戦姫絶唱シンフォギア 雪音クリスは幸せになりたい   作:牛☆大権現

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「歌を継ぐ者」

蓬莱山地下神殿。

 

 

巨大祭壇。

 

 

七つの座。

 

 

六人の後継者達。

 

 

蒼。

 

 

レイ。

 

 

薫。

 

 

ノア。

 

 

ミナ。

 

 

リリィ。

 

 

全員苦しんでいた。

 

 

術式。

 

 

寿命吸収。

 

 

いや。

 

 

違う。

 

 

エルフナインの顔色が変わる。

 

 

研究室。

 

 

モニター。

 

 

異常値。

 

 

「違います!」

 

 

全員が振り返る。

 

 

「寿命だけじゃありません!」

 

 

 

「何だと!?」

 

 

翼。

 

 

 

エルフナインは震える指で画面を拡大する。

 

 

 

後継者達のギア。

 

 

 

ガングニール。

 

 

アメノハバキリ。

 

 

イチイバル。

 

 

イガリマ。

 

 

シュルシャガナ。

 

 

アガートラーム。

 

 

 

全て。

 

 

黒く染まっていく。

 

 

 

「侵食されています・・・!」

 

 

 

静寂。

 

 

 

未来が息を呑む。

 

 

 

「侵食?」

 

 

 

「徐福の術式が」

 

 

 

「シンフォギアそのものを書き換えています!」

 

 

 

地下神殿。

 

 

 

レイが叫ぶ。

 

 

 

胸のペンダント。

 

 

 

イチイバル。

 

 

 

ひび割れていく。

 

 

 

「な・・・!」

 

 

 

蒼も。

 

 

薫も。

 

 

全員。

 

 

 

後継者達のシンフォギアが崩れていく。

 

 

 

「やめろォォォ!!」

 

 

 

蒼が叫ぶ。

 

 

 

ガングニールが砕ける。

 

 

 

レイが拳を握る。

 

 

 

イチイバルが崩れる。

 

 

 

彼女達の夢。

 

 

誇り。

 

 

託された歌。

 

 

 

全て。

 

 

壊されていく。

 

 

 

その時。

 

 

徐福が静かに言う。

 

 

 

「安心しなさい」

 

 

 

全員が睨む。

 

 

 

「お前達は無駄にならない」

 

 

 

「ふざけるな!」

 

 

 

レイが叫ぶ。

 

 

 

「これは先輩から受け継いだんだ!」

 

 

 

「お前なんかに!」

 

 

 

「奪わせるか!」

 

 

 

徐福の目が少し揺れる。

 

 

 

受け継ぐ。

 

 

 

その言葉。

 

 

 

昔。

 

 

自分には無かった。

 

 

 

その頃。

 

 

基地。

 

 

 

クリスがモニターを見る。

 

 

 

レイ。

 

 

 

苦しんでいる。

 

 

 

胸が痛い。

 

 

 

どうにもならない。

 

 

 

変身できない。

 

 

 

助けられない。

 

 

 

その時。

 

 

 

「先輩」

 

 

 

ひまり。

 

 

 

神獣鏡を握る。

 

 

 

「レイさん達・・・」

 

 

 

震えている。

 

 

 

クリスは歯を食いしばる。

 

 

 

「助ける」

 

 

 

小さく呟く。

 

 

 

「絶対に」

 

 

 

だが。

 

 

方法がない。

 

 

 

その時だった。

 

 

 

エルフナインが立ち上がる。

 

 

 

静寂。

 

 

 

誰も気付かなかった。

 

 

 

彼女だけが。

 

 

 

ずっと解析していた。

 

 

 

ずっと。

 

 

 

諦めずに。

 

 

 

そして。

 

 

 

言った。

 

 

 

「方法があります」

 

 

 

全員が固まる。

 

 

 

クリスが振り返る。

 

 

 

「は?」

 

 

 

翼。

 

 

 

「あるのか」

 

 

 

マリア。

 

 

 

「今あると言ったか?」

 

 

 

エルフナインは頷く。

 

 

 

震えていた。

 

 

 

怖いからじゃない。

 

 

 

興奮していた。

 

 

 

研究者だから。

 

 

 

「私は」

 

 

 

深呼吸。

 

 

 

「ずっと作っていました」

 

 

 

モニター起動。

 

 

 

七つの設計図。

 

 

 

誰も見たことがない。

 

 

 

新しいギア。

 

 

 

「後継者達のギアをベースにした」

 

 

 

「第二世代再構築型シンフォギアです」

 

 

 

静寂。

 

 

 

響が立ち上がる。

 

 

 

翼も。

 

 

 

クリスも。

 

 

 

全員。

 

 

 

引退したはずの装者達。

 

 

 

もう歌わないはずだった。

 

 

 

それなのに。

 

 

 

モニターには。

 

 

 

再び歌うための翼が映っている。

 

 

 

クリスは呆然と見つめる。

 

 

 

イチイバル。

 

 

 

自分の歌。

 

 

 

もう終わったはずの歌。

 

 

 

エルフナインが言う。

 

 

 

「適合試験は終わっています」

 

 

 

「皆さんなら装着可能です」

 

 

 

静寂。

 

 

 

誰も喋らない。

 

 

 

そして。

 

 

響が笑った。

 

 

 

「あはは」

 

 

 

「引退したのにね」

 

 

 

翼も笑う。

 

 

 

「全くだ」

 

 

 

マリアも。

 

 

 

調も。

 

 

 

切歌も。

 

 

 

未来も。

 

 

 

そして。

 

 

クリス。

 

 

 

ゆっくりと立ち上がる。

 

 

 

モニターの向こう。

 

 

 

苦しむレイ。

 

 

 

その姿を見る。

 

 

 

「レイ」

 

 

 

小さく呟く。

 

 

 

そして。

 

 

 

「司令」

 

 

 

玄十郎を見る。

 

 

 

玄十郎は頷く。

 

 

 

ただ一度。

 

 

 

それだけで十分だった。

 

 

 

クリスは笑う。

 

 

 

久しぶりに。

 

 

 

戦う時の顔で。

 

 

 

「仕方ねぇな」

 

 

 

「もう一回だけ歌ってやる」

 

 

 

その瞬間。

 

 

 

遠く離れた蓬莱山。

 

 

 

砕けたはずのイチイバルが。

 

 

 

一瞬だけ。

 

 

 

光った。

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