魔法少女はギャルじゃない! 【魔法少女ユメミ97】   作:葛川忍

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 「いひッ♡♡♡ あはッ♡♡♡ あはははははッ♡♡♡ えほッおろおおおおおおおおッッッッッ♡♡♡」

 

 愛華の隠れたロッカーの外ではまたひとり、またひとりと生徒の断末魔が響いている。

 

4階には20数人残っていたが、異常を前に逃げることができたのはせいぜい3人だけだった。

その3人に愛華と安戸は含まれていない。

 

 「あっ_______あ」

 

 愛華の神経は限界に達していた。

スカートに暗い染みが広がり、布を小刻みに打つ音と共に脚を温かなしぶきが小さな池を生み出してゆく。

 

 「あ_____________う」

 

 安戸奏名は死んではいないようだった。

血が流がされていたわけではなく、生命維持に関わる場所はすべて無事に見えた。

しかし、あれでは仮に生き延びたとしてももう元には戻れないだろう。

身体が動くことと生きていることは同義ではない。

 

 「あ____」

 

 愛華は眩暈に襲われ、頭が2度3度大きく揺れる。

極度のストレスのため貧血を起こしたのだろう。

そしてそのまま立っていられなくなり、前に身体が傾く。

 

 「_________あ」

 

 ロッカーの扉が破裂するような音と共に開き、愛華は無防備にその身を廊下に晒してしまう。

 

その輪郭を奇妙な眼球が捉えた。

 

 「トゥルルルルルルルル、トゥルルルルルルルルル」

 

 黒いスーツで全身を包んだような姿の人に似た姿を持ち人ならざる宇宙からの凌辱者。テンタル星人であった。

 

 「_____あは________あはは」

 

 一種の防衛反応だろう。愛華は笑いの役割を果たさない笑顔を浮かべた。

見ると廊下の壁から超常の原理で生やされた触手により生徒たちが磔にされ淫獄のオブジェと化している。

 

 「ピィィィィィィィィィィ___________」

 

 テンタル星人は愛華に逃走する意志がないのを知ると、いきなり全身を絡めとるようにはせず、緩慢に触手を伸ばす。

反応を楽しもうとしているのかもしれない

 

 「____あ、やだぁ……」

 

 愛華のルーズソックスに触手が巻き付く。

無様に股を開かされ、光沢をもつピンクのTバックが外に晒された。

赤子が()()()を変えられるような、酷く屈辱的な姿勢にも関わらず愛華は抵抗する気力を奪われイヤイヤと首を振って怯えるしかできない。

 

 「…………お願い、………………助けて」

 

 絞りだすように漏れる愛華の哀願。

実際、壊されずに済むのであれば愛華はどんなことでもしただろう。

しかし相手は外宇宙から来た悪意であった。

下等次元にいる地球人の哀願など、虫の声程度にしか聞こえていないのではないか。

 

テンタル星人は眼球で愛華のアンダーラインを凝視すると、極めて太いタール色の触手をその守られた場所にあてがった。

 

先ほど愛華の目の前で()()()()()()()()と同じである。

 

 「やだ………………やだよぉ」

 

 これから自分の身に起きる事を受け入れられず愛華は目をつむって顔を手で覆った。

 

愛華もここで終わる。

今もうめき声をあげオブジェと化した他の生徒と同じように、そして安戸奏名のように。

 

終わるはずだった。

 

 「トゥル、?」

 

 校舎の窓ガラスが割れる音。

陽光を反射してキラキラと輝く硝子の破片。

虹色の光に覆われた人の形をしたなにか。

 

 「トゥル、ル!? ピィイイイイイイイイイイ!?」

 

 突然空間に切り込んできた何かに蹴り飛ばされたか、テンタル星人は正反対の廊下まで吹き飛ばされ壁に叩きつけられた。

 

 「キモイんだよマジでさ。ほんと、キモイ!」

 

 虹色の光の膜が溶けるように消えてゆき、魔法少女のコスチュームに身を包んだ少女が現れた。

 

闇にして宇宙(そら)、宇宙にして夢、夢の中の希望。

魔法少女ユメミであった。

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