着替えろヴィラン!!魔法少女なんてどうだ?   作:うめけ

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特に何もないです


林間合宿と束の間の平和

 

 

 

死柄木と遭遇した件は当然ながら大問題になった。ショッピングモールから帰ったあと相澤先生に報告し、さらに警察にも事情聴取を受けた。服の話をしたことも、魔法少女の話をしたことも、正直に話した。死柄木の服装に改善の余地があると思ったことも。相澤先生は途中から頭を押さえていた。何でだろう。

 

その結果、林間合宿の場所は当日まで生徒に非公開になった。どうやら死柄木との遭遇は想像以上に問題だったらしい。俺としては偶然会っただけなのだが。

 

 

 

 

 

そして林間合宿当日

 

朝早くに雄英へ集合し、物間と軽くファッションの話をした後そのまま大型バスへ乗り込む。ちなみに物間、赤点だった。

 

目的地は知らされていない。窓の外を見ても山ばかりだ。服が汚れそうでちょっと憂鬱だ。

 

しばらく走り続けた後、バスは山奥の休憩所のような場所へ到着した。生徒たちはぞろぞろと降りていく。俺も荷物を持って外へ出た。空気が美味しい。山だな。本当に山しかない。

 

そしてそこにいたのは、プッシーキャッツのピクシーボブとマンダレイ。今回お世話になるプロヒーローらしい。

 

しばらくワチャチャしてたら地面が動いた。巨大な土壁が出現し崖から突き落とされ、その向こうには広大な森。

 

「え?」と誰かが言った。俺も同じ気持ちだ。

 

「自分の足で施設までおいでませ!魔獣の森を抜けて!」

 

進むしかないので仕方なくみな森を進み始める。道中は大量の土人形が現れた。しかも全部強そう。A組は自然と協力しながら森を突破していった。

 

無茶苦茶だ。魔獣の森は死ぬほど疲れた。爆豪がゴーレムを吹き飛ばし、轟が凍らせ、俺は上鳴を登山家コーデにした。

 

「何で今!?」

 

「似合う」

 

「そういう問題じゃねぇ!」

 

 

 

気付けば施設到着は夕方だった。昼食抜きでみな空腹。切島や砂藤が文句を言っていたが夕食はプッシーキャッツが用意してくれていた。全員ボロボロ状態での夕食はかなり美味い。

 

それからの温泉タイムは素晴らしかった。森で散々走らされ、土人形に追い回され、崖から落とされた後の温泉はもはや芸術である。

 

温泉上がりの男子部屋はみなが思い思いにくつろいでいる。俺も疲れていたので人類みな疲れている。

 

そんなことを考えていた時、俺の視界に砂藤が入る。

 

でかいな。改めて見ると本当にでかい。あと筋肉がすごい。何か閃いた。

 

ローマだ。

 

「砂藤ちょっと立って」

 

「何で?」

 

「いいから」

 

パチン

 

「うおっ!?」

 

砂藤の服装が変化した。

 

白い布

肩を露出したローマ風トーガ

革のサンダル

金の装飾

 

完全に古代ローマ人。

 

「似合う」

 

筋肉

体格

顔立ち

 

全部が噛み合っていた。砂藤本人も鏡を見て困惑している。 

 

「何だこれ」

 

「皇帝」

 

「皇帝?」

 

「皇帝。」

 

次に目に入ったのは障子だ。障子は元々雰囲気が強い。六本腕で高身長に落ち着いた性格。つまりはだな…

 

「障子」

 

「嫌な予感がする・・・」

 

パチン

 

白いトーガ

金の装飾

肩掛けマント

革の腕輪

さらに月桂冠

 

「元老院議員だ」 

 

「何だそれは?」

 

「偉い人だ」

 

「雑だな」

 

だがものすごく似合う。というか本当にいそうだ。古代ローマの壁画から出てきた感がある。上鳴も爆笑している。

 

「何か神話に出てきそう!」

 

「分かる」

 

そして最後の一人口田。難しいな…普段から存在感が薄い。というか無口すぎる。だが優しく、動物好き。

 

閃いた。

 

「口田」 

 

「・・・(ゆっくりこちらを振り返る)」

 

パチン

 

白いローマ服

肩には鳩

腰にはリスの意匠

胸元には月桂冠の刺繍

 

平和の使者みたいなデザインだ。

 

口田が鏡を見て少しだけ目を丸くしたのでたぶん気に入っている。

 

「似合う」

 

「・・・!」

 

嬉しそうだった。うん、たぶん。

 

そんなことをしていると、いつの間にか男子の半分近くが集まっていた。

 

「次俺!」

 

上鳴が手を挙げたが却下。

 

「何で!?」

 

「ローマじゃない」

 

「意味分かんねぇ!」

 

その横では砂藤皇帝が障子元老院議員と話していた。障子は本当に偉い感じで口田はなぜか動物と会話してそうで、温泉上がりの男子組は完全に古代ローマになっていた。

 

よし、飯田も加えるか……

 

 

 

 

 

 

 

あとは寝るだけになった

 

「暇だなぁ」

 

「寝ろやクソ髪」

 

だが誰も寝ないので修学旅行前夜みたいな空気だ。切島がトランプを出す。

 

「やるか」

 

「やる!」

 

「やる」

 

上鳴と瀬呂が集まりトランプをしだし、数十分後爆豪が圧勝していた。

 

「何でおめぇ強ぇんだよ」

 

「負ける気がねぇからだ」

 

俺が「なるほど」と呟いた瞬間、全員が警戒する。俺がなるほどという時ろくなことにならないと学習しているらしい。

 

「何だ布切れ」

 

「勝負服が必要だ」

 

「要らねぇ」

 

パチン

 

爆豪が変わる

 

真っ赤なタキシード

金色の刺繍

肩マント

 

キングな見た目。

 

「・・・」

 

「・・・」

 

「似合うな」

 

「似合う」

 

「似合う」

 

「戻せ!!」

 

その隙に切島を見る。

 

パチン

 

学ラン

長ラン

昭和の番長

 

「おお!!これは格好良ぇ!!」

 

珍しく成功。次は瀬呂。

 

パチン

 

ハワイアンシャツ

サングラス

麦わら帽子

 

「海行きてぇ〜〜〜〜〜」

 

最後に上鳴。

 

パチン

 

白スーツ

薔薇

羽根

ホスト

 

「何でだよ!」

 

「似合う」

 

「似合うけど!」

 

 

トントン、と扉が叩かれ全員止まる。扉が開くと相澤先生だった。

 

キング爆豪

番長切島

ホスト上鳴

ハワイ瀬呂

 

「・・・・・・・・何してる」

 

「ファッションショー」

 

「寝ろ」

 

 

 

 

全員布団に入って五分後

 

「・・・・・・・・キング爆豪似合ってたな」

 

「・・・」

 

「・・・」

 

「誰がキングだコラァァ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

同時刻女子部屋

 

「はぁ~疲れたー!」

 

「同感ですわ」

 

林間合宿一日目はかなりハードだった。崖から落とされ、山を走り、魔獣と戦い、ようやくの休憩だった。

 

「男子はまだ騒いでそう」

 

「騒いでると思うよ!」

 

「上鳴とか絶対騒いでるね」

 

「爆豪君は怒ってそうや」

 

「衣替ちゃんは?」

 

「・・・」

 

「・・・」

 

「・・・」

 

「服着せてそう」

 

「服着せてますわね」

 

「服着せてるね!」

 

芦戸が布団から起き上がる。

 

「そういえばショッピングモール楽しかったな」

 

「耳郎ちゃんの服良かったわよね」

 

「やめて」

 

耳郎は少し照れていた。黒ワンピースにロングコートとブーツ。本人も好評だったもの。

 

「買ったのかしら?」

 

「・・・買った」

 

「買ったんだ!」

 

盛り上がる。耳郎は少し恥ずかしそうにする。

 

「ヤオモモも似合ってたよ!」

 

「どれですの」

 

「メイド長!」

 

「忘れてくださいまし」

 

「でも似合ってたし」

 

「似合ってたわね」

 

「似合ってた」

 

「似合ってた!」

 

八百万が枕へ顔を埋める。

 

「忘れてくださいまし・・・」

 

「葉隠は?」

 

「ん?」

 

「ブレスレット」

 

「あれ凄く嬉しかった!」

 

衣替とリカバリーガールとパワーローダーが協力して作った葉隠の姿を見えるようにしたアイテム。合宿には持ってきていない。

 

「髪綺麗だもんね〜」

 

「まつ毛も綺麗やった」

 

「ドレスも似合っていましたわ」

 

「ありがとう!」

 

珍しい葉隠は照れていたが、嬉しそうだった。

 

「衣替ってさ、何だかんだ良い奴だよな」

 

耳郎が言うと全員考える。

 

「変やね」

 

「変ですわ」

 

「変ね」

 

満場一致の変な人認定。

 

「でも悪い人じゃないよ!」

 

「そうね」

 

「そうですわね」

 

「うん」

 

「せやね」

 

これも満場一致した。その時

 

「誰がキングだコラァァァ!!」

 

男子部屋から爆豪の怒鳴り声に女子部屋は沈黙。

 

「・・・」

 

「・・・」

 

「・・・」

 

「やっぱ騒いでる」

 

女子達は笑いながら布団へ入り、少しずつ眠りについた。

 

 

 

 

 

 

 

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