勇者カリナ/未来戦線クロスロード ―魔王を倒した少女は、AI戦争の未来世界で、聖剣精霊と豪剣人機とともに人類を救う―   作:美風慶伍

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暴かれる偽装

 そして――

 その情報への反応は即座に返ってきた。マルマラ湾へと戦闘参加するヴァンガードと傭兵をまとめるルーカスからだった。

 

『カリナ聞こえるか俺だ』

「ルーカス?」

『解析情報を見た! ブレイブハーツアライアンスから即時迎撃命令が下った! こちらも残り30秒で支援攻撃開始ポイントへと移動する。支援攻撃を開始してからそちらでも強襲攻撃をかけてくれ』

「わかった! やってみる!」

『一緒にあいつを叩き潰すぞ!』

「はい!」

 

 夕暮れの海上を百鬼夜行を運ぶ黄泉路の船のように、その不審な輸送船は不気味にイスタンボールの陸地へと近づいてくる。

 それを上空から眺めていてカリナは思わずつぶやく。

 

「向こうからは気づいてないのかしら?」

『気づいてるさ。おそらくな。しかし向こうから攻撃した瞬間、偽装が完全にバレる。だからいつ馬脚を現すべきか必死に検討している最中だろうぜ』

 

 助言をしたのはジェイだ。

 

『おそらくはこの機体が強力な牽制になってる。突然向こうからミサイルを撃ってくる可能性もある。十分注意しろ』

「分かったわ。エリュシオ、サブアームライフル発射準備、トリガーはまだ引かないけどいつでも撃てるように準備して」

『了解、サブアームライフルLR、発射準備します』

 

 スティールウォリアーの両腰にはサブアームで保持された粒子ビームライフルが設けられている。近接白兵戦闘を重要視したスティールウォリアーの遠距離攻撃手段である。

 

『さてこれで向こうがいつになったら痺れを切らすかだな』

「我慢比べですね」

 

 ジリジリするような待機状態の中カリナは好機を待つ。そして、ルーカスから通信が入る。

 

『カリナ! こちらルーカス。支援攻撃ポイントの到達、遠距離攻撃いつでも行けるぞ』

「了解! それでは不審船への迎撃攻撃準備始めてください。敵不審船内部に約10機以上のクロムハウンドを確認しています。そして私の勘ですが、敵はおそらくもう1段階仕込んでいるはずです。不審船による強襲上陸が成功した後、例えば大型機体を上陸させて大規模破壊を行う可能性です」

 

 その読みを思いついた理由をカリナは明かした。

 

「かつて魔王軍と戦った際に似たような状況があります。小規模の敵精鋭部隊が自軍に接近、双方を疲弊させた後、意図的に隙を作り大型のドラゴンを投入してくるという戦術を行った魔王軍部隊があったのです。今回のケースはそれに酷似してます」

『カリナ、君の過去の経験からの読みだな?』とルーカス、

「はい、敵の戦略を読むのも指揮官としての勇者の役目でしたから」

 

 そしてルーカスたち地上支援攻撃部隊も攻撃準備を終えた。

 

『カリナいつでもいいぞ』

「了解」

 

 そして改めてカリナは敵の存在を凝視した。

 

「間違いなく本命はやってくる。だがその前に露払いは絶対必要」

 

 そしてカリナは大声で叫んだ。かつての世界を救った勇者としての矜持のままに。

 

「攻撃開始!」

PROCEED(了解)!』

 

 ルーカス率いる地上支援攻撃部隊が一斉に攻撃を開始した。

 ミサイル、粒子ビーム、レーザー砲、自律駆動自爆ドローン、多彩な攻撃が不審船を次々に襲う。カモフラージュの偽装荷物コンテナが次々に破裂し燃え上がりやがて正体を表す。

 

『マスター、敵偽装崩壊、内部から姿を現しました! 二脚歩行型、遠距離攻撃用砲身を持った支援攻撃タイプです』

 

 カモフラージュの中から姿を現したのは低重心の人型シルエットのクロムハウンドだった。両肩にそれぞれ遠距離攻撃用の砲身をセットしており、それが地上を狙っていた。

 

「させるものですか! エリュシオ! こちらからも遠距離攻撃開始! 攻撃対象選定、及び攻撃タイミング発射はそちらで! スティールは飛行制御! このまま突撃をかけるので適時敵への攻撃を回避してください!」

 

 するとジェイが話しかけてきた。

 

『突入するのか? 友軍攻撃される恐れがあるぞ?』

「平気です、かわしますから」

『かわしますって……おいおい』

 

 真っ向から言い切るその気迫にジェイもさすがに呆れていた。

 

『分かった、お前の覚悟を支持しよう』

「ありがとうございます」

 

 そしてカリナは命じた。

 

「大型刀剣武装展開!」

『了解、刀剣型武装ギガントブレイド展開します』

 

――ガキィンッ!――

――ガシュウンッ!――

 

 折りたたまれて腰の裏側にセットされていたギガントブレイドが、左腰側に展開し収納モードから開いて伸張する。そして、カリナはマスタースレーブのコントロールを駆使して左腰に下げたギガントブレイドを抜刀した。

 

「すごい! データグローブから帰ってくる感触がある! 確かにしっかりと剣を持っているという認識がある! これならやれる!」

 

 そして飛行機能を制御している両足のスライド式のペダルを操作する。機体を不審船に向けて気合い一閃叫んだ。

 

「行きます!」

 

 そして機体各部の電磁プラズマブラストの奔流が勢いよく吹き出した。

 カリナは敵めがけて飛び込んでいったのである。

 

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