勇者カリナ/未来戦線クロスロード ―魔王を倒した少女は、AI戦争の未来世界で、聖剣精霊と豪剣人機とともに人類を救う― 作:美風慶伍
そして事情を補足するためエレナも説明を始めた。
「ここにいるエミルやレオン隊長と言った複数の人々のところあんたにお礼がしたいと色々な人から声が集まったそうだ。そしてその話が私のところに持ってこられた。そしてまだアンタが
エレナがスティールウォーリアーを指し示しながら言った。
「カリナが剣術を中心とした近接戦闘を得意としているのは明白だった。お前さんなら、スティール・ウォーリアーの性能をフルに活かせるだろう。それは今回の戦績が証明してくれている」
エレナとともに人々の視線がスティール・ウォーリアーに集まる。
「左腰に下げている大型実体剣〝ギガントブレイド〟――、操縦システムは白兵戦闘に有利なマスタースレーブ方式、その使い勝手は覚えているね?」
「はい!」
「試しに乗ってな。中身も新品にしてあるよ」
「わかりました!」
元気のいい返事を返してカリナがハンガー側面のはしごを登っていく。魅惑的なマイクロドレス姿だったが、目の前の機体に心うばわれたかのように肌も顕に大胆にはしごを登りきった。
さらにエレナの声がする。
「こいつの乗り方は覚えているね?」
「はい!」
機体側面の所定位置にベーシックイグニッションキーをタッチする。するとそのヴァンガード胸部部分が前後に半分に割れて前の部分が前方へとせり出す。
――プシュー――
開いたその向こうには操縦席がありカリナはその中へと潜り込む。左右が細いバイクの様なシートに跨がると右側のコンソールパネルの一部にあるコックピット開閉ボタンを操作する。
――キュイィィィィィィ――
コクピットが閉じて室内灯に明かりが灯る。そして何度も練習した機動プロセスを操作する。
「ええと、マスタースイッチはイグニッションカードキーを差し込んで、ミリタリーIDで個人認証」
この段階で背面方向以外の全周300度の範囲の全周モニタースクリーンが外部の様子を映し出した。以前は前方視界だけだったのが大幅に改良されていて、シートもホールド性が良くなり、パイロットの姿勢維持用のホールドアームがカリナの肩を抑えていた。
そんなスティールウォリアーを取り囲むように皆が興味深げに眺めている。
「すごい周りが見渡せる! プレヒート設定はフルオート、そして、イグニッション!」
リアクターが作動して動力に火が灯った。
「設定チェック、作動モードチェック。行動開始よし」
そこまで操作したところで足元からエレナの声が聞こえた。
「カリナ、脚部の操作のスライドペダルと、両腕の操作のデーターグローブは覚えてるね?」
カリナはシートの肘掛部分に置かれていた通信ヘッドセットを耳にかけつつ、データーグローブを嵌めると、自らの声を送る。
「はい、すでに装着しました」
「音声コマンドで〝マスタースレーブコントロールスタート〟と入力で、マスタースレーブ操作モードに切り替わるようにした。あとはもう分かるだろう?」
「わかります!」
「みんなに見せておやり」
「はいっ!」
正面のコンソールパネルを見ればレギオンブレイドを差し込む収納スリットがある。以前やったようにレギオンブレイドを挿入する。すると早速反応が帰ってきた。
『人工精霊・機体AI連動シュミレーションシステムスタートします。私は人工精霊エリュシオ、本機の情報管制システムと連動いたしました。ご命令をお受けいたします』
「エリュシオ! 使い心地はどう?」
『はい、以前よりも遥かに改良されたシステムが備わっています。この機体には私の能力を機体の制御に完璧に反映させてくれます。マスター、試しに歩いてみませんか?』
「うん! やってみる。マスタースレーブコントロールスタート!」
コクピット内にカリナの凛とした声が響いた。そして、新生スティールウォーリアーはしずかに動き出したのである。