魔法の才能ゼロの令嬢に最強ジジイが科学を教えたら?→A.めっちゃ無双する:【才無し侯爵令嬢と魔法ジジイの科学革命】 作:Koh_novel
「もしかして、ミルク苦手?」
ピリカが覗き込んだ。アリサの顔が、わずかに赤くなった。
「……すみません。ミルクでお腹がごろごろする体質でして……」
「ほう、それは悪いことをした」
グリモワルドが言った。——次の瞬間、アリサのコップから褐色の液体が浮き上がった。
ミルクとコーヒーの混合液が、空中で球体になる。
球体が回り始めた。——速い。どんどん速くなる。
超高速回転。球体の中で、白と茶色が分離していく。遠心力で重さの違う液体が分かれている——外側に褐色のコーヒー、内側に白いミルク。
数秒で、完全に二層に分かれた。
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グリモワルドが片手を動かした。外側の褐色の殻がするりと剥がれて、横で別の球体になる。内側の白いミルクはそのまま宙に浮いている。
——ミルクの球が、グリモワルドのコップ、コーヒーの球が、アリサのコップに戻ろうとして——
止まった。
グリモワルドが、いたずらを思いついたようなニヤリとした顔をしている。
——ミルクもコーヒーも、両方まとめて、結局アリサのコップに戻した。
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「ほれ、今の分離、やってみい」
「え!? えええ!?」
アリサが目を見開いた。
ピリカは内心で笑った。——お師匠様、アリサがどこまで出来るか、雑に試そうとしてるなぁ。
「大丈夫、なんか失敗してもお師匠様がなんとかしてくれるよ」
「で、でも、今の——」
「ええから、やってみい。わしの弟子になるんじゃろ?」
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アリサが、コップの前で手を構えた。
「風よ、下より支えて——」
集中している。——コップの中の液体が、ゆっくりと浮き上がった。
球体になる。——ここまでは良い。
——ふ、浮遊魔法を維持したまま……もう一つ。
アリサの額に汗が滲んだ。
「風よ、巻け——」
回転が始まった。速くなっていく。
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だが。
回転がさらに加速した瞬間——球体が横に膨らんで、上下に潰れた。コマのように赤道が広がっていく。
制御が外れた。
コーヒーが飛び散った。
——褐色の飛沫が、四方八方に。壁に。天井に。棚に。床に向かって。
アリサが息を呑んだ。顔が真っ青になっている。
「す、すみませ——」
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グリモワルドが、片手を上げた。
全ての雫が、空中で静止した。
壁に向かっていた飛沫も。天井に飛んでいた雫も。アリサの顔の横を通り過ぎようとしていた一滴も。——全て、ぴたりと止まっている。
アリサは呆然と周りを見回した。大小無数の褐色の雫が、部屋中に浮かんでいる。宝石のように光を受けて、きらきらと揺れている。
「…………」
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「かっか」
グリモワルドが笑った。
「初めての見様見真似でそこまでとは、やはりかなり筋が良いのう。事象もよく観察しておる——コーヒーをぶちまけるのも、なかなか懐かしい光景じゃった」
「も、申し訳ありません……」
「わしがやらせたんじゃ、謝ることはないわい。最近のピリカなんぞ毎日何かしら爆破しとったぞ」
「お師匠様、それ言う必要あります?」
「事実じゃろうが」
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グリモワルドが軽く手を振った。
部屋中に浮かんでいた雫が動き始める。白い雫と褐色の雫に分かれていく——飛び散った状態のまま、全ての雫からミルクとコーヒーを分離している。
ミルクの雫は集まって一つの球になり、グリモワルドのコップに落ちた。コーヒーの雫はアリサのコップに戻っていく。一滴残らず、綺麗に。
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グリモワルドが何気なく聞いた。
「そうだ、砂糖はいるか?」
アリサは、その老人の穏やかな横顔を見つめながら思った。
——今見たものの全てが、この人にとっては些事なのだ。
AKA_AKA_AKAさん、readonly3さんより、高評価をいただきましたーー!!!
ありがてぇ、ありがてぇ、、、( ; ; )
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