勇者カリナ/未来戦線クロスロード ―魔王を倒した少女は、AI戦争の未来世界で、聖剣精霊と豪剣人機とともに人類を救う― 作:美風慶伍
移動速度ではカリナたち、上空強襲部隊の方が早い。先行して不審船の存在する警戒領域へと到達し、上空からの偵察情報を取得する。ジェイが助言する。
『カリナ、スティール・ウォーリアーからの取得映像情報をブレイブハーツアライアンスのネットサーバーへと回せ、情報共有だ』
「了解、エリュシオ! 作業をお願い」
『心得ました。映像情報をブレイブハーツアライアンスに上程します』
そして、その情報は地上を進む、ルーカスたちにも届いていた。
『カリナ、こちらでも映像情報を受信した。ブレイブハーツアライアンスからの事前情報と合致する。そのまま上空からの偵察を継続してくれ』
「了解!」
それは輸送船舶だった。平たく長大なコンテナ船――支援物資の輸送船を装っているのがわかる。だが、どこかおかしい。
「スティール、エリュシオ、あの輸送船をセンサーなどで探知できないかしら?」
『それなら、熱分布解析を使え、内部にクロムハウンドが待機している場合、アイドリング状態でもかなりの発熱を伴う』
ジェイの言葉にエリュシオが反応した。
『了解、不審船に対して、熱分布解析を開始します』
コクピット内の正面スクリーンの映像、その領域を航行する不審船に対して、サーモグラフィーに熱分布解析を行う。そして、そこから得られた情報は薄黄色に一色に塗られた貨物船だった。
「異常なさそうですね」とカリナがつぶやき、
『ごく普通の貨物船か? しかし、船舶の航行情報に該当はないのだろう?』
「そうらしいです」
だがそこでエリュシオが才能を発揮した。
『少々お待ちをデータをさらに詳しく解析します。スティールは全センサー情報を私に開示してください』
『了解、各部全センサー系情報開示します。データパスを解放するので受け取ってください』
『データ解放ルート受信しました。これより情報解析を開始します』
コックピット内のメインディスプレイに、表示されたのは40を超える情報解析の進行グラフ。
『これは、多元同時解析じゃないか?!』
ジェイはさすがに驚いていた。
『ただのAIでここまでのことはできないぞ?』
エリュシオは膨大な情報を同時に受け止めて一括して同時進行で処理し始めたのだ。エリュシオにはこんなものは余裕だ。
『カリナ様と戦場での戦いを共にして100体の英霊を同時に召喚することもよくありました。この程度のデータ解析、造作もありません』
きっぱりと言い切りながら59秒で解析を終えた。
『解析完了、敵偽装処理解除しました』
「これは?」とカリナ
『ビンゴだぜ、見ろ、パックケースの中の卵みたいにお上品に並んでやがる』とジェイ、
『偽装強襲上陸部隊である事が確定しました。敵機体数10機、動物型・人型を含み脅威度は極めて高いです』とエリュシオ。
『これを急いで情報共有しよう。戦局が一気に動くぞ』
「分かりました、ブレイバーハーツアライアンスに報告します」
『情報共有すでに完了しております』
エリュシオの行動は卒がなかった。
戦闘状況はさらに一歩、駒を進めたのだった。