限界社畜おじさんが、猫耳Vtuberになって世界をかわいく征服する 作:双葉鳴
結局あれから、一匹を落とされたりゅう族ペアは。
鱗貫通アタック『サンダーブレイク』の連発により、敗退した。
しかし母さんたちも疲労がたまるようで、いつもの猫ちゃんボディに戻っていた。
リキャストタイムが長いことから連発はできず、これが試合形式で助かった、と後に語る。
しかし後輩の差し入れで出した『むくみ取りポーションNEO』を飲んだところ、疲労が全回復。
なんだったらやる気もみなぎったとのことで、次の試合でも余裕で使えることが判明。
やはり錬金術。
疲労回復もバッチリである。
母さんたちにはまだまだ頑張って欲しいので、大いに労うつもりである。
おかげでイルマーニさんから熱視線を送られることになったが、そんなに甥っ子の子供が欲しいのだろうか?
にゃん族の歪んだ恋愛感情は僕の頭脳でも解明不可能である。
それはさておき第二戦。
「いやー、一回戦は手に汗握る戦いでしたね!」
「にゃん族の面目躍如といったところだな」
「相手の鉄壁といわれた防御力を破るまでは一進一退だったのを考えれば辛勝とはいえ報われて然るべきではないでしょうか?」
「そうだね。でも取りたい敵のレベルがわからないときた」
「データはもう取られたんですよね?」
「取った上でわからないんだよ。あのちっちゃい体のどこからそんな力が湧き出てるのかさ」
筋力は人類とそこまで大差ないんだよね。
でも恐ろしいほどの膂力で相手を粉砕する。
そのトリックがわからないのだ。
この大会で判明すれば御の字。
まぁ検証にどこまで協力してくれるかだね。
「なるほど、では筋力ではなく、本質は匂いそのものにあると?」
「その可能性が高いとだけ」
「よくわかりませんが、そういうことにしておきましょう。では、続く二回戦は〜!」
「出ておいでー」
<コメント>
:恐竜大決戦と聞いて
:二回戦はドラゴンVSドラゴンか
:爆炎竜の眷属VS毒霧竜の眷属な
:赤いのがんばれ
:紫のがんばれ!
:俺はあえて着物竜人を応援するね
:何をいう、ぴちぴち民族衣装ロリの赤いのだろ
「二回戦は、爆炎竜族のアキオ&ナオVS毒霧竜族のリンラン&ミュゼです! どっちも部族長のロリッ子体型で非常に眼福ですねぇ」
「やめなよ、心証悪いよ?」
「もうとっくに地に落ちてるので平気です」
<コメント>
:無敵か、この人
:あれ、アキオって?
大塚秋生:僕の入ってたスペアだね
:ちくわ大明神の人やん!
:ほんとだ
:今回は流すなよ? 絶対に流すなよ?
:でも、今回はアーカイブ化されるのでは?
「え、にゃんにゃん王国関連だからしないよ?」
「当たり前ですよね」
「今回の僕は配信者の先輩じゃないんだよ。王様の僕なんだよ」
「なので、皆様の切り抜きを心よりお待ちしています」
<コメント>
:本当にお前にかかってるからな、秋生
:まだその権限持ってるかわからないけど、君たち次第だよね?
:それはそう
:後輩ちゃんはもっとフィルター強化して
「え、いやです」
「スペア剥奪スペア剥奪」
<コメント>
:もう言わんて
:すっかり脅し文句になったな
:実際、先輩のスペアが一番高性能だから
:ローディック師はもっと頑張って!
:人類はまだ誰も三階層に進めてない件
:人類終わった
:納品100回が鬼畜でなぁ
:モノにしたら100回の生産で済まない件
:それ
:先輩なりの温情なんだよなぁ
:かろうじて作れる、じゃなくて確定で作れるようになれ
:それがどれだけ無理強いなのかって話よな
:その温情が脅しの「スペア剥奪」なのはどうなのよ
:そもそも、二階層から格段に素材集めが苦しくなるらしいぞ
:そっか、倒すのも一苦労なんだ
:ドロップするモンスターが一個中隊推奨モンスターの宝庫でな
:Aランクの?
:Sランクのに決まってんだろ!
:人類終わった
:なお、二階層だけで素材集めが完結せず一階層のも併用する
:出戻り組も多いのか
:炸裂玉の素材落とすのが1階層にしかいないから
:炸裂玉案件なのか
:一階層から炸裂玉案件だよ
:装備の新調はNNPでNP、にゃんの支払いで即時できるけど
:まじで肝心な素材の入手だけは現地調達だから
:きちー
:本来ならいろんなダンジョンを巡る必要があるんだよ
:それを一つにまとめたのがここ!
:人類はもっとにゃん族を見習って!
:持って生まれた能力の差ってものがありましてぇ
全く違うことでコメント欄が流れていく。
まぁこんな大会より地上の覇権がかかってるミニ企画の方に意識が吸い寄せられるのもわからなくないけど。
「REC」
「君は司会して」
「はっ」
<コメント>
:先輩も司会者なんやで( • ̀ω•́ )✧
「えっ」
急に不安になってカードを確認しにテーブルに戻る。
しかしそこには『王族観覧席』と書いてあり、ホッとする。
ちなみに後輩のところにだけ『司会進行役』と書かれていた。
同じ席だからきっとみんな間違えたんだな。
後輩の膝枕に戻り、ごろ寝をしながら僕はリスナーに言ってやった。
「僕は王様なので、この試合を見に来た一般客だよ」
<コメント>
:急に不安になって見に行ってるやん
:またしても何も聞かされてない先輩
:後輩ちゃんの手回しの良さが光りますね
「なんなら先輩は今大会の景品なところがありますから」
「そうだぞ、僕は景品……って誰が景品じゃボケェ! こちとら王様だかんね!」
「王様が景品になる試合規模ってことですよ♡」
「くっそー」
僕は後輩に頭を撫でられながらジタバタした。
でもすぐに眠くなってスヤスヤする。
不思議と疲れが癒やされるようだ。
「先輩は可愛いですねぇ」
「ごろごろ」
「あ、喉鳴らしてますよ」
<コメント>
:なんだこれ?
:俺たちは何を見せられてるんだ
:やたらアップでまるで切り抜けと言わんばかりの時間を取るんじゃあない
:景品の自覚がないことだけは確かである
:衆人環視の前でいちゃつきやがってぇ
:二回戦は?
「あ。もう始まってます」
「そういえばそうでしたね、撮影に夢中でした」
<コメント>
:この司会進行役、さては仕事する気ねぇな?
「ありますよ。人間だった頃の基準ではなくなっただけです」
「これも景品役の重要な役目なんだよ。僕は人気者だからね。僕の子を孕みたいにゃん族や、僕を孕ませたいりゅう族から大人気……うっ、どうしてこんな目に」
自分で言ってて悲しくなる。
そして画面は試合会場に。
<コメント>
:おーっと、爆炎族アキオ、早くも衣装をパージされてるがー?
:おい、ちょっとその瞬間巻き戻しを
:燃えてるところを詳しく
:自らパージしたかもしれないだろ?
:その瞬間のビデオを頂戴、詳しくみたいわ
それで、後輩がなんで僕たちのいちゃつきを見せたのかを理解する。
万が一にもBANされることはないと思うが、どんな経緯でアキオが辱めを受けたのかの説明をする気はない、とその目が語っている。
「そのビデオについてはこちらで撮影済みです。ですがこれを公にすることは大塚秋生くんの名誉に関わることです。大会運営を任された私としては一人の少年の今後に関わる事象になりますのでご配慮いただければと思います」
「随分真面目な発言じゃん。本音は?」
「NNPで10万にゃんで販売してまーす」
<コメント>
:微妙に届かない金額なのがまた
:むくみ取りポーションより高いやん
大塚秋生:絶対買うなよ! 絶対だぞ!
:秋生くんがキレ散らかしております
:そりゃ自分が操ってないとはいえ、一時期そのボディに入ってた身からしたら
:二度美味しいと
:これは秋生が何としても稼いで買い占めなきゃなぁ
:ロットは?
:まず聞くのがそこなのかよ
:重要だろ?
「一人の少年の名誉の為、10万にゃんでの販売は10本までとしまーす」
<コメント>
:つまりそれ以上があると?
「それはまだ内緒ですが、ミニ企画で納品して手に入れたポイントはそのままにゃんとして個人、またはチームで分割して獲得できるようになりますので」
「なるほど、そこでにゃんを稼いで買い占めろってことね」
<コメント>
:10本買い占めるのに100万にゃんか
:相手は世界のSランク
:強豪国相手に駆け出しがどこまでやれるか
「秋生には悪いけど、こっちも商売でね」
<コメント>
大塚秋生:急用を思い出した!
小早川晶:ちょっとどうしたのよ秋生
清水優希:これは付き合わされる未来しか見えないね
大塚秋生:頼むよ、これがばら撒かれたら僕は自分を保てそうにない!
:こんなところで説得すんな
:だが、それをさせないのが俺たちである
:お前ら! やるのか、今ここで!
:少年を大人にしてやるのも大人の務めなのでな
:いいこと言ってる風で、欲望に忠実なの好き
:秋生くんの痴態をばっちり記憶に収めるぞ♡
大塚秋生:ああああああああああああああああああああああ!
:悪い大人やでぇ
大塚秋生:ちくわ大明神!
:なんだ今の
:なんだ今の
:なんだ今の
:なんだ今の
:なんだ今の
:誰だ今の
:なんだ今の
:なんだ今の
:確実に使いこなしてて草
:今回のビデオについて言及するとコメントが固定化されるな
:運営の誘導だろ、こんなん
:ところで試合は?
「いやー、手に汗握る戦いでしたね」
「まさか勝利したのがあのチームとは」
<コメント>
:おい!
:試合終わってるやん!
:どっち勝ったの?
:気になる
:おはだけりゅう族は!? もう見れないの?
:着物ドラゴン娘は?
:おはだけした? おはだけした?
みんな気にするところそこなのかよ。
「実は、この試合をフルで視聴する権利が、先ほど大塚くんに提示した10万にゃんだったんですねー」
「それが先着10名までと。なんでそんなことしたの?」
「りゅう族の生態系とか、そういう秘密が明るみになった回でしたので」
「え、そんなのあった?」
「力がどこから来たのか。そういう秘密ですね」
「あー」
そういえばそんな話したなぁ。
僕はよそ見してたけど、後輩は画面編集のチェックの都合上、むしろ率先してビデオカメラを回してたのもあって気が付いたと。
「で、その子達はにゃんにゃん王国で預かるわけですよね?」
「うん、そうだね。あ、つまりそれを地上の人に限定公開するのがそのビデオなんだ?」
「そういうことになりますね」
<コメント>
:ふぁーーーwww
:そういうカラクリか
:でもりゅう族の長たちのバトルは見れる?
「そこは流石に見せるよ。多分異次元の戦いになると思うので」
「でもアーカイブ化はしないので、フルで見たい人は100万にゃんで10本まで購入できまーす。各国に一本までの販売にしますねー」
<コメント>
:死ぬ気で切り抜け!
:また変な動画を差し込まれる隙を与えるな!
:にゃん族の卑劣な罠を妨げるのだ!
卑劣って。
そんなこと言うなら大会中止したっていいんだぞ?
それをしたらコアパパとかキレそうだから大会開催したようなもんだけど。