戦姫絶唱シンフォギア 雪音クリスは幸せになりたい   作:牛☆大権現

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「継がれた歌」

夜。

 

 

海上コンテナ群の中心。

 

巨大な結界。

 

 

蓬莱山。

 

 

初の大規模作戦。

 

 

作戦室。

 

 

元装者達が並ぶ。

 

 

響。

 

未来。

 

翼。

 

マリア。

 

切歌。

 

調。

 

クリス。

 

 

そして。

 

 

モニターの向こう。

 

 

七人の後継者。

 

 

立花蒼。

 

東雲レイ。

 

風鳴薫。

 

御影ノア。

 

久遠ミナ。

 

天城リリィ。

 

九条ひまり。

 

 

今のシンフォギア。

 

 

「絶対帰ってこい」

 

 

響が言う。

 

 

蒼が笑う。

 

 

「先生みたいなこと言うなよ」

 

 

「先生だからね!」

 

 

皆が笑う。

 

 

その空気に。

 

 

クリスも少しだけ安心していた。

 

 

レイなら大丈夫。

 

 

そう思っていた。

 

 

 

戦闘開始。

 

 

護符の嵐。

 

 

仙道達。

 

 

しかし。

 

 

新世代は強かった。

 

 

蒼の拳。

 

 

薫の剣。

 

 

レイの砲撃。

 

 

連携も取れている。

 

 

元装者達も笑う。

 

 

順調。

 

 

そう思った。

 

 

徐福が現れるまでは。

 

 

 

老人は海の上に立っていた。

 

 

ただ立っているだけ。

 

 

なのに。

 

 

誰も動けない。

 

 

「良い」

 

 

静かな声。

 

 

「実に良い」

 

 

蒼が構える。

 

 

「何者だ」

 

 

徐福は答えない。

 

 

ただ。

 

 

七人を見る。

 

 

慈しむように。

 

 

悲しむように。

 

 

 

「若い」

 

 

「美しい」

 

 

「惜しい」

 

 

ひまりだけが違和感を覚える。

 

 

神獣鏡。

 

 

結界反応。

 

 

何かがおかしい。

 

 

 

「みんな下がって!」

 

 

叫ぶ。

 

 

その瞬間。

 

 

徐福が手を上げた。

 

 

世界が反転する。

 

 

 

シンフォギアが消えた。

 

 

 

「なっ!?」

 

 

レイ

 

「変身解除!?」

 

 

全員同時。

 

 

装甲が消える。

 

 

作戦室。

 

 

エルフナインが立ち上がる。

 

 

「リンク切断!」

 

 

「そんな!」

 

 

未来が叫ぶ。

 

 

エルフナインは青ざめていた。

 

 

「聖遺物との接続そのものを・・・」

 

 

「強制遮断しています・・・!」

 

 

 

戦場。

 

 

七人全員。

 

 

変身不能。

 

 

そして。

 

 

徐福の術式。

 

 

巨大な陣。

 

 

展開。

 

 

 

ひまりだけが気付く。

 

 

神獣鏡。

 

 

防御結界。

 

 

僅かに反応している。

 

 

完全には切断されていない。

 

 

 

「みんな!」

 

 

ひまりが走る。

 

 

しかし遅い。

 

 

護符の鎖。

 

 

蒼を拘束。

 

 

薫を拘束。

 

 

レイを拘束。

 

 

全員。

 

 

捕まる。

 

 

 

レイが叫ぶ。

 

 

「逃げろ!」

 

 

誰に向けてか。

 

 

ひまりへ。

 

 

 

「でも!」

 

 

「行け!」

 

 

蒼も叫ぶ。

 

 

薫も。

 

 

リリィも。

 

 

全員。

 

 

 

ひまりだけが動ける。

 

 

神獣鏡の結界。

 

 

薄い。

 

 

だがある。

 

 

 

徐福が初めて驚いた。

 

 

「ほう」

 

 

神獣鏡。

 

 

やはり。

 

 

邪魔だった。

 

 

 

「行きなさい」

 

 

徐福が言う。

 

 

ひまりが固まる。

 

 

 

「希望は必要だ」

 

 

徐福は微笑む。

 

 

「絶望には」

 

 

 

意味が分からない。

 

 

だが。

 

 

次の瞬間。

 

 

巨大な爆発。

 

 

視界が白くなる。

 

 

 

気付いた時。

 

 

ひまりは海岸に倒れていた。

 

 

一人。

 

 

 

通信。

 

 

壊れている。

 

 

 

泣きそうになる。

 

 

 

「蒼ちゃん・・・」

 

 

「レイ先輩・・・」

 

 

誰もいない。

 

 

 

その時。

 

 

優しい手。

 

 

肩に置かれる。

 

 

 

未来だった。

 

 

 

「ひまりちゃん」

 

 

 

ひまりが振り返る。

 

 

限界だった。

 

 

 

泣き崩れる。

 

 

 

「助けて・・・」

 

 

「助けてください・・・!」

 

 

 

未来は抱きしめる。

 

 

 

何も言わない。

 

 

 

ただ。

 

 

震える少女を支える。

 

 

 

その頃。

 

 

蓬莱山。

 

 

六人の後継者。

 

 

いや。

 

 

七人中六人。

 

 

眠るように並んでいる。

 

 

蒼。

 

 

レイ。

 

 

薫。

 

 

ノア。

 

 

ミナ。

 

 

リリィ。

 

 

 

徐福は静かに見下ろす。

 

 

「あと少しだ」

 

 

 

李天華が聞く。

 

 

「神獣鏡を逃がしてよろしかったのですか」

 

 

 

徐福は笑う。

 

 

 

「構わない」

 

 

 

「希望のない絶望は」

 

 

「完成しない」

 

 

 

水鏡の向こう。

 

 

クリス達。

 

 

必死に動き始める元装者達。

 

 

 

徐福は静かに目を閉じた。

 

 

「見せてもらおう」

 

 

「お前達の絆を」

 

 

 

そして作戦室。

 

 

帰還したひまりから事情を聞いたクリスは、

 

 

初めて本気で怒っていた。

 

 

レイを奪われたからではない。

 

 

 

守れなかったから。

 

 

 

その拳は震えていた。

 

 

そして。

 

 

その様子を見た玄十郎だけが、

 

何も言わずに立っていた。

 

 

彼もまた。

 

 

守れなかった一人だったから。

 

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