戦姫絶唱シンフォギア 雪音クリスは幸せになりたい 作:牛☆大権現
蓬莱山最深部。
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石門が開く。
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轟音。
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空気が変わる。
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冷たい。
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いや。
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時間そのものが。
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止まったようだった。
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誰も動けない。
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響も。
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翼も。
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クリスも。
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ただ。
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巨大な石門を見る。
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その奥。
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黒でも白でもない。
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透明な巨大結晶。
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七つのシンフォギア。
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その残響を核に。
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脈動していた。
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エルフナインが震える。
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「これが……」
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「蓬莱機関」
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モニター解析。
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一瞬。
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止まる。
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演算不能。
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「そんな……」
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「理論が成立してしまっている……」
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未来が振り返る。
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「どういうこと?」
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エルフナインは答える。
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「これは兵器じゃありません」
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「世界そのものを書き換える装置です」
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静寂。
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徐福が静かに歩く。
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杖を突きながら。
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「二千年」
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「私は一人の女を救えなかった」
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初めて。
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自分から話し始めた。
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誰も遮らない。
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「戦乱だった」
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「病だった」
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「医術では届かなかった」
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「歌も」
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「祈りも」
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「何も届かなかった」
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クリスは黙って聞く。
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「だから決めた」
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「二度と」
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「誰も失わない世界を作ると」
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蓬莱機関が脈動する。
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世界中のフォニックゲインが吸い寄せられていく。
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エルフナインが叫ぶ。
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「まずい!」
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「全世界の歌が!」
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「蓬莱機関へ集まっています!」
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響が拳を握る。
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「止める!」
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飛び出そうとする。
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しかし。
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クリスが止めた。
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「待て」
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全員が振り向く。
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クリスは徐福を見ていた。
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「アンタ」
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「まだ諦めてねぇんだな」
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徐福は笑う。
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「諦められるものか」
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「愛したのだから」
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その一言。
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クリスの胸が痛む。
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もし。
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玄十郎が死んだら。
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自分も。
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同じことを考えるかもしれない。
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否定できない。
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だから。
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怒鳴れない。
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代わりに。
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静かに言う。
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「でも」
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「その人は」
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「そんな世界を望んだのか」
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初めて。
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徐福の表情が止まる。
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沈黙。
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李天華も。
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息を呑む。
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「聞いたのか」
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「本人に」
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クリスは続ける。
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「死なない世界なんて」
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「その人は本当に幸せだったのか」
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長い沈黙。
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徐福は答えない。
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答えられない。
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二千年間。
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一度も。
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考えたことがなかった。
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その瞬間。
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地下祭壇。
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レイ達六人。
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拘束されたまま。
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歌い始める。
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小さく。
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震える声で。
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それは。
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戦う歌じゃない。
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訓練の時。
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何度も歌った。
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基礎旋律。
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七人のフォニックゲインが重なる。
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神獣鏡が共鳴。
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未来とひまりの声が重なる。
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「繋がった!」
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神獣鏡が。
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蓬莱機関の制御へ割り込む。
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エルフナインが叫ぶ。
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「今です!」
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「術式が乱れました!」
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響が拳を構える。
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翼が刀を抜く。
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マリアが槍を構える。
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調。
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切歌。
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未来。
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そして。
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クリス。
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イチイバルを静かに構える。
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今度は。
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怒りじゃない。
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憎しみじゃない。
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「迎えに行くぞ」
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その一言。
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通信の向こう。
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レイが笑う。
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「はい」
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その笑顔を見た瞬間。
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クリスはようやく笑った。
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「待ってろ」
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「今度は絶対」
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「置いていかねぇ」
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その時。
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蓬莱機関が唸りを上げる。
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巨大結晶が砕ける。
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中から現れたのは、
人でも神でもない。
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七つのシンフォギアの歌を喰らい、
永遠を維持するためだけに生まれた、
蓬莱機関の中核生命体。
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徐福は静かに目を閉じた。
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「これが」
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「私の罪だ」
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怪物が咆哮する。
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七人の装者は武器を構える。
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そして、
物語はついに最終決戦へ突入する。