戦姫絶唱シンフォギア 雪音クリスは幸せになりたい   作:牛☆大権現

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「失いたくないもの」

適合者保護局特別会議室。

 

重苦しい空気だった。

 

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大型モニターには七人の写真。

 

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立花蒼。

 

東雲レイ。

 

風鳴薫。

 

御影ノア。

 

久遠ミナ。

 

天城リリィ。

 

そして九条ひまり。

 

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そのうち六人が赤色表示。

 

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行方不明。

 

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「進展は?」

 

翼が問う。

 

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エルフナインは首を振った。

 

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「居場所は特定できません」

 

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「ですが」

 

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モニターを切り替える。

 

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山脈。

 

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地下空洞。

 

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巨大な霊的反応。

 

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「おそらく長野県内です」

 

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「おそらくか」

 

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クリスが舌打ちする。

 

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エルフナインも悔しそうだった。

 

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「相手は位置情報そのものを歪めています」

 

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「普通の索敵では追えません」

 

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「普通じゃない奴なら?」

 

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その瞬間。

 

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全員が同じ人物を見た。

 

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緒川慎次。

 

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「やれます」

 

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即答だった。

 

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「忍者ですので」

 

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「便利だなお前」

 

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クリスが呆れる。

 

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緒川は真顔だった。

 

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「ありがとうございます」

 

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褒めてない。

 

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会議終了後。

 

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廊下。

 

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クリスは一人で歩いていた。

 

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眠れない。

 

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食べても味がしない。

 

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頭に浮かぶのはレイばかり。

 

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あの馬鹿弟子。

 

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ちゃんと飯食ってるか。

 

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怪我してないか。

 

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泣いてないか。

 

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そんなことばかり考える。

 

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そして。

 

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曲がり角を曲がった瞬間。

 

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誰かとぶつかりそうになる。

 

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「っと」

 

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玄十郎だった。

 

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「司令」

 

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「眠れんのか」

 

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クリスは答えない。

 

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答えなくても分かる。

 

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目の下の隈が証拠だった。

 

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玄十郎も同じだった。

 

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「アンタもじゃねえか」

 

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「そうだな」

 

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少しだけ笑う。

 

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その笑顔に。

 

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なぜか胸が苦しくなる。

 

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「心配か」

 

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玄十郎が聞く。

 

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「当たり前だろ」

 

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即答。

 

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「アタシの弟子だぞ」

 

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「そうだな」

 

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玄十郎は頷く。

 

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そして。

 

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静かに言った。

 

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「俺も心配だ」

 

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クリスは顔を上げる。

 

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「レイだけじゃない」

 

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「全員だ」

 

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「蒼も」

 

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「薫も」

 

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「リリィも」

 

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「みんな」

 

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その声には重みがあった。

 

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かつて何人もの装者を送り出した男。

 

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何度も見送った男。

 

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何度も帰ってこないかもしれないと覚悟した男。

 

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風鳴弦十郎だった。

 

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「司令」

 

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「なんだ」

 

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「アンタ」

 

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言いかける。

 

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すごいな。

 

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どうしてそんなに強いんだ。

 

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そう言おうとした。

 

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だが。

 

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玄十郎が先に言った。

 

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「強くない」

 

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クリスが固まる。

 

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「毎回怖い」

 

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「毎回だ」

 

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静かな声だった。

 

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「慣れたことなど一度もない」

 

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風が吹く。

 

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夜の屋上。

 

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二人だけ。

 

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「……そうか」

 

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クリスは小さく答えた。

 

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少しだけ。

 

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救われた気がした。

 

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その頃。

 

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医務室。

 

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ひまりはベッドの上で俯いていた。

 

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未来が隣に座る。

 

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「ご飯食べた?」

 

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ひまりは首を振る。

 

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未来は困ったように笑った。

 

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「私も昔そうだったな」

 

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「未来さんも?」

 

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「うん」

 

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未来は窓を見る。

 

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遠い月。

 

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「大切な人が危なくなるとね」

 

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「何も食べたくなくなるの」

 

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ひまりは黙る。

 

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未来は続ける。

 

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「でもね」

 

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「その人が帰ってきた時」

 

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「自分まで倒れてたら困るでしょ?」

 

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ひまりの目が少し開く。

 

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「だから食べよう」

 

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「助けに行くために」

 

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その言葉。

 

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ひまりは少しだけ頷いた。

 

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一方。

 

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蓬莱山。

 

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地下神殿。

 

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レイ達は眠れなかった。

 

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牢獄。

 

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静かな闇。

 

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その中で。

 

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徐福だけが月を見ていた。

 

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手には古い簪。

 

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何千年も持ち続けている物。

 

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レイが聞く。

 

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「それ」

 

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徐福が振り返る。

 

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「奥さんのですか」

 

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初めて。

 

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徐福の表情が揺れた。

 

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ほんの少しだけ。

 

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「なぜ分かった」

 

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「大事そうだから」

 

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徐福は黙る。

 

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長い沈黙。

 

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やがて。

 

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「そうだ」

 

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小さく答えた。

 

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「妻のものだ」

 

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レイはその横顔を見る。

 

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狂人には見えなかった。

 

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ただ。

 

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悲しい人に見えた。

 

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「会いたいんですね」

 

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徐福は目を閉じた。

 

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そして。

 

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何千年も抱えてきた本音を漏らす。

 

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「会いたい」

 

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その声だけは。

 

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あまりにも人間だった。

 

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そして研究室。

 

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徹夜していたエルフナインが突然立ち上がる。

 

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モニター。

 

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解析結果。

 

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新しい数式。

 

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新しい術式。

 

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「見つけた……!」

 

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震える声。

 

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「突破口です!」

 

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その瞬間。

 

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物語は救出編へ動き始める。

 

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