はーい、マユで~す! でもごめんなさい、いまマユは生体CPUになってるのでお話しできません   作:何を書けばいいんだ

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前日譚の終わり

 はーい、メリーで~す! でもごめんなさい、いまメリーはお話できません。

 いま味方のデストロイが迎撃に上がってきたバビとグフ相手に戦ってるからね、援護せんと。

 うひょ~さすがエクステンデッド君、めちゃくちゃ弾幕を張って敵空戦部隊を撃ち落としまくっている。

 

 とはいえそれだけで勝てるほどザフトは甘い相手ではないわけで……。

 ユークリッドの高出力ビーム砲――デグチャレフ――で味方が突入する隙を作ろうとしたグフを撃ち抜く。

 ああいう直掩について守りにくい機体でも遠くから援護攻撃できるってのはユークリッドの特権だね、近づけないなら近づかずに援護すればいいってわけだ。

 

 無論デストロイばっかりに目を向けてはいられない、ユークリッドみたいなMAはウィンダムたちMS部隊と共同してこそ真価を発揮する。

 じりじりと前進してウィンダムを援護できるよう位置取りを調整してデグレチャフによる狙撃でミサイル砲台やガズウートを破壊していく。

 まあ個人的にはもっと後ろから撃ちたいんだけどね、ちょっとした艦砲のようなビームを撃てるってことで射程も相応に長いからやろうと思えばアウトレンジ戦法だって使えるのだ。

 古今、戦いとは敵の射程外から一方的に攻撃するのが最強と言われているものでありまして、私もそちらに倣いたいんだけどさ。

 あいにくユークリッドに求められる仕事は火力支援の他にMS部隊の防御も含まれているのである。

 機体を前傾にしてリフレクターの防御効果を最大に活かすリフレクション姿勢ならMSを優に覆い隠せるサイズなのがこのユークリッド、いざとなったら壁にならなくちゃいけないから味方のビームライフルの射程まで前に出る必要があるのが辛いところだ。

 

 そしてウロチョロ飛び回るMSよりデカいMAを狙いたくなるのは人のサガ、ノコノコと前に出てきた私に向けてガンガン飛んでくるビームや実体弾をリフレクターで弾きながら返礼品のビームを送り付ける。

 はてさて、味方のウィンダムは……ディンと戦ってるね、優勢っぽいから直接の援護はせずにディンを援護しようとする砲撃機を倒すことで支援する。

 

「各隊前進せよ、目標は官公庁施設である」

 

 チマチマ撃ってたら前に出ろと司令部からお達しが来た、いやだなぁ。

 巨大MAの宿命としてユークリッドも側面からの攻撃には弱いんだよ、MS並みの速度で動き回れるって言ってもこっちはMSの三倍のデカさなわけでして。

 しかも全身スラスターお化けだからどこに喰らっても誘爆で吹っ飛ぶというお辛い仕様、砲撃機を前に出すなってんだ。

 

 ただ悲しいかな、上からの命令に絶対服従なのが軍ってやつだ、ウィンダム達もデストロイもゴリゴリ前に出て行ってるから着いていかないと孤立してしまう。

 ユークリッドを前に出して都市上空へ、ここまで来ると全方位から撃たれるためのんびりとは飛んでいられない。

 機体を加速させながらリフレクターを展開、戦闘機のマニューバのような動きで無理やり攻撃を回避していく、これはスラスターを自由に可動できるからこそできる荒業だ、正直酔いそう。

 

 ガトリングでバビを蜂の巣にしつつユークリッドをバレルロールさせて地上にデグレチャフを撃ち込みガナーザクを撃破、誘爆で近くのSAMも片付ける、なんで回ってるのかって? この武器射角がちょっとね、仰角は問題ないけど俯角は全然取れないので回るしかないのよ。

 防御にしても攻撃にしてもユークリッドはとにかく正面に指向する設計だからこういう疑似的に包囲されてる状況はキッツイよお!

 ちょっと遠くの方で全方位にビームをまき散らして都市を更地にしながら進軍していくデストロイが羨ましく感じる、操縦はめんどいけど……。

 

 っと余所見してたら後方にグフが食らいついてきてた、これだから空戦MSは厄介だ。

 

『あんなものをよくもまたッ……! 戦争に取り憑かれた亡霊がッ!』

 

 なんか恨み言を通信してきた、いやごめんて、ただ文句は私たちの飼い主に言って欲しくはある。

 ドラウプニル4連装ビームガンを連射しながら追ってくるのを回避しつつ振り切ろうとしてみるがちょっと厳しいな。

 はっきり言って乱戦時や近接戦時の生存力はメビウスと大差ないので冷や汗ものの状況だ。

 こういう時は味方に頼るのに限る、ユークリッドを大きく揺れる振り子のように操縦し追従してくるグフがウィンダムの射線に入るように誘導するよ。

 

 すると私を追いかけるために動きが単調気味になっていたグフはあっさりとウィンダムのライフルに撃ち抜かれて爆散した。

 下手に追い縋れる技量と性能があったことが仇になってしまったってことだね、怒りで頭に血が上って周りが見えてなかったのも命取りだ。

 その点感情を抑制された生体CPUは……抑制?……抑制されてなくない?……うーん、まあいいか。

 

 さて、戦況はすこぶる有利と言っていいだろう、味方はダガーこそ全滅してしまったようだがウィンダムが三機で連携を取りながら一機の敵を落とすという戦術で確実に敵を減らしている。

 

 そしてウィンダムでは手が足りない敵はMS形態に変形したデストロイが薙ぎ払う、でもって戦局を打開せんと怪しい動きをしてる奴らを私のユークリッドが妨害しつつ隙あらば墜とすといった具合だ。

 戦術マップによると目標施設まではあともう少しなんだけど……うん、もう上から見ても瓦礫しか見えないね、デストロイが暴れすぎたみたい。

 さすがは要塞攻略兵器ってところか、いくら質がいいと言っても駐留軍がいるだけの都市なんてあっという間に粉砕できてしまう。

 

 空中には手練れのグフがちらほらと残ってこそいるが、回避に専念していてその白兵能力を生かす暇はなさそうである、もう防衛対象はめちゃくちゃなんだから逃げちゃってもいいと思うけどなぁ。

 少なくとも私は逃げる敵は追わないよ、味方がどうかは知らないけど。

 そしてせっかく生き残っていたグフがイチかバチかデストロイに突撃して無残に叩き落される光景を見ていたら後方から照明弾が放たれた……撤収だ。

 

 この破壊は世界に大きな衝撃を与えるだろう、ザフトの一線級戦力が破られて都市が焼かれたんだから、親プラントだった地域がブルーコスモスからの攻撃を恐れて鞍替えすることだって十分あり得る。

 所詮は政治力を失った残党と思われていたブルーコスモス過激派がその影響力を世界にアピールするわけだね。

 

 ここで生み出された痛みと憎しみが新たな戦いの火種に繋がるかどうかはなんともいえない、ただ原作知識で照らし合わせてみればまだプラントは耐えるはずだろう。

 けど何もしないというわけにはいかないだろうし、多分ブルーコスモスを苦々しく考えている勢力同士で結託するはず、つまりコンパスの設立が成されるかもしれない。

 

 

 

 

 

 ところ変わってここはブルーコスモスの基地。

 普段は死んだように生きている人々が不毛の未来にレディーゴーしてる場所なわけだが、今日はちょっと様相が異なる。

 なんかミケール大佐が各拠点に対して通信越しに演説をしてるみたいなんだってさ。

 

 人は憎しみだけで争い続けることはできない、ブルーコスモスの人たちだってそこは変わらないんだろうね。

 ただでさえやってるのがしょうもないテロ活動なんだからよほど筋金入りの過激思想を持っていない限りこうやって鼓舞してやらないと続かないんだろう。

 実際、ここの人たちがブルーコスモスになった経歴は十人十色だ。

 

 コーディネーターとナチュナルの能力差に対する嫉妬、危機感から攻撃的になっている人。

 血のバレンタイン以前から続く戦いの果てに、散っていった人たちの無念を引きずり続け辞め時を失った人。

 ただ最近はBTW――ブレイク・ザ・ワールド――を発端としたコーディネーターによって引き起こされた大量虐殺とそこに便乗したテロ攻撃によって苦しんだものが多いと思う。

 ストレッチャーとかで運ばれてる時に基地要員が互いに慰め合う中、BTWによって家族や人生を失った人たちの話が良く出てくるのだ。

 

 SEED DESTINYの主人公シン・アスカは戦争で家族を失った結果、戦争を憎む狂戦士へと至った。ここの人たちはコーディネーターのテロによって彼らを憎む狂戦士になってしまったんだろうね、テロそのものでもなくこの悲劇の連鎖を憎むでなく。

 この救いようのないドロドロ感がCEがCE足る由縁なわけだけどその道具として使い潰される身としては堪ったもんじゃないっすよ。

 過去を消されて憎む対象すら失った生体CPUがこんな事言うのもアレなんだけど、ブルコスの皆さんもいい加減前を向いてもろて建設的なことに情熱を使って頂きたいものですな。

 

 でもね、内心ではこうやって腐してるけど私自身は別にブルーコスモスやそこに身を置く人たちが嫌いってわけじゃないんだよね。

 同族意識っていうのかな、誰でもなく行き場のない私ともう帰る場所も待ってくれてる人も失って命を使い潰す生き方しかできない彼ら、先のない未来に一緒に突き進む仲ってことでなんとなーく親近感が湧いてしまうんだ。

 まぁ……道具扱いされてる私が人恋しさに、心の空白を埋めようとしているだけなのかもしれないけど……。

 

 

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