勇者カリナ/未来戦線クロスロード ―魔王を倒した少女は、AI戦争の未来世界で、聖剣精霊と豪剣人機とともに人類を救う― 作:美風慶伍
通信用ヘッドセットから輸送機スタッフの声が聞こえる。
『機体スタッフからパイロットカリナへ、10秒後に機体固定ロックを解除します。くれぐれも発進前の機内での転倒に十分注意してください。後部ハッチ解放後、リニアモーターカタパルトで機外放出します』
「了解です注意します」
『では機体固定ロック解除します!』
――ガキンッ!――
スタッフのコールとともにスティールウォーリアーを機体に固定するロックアームが解除された。スティールウォーリアーの機体が揺れてフリーになったことがわかる。
『機体後部ハッチ開きます』
イスタンボール上空13000m、その凍てついた風を浴びながら輸送機の後部ハッチが開いていく。機内の空気が吸い出され猛烈な風が舞う。
『発進カウント5秒前! 3、2、1――』
「カリナ・ウィングス! スティールウォーリアー! 出ます!」
――ジジッ! ギィイイイイイッ! ゴォオオオッ!――
スティールウォーリアーはカウントと同時に格納庫床面に設置されたリニアモーター式のカタパルトで機外へ放出された。自由落下軌道に入り電磁プラズマブラスト機構によるフライトモードを起動する。
「エリュシオ! 機体各部電磁プラズマブラスト機構、疑似フライト飛行制御モード機動」
『了解、電磁プラズマブラストシステム・フライトモード起動します』
――フォオオオオオォォ――
スティールウォーリアーの機体各部に備わっている特徴的な機能である電磁プラズマブラスト機構、推進用にも攻撃用にも敵への妨害用にも様々に活用可能なシステムだ。スティールウォーリアーを象徴するシンボルのような機能である。
『機体浮上・推進ベクトル発生、プラズマジェネレーターレッドゾーンリミットまで37%まで出力上昇』
「自由落下軌道から、制御飛行起動へと移行! 能動的に敵ターゲットへと加速落下します!」
『了解、敵ターゲット、存在座標認識しました。』
「加速!」
『機体、現在高度、地上10,000m、目的地へ加速します』
「さぁ、一気に敵を叩くわよ!」
自由落下プロセスがさらに速度を増してスティールウォーリアーは、アルゲスの瞳向けて一気に落下していったのである。
§
そこから地上までわずか数十秒足らずでカリナは一気に落下していく。
眼下には肉眼ではよくわからないが、コンピューターによる映像処理で攻撃目標であるアルガスの瞳が確かに見えていた。
まずはエリュシオが状況を説明する。
『敵機体視認しました。ダークブラウンの機体で地面に溶け込んでいますが、反射率などの違いからは識別は可能です』
「よしそのまま敵の位置を捕捉して。スティールは敵の位置を認識しつつ、敵の攻撃不可能範囲内に本機体を維持し続けて」
『了解、機体各部のプラズマブラストを用いて敵死角範囲への機体制御を継続します』
そして高さ5000mを切りこちらからの攻撃有効範囲に近づきつつあった。
『マスター、スティールウォーリアの腰部粒子ビーム砲の最大有効射程は3000mです。有効範囲ギリギリに入った時に射撃しましょう』
「いいわね! それ行きましょう! スティールは機体の飛行制御をそのまま継続、エリュシオは本機体の腰部粒子ビーム砲発射前の予備エイミングを継続開始」
『了解しました。粒子ビーム砲エイミングスタート』
猛烈な速度で地上へと落下しつつも彼らは敵の存在から消して視線をそらさなかった。地上へとへばりついたあの丸い機体、その表面を忌々しいビーム砲がせせこましく走り回っている。
『敵は、こちらの存在を認識したようです。ですが機体構造の制限でビーム砲を打てないようです』
その理由をカリナは推測した。
「多分だけど上方向に発射する際に、機体構造上、脚部が衝撃を受け止めきれないのよ! あっ! 動いたわ」
『敵、砲撃死角範囲から本機体を外そうとしています!』
「させるもんですか。スティール! 通常飛行モード開始! 自由落下の速度と合わせて敵の攻撃死角に入り続けるわよ」
『了解しました。マスターの操縦権限を私の基本機体制御より上位に設定します』
そして斜め方向へとカーブを描きながら、自らをアルガスの瞳の上方向に維持し続けた。
さらに機体はいよいよ目標とする地上3000mに到達しようとしていたのである。
「やってるやってる! 何としても撃とうとしてるわね? そうはさせないわよ!」
( 'ω'o[ 読者さまへ ]o
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