着替えろヴィラン!!魔法少女なんてどうだ?   作:うめけ

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脳無に発信機はつけられなかったが警察は脳無格納庫にも当たりをつけた。しかしA組メンバーは来れなかった

ジーニストとシンリンカムイを交換してます。仮に、インターンに行く展開へ決めた場合原作だと入院中だったり行方不明だったりなので

ちなみに爆豪、ずっとお姫様です




これはまさに神話の戦いだ……閃いた!

 

 

 

壁が吹き飛んだ瞬間、店内の空気が一変した。さっきまで勧誘だのファッションだの話していた空間とは思えない。

 

粉塵の向こうから現れたのはオールマイトだった。緑谷の職場体験先のグラントリノもいる。さらにドアからベストジーニストとエッジショットも突入してきた。俺は思わず目を見開いた。テレビで見ていたヒーロー達が勢揃いしている。しかも全員本気だ。

 

「いたぞ俊典!」

 

「爆豪少年!衣替少年!」 

 

その間にもヒーロー達は動いていた。動きが本当に見えない。気付いた時にはエッジショットが黒霧を気絶させていた。次の瞬間にはグラントリノが荼毘の顎を蹴り抜く。全員ベストジーニストによって拘束される。

 

とにかく強い。プロヒーローの本気だった。俺たちの拘束も解除してもらった。グラントリノがヴィラン連合メンバーの本名とか開示し始めたが死柄木と黒霧と荼毘は不明なままか。

 

「チッ・・・!」

 

死柄木は明らかに追い詰められていた。顔は最悪だった。計画が崩れた顔だ。

 

俺はその光景を見ながら別のことを考えていた。 

 

「やっぱりジーニスト格好いいな」 

 

「今言うことか?」

 

だってもう終わったと安心してた。このまま後は帰るだけだろうと、俺は思っていた。誰でもそう思う。

 

 

が、オールマイトが死柄木と対面してたその時。 

 

 

 

空間から泥が溢れた。死柄木の目が変わった。黒い泥のようなものがBAR内に溢れ、脳無たちが顔を出す。

 

嫌な予感しかしなかった。

 

「うっ!」

 

「ヴォェ!ンだこれ!」

 

口から泥が溢れ、俺たちの身体を侵食していく。

 

視界が歪む

 

景色が崩れる

 

BARが消える

 

ヒーロー達の姿も消える

 

最後に見えたのは、必死にこちらへ手を伸ばすオールマイトだった。

 

「Noooooo!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

次の瞬間俺達は別の場所にいた。

 

ワープさせられたのか……臭すぎるあの泥。

 

見渡すとまるで荒地だった。街中だとは思う。しかし周りの建物たちは破壊されていた。俺は直感する。

 

「これ絶対ヤバい場所だ」

 

隣では爆豪が舌打ちしていた。拘束は外れているが状況が改善したわけじゃない。むしろ悪化している。ヴィラン連合のど真ん中に放り込まれた。

 

死柄木もこちらへ歩いてきたが、BARにいた時みたいな余裕は消えている。ヒーロー達の強襲はそれなりに効いたらしい。あと少しで全員捕まるところだったのだから当然かもしれない。

 

「先生」

 

先生。たぶんヴィラン連合の偉い人なんだろう。最初に見えたのは黒いスーツだった。そして機械的なマスク。正直に言うと、かなり格好いい。この人は完成されていた。全体のバランスが良い。

 

その人物がゆっくり歩いてくると、ヴィラン連合の空気が変わる。かなり偉い人らしい。この周囲の惨状はこの男が原因だろうと直感が告げていた。

 

「また失敗したね弔。でも決してめげてはいけないよ。またやり直せばいい。こうして仲間も取り返した。いくらでもやり直せ。そのために僕がいるんだよ?」

 

低い声だ。死柄木へ向けて言っている。なるほど、本当に先生だ。

 

その人の視線が爆豪へ向く。続いて俺を見る。何秒か観察された後、小さく頷いた。面接官みたいだなと思った。

 

「誰?」

 

思わず聞いていた。みんなゆっくりこっちを向いた。何か変なことを言っただろうか。知らない人だったから聞いただけなんだけど。しばらくして、その人物は小さく笑った。

 

「僕はオールフォーワン」

 

「そうですか。」

 

名前を聞いてもよく分からなかった。俺も知らないし、たぶん爆豪も知らない。死柄木が本気で困った顔をする。

 

「爆豪くん。君は素晴らしい才能を持っている」

 

名前を呼ばれた爆豪が眉をひそめる。

 

「興味ねぇ」

 

「ヒーロー社会は君を正しく評価していない」

 

「興味ねぇ」

 

「我々なら」

 

「興味ねぇ」

 

話が進まない。死柄木が頑張っても失敗したのに、この人なら成功すると思ったんだろうか。オールフォーワンもさすがに少し困ったようだった。そこでなぜか視線が俺へ移る。

 

「衣替くん君はどうだ」

 

「何が?」

 

「我々に来る気はないか」

 

「服飾科あります?」

 

「ない」

 

「じゃあ無理です」

 

どうやらまた同じ流れになったらしい。オールフォーワンは少し考え込んだ後、静かに言った。

 

 

「弔。なぜこの少年を連れてきた」

 

「爆豪のおまけだ」

 

「そうか。」

 

何となく納得されてしまって少しだけ傷付く俺。

 

 

 

 

その時、遠くから何かが来た。ヴィラン連合の表情が変わるがただ一人、オールフォーワンだけは動かなかった。

 

「やはり来たか」

 

静かにそう呟く。何が来たのかは分からない。だが聞き覚えのある声が響いた。

 

「オールフォーワン!!」

 

轟音と共に瓦礫が吹き飛ぶ。舞い上がる砂煙の向こうに立っていたのは、オールマイトとその拳をしっかりと受け止めるオールフォーワンだった。

 

 

オールマイトが現れた瞬間、空気が変わった。比喩じゃない。本当に変わった。

 

さっきまで余裕の戻ったヴィラン連合の面々が一斉に表情を引き締める。死柄木もオールフォーワンも動揺しているようには見えないが、それでも全体に張り詰めた緊張が広がった。

 

俺は思わずオールマイトを見上げた。テレビで何度も見たことがあるし学校でも見たことがある。でも今の姿は少し違った。

 

いつもの笑顔がない。圧倒的な存在感だけがあった。

 

「久しいな。オールフォーワン・・・!」

 

対するオールフォーワンは落ち着いたままだった。まるで昔の知人に会ったような口調だ。

 

「こちらとしては、あまり会いたくなかったのだがね」

 

「私もだ」

 

二人の会話が始まる。だが俺と爆豪には何が何だか分からない。名前は聞いた。たぶんすごいヴィランなんだろう。でも死柄木達が従う理由も、オールマイトがここまで険しい顔をする理由も知らない。隣を見ると爆豪も同じだった。知らないなりに警戒はしているが、事情までは分かっていない。

 

「お前知ってるか?」

 

「知らねェ」

 

やっぱり知らなかった。

 

 

改めてオールマイトとオールフォーワンが向かい合う。空気が張り詰めている。両者ともに一人で戦況が大きく動く、そんな存在だろう。だからこそ、俺は気になってしまった。

 

「・・・違う」

 

「何がだ」

 

「何か違う」

 

「何がだよ」

 

俺は二人を見比べる。

 

オールマイト

圧倒的な光、希望の象徴

 

オールフォーワン

圧倒的な闇、災厄そのもの

 

構図は完璧だ。でも衣装が足りない。

 

「神話感が欲しい」

 

「知らねぇよ」

 

「両者神話生物みたいな存在だろ?」

 

「黙ってろ」

 

だが、俺の中では完成図が見えていた。

 

オールマイトはゼウス。

 

天空神

雷霆

絶対王者

 

オールフォーワンはテュポーン。

 

怪物王

終焉

神々すら脅かす災厄

 

この構図だ。これしかない。

 

「よし」

 

嫌な予感しかしない顔で爆豪が俺を見る。

 

「待て」

 

「大丈夫」

 

「待てや」

 

「すぐ終わるから」

 

「待てって言ってんだろ!!」

 

個性を発動した。

 

まずオールマイト。青いスーツが変化する。白い布が片肩に掛かり、鍛え上げられた肉体を際立たせる。腰には金のベルト。金の手甲に金のサンダル、白いマントが大きく翻る。稲妻のブローチや各所の稲妻装飾、白と金を基調とした服。

 

雷神。まさにゼウスだった。

 

「な・・・!?」

 

オールマイトが固まる。

 

「何だいこれは!?」

 

「ゼウスです」

 

「ゼウス!?」

 

続いてオールフォーワン。漆黒のスーツがより異形へと変わる。黒いマントは影のように揺れ、下半身には蛇の意匠。背後には謎に黒煙が渦巻き、怪物の気配を纏う。黒と紫を基調とした無数の蛇や鎖で構成。

 

完璧。テュポーンだ。

 

オールフォーワンが自分の姿を見て少し感心していた。

 

「ほう・・・これは良いね」

 

「だろ」

 

「衣替ぇぇぇ!!」

 

死柄木が叫んでる。

 

「何で今なんだよ!!」

 

「神話バトルだからね」

 

「知らねぇよ!!」

 

でも、ここで気付く。首元だけ違和感が残っている。テュポーン風の禍々しいシルエットに対して、ちょっと浮いていた。あれだけ違う。

 

「どうした」

 

俺は首元を指差した。

 

「そこだけ合ってない」

 

パチン

 

消えた。

 

オールフォーワンがゆっくり首元を触る。

 

「あ」

 

オールフォーワンが膝をつく。

 

「先生ぇぇぇ!!」

 

オールマイトは呆然としている。俺は首を傾げた。

 

「やっぱり外した方がまとまる」

 

「違うだろぉぉぉぉ!!」

 

死柄木の悲鳴が響いた。オールフォーワンは苦しそうに呼吸しながら、それでも静かに俺を見た。

 

「衣替くん。君の美意識は素晴らしい」

 

「ありがとう」

 

「だが・・・」

 

呼吸が乱れ。

 

「今後は服と医療機器を区別した方がいい」

 

「え。気を付けます」

 

素直に頷く。そしてオールマイトが拳を握る。ゼウスの装いのまま雷神のような威圧感を纏って。目の前には最大の敵。しかも過去最大級に弱っている。

 

「オールフォーワン!!」

 

地面が砕けるほどオールマイトが踏み込む。

 

「先生!!」

 

オールマイトが踏み込んだ瞬間、地面が砕け空気が裂ける。ゼウスの装いを纏ったその姿は、さっきまでよりずっと神々しかった。白布が翻り、拳には今にも雷が宿りそうな威圧感があった。というかいつも戦闘中はなんかビリビリしてたよね。

 

対するオールフォーワンは膝をついたまま。呼吸が明らかに乱れている。雰囲気的にアレ生命維持装置みたいなものだろう。それを失った影響は致命的だった。

 

「このままじゃ・・・!」

 

焦る死柄木を他所にオールマイトの拳がオールフォーワンへ迫る。誰が見ても決定打だった。

 

だが、その瞬間オールフォーワンが静かに右手を上げた。

 

「個性強制発動」

 

赤いラインの入った爪が伸び黒霧の身体へ突き刺さり、ビクリと震えた。黒い霧が爆発的に広がり空間が歪み、巨大なワープゲートが開いた。

 

「先生!?」

 

オールマイトが表情を変える。

 

「逃がさん!!」

 

拳の軌道を無理やり変え、ワープを止めようとするがオールフォーワンが前に出た。弱っているはずなのに、まだ立つ。まだ壁になる。

 

「どけぇぇぇ!!」

 

オールマイトの拳が炸裂しオールフォーワンの身体が吹き飛ぶ。だが、その一瞬で十分だった。死柄木達の足元に霧が広がる。

 

「そんな・・・!!」

 

オールフォーワンは吹き飛ばされながらも、静かに死柄木を見ていた。

 

「弔。次へ進みなさい。常に考えろ・・・君はまだまだ成長できるんだ」

 

その声だけが妙にはっきり聞こえた。死柄木の顔が歪む。怒りなのか、悔しさなのか、悲しさなのか分からない。全部かもしれない。

 

「ふざけんな・・・!」

 

「弔くん!終わりたくないです!」

 

「行こう死柄木!!」

 

死柄木が歯を食いしばる。ワープが閉じ始め死柄木達の姿が霧に飲まれていく。

 

残ったのは倒れたオールフォーワンだけ。数秒、誰も動かなかった。俺は静かに爆豪へ聞いた。

 

「終わったよな?」

 

爆豪はまだ険しい顔で前を見ていた。

 

「知らねぇ」

 

そう言いながらも、さっきまでみたいな殺気はない。少なくとも最大の危機は去ったらしい。

 

 

やがて遠くからグラントリノが飛んできた。オールマイトを追いかけてきたらしい。この状況を確認し多少の困惑が伺えたが、着地した後は無言で見守ることに決めたようだ。

 

オールマイトは倒れたオールフォーワンを見下ろしたまま、微動だにしなかった。その背中は大きかったが、でも今日はどこか張り詰めているようにも見えた。俺は少し気になった。

 

「大丈夫かな」

 

「誰がだ」

 

「オールマイト」

 

爆豪が少しだけ目を細めたその時、オールフォーワンが小さく動いた。

 

「!」

 

俺も爆豪も身構える。まだ動けるのか、どれだけ化け物なんだ。オールフォーワンは倒れたまま、静かに笑った。

 

「見事だ」

 

オールマイトは何も言わない。

 

「やはり・・・君は平和の象徴だ」

 

声が掠れている。生命維持装置がなくなってから、明らかに弱っていたのでたぶん限界なんだろう。

 

「フフ・・・次は弔の時代だよ」

 

オールマイトが低い声で言う。

 

「終わりだ。オールフォーワン」

 

「そうだな」

 

あまりにもあっさり認めたので少し意外だった。もっと最後まで抵抗すると思っていた。

 

オールマイトが深く息を吐き、そしてゆっくり拳を握る。

 

「さらばだ」

 

オールマイトが拳を振り上げる。全てを終わらせる一撃が振り下ろされた。

 

空気が爆ぜる。街全体が揺れた。地面が砕け、瓦礫が舞い上がる。俺と爆豪は思わず腕で顔を庇った。風圧だけで身体が持っていかれそうになる。強すぎる。本当に同じ人間とは思えない。数秒後、ようやく風が収まった。

 

ゆっくり顔を上げるとそこには大きなクレーターができていた。その中心で、オールマイトが拳を振り抜いた姿勢のまま立っている。オールフォーワンは完全に倒れていた。動かず、もう立ち上がれない。終わったんだと誰が見ても分かった。

 

「・・・勝った」

 

思わず呟く。爆豪は何も言わずただ前を見ていた。そこへヒーロー達が一気になだれ込んできた。警察もいる。カメラもいる。ベストジーニストが最初に口を開いた。

 

「衣替くん、爆豪くん、無事か」

 

「はい」

 

「心配ねェ」

 

爆豪はいつもの口調だったが少しだけ声が掠れていた。たぶん疲れている。俺も精神的に疲れた。

 

エッジショットの視線が俺へ向く。

 

「衣替君何があった。」

 

それは難しい質問だ。どこから説明すればいいんだろう。

 

「こいつが全部めちゃくちゃにした」

 

爆豪、それはちょっと理不尽だよ。

 

「違うよ」

 

「違わねぇよ!」

 

「服変えただけだよ」

 

「それが問題なんだよ!!」

 

ヒーロー達が困惑している。

 

その時。オールマイトの身体が揺れた。

 

「!」

 

全員の視線が集まる。オールマイトがふらついている。戦いの影響?まずいのか?そう思った瞬間

 

その巨体が蒸気を上げて急激にしぼみ始めた。筋肉が落ち身体が細くなる。ゼウスの装いだけが妙に似合ったまま、中身だけが別人みたいに変わっていく。

 

俺も爆豪も目を見開いた。

 

「え」

 

「は?」

 

その場にいたヒーロー達も息を呑んで誰も動けない。そこにいたのは、もうさっきまでの圧倒的なNo.1ヒーローじゃなかった。

 

痩せた男、それがオールマイトだった。

 

誰も何も言えない。オールマイトは荒い呼吸をしながら、それでも前を向いていた。やがてゆっくり振り返り俺達を見る。そして空を見た。

 

オールマイトが震える腕を持ち上げる。カメラへ向かって指をさした。それだけで、空気が変わる。日本中がこの瞬間を見ている。

 

 

 

「次は━━━━君だ。」

 

 

 

掠れた声だったが確かに届く声だった。誰に向けた言葉なのか俺には分からない。爆豪も分からない顔をしていた。ただ、その言葉だけは不思議なくらい胸に残った。

 

オールマイトがこちらを見る。

 

「二人とも。本当に、無事で良かった・・・」

 

 

静寂の中俺はぽつりと言った。

 

 

「オールマイト」

 

 

俺は真剣に言った。

 

 

「痩せてもゼウス風似合うよ」

 

 

「今言うことかぁ!?」

 

 

爆豪の叫びが響き渡った。

 

 

 





ギャグ路線だから許してください
オールフォーワンの脅威を知らない世間から見たら実際こんなことしたら大炎上しそう


実はこのオールマイト、まだ残り火あります
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