魔法少女世界で俺のエンカテーブルがクール系に偏り過ぎてるんだが   作:TSから逃げるなぁぁ!!卑怯者おぉ!!

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クール系魔法少女達の邂逅

 

 

 東京復旧第2区画に位置する『中央魔法少女管轄機関』本部施設。

 主に機関所属魔法少女の派遣やサポート、必要となる場合は作戦立案を始めとした司令塔となる。

 

 魔物被害で一度は更地になってしまったこの地の再開発を目指し、まずはシンボル的役割を果たす為の建造物計画が立てられた。

 それが現在、中央魔法少女管轄機関本部となっている一際ひときわ目立った魔法少女複合施設兼高層ビルだ。

 今はそのビル上階に向かう高速エレベーターの中、2人の機関職員が神妙な顔つきで会話をしている。

 

 「やはり守屋みゆりの抜けた穴を埋める事は難しいか………まさか彼女の休止を切っ掛けに、目星をつけていた悪の組織が次々と行動を起こし、犯行声明を出す状況になるとは…!!」

 

 「ああ、奴等にとってはこの機をみすみす逃す手は無いんだろう。みゆりの活動休止は深刻な問題だ。」

 「しかし特Sランクには戦闘におけるメンタルヘルスチェックも定期的に行っていた、特にみゆりは優等生だった。全ての項目を問題無くクリアしていたよ。」

 「やはり彼女は『魔の災厄』の日を境に変わってしまった。」

 

 「お前も蛾型の魔物マヴィランが『魔の災厄』だとは思っていない口か。一体彼女は何を見たのやら…」

 「だが守屋みゆりはまだ15歳、蛾の魔物を討伐した後の事について頑なに口を割らないが我々は聞き出せもしない。彼女の契約妖精も同様だ…」

 

 初老の男性職員はたるんだ瞼を閉じ、より一層老けたように深い溜息をついた。

 それを見て、宥めるように長身の男性職員が穏やかな口調で諭す。

 

 「少女に対して無理に口を割らせる手段を取れば、それは悪の組織とやっている事が変わらない。我々は大義を見失ってはならない。」

 

 「ああ。だが、空いた穴にせめて薬師院やくしいん花子を引き抜いて埋めて貰えないものか…」

 「最悪、刀禰とねを発見した後は保護拘留じゃあなく即戦力として加入させるのは?」

 

 「薬師院か。私もスカウトに出向いたが、門前払いだったよ……報酬を提示してもだ。やはり機関を敬遠しているようだった。ただ、彼女の野良での活動は目ざましく積極的なのは救いだ。」

 「刀禰に関しては捜索自体が難航している。今生きていれば少なくともみゆりを超える力を持っているだろう。まあ見つけたところで懐柔は極めて困難と思われるが。」

 

 「むぅ…貢献の差異はあるとはいえ薬師院花子も刀禰も不確定要素が大きいのは確かだ…」

 「他の高クラス魔法少女は手一杯か出撃制限が掛かってこれ以上は回せない…」

 

 「苦労を掛けさせる。今お前が胃を痛めている悪の組織についての問題は、私なりに対策を講じたつもりだからこの後の会議では1つの打開策として検討するつもりで聞いて行ってくれ。」

 

 指定の階に着き、彼等は奥の小規模会議室へ向かいカードキーを使って扉を開錠。

 

 「前橋・高崎市へ本部移転の件が成されれば、これも全て生体認証になるんだろう?」

 

 「私は既に足を運んだが、少し引くレベルだった

。移転はほぼ確実だろう。折角シンボルプロジェクトの一貫で建造されたこの施設は主役から降ろされてしまうがな…」

 

 「東京を離れる気にはなれんな…やはり俺のような年寄りは時代に遅れていく生き物だ。」

 

 「60だろう。まだまだこれからだ。」

 

 彼等なりに軽口を叩きながら会議室に入ると4人の機関所属魔法少女が起立し、敬礼を送る。

 

 「ご苦労。早速だがず『反体制組織緊急対策チーム』結成について君達を各チームリーダーに置く前提で、私から説明したい。」

 

 

 オタク少女美咲みさきの本日の語り口はいつになく熱の入っているものだった。

 

 「むつみくん!先日の集団洗脳事件、『魔教団ダークネメシス』が犯行声明を出したようです!私は彼等の仕業だと思っていたんですよ!」

 

 「あー、事件滅茶苦茶増えたよね。『反魔法少女革命軍』も地方の魔法少女支部に襲撃を仕掛けたんでしょ?結構な被害出たって話。なんで今になって…」

 

 「それはですね、守屋みゆりの活動休止が端をはっしているのです!契約からたった一年という短期間で頭角を表し、芽を摘んでおこうと赴いた悪の組織すら軽く捻り、最年少で特Sランクまで上り詰めた異能……彼女の成長の伸び代はある種の抑止力となっていたのです!」

 

 当事者の俺としてはお漏らしして怯えるみゆりさんの姿を見ていたので、抑止力レベルで扱われる重要人物だったんか……とどうしてもギャップを感じてしまう。

 

 「近い内に『国家特別管轄ランク』や『レジェンド魔法少女マイカ』に並び立つのではと予感させる逸材であり、人間社会に蔓延はびこる悪へのストッパーとして機能していた彼女が……突然いなくなってしまったのですっ!!枷が外れた悪の組織もそれは活発になりますとも!」

 

 「へー、そうなると巻き込まれるのはゴメンだな……」

 

 「はい!その為、特に私が気を付けておくべきだと思う組織をお教えします!悪の魔法少女フィメール・ブラット率いる『メスガキザコザコ王国』と、この近くを活動拠点にしているらしい一方的に性癖を押し付けてくる『全国民性癖開示請求運動団体』で…」

 

 

 放課後、昨日帰ったねーちゃんからも『こっち週明け仕事始まり狙ってめっちゃ事件起きとるから気いつけぇや!』と電話が来て、やはり美咲の熱弁は侮れないものだなと悟る。

 

 「それにしても『メスガキザコザコ王国』と『全国民性癖開示請求運動団体』は名前からどうかしてるだろ……あの後、全然話が頭に入らなかったぞ……」

 

 「我々の活動名義の何が悪い!」

 

 すると野太い声で後ろから怒鳴られた。そこには運動会の応援団長みたいな白一色の学ラン風の男性が立っており、俺に向かって力強く歩み寄って来る。

 

 「我々の活動名義『全国民性癖開示請求運動団体』は日本国民に対する警鐘であるっ!己が奥深くにある性癖を恥ずかしがり良識という名の蓋で封じ込めているからこそ!気付いた時には何にも挑戦出来ず腐った大人となっているのだっ!性癖の開示は救いであるっ!!」

 

 「いや、挑戦は大事だけど君みたいに好き放題する人間ばかりになったら流石に日本崩壊するって」

 

 「それこそ恐れなのだっ!だからこそ私はここで実行に移す!!」

 「私の性癖は『男の娘』だっ!!女装に頼って男の娘を名乗る事なく自然と君の顔形から溢れ出す中性的な男の娘の香りは私の胸を貫いた!!」

 「既にこの辺りの住民達は我々が作った神聖なる催眠波発生装置により淫夢を見せられて気絶している!真夏のアレだ!正気なのは君だけだ!相手が正気だからこそ私の性癖開示はより真実に近いものとなる!」

 

 「え、ええ…」

 

 どうやらコイツは俺の顔の造りに惹かれたようだ。

 学校でも女の子っぽいね〜、とからかわれる事はある。

 昔、男らしく丸刈りにしたら当時のクラスメイトから不自然だと言われ、ねーちゃんからは『萌えキャラの髪入れる前の下書きみたいや』と指摘されたので、それからはずっとショートボブに落ち着いている。

 まさかこんな所で迷惑系変態に目をつけられるとは…

 

 「是非、君には私と共に手を取り合い伴侶のように活動を支えて行って欲しいのだ…!!」

 

 「いやいや困りますって…」

 

 ジリジリと後退して逃げようと見計らっていたが

 

 コンッ

 

 突如活動団体の男が目を剥いて前のめりに倒れる。

 その後ろには刀を鞘に仕舞ったまま柄側つかがわを構える花子が立っていた。

 

 「助けてくれたの…?ありがとう。」

 

 「本当に貴様は危なっかしいな、巻き込まれ体質にも程がある。」

 

 「睦、危なかったりゅ!この男は悪の組織の中でも現在進行系で伸びを見せている『全国民性癖開示請求運動団体』の一員なんだりゅ!」

 

 「改めて口に出すのも恥ずかしい名前だな…」

 

 これは花子の言う通りである、つーか人気なのかこの組織。現代社会人日頃から疲れてんのかな……

 

 「しかしそうも言ってられまい、リュリュの情報筋だと最近台頭しているかく悪の組織が東京都内で一斉に行動を起こすとの事だ。笑い事にならん。」

 

 名前だけだと大分笑い事のように思えるが、さっきのような危険人物達が各方面から大量に野に放たれるなんて色々な意味で阿鼻叫喚の地獄絵図じゃないか。

 

 「分かった。家から出ないように皆に伝えておくよ。俺も今日は家に籠もって…」

 

 「……同じ………」

 

 「「「!!」」」

 

 囁くような声。だが過剰にって反応せざるを得なかったのは、その声の主がいきなり俺と花子の間に現れたから。

 

 「刀禰…!」

 

 「りゅ〜……」

 

 「ど、どしたん?何を伝えたいの?」

 

 「………………どこでも……………同じ……」

 

 僅かなワードから彼女の意図を探る。

 刀禰は会話の文脈を繋げるよう努めてる節はあるので、俺の話していた『家に籠る』に対する彼女の見解だと考えると…

 

 「どこへ逃げても同じって事か?それぐらい規模が広いのか…」

 

 「…………」コクコク

 

 刀禰は首を縦に振る。

 

 しかし今日もこうしてわざわざ忠告に来てくれたという事は…

 

 「刀禰、こんな所で油を売っていたなんて…」

 

 うわ、やっぱり早速現れた。

 声質は幼いが声音は低く抑えられたミステリアスな響き。

 声の方向に目を遣ると宙からエルヴィーヌが降り立って来た。

 

 刀禰はエルヴィーヌを前にした途端、魔法少女姿に変身する。

 そういやクール魔法少女共が邂逅するのを見るのは初めてだ。

 

 「即時に戦闘態勢を取っている辺り余裕はまだ無いようね、貴女と私との実力差は開いていそうだわ…」

 

 「…あまり……………舐めない………で……」

 

 依然として一切無表情を崩さない刀禰だが、初めて彼女が誰かに敵意を向けるのを見た。あまり良い関係性には見えないが…

 2人の視線がかち合うと微かに大気が揺れた感覚を覚える。

 

 「っ…!」

 

 「りゅぅーーッ!!」

 

 花子は戦闘態勢に入りながらも2人のオーラに気圧けおされたのか冷や汗をかき、リュリュなんかは動転するほど怖かったのか俺の方の肩にくっつき隠れる。

 

 すると、これもまた見覚えのあるシルエットが2人の傍に勢い良く降り立って来た。

 

 「刀禰。アンタ目立ち過ぎ。」

 「もう1人のそっち、『総国の魔法少女』でしょ。貴女も面倒を起こさないで。」

 

 「………………」

 

 「『東の魔法少女』、初めてお目にかかるわね…」

 

 遂に冷香まで来てしまった。いや正直俺としてはお前が加わった時点で既に面倒の域を超えているぞ。

 

 「…………指示………受けない………」

 

 「アンタ、ホントに変わらず生意気ね。その無口とはよほど正反対。」

 

 いや高飛車女が生意気言うとるやないか、誰か止めてください

 

 そして流れるようにもう1人が家の屋根から飛んで来て3人の近くに着地する。

 

 「貴女達、いい加減になさい」

 

 「貴女は『夢の国の魔法少女』…」

 

 「次から次へと何の用?」

 

 「………」

 

 最後の一人、やみが来てくれた。この中だとまだ会話が出来て、まだ素性が知れてて、まだ性格はアレじゃない。このままイイ感じに纏めてくれると良いが…

 

 「何故私が一番最後なの」

 「貴女達、今日も私より先に忠告したのかしら?」

 

 いやそうでもないな相変わらずどこに拘ってんだ…

 

 「刀禰、『東の魔法少女』、『総国の魔法少女』。貴女達の出る幕は無いわ」

 

 「『夢の国の魔法少女』、貴女は思い上がりもはなはだしい…」

 

 「………なら………やって………………みせて………」

 

 「…くだらない。」

 

 更に険悪になる雰囲気。

 

 まあそりゃそうだわな話聞かない上に無敵みたいなヤツら同士が集まるなんて、会話のキャッチボール出来ないどころかただ豪速球投げ合ってるだけだもんな

 そんなに何か投げたいんならサファ◯ゾーン行って来てくれ

 あそこ投げる事しかしなくて良いから、ボール、エサだま、いしころしかねーから

 一応逃げるコマンドあるけどどうせコイツら退く事を知らねーだろうし、しあわせタ◯ゴ持ちのラッ◯ーとか捕まえるまで投げ続けてるだろ多分

 

 「刀禰、お前この3人と知り合いならどうにか取りまとめてくれないか…?」

 

 「……全員…………打ち勝つべき…………相手…」

 

 唯一3人と面識がありそうだった刀禰を頼ったが、無口故に分からなかっただけで中々の勝利優先思想ジャンキーっぽさを漂わせている。

 刀禰さんクールはクールでもジ◯ンタイプっすか、口数少なくて第三者が一々語らなきゃいけないのもそれに倣ってるんですか

 

 「……何度も………挑んで………決着……まだ………」

 

 あれか。

 これ刀禰が一方的に挑んで、それが結果的にこの面子の中だと一番多く絡んでますってパターンだ。元々コイツら4人が絡む絵面も思い浮かべられんかったし

 

 あぁあぁめんどくせえぇえじゃあこれ単に変な異名で呼びあってるだけで多分お互い初対面だし唯一面識あるヤツが橋渡し役出来ないし誰も纏めるヤツいねーじゃんか

 

 「お前らホント……三人寄れば文殊もんじゅの知恵って言うけど……そこの4人!お前達は知恵貸し合うどころかマウントばっかりやん!!」

 

 4人の冷たい視線が一斉に俺に向く。その圧に思わず身じろぎしそうになる。

 だがコイツらは俺に対していつもこんなぞんざいな扱いだ。それが計4人分になっただけの事。

 

 「そんなに主張があるんなら悪を砕いて証明してきてよ!魔法少女なんだからさ!?」

 

 一瞬、静まり返った気がした。

 いや元々4人は黙って俺を睨みつけていたし、花子やリュリュは後ろで硬直したままだから誰も喋っていないんだけれども。

 

 そういう音やざわめきの類じゃない。

 4人の殺気が刹那の間だけ硬直し、張り詰めた緊張感が緩和されたと言った方が良い。

 

 も、もしかして伝わってくれた…?

 

 「そんな事、アンタに言われなくても分かってる…」

 

 俺にとってはあまりにも衝撃的な胸を打つ感覚。

 

 想定外にも最初に反応してくれたのは、あの冷香だった。

 

 





 ここまで目を通してくださりありがとうございます!良かったら次話も宜しくお願い致します。
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