| 【注目が集まる今年のクラシック世代。大本命に推されているのはやはり?】
弥生賞をはじめとした、皐月賞の前哨戦が開催されている中、今年の3歳世代に注目が集まっている。 弥生賞2着に入り、地方から優先出走権を得たコスモバルク、若駒ステークス1着、きさらぎ賞2着でスプリングステークスを控えるブラックタイド、朝日杯2着で同じくスプリングステークスを控えるコスモサンビームなど、中々粒揃いの世代だ。
しかし、やはり最大手はメジロシャーロックで間違いない。この世代において、本馬だけは格が違うと断言できる。 これまでの戦績6戦6勝、重賞5連勝と文句のつけようがない好成績。重賞でつけた着差は実に22馬身。新馬戦を含めた場合、これが40馬身以上になるのだから圧巻だ。 モノが違う、という言葉がこれほど似合う競走馬もいない。世代戦においてあまりにも突出しすぎている。
主戦騎手を務める岳寛騎手も、メジロシャーロックの素質には太鼓判を押している。
岳寛「操縦性が抜群に良いんですよ。こっちの指示に素直に従ってくれる。それでいて真面目だし、勝ち気も凄い。スピードも高いし、スタミナもある。2000mの弥生賞でこれだけのパフォーマンスが出来るんだから、皐月賞本番も問題ない。日本ダービーだって逃げ切れる」
手放しに誉め、すでに皐月賞と日本ダービーを獲れるとまで宣言した。
調教師である生江康夫も、メジロシャーロックには惚れ込んでおり、このまま行けば問題なく勝てると断言。その笑みには不敵さが見え隠れしていた。 オーナーブリーダーである喜多野美弥も、素晴らしい馬だと絶賛。御年92歳で、ついに日本ダービーを制するメジロの馬が出たかもしれない、と大興奮のようだ。
話題を呼び続けているメジロシャーロック。皐月賞では最も注目されることは間違いないだろう。
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| 【かつての名門の期待と亡き母の思いを背負い。皐月賞にメジロシャーロック出走】
現在、日本競馬は一頭の馬に注目が集まっている。メジロラモーヌやメジロマックイーンを輩出した名門・メジロの期待馬メジロシャーロック(牡3、栗東・生江康夫厩舎)だ。 新馬戦を大差勝ちしたメジロシャーロックは勢いのままに重賞を5連勝。6戦6勝と輝かしい戦績で皐月賞に乗り込む。2着につけた差は実に40馬身以上。圧巻の成績だ。
メジロシャーロックはファン人気も高く、中には競馬から離れていたファンも、メジロシャーロックが走るならばと再び足を運んできたらしい。 最たる理由は、やはりその血統にあるだろう。
父メジロマックイーンに母メジロコナン、母父オグリキャップに母母メジロラモーヌと、古からの競馬ファン生唾物の血統だ。 近年ではサンデーサイレンスの勢いが強く、内国産の種牡馬は押され気味。右を見ても左を見てもサンデーサイレンス産駒というのも珍しくはない。 代わり映えのしない血統、やはり勝つのはサンデーの産駒。競馬ファンが離れていった理由の1つでもある。
そこに彗星のごとく現れたのが、メジロマックイーンを父に持つメジロシャーロックだ。 およそ主流とは言えない血統。ブライアンズタイムでも、トニービンでもないパーソロン系。 海外種牡馬が幅を利かせるこの時代に、なんと日本で活躍したメジロマックイーンの産駒が世代の代表として走っているのだ。
さらには祖父にも目を惹く。かつて第二次競馬ブームを巻き起こしたアイドルホース・オグリキャップの名前が刻まれており、人気に一役買っている。 メジロシャーロックの走法もオグリキャップにそっくりであり、朝日杯FSでは鋭い末脚で勝利を収めている。
祖母もまた語らないわけにはいかない。史上初となる三冠牝馬に輝いたメジロラモーヌであり、今なお根強い人気を誇る【魔性の青鹿毛】だ。 また、メジロラモーヌはメジロシャーロックの母親代わりを務めており、担当していた厩務員曰く「本当の親子のようだ」と言われるほど仲が良かった。 そのせいもあってか、乳離れの時に苦労したそうだが。
強さ・血統・パフォーマンス。どれもが人気の要因になっているが、メジロシャーロックの境遇にも目を向けたい。 前述したとおり、メジロラモーヌが母親代わりを務めていたが、シャーロックの母であるメジロコナンはシャーロックを産み落とした時に亡くなっている。 なんとシャーロックは、生後間もなく母を失ったのだ。これほど悲しい出来事があるだろうか?
母を亡くしながらも、メジロシャーロックはすくすくと育ち、今こうして中央競馬で活躍を残し続けている。
こういった背景から、メジロシャーロックを応援するファンは少なくない。亡き母の思いを背負って、落ち目にある名門・メジロの期待を一身に背負い、彼は今日も走るのだ。 |
◇
弥生賞が終わって数日。
競馬業界は新たなスターの誕生に喜んでいた。
「昨年比で動員数が増加……それも、全部の重賞でだ。これはいいぞ!」
「メジロシャーロックをプッシュしよう。グッズも増やして応援だ!」
開催地の中山競馬場の観客数は昨年より増加、馬券の売り上げも好調だ。
近年売り上げが下がり続けている中で、この増加はあまりにも嬉しい。
盛り上げ役となっている馬をプッシュするのは、当然の判断と言える。
メジロシャーロック。出生から今の活躍に至るまで、話題性が抜群の競走馬。
「非サンデーってだけでもすげぇのに、まさかのマックイーンの産駒だからな。ようやく出てきたか、大物!」
「今6連勝中なんだろ? このままの勢いで皐月賞も勝てんべ!」
「サンデーばっかの競馬業界に風穴開けてくれよー!」
血統に関しては言うまでもない。
非サンデーというだけでバリューは抜群だ。
他はやはり、出生の部分が目を惹くだろう。
「なぁ知ってるか? メジロシャーロックって、生まれてすぐに母馬を亡くしたらしいぞ」
「えー!? それって可哀想だな……」
まるで小説やドラマのような出生エピソード。興味を惹かないわけがない。
そこに加わる、メジロの現状。
「凋落しつつある名門から出てきた、最後の希望の星。シャーロックの活躍次第で、メジロの進退は決まりそうだよな」
「つか、マジでドラマみたいじゃね? 産まれてすぐに母親亡くして、落ちぶれた名門から出てきた天才サラブレッドって」
「こんな奇跡みたいな、ドラマみたいな状況はねぇだろ! 俺達が歴史の証人になるんだ!」
こんなの応援しないわけがない。ファンはすぐにメジロシャーロックの虜になった。
物語のような生い立ち。加わる圧倒的な強さ。応援する要素しかない。
メジロシャーロックの活躍でファンが増えつつある現状。競馬業界としては、なんとしても人を増やしたい。
減ってしまったファンを戻すためにも、それ以上の増加を見込むためにも。
競馬業界としてはこの流れに乗りたかった。
目指すはかつての第一次、第二次競馬ブーム。ハイセイコーとオグリキャップのようなムーブメントを。
かつて競馬ブームを巻き起こした2頭。オグリキャップに関しては、知らない人はいないほどの認知度を誇っている。
彼らは地方からの成り上がり、シンデレラストーリーとして盛り上がった。
地方の雑草が中央のエリートを相手に大立ち回り。切った張ったの大勝負を演じ、人々を魅了してきたのだ。
対するメジロシャーロックは産まれこそエリートそのもの。2頭とは似ても似つかない。
しかし、悲劇の境遇が人々の共感を集めた。没落からの奮起、名門を復活させるために頑張るその姿が、応援する気持ちを沸かせた。
結果として、メジロシャーロックが出走する重賞のみ、競馬場の来場者数が増えている。
「弥生賞のメジロシャーロック、凄かったよな! めっちゃ冷静にレースしてた!」
「ありゃ岳の騎乗のおかげだろ。にしたって、あの操縦性と賢さはやべーよ!」
「次のレースも勿論応援しに行く! お前は? どうよ?」
「は? 応援しに行くに決まってんだろ! 頑張れよー、メジロシャーロックー!」
ファンの声も人から人へ。競馬を知らない人へと伝播する。
「なぁおい、メジロシャーロックって知ってるか? 今すげぇ馬が中央で走ってるんだよ!」
「どーせそいつもサンデー、ってメジロなのか。いや、メジロも海外種牡馬を付けるようになったしなぁ」
「と、思うだろ? なんと、メジロマックイーンの産駒なんだぜ?」
「ハァ!? マジかよ! あの【名優】からついに大物産駒が出たのか!」
情報を知らなかった元競馬ファンは、これを機に足を運ぶようになり。
「へ~、今はこの馬が凄いのね」
「まだちょっと灰色っぽいな。ここから白っぽくなるのかな?」
「母馬はもう亡くなって……それでも頑張ってるんだな」
「興味出てきたかも。ねぇねぇ、メジロシャーロックの次のレースはいつ?」
競馬を知らない層にも話は広がり、興味が沸いた人もいる。
実際に足を運ぶかどうかは別として、話題として出ただけでも御の字。
このまま話題として上がり続ければ、いつかは競馬場へと足を運ぶだろう。希望的観測だが、0よりはマシだ。
競馬業界は今盛り上がりつつある。かつての輝きを、取り戻そうとしている。
火付け役となっているのはメジロシャーロック。
悲劇的な出生、主流とは言えない血統、近年結果が乏しい名門……全ての要素が絡み合い、人々の熱を高めている。
特に、メジロの現状に関してはシャーロック以外鳴かず飛ばず。これが余計に人気を集める要因となっていた。
たった一頭で名門の威信を取り戻そうとする御曹司の、お家の復活をかけたシンデレラストーリー。
そう銘打って、メジロシャーロックに応援の声を送り続けた。
その渦中の馬はというと。
『あたしの家来として、中々やるようになったわね。女王として誇らしいわ!』
『もう家来でいいっす。褒めてくれてありがとうございます、グルーヴさん』
いつものようにアドマイヤグルーヴと仲良く調教していた。
◇
弥生賞が終わって数日。
調教に戻ってきたわけだが、まぁいつものようにグルーヴさんと一緒だ。
『さぁ着いてきなさい! あたしが女王としての立ち居振る舞いを教えてあげるわ!』
『俺オスです』
『じゃあ王様としての振舞い!』
『あんまキャラに合わない気がするんですが』
もう慣れたものである。
前哨戦が終わった今、俺の次走は皐月賞。
ついにクラシックの第一戦、皐月賞が始まるわけだ。
皐月賞は3歳馬しか挑戦ができない。つまりは、一生のうち一度しか出走が許されないレースの1つ。
皐月賞・日本ダービー・菊花賞はクラシック三冠競走と呼ばれ、特に格式が高い。
全てを制した馬は三冠馬と呼ばれ、後世に名を残すことが確約される、それはもう素晴らしい栄誉だ。
俺が目標としているのもこれだ。
なんせ後々に影響するからな。ぜひとも取っておきたい称号の1つである。
とはいえ、だ。当然厳しい勝負になることは間違いない。
(今んとこ圧勝続きだけど、負けるなんてことが普通にあるからな。終わるまでは分からん)
そもそも俺が走っているのは04世代。上も下も同世代も強敵しかいない、とんでもない場所だ。
ダイワメジャーにキングカメハメハ、デルタブルースにハーツクライ。
弥生賞で走ったコスモバルクも代表馬だ。なんかアイツ俺にビビってた気がするけど。
とにかくこいつらに勝たなきゃいけない。
『先は長そうだ』
『なにか心配事? 大丈夫よ、あたしが手を貸してやってるんだから!』
『はいはい。超頼もしいです』
『でしょでしょ? ふふ~ん!』
いろいろと頑張らないとな。大逃げの件も含めて。
冷静にとんでもねぇ着差つけてんな。