着替えろヴィラン!!魔法少女なんてどうだ?   作:運命決定

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オールマイトと絡みたいけど緑谷と絡まず爆豪にばっか絡んでたツケが回ってきました

あと壊理ちゃんのお見舞い忘れてましたね。つまり行ってません


またお前と戦うことになるとは

 

翌日放課後

 

俺の部屋には、布のロールや型紙が床いっぱいに広がっていた。ミシンの音だけがカタカタカタ……と静かに響く。

 

「・・・よし」

 

一枚のデザイン画に丸が付いている。今作っているのはライブ衣装ではない。まずは文化祭当日全員が着るクラスTシャツだ。するとそこへノックが響く。

 

「衣替ー?」

 

上鳴が入ってきた。扉を開けた上鳴は思わず立ち止まる。

 

「うわ・・・」

 

布だらけの部屋にちょっと引いていた。

 

「まだ一日しか経ってないよな???」

 

「うん。半分くらい終わった」

 

「半分!?」

 

「クラスTシャツはな。全員同じだから早い。ライブ衣装は一人ずつだから時間がかかるが」

 

上鳴は机の上のTシャツを持ち上げる。オレンジベースのTシャツに描かれた「1-A」のロゴ。背中には『PLUS ULTRA』の文字。シンプルだが学生文化祭らしいデザインにした。

 

「こりゃいい記念になるな〜」

 

「上鳴だけズルい!」

「私も見る!」

「うちも!」

「アタシもよ!」

「瀬呂キモ。」

「ひでぇ!?」

 

廊下から芦戸、葉隠、麗日、瀬呂、耳郎までぞろぞろ集まってきてあっという間に部屋は人でいっぱいになった。

 

「狭いんだが・・・」

 

耳郎は壁に貼られたデザイン画を見つめた。

 

「これ全部描いたの?」

 

「一人につき十案くらい。そこから削る」

 

瀬呂が口をあんぐり開ける。

 

「デザイナーってそんな世界なのか・・・」

 

「人によるだろうな」

 

俺は何気ない口調で答える。

 

「ライブは音だけじゃない。見た目も演出だ」

 

「でも上鳴、音も大事だよ?」

 

「わかってるって耳郎先生!俺頑張りマスって!」

 

「よし!みんな練習に戻ろ!!」

 

芦戸のひと声でみんな出ていった。騒がしいが、文化祭前のこの空気は悪くない。

 

 

 

 

 

 

 

 

土曜日各々練習中。

 

「ウチらはひたすら!」

「殺る気で練習!」

「なるほどそりゃいいアイデアだ!ダンス隊に打診してみようぜ!」

「待てよ〜、でもそうなると人手が足りねぇぞ」

「ロックダンスのロックは!L、O、C、Kのロックだよ!カギをかけるように━━ビシッと止まる!」

「「「ビシッ!」」」

 

俺は外で練習するダンス隊を眺めながら衣装案を練っていた。そこへ小さな来訪者がやってくる。

 

「「「エリちゃん!」」」

 

相澤先生の隣に小さな女の子。白い長袖シャツに赤のプリーツ入りジャンパースカート、黒のタイツにブーツ。おぉ、似合っている。長い銀髪を揺らしながら壊理ちゃんがおずおずと寮へやってきた。

 

その横の植込には通形先輩が顔だけ出して微妙な表情でこっちを見ている。

 

俺と目が合う……なるほど、俺は指を鳴らした。

 

「今年も咲きました!」

 

ヒマワリの着ぐるみになった通形先輩が植込から飛び出した。

 

「素敵なおべべね」

「かっ、かっ可愛い〜!」

 

渾身の一発ギャグは全員にスルーされてしまった。別のをチョイスするべきだったか……

 

「校長から許可が下りた。びっくりしてパニックを起こさないよう、一度来て慣れておこうってわけだ。今日は雰囲気に慣れてもらうための見学だな」

 

以前緑谷と通形先輩が壊理ちゃんのお見舞いに行った際、壊理ちゃんが文化祭へ来れるよう緑谷が打診しておいたらしいが、どうやら通ったようだ。

 

飯田と峰田が壊理ちゃんに挨拶するが、大勢の生徒を見て壊理ちゃんは通形先輩の後ろへ隠れてしまった。他人と接するのは苦手らしい。

 

「照れ屋さんなんだよね」

 

「照れ屋さんかー」

 

「というわけで、これから壊理ちゃんと雄英内を回ろうと思ってんだけど、二人もどうだい?」

 

「じゃあちょっと休憩挟もうか!」

 

芦戸が気を利かせてくれた。俺もミスコンの様子を見に行ってみたかったので着いていく。人気のない位置まで歩いたところで相澤先生が口を開いた。

 

「壊理ちゃんの個性についてだ」

 

緑谷も俺も表情を引き締める。

 

「個性は『巻き戻し』。生物の身体を過去の状態へ戻す能力だ。そして角だが・・・」

 

相澤先生は壊理ちゃんの額にある角を見る。

 

「この大きさは個性の蓄積エネルギーを示しているらしい。使えば小さくなり、時間をかけてまた大きくなる。だが本人もまだ制御できていない」

 

「・・・ごめんなさい」

 

少しだけ俯いた壊理ちゃんに緑谷はすぐ首を振る。

 

「謝らなくていいよ」

 

巻き戻しか、強力な個性だ。だが強個性ほど初めは事故が怖いな……。強個性だからといっていい事ばかりじゃないということか。俺が個性を発現したばかりの頃は父さんと母さんを着替えさせるぐらいで危険性はなかったからな……。俺も壊理ちゃんを励ましておく。

 

「これから覚えればいい」

 

「そのためにも今日は"楽しい学校"を知ってもらう。今日は休日だが全寮制になったこともあり、たくさんの生徒が準備を進めているからな」

 

 

「ちなみに壊理ちゃんの服選んだの相澤先生ですか?」

「・・・俺が買ってきた服は全部看護師さんに却下されたよ」

「あぁ、やっぱり」

「どういう意味だ」

「いえ何も」

 

 

 

 

 

 

 

 

こうして俺たちは校舎を歩く。相澤先生は仕事に戻った。まだ1ヶ月前なのに大勢の生徒が忙しく作業を進めている。去年よりも良いものをと、プルスウルトラで臨んでいるらしい。壊理ちゃんは通路の工作物を見て一つひとつに目を輝かせていた。

 

「がっこうって・・・ひろい」

 

「迷子になっちゃうね」

 

途中でB組の鉄哲と泡瀬と会った。話を聞くとB組は劇をやるらしい。タイトルは『ロミオとジュリエットとアズカバンの囚人〜王の帰還〜』とのこと。完全オリジナル脚本と言っていたが俺は少しだけ、疑った。

 

物間は拳藤が出るミスコン準備の方に今行ってると聞き、俺は少し期待した。またあいつと戦うことになりそうだな、と。しかし八百万と拳藤、どちらも同じ職場体験先で一緒にCMに出た同士だな。運命を感じる。

 

波動先輩は去年準グランプリで気合いが入ってるらしい。なるほどこちらも強敵だ。通形先輩の案内で備品室へ。

 

 

 

 

 

扉を開けると、ふわりと淡い青髪が揺れた。妖精みたいだ。淡い色合いの衣装を纏いふわふわと浮く波動先輩がすぐ目に入った。

 

「あ、壊理ちゃん!ねぇねぇなんでここにいるの〜?不思議ー!」

 

緑谷が視線を泳がせる。衣装の胸元がかなり開いていることに気付き、顔を真っ赤にして慌てて目を逸らした。緑谷は慌てながらも波動先輩を褒め、そんな先輩でも準グランプリだったことを疑問に思っていたがどうやら3年サポート科の絢爛崎先輩が毎年強すぎるらしい。

 

そんな緑谷を横目に、俺は波動先輩から目を離さない。……あれが三年生トップクラス。可愛く、華があり、視線を集める。だからこそ負けられないな……。しかしあの衣装もっと可愛くできるな……俺の服なら、もっと輝かせられる……いやいや今考えることはそれじゃない。

 

 

 

 

「違う違う、もっと堂々と!肩が固い!笑顔で!」

 

 

聞き覚えのある声が耳に入った。

 

「・・・物間か」

 

拳藤がステージ代わりの台の上に立っている。ミスコン用らしい仮衣装を何着か体に当てて確認していた。横には柳が静かにその様子を眺めている。そして、その前で腕を振り回しているのは物間だった。

 

「だからもっと自信を持って!拳藤、君はB組代表なんだぞ!」

 

「分かったからそんな叫ぶな・・・」

 

「いや叫ぶ!ここで妥協したら負ける!」

 

「誰にだよ」

 

「A組にさ!」

 

そこで物間が「おや」とこちらに気付きニヤリと笑った。

 

「ちょうどいい。A組のお客様だ」

 

「よっ、A組」

 

拳藤、かなり女ウケする性格だな……柳も静かに会釈する。壊理ちゃんは緑谷の後ろへ半分隠れながら、小さく頭を下げた。物間を見せて大丈夫だろうか。教育に悪い気がする。

 

「体育祭以来だねぇ衣替」

 

「そうだな」

 

「ミスコンの準備は順調かな?」

 

「もちろん。八百万は勝たせる」

 

「奇遇だね。こちらも負けるつもりはない。拳藤を優勝させる」

 

二人の間に静かな火花が散る。

 

「借りは返させてもらう。文化祭はB組が勝つ。出し物も!ミスコンも!」

 

「いや、勝負するの私なんだけど」

 

「君が勝てば僕の勝ちだ!だから勝たせる」

 

柳がこちらを向いて静かに口を開いた。

 

「衣装がまだ決まらないんだよね」

 

「私が決めさせてもらえない。全部却下されるんだ」

 

「当然さ。拳藤らしさが必要だから!まだだ・・・最後まで悩む・・・衣替もそうなんじゃないかい?」

 

「まあ・・・俺も悩んでいる」

 

「遠慮はしないさ。A組にも負けない衣装を選ぶ」

 

「俺も。B組には負けない服を作る」

 

拳藤と柳が二人を見比べて苦笑する。

 

「結局勝負してんの、お前らなんだよな・・・」

 

「私もそう思う」

 

「楽しみにしてるよ衣替」

 

「俺もだ、物間」

 

俺らは握手もしない。ただ、お互いに笑って視線を交わすだけだった。その横で壊理ちゃんが緑谷の服をちょんと引っ張る。

 

「・・・あの人たちなかよし?」

 

「うーん・・・仲良し・・・ではないかな。ライバル、かな」

 

壊理ちゃんはその言葉を聞いて、小さく「らいばる・・・」と繰り返した。

 

 

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