勇者カリナ/未来戦線クロスロード ―魔王を倒した少女は、AI戦争の未来世界で、聖剣精霊と豪剣人機とともに人類を救う― 作:美風慶伍
「
海上の不審船に突進してくるスティールウォーリアに気づいた敵クロムハウンドの半数が砲身を改めて空中へと向けてくる。そして、早速に海上からの、粒子ビームの洗礼がカリナを襲った。だが――
「この程度の攻撃! かすりもしない!」
カリナはこの機体に乗ったのが初めてだというのに飛行機能を完全に制御していた。そればかりか敵の攻撃を立て続けに見事にかわして、不審船の甲板へと猛スピードで突撃する。
「鉄の悪魔! 覚悟!」
両手で握りしめたギガントブレイドを頭上高く振り上げて、まずは両足で1体目の機体を踏み潰す。
――ドゴォオッ!――
間髪を置かずに前方と左側の2体を連続で撫で斬りにする。
――ザガッ! ザバァアッ!――
不審船の甲板上のクロムハウンドが一斉にスティールウォーリアーに気づいて砲身を向けてくると、一旦跳躍して空中に逃れるとトンボを切るように1回転し、敵奥側の3機に対して、頭上からの突き刺しを一つ、抜きはなし返す動きで真っ向からの正面空竹割り、さらにもう1体横なぎに切り裂き真っ二つにする。
さらには残り4機だが、こちらは地上攻撃支援部隊からの攻撃をまともにくらい能力を喪失していた。
とどめとばかりに、サブアームの粒子ビームライフルでしっかりととどめを刺す。そして、敵の10機の極秘の潜入攻撃部隊は瞬く間に壊滅したのだ。
地上側の支援攻撃部隊が驚きの声を上げていた。
『すげぇ、あっという間だぜ』
『白兵戦闘って極めればあそこまで強力なのか』
『何者なんだあいつ? あんなやついたか?』
カリナの存在はまだまだ知られていないから当然の反応だった。
だが、カリナは急ぎ空中へと逃れた。強力な予感がしたからだ。
「!!――、来る!」
カリナが空中へと逃れた瞬間、不審船を転覆させながら水面を割って浮上してくる影があった。
――ゴッ! ザァァアアアアッ!――
「全機! 通達! 敵本命浮上! 迎撃攻撃を開始し上陸を阻止せよ!」
『
水面を割って浮き上がってきたのは巨大なロブスターだった。
「海老? しかも大型のロブスターだわ、生物の模倣してるの?」
『水中で活動する場合、かえって生物に似せた方が合理的な場合もあるのさ。水中での自立駆動能力、強力な装甲、武装装備の搭載の容易さ、総合的に見てバランスがいいんだ』
ジェイの助言は続く。
『カリナ! あのタイプはロブスターとしての両腕のハサミ部分の中に高出力の粒子ビーム砲を装備しているはずだ。地上を撃たれる前に破壊しろ!』
「了解! エリュシオ! 飛行推進能力最大! 同時に敵頭部の3次元座標を地上部隊に送信しそこを一点集中で攻撃させて!」
『了解、攻撃座標を選定し、敵頭部を集中攻撃させます』
そしてさらに、
「スティール! あなたの出番よ最大出力で敵に突進するから、敵攻撃からの回避あなたの判断に任せるわ」
『了解、我が主人よ。飛行機能制御はこちらで管轄する』
「よろしく! 吶喊!」
地上部隊が大型ロブスターの頭部を一斉攻撃して隙を作る間、上空から急カーブを描いて敵の右腕の根本を真っ向から切り裂く。さらに、急反転して敵左側に回り込みその腕も根元から切り裂いた。
「これで攻撃手段は無くした! そして!」
敵の背面へと回り込む。その強力な背部装甲、それを斜め袈裟斬りに連続で切りつける。
「案外脆いわね! 穴は開けた! エリュシオ! サブアームライフルで集中攻撃! 内部を破壊して!」
『了解敵内部構造破壊します』
さらに、
「地上部隊! 曲射攻撃が可能な兵装で敵背面部を集中攻撃! 敵装甲に穴を開けた! ここで一気に落とす」
『
そして地上から放たれたのは無数のミサイルだった。エリュシオが指定したもう一つの攻撃座標として送られていた座標に向けて一斉にミサイルを放つ。ミサイルの群れはカーブを描いて化け物ロブスターを一気に葬り去る。
――ギュォオオオオオッ!――
――ゴォオオオオン!――
ミサイルとサブアームライフルの粒子ビーム、その副次効果で巨大な爆発が起き、内部メカが誘爆したことで化け物ロブスターは一気に爆発した。
――ヴォオオンッ!――
――ドゴォオオオオンッ!――
『動力炉誘爆だ! これで敵はもう助からん!』
ジェイの言葉にカリナは思わず笑み浮かべる。
「では、戦闘は――」
『完全勝利だ!』
「やった!」
『浮かれるには早いぞ! 後続の可能性を警戒しろ』
「はい!」
ジェイに注意されても、それすらも嬉しかった。この未来世界での初勝利なのだから。