな男の拳とコナン君に向けて投げ、男の手に当たった煙幕弾は凄まじい勢いで煙を発し、男が怯んだ隙にコナンを抱えて店から脱出した。
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「で、オメーがあんな格好で男とバーに来ていた理由は?」
「世の中には知らねぇ方がいいこともあるんだぜ?名探偵」
その後近くの公園に逃げた俺とコナン君はなんとか窮地を脱した事実にホッとしていた。コナン君もまさか子供相手に全力で殴りかかるとは思っていなかったらしく、流石に疲れた様子だった。
俺も一息ついていた時にコナンくんに都合の悪いことを聞かれてしまったので、適当に誤魔化す。
「そういや悪い大人に騙されそうになったところを助けてくれてありがとよ、名探偵?」
「お前だって知ってたらわざわざ言ってねえ!」
「まあ、そのお人好しな思考と行動は嫌いじゃねぇけどな!」
どうやらコナン君は俺が騙されかけてることにとっくに気づいていて、その手口の推理をするコナン君を見て楽しんでいたと思っているらしい。
正直マジで死ぬかもしれなかったから助かった...流石にあんまり強く出れないな...とりあえず怪盗キッドの中身が変わったことを知られなくは無いので、そろそろ家に帰ろうか。いや、重い1日だったな...
「じゃあ俺はもうやることもないし帰るとするかな」
「俺から逃げれるとでも?」
「いや、捕まえないさ。今はね」
「....」
「じゃあまた会おうぜ名探偵!」
「...ちょっと待て!まだお前が女装してあの場所にいた理由を聞いてねぇ!」
「じゃあな〜」
「おいキッド!」
そうして俺の長い1日は終わりを迎えたのだった。
今の怪盗キッドは女装に慣れていないので、その慣れない雰囲気を見たコナンはキッドと結びつけられなかった感じです。