戦姫絶唱シンフォギア 雪音クリスは幸せになりたい   作:牛☆大権現

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「託された歌」

S.O.N.G本部。

 

 

静かな朝だった。

 

 

久しぶりに。

 

 

誰も喋らない。

 

 

 

クリスは医務室にいた。

 

 

 

ベッド。

 

 

 

怪我ではない。

 

 

 

新型イチイバル。

 

 

 

暴走の反動。

 

 

 

身体中が重い。

 

 

 

その時。

 

 

 

扉。

 

 

 

開く。

 

 

 

玄十郎だった。

 

 

 

「起きていたか」

 

 

 

クリスは顔を逸らす。

 

 

 

少し気まずい。

 

 

 

昨夜。

 

 

 

泣いた。

 

 

 

しかも。

 

 

 

司令の前で。

 

 

 

最悪だった。

 

 

 

玄十郎は何も言わない。

 

 

 

ただ。

 

 

 

缶コーヒーを置く。

 

 

 

「甘いぞ」

 

 

 

「子供扱いすんな」

 

 

 

「していない」

 

 

 

少しだけ笑う。

 

 

 

沈黙。

 

 

 

だが。

 

 

 

前の沈黙とは違う。

 

 

 

苦しくない。

 

 

 

玄十郎が言う。

 

 

 

「レイは生きている」

 

 

 

クリスが頷く。

 

 

 

「分かってる」

 

 

 

今度は信じられる。

 

 

 

レイが。

 

 

 

そう簡単に諦めないことを。

 

 

 

誰より知っているから。

 

 

 

その頃。

 

 

 

蓬莱山。

 

 

 

祭壇。

 

 

 

六人。

 

 

 

拘束。

 

 

 

苦しい。

 

 

 

それでも。

 

 

 

まだ生きている。

 

 

 

レイが目を開く。

 

 

 

「・・・」

 

 

 

遠い。

 

 

 

意識が霞む。

 

 

 

その時。

 

 

 

蒼が笑った。

 

 

 

「なぁ」

 

 

 

「何だよ」

 

 

 

「先輩達」

 

 

 

少し笑う。

 

 

 

「来るな」

 

 

 

全員吹く。

 

 

 

「お前昨日まで」

 

 

 

「来るって言ってただろ」

 

 

 

ノア。

 

 

 

レイも笑う。

 

 

 

「来るよ」

 

 

 

即答。

 

 

 

「でも」

 

 

 

静寂。

 

 

 

「今度はアタシ達もやる」

 

 

 

その目。

 

 

 

強い。

 

 

 

憧れるだけじゃない。

 

 

 

継ぐ者の目。

 

 

 

その頃。

 

 

 

研究室。

 

 

 

エルフナイン。

 

 

 

解析完了。

 

 

 

全員集合。

 

 

 

モニター。

 

 

 

巨大術式。

 

 

 

七つの聖遺物反応。

 

 

 

徐福の計画。

 

 

 

ついに全貌が見える。

 

 

 

「蓬莱機関」

 

 

 

静寂。

 

 

 

「これが術式名です」

 

 

 

翼が眉をひそめる。

 

 

 

「蓬莱」

 

 

 

「不老不死伝説です」

 

 

 

エルフナインが頷く。

 

 

 

「七つのシンフォギアを核に」

 

 

 

「人類全体の生命力を循環させる」

 

 

 

静寂。

 

 

 

誰も言葉を失う。

 

 

 

つまり。

 

 

 

死がなくなる。

 

 

 

老いもなくなる。

 

 

 

徐福の夢。

 

 

 

完成形。

 

 

 

「馬鹿げてる」

 

 

 

クリスが呟く。

 

 

 

エルフナインは首を振る。

 

 

 

「理論上は可能です」

 

 

 

だから怖い。

 

 

 

その時。

 

 

 

未来が聞く。

 

 

 

「完成したら?」

 

 

 

静寂。

 

 

 

エルフナインは答える。

 

 

 

「世界が止まります」

 

 

 

誰も喋らない。

 

 

 

生まれない。

 

 

 

死なない。

 

 

 

変わらない。

 

 

 

永遠。

 

 

 

でも。

 

 

 

未来はない。

 

 

 

その言葉。

 

 

 

クリスの中で何かが繋がる。

 

 

 

レイ。

 

 

 

ひまり。

 

 

 

後輩達。

 

 

 

未来。

 

 

 

歌。

 

 

 

全部。

 

 

 

受け継がれてきた。

 

 

 

だから今がある。

 

 

 

もし永遠なら。

 

 

 

レイも生まれない。

 

 

 

ひまりもいない。

 

 

 

歌も続かない。

 

 

 

その時。

 

 

 

クリスが立ち上がる。

 

 

 

「止めるぞ」

 

 

 

全員が見る。

 

 

 

「絶対に」

 

 

 

静かな声だった。

 

 

 

怒りじゃない。

 

 

 

憎しみでもない。

 

 

 

決意。

 

 

 

第22話とは違う。

 

 

 

徐福を否定するためじゃない。

 

 

 

未来を守るため。

 

 

 

その頃。

 

 

 

蓬莱山。

 

 

 

祭壇。

 

 

 

レイが目を閉じる。

 

 

 

そして。

 

 

 

小さく呟く。

 

 

 

「先輩」

 

 

 

クリスじゃない。

 

 

 

もう一人。

 

 

 

司令。

 

 

 

風鳴弦十郎。

 

 

 

「頼みますよ」

 

 

 

静かに笑う。

 

 

 

その顔は。

 

 

 

憧れる後輩ではなく。

 

 

 

未来を託す戦士だった。

 

 

 

そして。

 

 

 

祭壇最深部。

 

 

 

徐福が立ち上がる。

 

 

 

巨大術式。

 

 

 

進行率。

 

 

 

九十九パーセント。

 

 

 

あと一歩。

 

 

 

本当に。

 

 

 

あと一歩。

 

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