アカ斬る劇場 二次会   作:原作改編

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ブラート「タツミぃ……こんなだらしないアニキですまねえ」シェーレ「飲み過ぎですよ」

ブラート「タツミぃ……こんなだらしないアニキですまねえ」シェーレ「飲み過ぎですよ」

 

 

〇天国にあるアジトの大広間(深夜)

お酒を飲みながら談笑するブラート。

話に付き合うように隣りに座るシェーレ。

飲み過ぎたブラートがこぼす愚痴を聞いてあげているため、夜更けまで酒を飲んでいた

ブラート「なんかもう、情けなくってよォ……」

シェーレ「そんなことないですよ」

ブラート「……ありがとなァ、気ぃ遣わせちまって……」

シェーレ「いいえ、好きでやってることですから。私で良かったらとことん聞きますよ」

シェーレ「(M)ブラートさん、かなり弱ってますね。なんとか私が元気づけてあげたいです」

ブラート「じゃあ聞いてくれるか? おれがいかにだらしないアニキなのかをよォ……」

悪酔いするブラートがお酒を煽る。

酒瓶を持ったシェーレが空いたグラスに注ぎ込む。

ブラート「……おれァ、ナイトレイドで一、二を争うほどの実力者って言われてんのに、三獣士にやられちまったんだぜ?」

シェーレ「でも帝具使いふたりを倒したじゃないですか。充分すぎると思いますよ?」

ブラート「……リヴァ将軍、あれって絶対毒で死んだよなぁ、直接的な死因って絶対自分で盛った毒だよなぁ。オレに斬られたあとめっちゃ喋ってたしよォ」

シェーレ「そんなに悲観しないでください。私なんて、ひとりも始末できなかったんですよ。それに比べてブラートさんは確実に一人は始末したじゃないですか。充分スゴイですよ」

ブラート「……おれ、実はシェーレを尊敬してんだよ」

シェーレ「え? 急にどうしたんですか?」

ブラート「シェーレはマインを逃がすために、エクスタスの奥の手を振り絞った。なによりタツミに『殺し屋としての厳しさ』を教えるきっかけを与えてくれたんだ。最初にあれをやったシェーレはスゴイと思うぜ」

シェーレ「え、あ、はい。ありがとうございます」

ブラート「……こうなったらもう、おれの代わりにタツミのアニキやってほしいくらいだ」

シェーレ「えっと、私は女なので無理ですよきっと」

ブラート「……性別なんて関係ねえよ。魂の問題だ」

シェーレ「何と言いますか、ブラートさんの話は難しいですね」

ブラートはお酒を飲み干す。

シェーレがお酌してあげる。

ブラートが煽った後、ため息をつく。

ブラート「……一番だらしねえのは、あの三獣士に襲われた時だ」

シェーレ「ああ、あの三人同時に飛びかかってきたシーンですね。あっさりと三人を蹴散らしたところじゃないですか。すごくよかったと思いますよ」

ブラート「よかねえよ! 殺し屋がなんでひとりしか始末できねえんだよ。一度攻撃に移ったら三殺はあたりまえ、悪くて致命傷を与えるぐらいじゃなきゃ殺し屋名乗れねえよ! なのにふたりも生きてるんだぜ! リヴァ将軍はともかく猫っぽいやつまで生きてるんだぜ!」

シェーレ「ぶ、ブラート、す、すこし落ち着いてください」

ブラート「オマケにあの猫っぽい三獣士、たしかニャウっていったか、オレあいつに二発入れてんだぜ? なのに殺しきれねえってどんだけ硬いんだよって話だ」

シェーレ「たしかに、硬かったですね」

ブラート「硬いのはオレのはずなんだよ。インクルシオは防御力が売りなのによォ、ついおれの『観察眼』を披露しちまったんだよォ、思わず蹴り入れちまったんだ、タツミに『インクルシオの戦い方』を教えるつもりだったのによォ」

シェーレ「まあ、そうだったんですか」

ブラート「……原因はわかってる。タツミだ」

シェーレ「え? ここでタツミとなんの関係が?」

ブラート「……ほら、あの時後ろでタツミが見てたろ。そしたら調子に乗っちまって、気づいたら蹴り入れてた」

シェーレ「ああ、なるほど。タツミにかっこいいところを見せたくてつい頑張っちゃったんですね」

ブラート「……あとよォ、タツミが初めてインクルシオを呼んだ時、なぜかおれ立ってたんだよなァ。毒盛られて苦しんでるはずなのに、解説までしてやがんの。だったらおれが戦えって話だよ」

シェーレ「そんなこともありましたね」

ブラート「……タツミが初めてインクルシオを装着するとこを見てよォ、……テンション上がっちまったんだよ。気付いたら立ってたんだ。タツミが頑張ってるとこみたら、寝てる場合じゃねえっておれの熱い血が騒いじまったんだよ」

シェーレ「ブラートもいろいろ考えているのですね」

ブラート「……笑ってくれ、こんなだらしねえアニキをよォ……」

シェーレ「笑いませんよ。私だって、タツミが見ていたら緊張してしまいますから」

ブラート「……おれはゲイ扱いされてるけどよォ、ただ後輩に優しいだけなんだよ、ほら似たタイプの骨がある後輩が入ってきたら誰だって世話焼きたくなるだろ? そういうことなんだよォ」

シェーレ「では、ブラートは男性が好きなわけではないのですね?」

ブラート「……え?」

シェーレ「レオーネが言ってたのを思い出しました。ブラートは男性にしか興味がないと、それで、せっかくなのでブラートに直接聞いておこうかと思いまして」

ブラート「……ああ、そういうことか」

シェーレ「それで、男のひとが好きなのですか?」

ブラート「……、……そんなわけねえだろ」

シェーレ「そうですか。ならレオーネにもちゃんと言っておきますね。おかしなことを言ってはいけませんよって」

ブラート「……、……なあシェーレ」

シェーレ「はい?」

ブラート「……ホモが嫌いな女子はいない、って本当か?」

シェーレ「え?」

ブラート「あ、いや、すまん、いまのは忘れてくれ」

シェーレ「あのーすいません、私はよくわからないのでとりあえずレオーネに電話してみますね」

ブラート「いや、ホントにいいんだ。解決したから。大丈夫だ」

シェーレ「本当にいいのですか?」

ブラート「……ああ、ありがとな」

シェーレ「すいません、力になれなくて……」

ブラート「その気持ちだけで嬉しいぜ、はっはっは……ふぅ」

ブラートの酔いがさっぱり醒める。

シェーレはブラートがお酒を持つ手をそっと握る。

ブラート「……シェーレ?」

シェーレ「ブラートさん、聞いてください」

ブラート「……おう」

シェーレ「たしかに私たちは早期退場組です。ですがあなたがタツミを助けたことで、タツミは至高の帝具を突破することができました。そして、帝具に潰されそうになった帝国民を助けることができたのです。これはあなたが居なければできないことだったのですよ」

ブラート「……シェーレ、お前」

シェーレ「だから、胸を張ってください。ブラートの声がタツミのインクルシオを進化させたのです。この事実は揺るぎません」

ブラート「そうだな、はは、どうやら悪酔いも覚めちまったみてえだな」

シェーレ「元気でましたか」

ブラート「おうよ、バッチリだぜ」

シェーレ「(M)良かった、これでブラートはだらしないアニキじゃありませんね」

ブラートはシェーレの頭をポンポンと撫でる。

シェーレの頬っぺたは赤くなっていた。

ブラート「あっはっは、いやまさかおっちょこちょいのシェーレに慰められるとはな、いやはやびっくりだぜ」

シェーレ「あのー、すいませんブラート、ひとつ聞いてもいいですか」

ブラート「ん?」

シェーレ「『ゲイ』とはなんですか?」

ブラート「……へ? シェーレ?」

ブラートはシェーレの目を見る。

メガネの奥の目がぐるぐるとまわっていた。

ブラート「まさかお前、酒の匂いだけで酔ってるのか?」

シェーレ「はいそうです。ところですいません。『ホモ』とはどういう意味ですか?」

ブラート「……明日レオーネにでも聞いてくれ」

シェーレ「そうですね、それで?『ゲイ』とはどういう意味なんですか? すいませんブラート、教えてください! はやく教えてください!」

酔ったシェーレの質問は、夜明けまで続いた。

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