限界社畜おじさんが、猫耳Vtuberになって世界をかわいく征服する   作:双葉 鳴

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ファンアート(猫耳追加)

「どうもお久しぶりです! 休日中に日焼けをしてワイルドさを増した先輩と」

 

「私よりもナンパされた先輩を救出してきた後輩の錬金配信始まりますよー」

 

 

<コメント>

 :きちゃー

 :きたー

 :待ってた!

 :わ────

 :あれ? 先輩だけ3D化してる?

 :待って、今後輩ちゃんなんて言った?

 :先輩がナンパされたって事実

 :あれ? 先輩実は女の子だった?

 :いや、そんなわけ……あるのか?

 

 

 ねーよ。

 事実を捻じ曲げないでほしい。

 

 

「実はですね、休日中に新しく専用のグッズフォームを立ち上げまして。告知する前に秒で完売する事態となって、これ告知する必要あるのか? と頭を悩ませております」

 

「立ち上げた瞬間ですよね。まるで見張られてたかのように即完売だったのを覚えてます」

 

「まぁ、少数だったのもあるからね。そんなわけでグッズ販売も始めたのでチェックしてくれたら嬉しいです」

 

 

 一応告知としてURLが貼られている。

 グッズと言っても、ちょっとしたポーションやら僕たちのイラストが入った錬金術用のフラスコ、乳鉢、すりこぎ棒くらいだ。

 

 後輩が何やら夜更かししてると思ったら、僕に内緒でサプライズしてた。

 せっかくの休み中に仕事しちゃうのも彼女らしいというか。

 

 好きな事なら全然苦じゃないと言い切るタフネスさがあるよね。

 僕も対抗して錬金術に没頭したら怒られた。

 ひどくない?

 

 

<コメント>

 :何売ってたのか気になる

 :URL見てきたけど、ラインナップがやばくて草

 :このコーナー本当にただのグッズフォームでよかったの?

 :一般人向けを逸脱してる自覚なしなのかよ

 :今北産業。なんの話?

 :番組の専用グッズコーナーに危険物しか置いてない件

 :把握、いつものね

 :動く先輩がもう女の子に見えてきた。キュン

 :何言ってんだ? 先輩が女の子なわけ……くそ、俺を惑わすな!

 

 

 なんで動くだけで女の子扱いされてんの? 

 これが分からない。

 確かに側はアニメ調で可愛い感じだ。

 

 しかしそこに丸メガネにカッターシャツ、白衣。

 地味ーな研究員がそこにいる。

 

 どこからどう見ても可愛らしさのかけらも……って猫耳生えとる!

 

 

「後輩、なんか僕の頭に見慣れぬ物体が」

 

「作りました。使用した感じはどうですか?」

 

 

 いや、どうもこうも。

 僕の感情に合わせてピクピクしてて落ち着かないとしか。

 

 基本的に僕と後輩の側は胸像しか作られてないのに、まるで全身作ってあるのか、実際に歩いたり立ち上がったりしても画面内の僕は動き回る。

 

 いつの間にこんな技術身につけたんだ? 技術の進歩ってすごいな。

 

 

 ただ、自分がやられるのはちょっと違うというか、なんで僕だけなんだよ!

 

 後輩のニヤついた顔も画面に反映されろよ! こんなの生殺しじゃないか!

 

 

 なお、後輩曰く普段迷惑かけてるので僕の悶え苦しむ姿を見てトントンだと言われた。

 

 心労のお裾分けとかゴメン被りたいんだが?

 

 

<コメント>

 :きゃわわ

 :先輩が女の子じゃなくてもいい!

 :これは、捗りますねぇ

 :大丈夫です、想定内です応援してます!

 :可愛さで誤魔化されねぇぞ!

 :石化解除薬の詳細をお願いします!

 :石化解除? なんともタイムリーだな

 :おいボマー、お前の装備でハゲたんだが?(キング)

 :いや、なんて?

 :キングきちゃ!

 :待って、ハゲる装備について詳しく!

 :ボマーってなんですか?

 

 

「キングへ、取扱説明書を読まなかったお前が悪い」

 

 

<コメント>

 :キングを呼び捨てしとる!

 :お前もしてるじゃん

 :Sランクにもタメ口する先輩!

 :そういえばキングさん日本に何しにきてたの?

 :こいつから送られてきた装備の使用感を試してきた(キング)

 :攻略するつもりはなかったんだが、流れで攻略した(ガイウス)

 :は?

 :は?

 :攻略するつもりのないダンジョン

 :流れで攻略すんな!

 :え、何を送られたかにもよるけど、もしかして?

 :俺に吸血麻痺石化剣が送られてきた(ガイウス)

 :道中の石像は俺がやった(ガイウス)

 :草

 :マスコミの報道はただの捏造かー

 :石像ガーゴイル説とか不穏だったもんね

 :Sランクダンジョンクリア済みとかwww

 :朗報なのか悲報なのか

 :どっちかと言えば悲報だな。切った相手全部石化したし(ガイウス)

 :それってコアも?

 :そうだよ(ガイウス)

 :資材がガラクタと化してて草

 :俺っちのとこにはマジックバッグが来たっすね(トール)

 :うおー、滅多に表に顔を出さないトールさんきちゃ!

 :顔を出さないのは単に忙しいだけだぞ?

 :そう言えば幾つものグループを経営してるもんね

 :アイテムの設定先はうちの会社の倉庫にしたっす(トール)

 :見た目に反して後輩キャラなのがかわいい

 :クソイケメンだもんな、トールさん

 :キングも渋おじだし

 :この年で世界のトップランクに入ってるから貫禄あるよ

 :だから遊び、日本にバカンスで行ったのは事実だ(キング)

 :結果日本を救ってるのがまた渋い

 :正直Sランクはたった三人で攻略できる場所じゃないしな(ガイウス)

 :三人は草

 :え、まじで誰も雇わなかったん?

 :遊びで無駄金使えんわな

 :Sランクにとっては遊びでクリアできるもんかと

 :普通は遊びでSには行かないっすね(トール)

 :ボマーの作った装備のヤバさが浮き彫りになるだろ(キング)

 :http://✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎ ここに全てが置いてある(ガイウス)

 :動画公開きちゃ!

 :Sランクダンジョンの動画なんて初めてだわ

 :待って、初見のダンジョンって配信どころかカメラも壊れるんじゃ?

 :そこはボマーのマジックバッグのおかげ(トール)

 :ダンジョンの中にいながら外の情報も見れたもんな(ガイウス)

 :ほんと頭おかしい性能してるぜ(キング)

 

 

「褒めても何も出ないぞ? そういえば毛生え薬を買ったのお前か?」

 

 

<コメント>

 :毛生え薬も売ってた!

 :石化解除薬も売ってた!

 :もしかしてSランク探索者用に準備してくれてた?

 :猫耳うぜー、お陰でふさふさだぜ(キング)

 

 

「キングうるさい。後輩、これもうとっていいか?」

 

「ダメです」

 

 

 ダメかー。

 設定やら何やらは全部後輩に任せてるから僕からは何も関わらせて貰えない。

 

 僕はそこにいるだけでいいからっていう約束が今になって仇になる。

 最初からこういうことするつもりだったんなら、そう言ってくれ。

 

 

<コメント>

 :でもまた使うとハゲ……

 :おい、辞めろよ想像しちゃうだろ?

 :全ての装備がバグってるけど同時にデメリットが多すぎる件

 :デメリットが有り余る効果だしな

 :ある意味でこの三人に当たったから扱えてた

 :有象無象の手に入ってたら扱うなもなく日本滅んでたぞ?

 :それは確かに

 :ある意味ではナイスパスだったんだなって

 :マジックバッグなんかは特に扱いに困るだろうしな

 :維持費だけで数万ドル持ってかれるのを許容できる人だけっすね(トール)

 :Sランク攻略は人件費でそれくらい行くしな(キング)

 :でも遊びでクリア出来る難易度じゃないんすよね?

 :それはそう(ガイウス)

 

 

「でもまぁ僕の配信知らない人はパニックだろうね。つまり生産職にしてみれば掻き入れどきだ! ということで復帰第一弾のレシピはこいつだ! デデン★」

 

 

 

【製作難易度:25】

<低級化石解除薬>※下級融合必須(成功率5%)

 ★素材

 長芋(市販)_1

 注射針(市販)_1

 ポーション_15

 ※3日間、完全石化状態から解除する

 

 

<コメント>

 :また素材に変なの入ってる

 :誰か嘘だと言ってよ!

 :また市場から食材が消えるな

 :玉こんにゃくどこも売り切れで予約待ちだし

 :俺玉こん好きだから困るんだよ

 

 

「玉こんにゃく自体は錬金術でも作れるけどな。一応そっちのレシピも出しとくか」

 

 

【制作難易度:1】

<玉こんにゃくもどき>

 ★素材

 ジャガイモ_1

 蒟蒻芋_1

 ボール状容器_1

 ※錬金素材用の玉蒟蒻。食用には向かない。

 

 

「これらは蒸した1と2を撹拌して裏漉し、ボール状容器に流し込んで寝かすだけで完成だ。わざわざ市販の買ってる人は代用品を扱ってるだけにすぎない。錬金術師なら自作しなきゃ」

 

 

<コメント>

 :あの、それだと毒素が抜けないんじゃ?

 :渋みも残りそう

 :ジャガイモよ、なぜ出てきたwww

 

 

「え? まさか錬金術用素材を食用に?」

 

 

<コメント>

 :ハイポーションの素材になるんだからそらそうよ

 :あれ、でも段階で融合挟まない?

 :でもあれもどきだろ?

 :あくまで本物の代用品だから

 :どっちみちコアを口に入れる奴は居ない件

 :それはそう

 :最初は先輩を疑ったけど、あれ、矛盾してるのは俺らか?

 :いや、猫耳に騙されるな!

 :先輩かわゆ

 

 

 僕とリスナーの会話の横で、後輩が何やら見てる。

 どうやらキングが体験してきたダンジョン配信を見てるみたいだ。

 

 脳の情報を僕の猫耳からキングの頭部に変えてやるぞ、と後輩に掛け合い番組の中央にその画像を持って来させた。

 

 

 コメントが加速する。

 どうもこのアーカイブは同時接続数が多すぎて回線落ちするのだそうだ。

 うちのパソコンは後輩の自作らしく、Wi-Fiも自作。

 

 もうそっちの道で食べていけるんじゃないかというほどそっちに精通していた。

 

 そんなわけでうちのチャンネルではキングのハゲていく様がリアルタイムで流された。

 

 

 ガイウスやトールの方が目立って、キングがまるで目立ってない。

 一応攻撃の受け流しはしてるけどね。

 

 ただ僕の独り言より、見慣れぬモンスターの攻撃を全部防いでるのは流石だとコメントが上がる。

 

 

<コメント>

 :神回

 :誰も先輩の話聞いてない件

 :これを高画質で流せるこのチャンネル何者!?

 :本当に個人枠なの、ここ

 :企業だったら頭を抱えてる定期

 :それなー

 :おいおいおい、キングベヒーモスが出てきたぞ!

 :キングベヒンモス!

 :ダメージはさらに加速した!

 :Aランクダンジョンの深層にいるモンスターが序盤で徒党を組んでるの草

 :それを紙でも切るようにスパスパ切り刻むガイウスかっけー

 :何言ってんだ、全ての攻撃をいなしてるキングは流石だよ

 :全部受け止めてるのは職人芸よな

 :防具の性能が尖りすぎてるけどよく扱えてるよ

 :あれが素人の手に渡ったら同じことできる?

 :まず装備できない件

 :そういやクソ重装備だった

 :その上でハゲる

 :この二重苦よ

 :わっ、トール様の銃撃きちゃ

 :惚れるー

 :大してダメージになってないけど、気を逸らしてガイウスへの猛攻を阻害してるのナイスアシスト

 :ポーションの投入タイミングも阿吽の呼吸だし

 

 

「そりゃそうだろ。この三人、日本にいた時は組んでたし。【白夜極光】再誕だな、わはは」

 

 

<コメント>

 :白夜極光!?

 :個人名の方が有名になりすぎてるけど、そうかパーティメンバーだったのか

 :クソ恥ずかしい名前で草

 :その世代はだいたい探索者辞めて社会人になってるか探索者の上層部に入ってるからな

 :一応俺らの同期の中で有名だよ、キング

 :厨二病全開の痛いやつって意味でもな

 :おいおい同窓会場かよ、ここは

 :おっさんホイホイ

 :先輩も自称おっさんだし?

 :くそ、猫耳で俺を誘惑するな!

 :のじゃろりおじさん先輩!

 :のじゃでもロリでもないけどおじさんはかわいいだろ!?

 :脳がバグるから動画見ながら興奮しないで

 :もうレシピなんも頭に入ってこねーよ

 

 

 まるで()()()()()()()()()()()()とばかりにコメントは沸く。

 ハゲるキングの姿より、勇姿ばかりが誇張されて僕のレシピとか二の次になってたよね。

 

 

 まぁそれが狙いだったからいいものの、世界に初公開された日本のSランクダンジョンタイムアタックの配信は、うちのチャンネルを通じて大バズした。

 

 何故か僕の猫耳姿が世界中に配信されて死にたくなってきたけど。

 

 

 なんで()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()なんて切り抜きが出てくるのさ。

 

 それって一緒にいる後輩のことじゃないの? 

 どうして僕をピックアップするかなー? 

 せっかく日焼けしたのに。

 ワイルドさに拍車をかけたのに、解せぬ。

 

 アーカイブ化して投げて数時間もしないうちに、後輩がこんなものを寄越す。

 

 

「何これ?」

 

「ファンアートですよファンアート」

 

「え、これ僕?」

 

「ほら、ここにちっちゃく私も書かれてます」

 

 

 そこには研究所にて態度の悪い女の子がSランクダンジョンのタイムアタックをする男三人に興奮を隠しきれない感情を発露する姿が映っていた。

 

 嘘だろ、僕こんな顔してないぞ?

 

 

「うげぇ」

 

「何か不服ですか?」

 

「どれもこれも不服だって」

 

「だから顔出ししないでVにしたんですよ。先輩って意外と思い込み激しいですから」

 

「作り物だってわかってるが、だからってこんな創作物を投げ込まれるのは不本意だが?」

 

「あ、言ってるそばから続々と」

 

 

 ピロンピロンと携帯が鳴る。

 

 多くは配信へのコメントだったり、レシピの感謝状だったりするが、そこに新しく僕へのファンアートなるものが混ざり始まる。

 

 僕は見ないようにしてるが、後輩は目の保養だと僕に隠れてフォルダに保存していた。

 ほんと、いい性格してるよ。

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