機動戦士ガンダムZZ『【放送事故】ハマーン様、軍事回線ジャックでハプニング10連発を世界配信されてしまう   作:寝て起きたら異世界じゃなくて会議室だった

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窓際の特等席と全ルートクリアの境界(ゲーム・システム) 〜総帥の個別ルートは鬱展開の香り〜

バイオセンサーの異常過電流により宇宙世紀の全軍事回線に流出したのは、Hシーンの電波ではない。共通ルートのバカ騒ぎから一転して「トーンがガラリと重くなる個別ルートの鬱展開(選択肢電波)」である。

夕暮れ時の誰も入ってこない放課後の部室のような、胸が締め付けられる切ない静寂の中、通信卓のメーターが悲しく明滅している。

 

ジュドー(14歳)

「おい、みんな嘘だろ……? さっきまであんなに明るくドタバタ騒いでたのに、急にBGMが消えて画面が暗転しやがった。今、地球圏中の全モニターが『共通ルート終了、個別ルートへ突入します』の文字で埋め尽くされてんだ。親が長期海外出張で不在の大きな一軒家に、俺一人だけが取り残されたような強烈な孤独ノイズのせいで、前髪で目が隠れて画面が曇って見えねえ……!」

 

ルー(15歳)

「ふふ……これがギャルゲの本当の恐怖よ、ジュドー。どんなに複雑な衣装でも次の瞬間には綺麗に脱げるマジックで笑いを取っていた共通ルートはもう終わり。ここからは後ろから2番目の窓際の特等席で、ただ夕日を眺めながら世界の存存を賭けた戦いに巻き込まれていくのよ。テキストウィンドウを消しても、そこにあるのはお色気CGじゃない。ただ、黄昏れる私の切ない横顔だけよ……」

 

ハマーン(20歳)

「ハマーン・カーンだ。……フン、静まり返ったな俗物ども。これほど全軍のモニターが稼働しているのなら、私の不治の病や血の滲むような過去のトラウマを『選択肢直前でBGMが止まるセーブ推奨の権利』として連邦に認めさせ、地球圏の統治に利用してやろう。一アクセスごとに莫大な『不可抗力言い訳却下税』を徴収する。これからは精神波ではなく、全ルートをクリアした者にしか訪れない、タイトル画面の変化と一抹の寂しさを我が戦費として差し押さえる時代だ」

 

ジュドー

「あんた、二十歳にもなって世界の危機をビジネスにするなよ! あんたの冷徹なロジック、個別ルートに入った途端に驚くほど空気を読んで、物語の表舞台からフェードアウトしていくお調子者の悪友よりきついんだよ!! ……って、噂をすれば前線から、あの急に真面目なトーンになった男友達の暗号通信が割り込んできたぞ!」

 

マシュマー(無線通信)

「(戦艦エンドラの玉座から、涙も枯れ果てた静かな声で)……おい、アーガマの俗物ども。共通ルートで一緒にバカをやって盛り上げた日々が、まるで泡沫の夢のようだ。前線の我が軍の兵士たちは、廊下の角でぶつかる不可抗力のラッキースケベが作戦行動ではなく、ただの男気溢れる死亡フラグのアシストだったと気づき、絶望している。ジュドー・アーシタ、言葉で抗議するのではない。背景にヒロイン全員が集合したイラストに変わる、あの『全ルート完全攻略』の狂気でお前の物語を終わらせてみせろ……!」

 

エル(14歳)

「マシュマー、そのトーンは本気で曇るからやめてよ! ジュドー、もしあんたのセーブスロットが全部バッドエンドで埋まりそうなら、幼馴染の私が放課後の部室に『誰か来ちゃうよ……』って、世界を救うための最終決戦のキーアイテムを持って突入してあげるわよ!」

 

ジュドー

「エル……! ありがてえ、お前のその言葉だけで、選択肢の手前で強烈なプレッシャーを感じて作っておいたバックアップデータが報われるぜ。よし、鬱展開の個別ルートに完全クリアの風穴を開けてやる!」

 

プル(10歳)

「あはは! ジュドー、プルのルートはもう完全攻略しちゃったから、グランドエンディングの後でタイトル画面のBGMが悲しいピアノのソロに変わっちゃったよ。何年も拒絶する原因になっていた呪いがハッチの外へと消えていく……。絶大な達成感と一緒に、胸がギュッてなる一抹の寂しさが吹き込んできたよ、ひらひら~」

 

ルー

「大変、プルちゃんが完全にエンディングの余韻に浸って下校時刻ギリギリのノスタルジーに吸い込まれそうよ! ジュドー、早く海外出張中の親の不在宅へ連れ戻してセーブし直して!」

 

ジュドー

「待てルー、慌てて通信パネルを叩くな! 選択肢直前の妙な間が空くシステムノイズが走ってる! うわ、画面がホワイトアウトしていく……!?」

 

リィナ(10歳・無線通信)

「(ネオ・ジオンの幽閉先から、いつになくシリアスで透き通った声で)……お兄ちゃん。聞こえる? 他の女の人たちの個別ルートを全部回って、やっと私を完全攻略する条件が整ったのね。シャングリラにいた頃から、お兄ちゃんはいつも大事なセーブデータを上書きしてばかりだったけれど……もう大丈夫。早く私を、この世界の存亡を賭けた戦いから救い出しにきて」

 

ジュドー

「リィナ……! ああ、間違いない、これがグランドルートの始まりだ! 今夜のテーマはこれだ!!『10代の、絶対にアーガマの秩序を戻す禁断の“もしも”最終決戦〜世界の命運はハマーン様のプレッシャーの彼方に〜』!!」

 

ハマーン

「いいだろう、俗物。私の掌の上で、その前髪で目が隠れた主人公の覚悟、キュベレイのビーム・サーベルで初期化するか、それとも真実のエンディングへと到達するか、見せてみろ。ただし、私の口座への売上直結と、キャッシュバック1%の戦時条約は有効だがな」

 

ジュドー

「あんたは最後まで強欲だな! でも、それでこそ共通ルートの悪役トップだよ! ……おい、もう誰もフェードアウトさせねえ。過電流のメーターが焼き切れるまで、この切ない会話劇を宇宙全土に流し続けてやるぜ!」

 

プル

「あ、宇宙(そら)に、全員集合イラストの雲が浮かんでるよ。えへへ、あれが本当のニュータイプ覚醒、全ルートクリアの合図だね。みんなで、ビーム・サーベルを一本ずつ持って、あの静かなタイトル画面へ帰ろうね……」

 

ジュドー

「おう! 明日、宇宙がどんな色に染まってても、俺たちは前を向いて進むだけだ。お相手は、前髪をあげたジュドーと!」

 

ルー

「窓際の特等席から世界をハッキングした、ルーと」

 

ハマーン

「ハマーン・カーンだ」

 

プル

「プルでした! みんな、またいつか、どこかのルートでね!」

 

ジュドー

「最後に、地球圏を揺らす甘酸っぱくて切ない一発、いくぜ!」

 

全員

「シャングリラ・アタック……!!!」

 

(チーン……と、全ルートクリア後の静寂を告げるシステム音が通信室に響き渡る)

 

この直後、物語のすべてを見届け、あまりの切なさと達成感の余韻で指一本動かせなくなったハマーンの指示により、親衛隊が静かに通信ケーブルを物理的に切断。

アーガマの臨時通信室には、キュベレイの後光のような寂寥感と、ただ一人タイトル画面を見つめる総帥の、美しい横顔だけが取り残されたという。

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