戦姫絶唱シンフォギア 雪音クリスは幸せになりたい   作:牛☆大権現

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「差し伸べられた手」

S.O.N.G本部。

 

 

研究棟。

 

 

警報。

 

 

赤色灯。

 

 

新型イチイバル。

 

 

暴走。

 

 

無数の砲門。

 

 

天井を埋め尽くす。

 

 

 

♪HaHa!! さあIt’s show time

 

 

クリスの歌声。

 

 

荒れている。

 

 

悲鳴みたいだった。

 

 

 

響が前へ出る。

 

 

「クリスちゃん!」

 

 

 

砲門展開。

 

 

 

轟音。

 

 

 

響が吹き飛ぶ。

 

 

 

「ぐっ!」

 

 

 

ガングニール展開。

 

 

しかし。

 

 

新型ギア。

 

 

不安定。

 

 

 

感情増幅。

 

 

響も限界だった。

 

 

 

「止まれない・・・!」

 

 

 

守りたい。

 

 

 

みんなを。

 

 

 

その願いが。

 

 

 

暴走寸前。

 

 

 

翼も。

 

 

マリアも。

 

 

調も。

 

 

切歌も。

 

 

全員同じ。

 

 

 

だから。

 

 

 

止められない。

 

 

 

その時。

 

 

 

クリスが叫ぶ。

 

 

 

「信じたんだぞ!!」

 

 

 

静寂。

 

 

 

誰も動けない。

 

 

 

「アイツは!」

 

 

 

「信じてたんだ!!」

 

 

 

レイ。

 

 

 

『信じてますから』

 

 

 

最後の言葉。

 

 

 

クリスの瞳から涙。

 

 

 

それでも。

 

 

 

歌は止まらない。

 

 

 

♪大人とか・・・信じられるか?

 

 

 

その歌詞。

 

 

 

一期。

 

 

 

誰も信じられなかった頃。

 

 

 

孤独だった頃。

 

 

 

クリス自身。

 

 

 

気付いていない。

 

 

 

今。

 

 

 

レイを失ったことで。

 

 

 

昔へ戻っている。

 

 

 

その時。

 

 

 

玄十郎が歩き出す。

 

 

 

全員が振り返る。

 

 

 

「司令!」

 

 

 

翼。

 

 

 

止めない。

 

 

 

なぜなら。

 

 

 

分かっている。

 

 

 

これは。

 

 

 

司令しか出来ない。

 

 

 

玄十郎は進む。

 

 

 

砲撃。

 

 

 

直撃。

 

 

 

肩。

 

 

 

血。

 

 

 

それでも止まらない。

 

 

 

クリスは見ていない。

 

 

 

見えていない。

 

 

 

レイしか。

 

 

 

見えていない。

 

 

 

玄十郎は近付く。

 

 

 

そして。

 

 

 

言った。

 

 

 

「約束を破ったのか」

 

 

 

クリスが固まる。

 

 

 

砲門停止。

 

 

 

ほんの一瞬。

 

 

 

「・・・え?」

 

 

 

玄十郎は続ける。

 

 

 

「お前は」

 

 

 

「レイとの約束を破ったのか」

 

 

 

静寂。

 

 

 

クリスの瞳が揺れる。

 

 

 

「違う・・・」

 

 

 

「違う」

 

 

 

「助けようとした・・・!」

 

 

 

叫ぶ。

 

 

 

「助けたかったんだ!」

 

 

 

初めて。

 

 

 

本音。

 

 

 

「助けたかった!」

 

 

 

「助けられなかった!!」

 

 

 

泣きながら。

 

 

 

叫ぶ。

 

 

 

その姿。

 

 

 

誰も見たことがない。

 

 

 

玄十郎は言う。

 

 

 

「そうだな」

 

 

 

否定しない。

 

 

 

責めない。

 

 

 

「お前は助けようとした」

 

 

 

「誰よりも」

 

 

 

一歩。

 

 

 

また一歩。

 

 

 

近付く。

 

 

 

「なら」

 

 

 

「レイは何と言う」

 

 

 

静寂。

 

 

 

クリスが固まる。

 

 

 

頭の中。

 

 

 

レイ。

 

 

 

笑っている。

 

 

 

訓練場。

 

 

 

射撃場。

 

 

 

失敗。

 

 

 

怒鳴られる。

 

 

 

でも。

 

 

 

最後まで付き合ってくれた。

 

 

 

その先輩を。

 

 

 

レイは知っている。

 

 

 

『先輩』

 

 

 

幻聴。

 

 

 

『そんな人じゃないでしょ』

 

 

 

涙。

 

 

 

砲門が一つ。

 

 

 

消える。

 

 

 

玄十郎はさらに近付く。

 

 

 

そして。

 

 

 

言う。

 

 

 

「帰ってこい」

 

 

 

第20話と同じ。

 

 

 

でも。

 

 

 

今回は違う。

 

 

 

クリスは。

 

 

 

一人じゃない。

 

 

 

響。

 

 

 

翼。

 

 

 

未来。

 

 

 

みんながいる。

 

 

 

レイも。

 

 

 

いないわけじゃない。

 

 

 

信じている。

 

 

 

今も。

 

 

 

その時。

 

 

 

砲門消失。

 

 

 

イチイバル停止。

 

 

 

歌が途切れる。

 

 

 

♪否定してやる・・・

 

 

 

最後まで歌えない。

 

 

 

クリスの膝が崩れる。

 

 

 

玄十郎が支える。

 

 

 

静寂。

 

 

 

誰も喋らない。

 

 

 

その時。

 

 

 

研究室。

 

 

 

エルフナイン。

 

 

 

モニターを見ていた。

 

 

 

そして。

 

 

 

固まる。

 

 

 

「・・・あれ?」

 

 

 

全員振り返る。

 

 

 

「どうした!」

 

 

 

翼。

 

 

 

エルフナインの声。

 

 

 

震えている。

 

 

 

「生命反応です」

 

 

 

静寂。

 

 

 

「消えてません」

 

 

 

全員が固まる。

 

 

 

「え?」

 

 

 

クリス。

 

 

 

顔を上げる。

 

 

 

モニター。

 

 

 

蓬莱山。

 

 

 

微弱。

 

 

 

本当に微弱。

 

 

 

だが。

 

 

 

レイ。

 

 

 

蒼。

 

 

 

薫。

 

 

 

全員。

 

 

 

まだ。

 

 

 

生きている。

 

 

 

静寂。

 

 

 

クリスの瞳から。

 

 

 

涙。

 

 

 

今度は。

 

 

 

絶望じゃない。

 

 

 

希望だった。

 

 

 

そして。

 

 

 

遠く。

 

 

 

徐福が目を開く。

 

 

 

水鏡。

 

 

 

映るクリス。

 

 

 

暴走は止まった。

 

 

 

老人は。

 

 

 

少しだけ。

 

 

 

寂しそうに笑った。

 

 

 

「そうか」

 

 

 

「お前は」

 

 

 

「そこへ戻るのか」

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