戦姫絶唱シンフォギア 雪音クリスは幸せになりたい   作:牛☆大権現

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「再び歌う」

S.O.N.G本部・発進デッキ。

 

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七人が並ぶ。

 

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響。

 

翼。

 

クリス。

 

マリア。

 

調。

 

切歌。

 

未来。

 

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全員の胸には、新しいペンダント。

 

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エルフナインが深呼吸する。

 

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「皆さん」

 

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「このシンフォギアは、未完成です」

 

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誰も頷かない。

 

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そんなことは知っている。

 

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エルフナインは続ける。

 

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「ですが……」

 

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「今の私にできる、全部です」

 

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静かな言葉だった。

 

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クリスが一歩前に出る。

 

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ペンダントを握る。

 

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「十分だ」

 

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「ここまで作ってくれたんだ」

 

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「文句なんかねぇよ」

 

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エルフナインの目に涙が浮かぶ。

 

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「ありがとうございます……」

 

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玄十郎が全員を見渡す。

 

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「諸君」

 

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「行こう」

 

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その一言だけだった。

 

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全員が頷く。

 

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長野県・蓬莱山麓

 

ヘリが低空飛行を続ける。

 

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地下神殿まであと数分。

 

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突然。

 

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「敵影!」

 

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緒川の声。

 

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山肌から無数の護符が舞い上がる。

 

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仙道たち。

 

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待ち伏せだった。

 

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「来たか」

 

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玄十郎が立ち上がる。

 

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しかし。

 

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今度はクリスが止めた。

 

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「待て」

 

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玄十郎が振り返る。

 

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クリスは少し笑った。

 

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「今度はアタシらの番だ」

 

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静かな笑みだった。

 

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玄十郎も笑う。

 

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「……そうだな」

 

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彼は座り直した。

 

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読者には分かる。

 

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これは信頼だ。

 

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「全部一人で背負うな」

 

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そう伝わった。

 

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空中戦

 

ハッチが開く。

 

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七人が飛び出す。

 

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「――歌いますッ!」

 

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七人の歌が重なる。

 

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光。

 

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新しいシンフォギアが展開する。

 

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響の拳。

 

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翼の翼。

 

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クリスの砲門。

 

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未来の神獣鏡。

 

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それぞれの意匠は旧ギアを受け継ぎながらも、エルフナインが再設計した新しい装甲だった。

 

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「これが……!」

 

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切歌が笑う。

 

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「新しいギアデス!」

 

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戦闘開始。

 

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新ギアは強かった。

 

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圧倒的だった。

 

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仙道たちは次々と倒れていく。

 

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クリスの砲撃が山肌を穿つ。

 

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響の拳が結界を砕く。

 

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未来の神獣鏡が敵術式を浄化していく。

 

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順調だった。

 

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順調すぎた。

 

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その時。

 

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クリスの耳に声が聞こえた。

 

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『また失うぞ』

 

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動きが止まる。

 

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誰の声だ。

 

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『守れなかっただろう』

 

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徐福ではない。

 

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自分自身の声だった。

 

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砲門の出力が跳ね上がる。

 

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エルフナインが叫ぶ。

 

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「クリスさん!」

 

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「フォニックゲインが!」

 

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クリスは歯を食いしばる。

 

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「……大丈夫だ」

 

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「今度は抑えられる」

 

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しかし。

 

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響にも異変。

 

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未来にも。

 

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全員の出力が上昇していく。

 

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新ギアは奏者の感情を増幅する。

 

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それは消えた欠陥ではなかった。

 

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「乗り越えたと思い込んでいた感情」を暴き出す欠陥だった。

 

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翼は父を。

 

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マリアはナスターシャを。

 

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調と切歌は互いを。

 

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未来は響を。

 

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クリスはレイと玄十郎を。

 

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守りたい。

 

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その想いが。

 

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強さへ。

 

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そして執着へ。

 

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変わり始める。

 

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エルフナインが青ざめる。

 

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「駄目です!」

 

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「このままでは!」

 

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その瞬間。

 

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未来の神獣鏡が光る。

 

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柔らかな金色の光。

 

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暴走したフォニックゲインを少しだけ鎮める。

 

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「……!」

 

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エルフナインが目を見開く。

 

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「神獣鏡が……調律している?」

 

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完全には止められない。

 

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だが。

 

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暴走を遅らせている。

 

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未来が息を切らしながら呟く。

 

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「急いで……」

 

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「このままじゃ、またみんなが……!」

 

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その時。

 

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蓬莱山の山頂。

 

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徐福が静かに目を開く。

 

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「完成したか」

 

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その視線の先。

 

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新たなシンフォギア。

 

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七つの光。

 

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徐福は静かに笑った。

 

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「では」

 

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「こちらも始めよう」

 

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巨大な蓬莱機関が脈動を始める。

 

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山全体が歌うように震えた。

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