機動戦士ガンダムZZ【放送事故】ハマーン様、軍事回線ジャックでハプニング10連発を世界配信されてしまう 作:寝て起きたら異世界じゃなくて会議室だった
ジュドー(14歳)
「(木星往還船ジュピトリスIIの乗船用荷物タグを折り曲げながら、誰もいなくなったアーガマの簡易ステージを見つめる)……煌びやかな衣装も、大げさなマイクも、全宇宙から贈られたっていう大きな優勝トロフィーも……全部、元あった場所とシャングリラの共同施設へ送り返しちまった。ジュドーです! 9人での活動が解散して、アーガマの格納庫はすっかり元の雑然とした軍艦の風景に戻った。だけど、そこに流れる時間は、もう二度と戦争の影に怯えていたあの頃の空気じゃねえ。……みんな、自分の足で一歩ずつ、新しい未来へ向かって歩き始めてやがるんだ」
ルー(15歳)
「(普段着のパイロットスーツに着替え、Zガンダムのコックピットから私物の入ったボストンバッグを引っ張り出しながら)何をボーッと突っ立っているのよ、ジュドー。木星往還船の最終搭乗手続きまで、あと2時間もないのよ。アタシたちの荷物はもうジュピトリスIIの貨物室へ搬入させたけれど、あんたの私物、まだジャンクパーツの山の中に散らばっているんじゃないの?」
ジュドー
「わかってるよ、ルー。……だけどさ、本当にいいのか? あんたまで地球連邦軍の軍籍を捨てて、俺と一緒に木星船団なんかに乗っちまって。あんな何年も帰ってこられないような過酷な航海、エリートのルーが付き合う必要なんてないんだぞ」
ルー
「(荷物のジッパーを勢いよく締め上げ、ジュドーの正面に仁王立ちして呆れたようにため息を吐く)バカね。アタシが自分の意思で決めたことに、あんたが気遣いなんて見せるんじゃないわよ。軍に残ったって、待っているのは官僚たちの権力争いと、次の戦争の準備だけだわ。そんな泥沼に付き合うくらいなら、あんたみたいな危なっかしいジャンク屋の横で、未知の宇宙を見に行く方が100倍ましよ。……それに、アタシはあんたの『特別』になりたくて付き合うんじゃない。同じ遠い未来を引き受ける『パートナー』として、アタシ自身がその道を選んだの」
エル(14歳)
「(格納庫のハッチからひょっこり顔を出し、作業用のツナギ姿で腕を組んでニヤリと笑う)ふふん、言ったわねルー。相変わらず可愛げのない言い方だけど、それがルー・ルカの本気だってことは認めてあげるわ」
ジュドー
「エル……! お前、シャングリラの復興輸送隊の第一便が出るって言ってたのに、見送りに来てくれたのか?」
エル
「見送りなんかじゃないわよ! 輸送隊のトラックの整備が終わったから、ついでにアンタたちの顔を拝みに来ただけ。……ねえ、ジュドー。アタシね、シャングリラに残ることにしたの。戦災で親を亡くした子どもたちのための孤児院や、壊れたコロニーの生活インフラを立て直すには、まだまだ大人手が足りないのよ。アタシはシャングリラの街と、そこで生きる人たちの生活を守るために走る」
ジュドー
「エル……。俺、ずっと気になってたんだ。お前をシャングリラに置いて、俺だけ遠くの木星に行っちまうこと……。本当は、お前と一緒に……」
エル
「(ジュドーの口元を手で制し、まっすぐな瞳で首を横に振る)バカジュドー。勘違いしないでよ。アタシがシャングリラに残るのは、アンタに振られたからでも、ルーに負けたからでもないわ。アタシが自分の心で考え抜いて、一番やりたい仕事を見つけたから残るの! アンタを巡る恋愛の競争なんて、とっくの昔におあいこなのよ。アンタは木星で新しい世界を見てくればいい。アタシはここで、アンタたちがいつでも帰ってこられる温かい故郷を作っておくわ!」
ルー
「(エルの肩にそっと手を置き、柔らかく微笑む)エル……。シャングリラのことは頼んだわね。ジュドーがバカなことを言ったら、いつでも通信で叩き起こしてあげるわ」
エル
「ええ、任せなさい! ルーも、ジュドーが浮気しそうになったら即座にZガンダムで踏みつぶしていいからね!」
プルツー(10歳)
「(新品の私服に身を包み、ブライト艦長に連れられて歩いてくる)……おい、ジュドー。アタシも行くぞ。地球圏の医療機関で、強化人間の身体の定期メンテナンスと、リハビリを受けることになった。ブライトのオッサンが、手配してくれたんだ」
ブライト・ノア(36歳)
「(プルツーの頭を優しく撫でながら、重厚な声で語りかける)ああ。これからは軍の実験体としてではなく、一人の子どもとして教育を受け、静かに暮らせる施設を用意した。……ジュドー、ルー。君たちが選んだ木星への道、連邦軍の上層部は難色を示したが、私とエゥーゴの権限で正式に承認させた。君たちはもう、大人たちの都合や戦争の道具として戦う必要はない。自分の人生を生きなさい」
ジュドー
「ブライトさん……。ありがとう。俺たちをここまで守ってくれて……身勝手なワガママばかり言って、本当にすみませんでした!」
ブライト
「礼を言うのはこちらだ、ジュドー。君たち子どもにモビルスーツに乗らせ、戦わせ続けた非力な大人たちを……許してくれとは言わん。だが、君たちが切り開いたこの平穏を、我々大人が二度と壊さないよう、全力を尽くすことを約束しよう」
ビーチャ(15歳)
「おうジュドー! 俺とモンドとイーノも、アーガマを下りてシャングリラの民間輸送会社に就職が決まったぞ! 整備と運搬の技術がありゃ、喰いっぱぐれることはねえからな!」
モンド(15歳)
「ジュドー、木星に行ってもお前らしく暴れろよな! 俺たちの友情は、地球圏と木星くらい離れてたってビクともしねえぞ!」
イーノ(15歳)
「身体にだけは気をつけてね、ジュドー。向こうの寒さは半端じゃないって聞くからさ」
ジュドー
「みんな……! お前たちみたいな最高の仲間を持てて、俺は幸せ者だよ!」
クム&ミリィ&アヌ&サラサ
「「「「ジュドーさん、ルーさん、行ってらっしゃい! 私たちもそれぞれの故郷や学校で、新しい生活を頑張ります!」」」」
(仲間たちがそれぞれの荷物を抱えて船を下りていき、格納庫に残されたのはジュドーと、静かに佇む妹のリィナだけになる)
ジュドー
「(リィナの前に屈み込み、固く握りしめた手のひらを見つめる)……リィナ。俺……本当に勝手な兄貴だな。お前を助け出すために夢中で戦ってきたのに……お前が戻ってきたと思ったら、今度は俺からお前を置いて、木星なんて遠いところへ行っちまうんだから……。俺、本当にお前を一人にして行っていいのかな……」
リィナ・アーシタ(12歳)
「(ジュドーの頬を両手で優しく包み込み、涙を浮かべながらも、凛とした最高の笑顔で見つめ返す)何言っているの、お兄ちゃん。置いていかれるなんて、私、一度も思っていないわ。私はね、セイラさんの元でちゃんとお勉強をして、自分の力で生きていける立派な大人になるの。お兄ちゃんが守ってくれる可愛いだけの妹じゃなくて、お兄ちゃんの選択を胸を張って応援できる、対等な家族になりたいの」
ジュドー
「リィナ……」
リィナ
「お兄ちゃんは、自分の夢のために木星へ行くんでしょう? 広い宇宙で、新しい人間たちの可能性を見に行くんしょう? だったら、迷わないで前だけを見て行って! 私たちの絆は、木星の距離なんかよりもずっと深く繋がっているんだから!」
ジュドー
「(リィナを力いっぱい抱きしめ、肩を震わせる)ああ……! ああ、そうだとも! ありがとう、リィナ……! お前は世界一自慢の、俺の妹だ!!」
(シューターの警報音が鳴り響き、木星往還船ジュピトリスIIの最終出港カウントダウンのアナウンスが艦内に響き渡る)
『警告。木星往還船ジュピトリスII、出港まであと60分。搭乗員および乗客は、ただちに第3ハッチへ移動してください』
ルー
「(ジュドーの背中をポンと強く叩く)さあ、行きましょうジュドー。アタシたちの新しい航海が始まるわ」
ジュドー
「(袖で涙を雑に拭い、力強い足取りでハッチへと踏み出す)おう! 行こう、ルー! ……リィナ、みんな、行ってくるぜ!!」
(ジュドーとルーの足音がタラップを駆け上がっていく。そして、アーガマの通信室に残されたメインコンソールが自動タイマーによって起動し、全宇宙へ向けた最後の自主送信枠が、静かにカウントダウンを開始する)