本来は、処女作である『イナズマイレブンHEROS!!!』を完結させてから本作の執筆を始めようと思っていたのですが、ちょっと気が変わったので1話に該当する回だけ執筆してみました。
タグにもある通り、本作はポケモン二次創作の皮を被ったモンスターボールZみたいな作風なので、原作とは大きく隔離した描写・独自設定が非常に多いです。
ポケモン世界で放送されてる特撮ドラマ程度の感覚で見てもらえれば幸いですが、そこらへんが苦手な方はここでブラウザバックを推奨します。
僕は……ずっと“ヒーロー”に憧れていたんだ。
物語の中の“ヒーロー”はどんな状況でも諦めないし、どんなに追い詰められても絶対に勝利を掴むんだ。
そして、最後にはハッピーエンドを迎える。
僕も…そんな存在になりたかった。
けど……
「ジュピラ…!ルロォォォォォォイ!!!」
現実はあまりにも残酷で、あまりにも非情だ。
僕の目に映るのは、燃え盛る村と真紅の液体を地面にぶち撒けてピクリとも動かなくなった
その惨劇を引き起こした正体不明の
結局、僕は“何者”にも成れなかった。
称賛が欲しかった訳じゃない。
名声が欲しかった訳でもない。
ただ……
“理不尽な悪意”が跋扈するこの世界で、“理不尽な善意”になりたかったんだ。
けどそれも失敗した。“理不尽な善意”に成るためには僕の覚悟はあまりにちっぽけだった。
何もかも中途半端にしか達成できなかった僕は、間違いなく地獄行きだろう。もしかすると、未練が残ってゴーストタイプのポケモンに生まれ変わるかもしれない。
それでもいい。初めから天国に逝けるだなんて思ってないから。
『チィッ!!!なんとかなれェェェェェ!!!!!』
ありがとうピカさん。今日会ったばかりの僕を心配してくれて。
いつの日か…。君と相棒が再会できる日を願っているよ…!
「バイバイ……ピカさん……!」
運命を受け入れた僕はそっと目を閉じる。
コレ以上、彼の顔を見てたら変な未練を遺してしまいそうだから。
「ルロッ!!?」
・・・アレ?おかしいな…?もうとっくに棍棒が振り下ろされてもおかしくない時間なのに、一向に死んだ気配がしないや…。
『バカヤロー…!こんなギリギリまで寝やがって…!』
試しに呼吸を止めてみる。うん、苦しい。
「ルロロ…!ルーーー…!」
試しに負傷した箇所を軽く触れてみる。うん、痛い。
…もう現実逃避するのはよそう。何でかは分からないけど、僕はまだ生きてる。
そもそも、バケモノの狼狽える声が聞こえた時点で予想外のことが起こったのは確実だし。
意を決した僕は目を開く。アレだけ逃げたかった地獄に再び戻って来る。
「大丈夫?」
目を開いた瞬間、太陽のように暖かくて、そよ風のように爽やかな声が耳に届く。
ハッキリ言おう。僕の目の前に現れた人物は文字通りの
水色を貴重として差し色に黄色が入った、ケープとパーカーを丁度足して2で割ったかのような独特な衣装…。
季節外れにも程がある、地面まで届く程に長い水色のマフラー…。
そして……
ピカチュウの顔が印刷されたお面を被っていた。
コレを不審者と呼ばずに何て言うんだろう?生憎なことにこの恰好で歩いてジュンサーさんに捕まらない町を僕は知らない。
それでも…だ。僕はこう思わずにはいられなかった。
(ああ……本物の“
ってね。
見てくれはヘンテコでも、その佇まいには……言葉や証拠を超えて確信させる“何か”があった。
僕は…その名を一生忘れる事はないだろう。
100年の眠りから覚め、厄災と立ち向かう 最高で最強のヒーローの名を…。
少し遅くなったけど、このタイミングで自己紹介をさせてもらう。
僕の名前はサクラギ・アルカ。歳は16歳。好きな食べ物はカントー式のカレーライス。
特に変哲のない…とは胸を張っては言えない髪色とヘアースタイルをしてるけど、この世界を細々と生きる市民Aとして認識して欲しい。
君は、この物語はどんな物だと思う?
10歳で田舎を出た純粋なポケモントレーナーがリーグチャンピオンを目指す物語?
地元の博士から図鑑を貰った少年少女が世界征服を企む悪の組織を懲らしめる物語?
……期待している所申し訳ないけど、僕の物語はそんな綺麗な物じゃない。
これは“贖罪”の物語だ。
ある“罪”を犯して今まで逃げ続けてきた僕が…
1人と1匹の“
……………
…………
………
……
…
「祭り…ですか?こんな中途半端な時期に…?」
旅の途中、僕が立ち寄ったのはジョウト地方にあるマシロタウンという小さな町。
どことなくカントーのマサラタウンに似た名前の町なだけあって、コレといった特徴の無い平凡な町だ。
強いて言うなら、町の至る所にやたらとピカチュウに関連したグッズがあるくらいかな?『ピカチュウの石像』に『ピカチュウまんじゅう』…どれをとってもピカチュウづくしだ。
その町のジョーイさんから聞いたのが、今日から開催される祭りの話だった。
「はい!マシロタウンではこの時期になると“
「う、う〜ん…そもそも“光神さま”って一体何なんですか?名前の響きからしてピカチュウと関係ありそうですけど…」
「よくぞ聞いてくださいました!“光神さま”とは100年前にこの村…いや!この世界を救った英雄です!お客さんも聞いたことありませんか?“デイブレイク事変”の名前くらい!」
“デイブレイク事変”って…確か100年前に起こった大災害のことだよね…?
詳しい記録はロクに残ってないけど、凄く強いポケモンが現れたせいで一時期は人類が衰退したっていう…。
「ハァ……、それくらいは聞いたことはありますけど、“光神さま”ってのは流石に…。そもそも、本当に世界を救った英雄なんて実在してたら教科書に載るレベルなんじゃないですか?」
「それがですね〜!なんでも“光神さま”は件のポケモンと相討ちになったらしくてですね〜。ギリギリのところでこの町の禁足地に封印したって伝説が残されているんですよ〜!詳しいことはすぐ近くの博物館で専用のコーナーがあるので、よかったらどうぞ!」
……なるほど、ここのジョーイさんがやたらと祭りを推していた理由が分かった。
こんな片田舎のポケモンセンターなんて、国から大したお金が出る訳じゃないから副業染みたことをしてるのか。いい商売だよ、本当に。
…けど、特にやることもないし行ってみてもいいかな…。
………
……
…
「ここか…博物館ってのは…」
ジョーイさんが言ってた博物館は本当にポケモンセンターから目と鼻の先にあった。
一度通り過ぎたにも関わらず、僕が気付けなかった理由はただ一つ。
「博物館ってよりかは、ただの古民家じゃん…」
博物館を博物館たらしめる要素があまりにも少な過ぎたからだ。
「お邪魔しまーす…」
ただ客として入店しただけなのに、博物館っぽくないせいか謎の罪悪感に襲われた僕は、恐る恐るドアを開けて中に入る。
けど…ドアの先にあった光景は良い意味で僕の予想を裏切ってくれた。
「……アレ?思ったより博物館してる…?」
中の空間は、少しボr…ゲフン!ゲフン! やや味のある古民家からは想像も付かない程、ちゃんと博物館の内装をしてた。
ピカチュウを推す町なだけあって、ちゃんとピカチュウも飼ってる。……なんか、やたらと目つきが悪いし、色も薄いけど。
『……』(ジーッ…)
あっ、ピカチュウと目が合っちゃった。…そんなに警戒しなくてもよくない…?もしかして、普段はよっぽど客が来ないのかな…?
『……』(ピョイッ!)
あっ、逃げた。あの反応からして正式なパートナーポケモンじゃなかったのかもね。餌付けした結果、居着いた野良のポケモンだったのかも。
「さてと…。とりあえず展示品を見て回ろうかな?」
本来の目的を思い出した僕は、数十分程度、展示品を見て回ったけど……。
率直に言って、“よく分からない”ってのが正しい感想かも。
僕が期待していたのは、“光神さま”と“デイブレイク事変”との関連性…って言うのは少し大袈裟だけど、とりあえず“光神さま”の姿くらいは拝みたいなー程度の心持ちだった。
けど…ココには
展示されているのは、どれも100年前の電子機器や当時流行っていた漫画やゲームの数々…。
いや、コレはコレでマニアから見れば十分お宝なんだろうけど、僕が求めるのはそんなんじゃないんだよな〜…。
「…よくよく考えてみれば、“デイブレイク事変”は100年経った今でも政府から記録が規制されてるし、こんな片田舎の博物館で真実が知れる訳でもないか」
“デイブレイク事変”…。それは約100年前に起こった人類を滅亡寸前まで追い込んだ世紀の大災害…ってことになってる。
けど、100年前にも関わらず当時の映像記録に事件の記録が一切残っていない。当時の人が直筆で残した記録も政府によって管理されてることもあって、今では存在自体を疑う人の方が多いまである謎の大事件だ。
「……強いて言うなら、それっぽいのは“コレ”くらいか…」
さっき、関係がありそうなのは『どれもない』って言ったけど、厳密には違う。
たった1枚…本当にたった1枚だけ。如何にも“光神さま”と関係のありそうな展示品がある。
「けど……コレってただの
まだ資産価値のある古い資料に混ざって、ケースの中に丁重に保存されていたのは、クレヨンで描かれた1枚の
描かれた内容は、ダイマックスしたポケモンとは比較にならない程の巨体を持った怪物とピカチュウを思わせる仮面を被った黄金の戦士…。
コレが本当に事件と関係があるのなら、怪物と戦ってるのが例の“光神さま”…なのかな?
「この絵を見たのは、あなたで96人目ね」
「ウワァ!?」
最っ悪…。あんまりにもビックリしたから、変な裏声が出ちゃった…。
突然現れたのは、ピカチュウのぬいぐるみを抱いた女の子。パッと見だけど、僕よりかは1〜2歳くらい歳下かな?
「96人目…?」
「この博物館に来たお客さんはみんな、必ずこの絵に引きつけられるの。それで、あなたは96人目って訳」
96人目って…。コレまた中途半端な数だなぁ…。別に100人目だったとしても嬉しくはないけど。
「アハハ…。ところで君はこの博物館の職員さんかな…?」
「そうよ。私の名前はシオン。この博物館を経営するナルキおじいちゃんの孫娘」
「…もしかしてだけど、展示されてる絵って君が描いたの?」
「そんな訳ないじゃない。それは歴とした貴重な展示品よ。なんでも…おじいちゃんのお母さん…つまり私のひいおばあちゃんが子供の頃に書いた絵らしいの」
ってことは、コレって当時の人が描いた絵ってこと…?……いや、それを考慮しても信憑性は薄そうだな…。
「そもそも…ココって本当に“光神さま”の博物館なの?その割には、“光神さま”要素はさっき居たピカチュウしかないけど…」
まぁ、そのピカチュウすらも今は居ないから実質あってないようなもんだけどね。
「ピカチュウ?ウチはピカチュウなんて
・・・前言撤回。そもそもこの博物館にはピカチュウ要素は0だったらしい。
………
……
…
「ありがとうございましたー!」
フレンドリーショップで買い物を済ませた僕は、近くの公園のベンチに座って黄昏ていた。
結局、シオンちゃんに色々聞いたけど、ロクな情報を得られず時間をムダにしただけ。……まぁ、原因の9割はピカチュウ云々のせいで説明が頭に入らなかったせいだけど。
「もしかして…僕が見たのは幽霊…?嫌だな〜、十中八九ゴーストタイプのポケモンのイタズラだろうけど、昔からゴーストタイプのポケモンが近寄ってこなかったせいで、そこらへんの対応に疎いし…」
『幽霊って言い方は失礼だな。どうせなら、もっとカッコいい呼び方をしてくれよ。例えば……“ピカチュウ・ソウル”とかよ!』
“ピカチュウ・ソウル”って…。そんな昔流行った曲の歌詞みたいな呼び方をできる訳がないだろ…。
「・・・ん?」
待って?今喋ったの誰?なんか声が、永遠の氷を放ちそうで、新世界の神になりそうな人にそっくりなイケボだけど…。
『オイオイ。そんな所をキョロキョロ見ても、オイラは居ないぜ?もっと視野を広く持てよ』
奇跡や偶然は二度は起きない。明確な意志を感じる声が二度耳に届けば、それはもう必然だ。
声の方向は…下…?
『ココだよココ!もっと下を見ろって!なんなら、屈んでくれねーかな?オイラ、そこまで大きくないからよ!』
……多分、僕は今日起こったことを生涯忘れることはできないだろう。
だって、謎のイケボの正体は……
「ピカ…チュウ…?」
博物館で見た薄い色のピカチュウだったから。
これまでの冒険を日記に記録しますか?
はい◀︎
いいえ
アルカは喋るピカチュウとの遭遇を日記に記録した!
冒頭を見た時点で察した方は多いと思いますが、作者自身もあまりにも尖りすぎた作風だという自覚はあるので、率直な感想をいただけると非常にありがたいです。