勇者カリナ/未来戦線クロスロード ―魔王を倒した少女は、AI戦争の未来世界で、聖剣精霊と豪剣人機とともに人類を救う― 作:美風慶伍
それはまさに敵であるアルガスの瞳の悪あがきそのものだった。スティールウォーリアを何としても射撃範囲に収めようとする。しかし飛行能力を駆使してカリナが操縦するスティールウォーリアは食らいついたようにアルガスの瞳の上空というポイントを掴み続けたのだ。
『攻撃可能射程範囲まで残り3400、3300、3200――』
スティールウォーリアの両腰には、粒子ビーム砲が左右それぞれ備わっている。すでに予備加熱は終わっておりエネルギーも充填完了。ビーム励起状態もクリア。発射はいつでもOKだった。
右手のマスタースレーブコントロール用グローブの発射トリガーグリップが収納状態から瞬時に展開され、カリナのその人差し指はトリガーにあてがわれた。
『3100、3000――、射撃可能範囲到達しました』
そして、瞬時に敵への照準が定まる。エリュシオによる予備照準と、カリナの鋭い勘によるメイン照準がシンクロし瞬時に目標は捕捉された。
――キュィィィィ、ピピピピ、ピーーッ!――
「発射!」
スティールウォーリアの腰回り後方から武器マウントアームが伸びており、T字の構造になったそのマウントアームの先端には細長い形状の2つの粒子ビーム砲が備わっていた。
そして狙った照準に向けてスティールウォーリアからのビームが到達して、その忌まわしき敵の攻撃の牙であるロングレンジの粒子ビーム砲は無残に砕け散る。
『敵メイン攻撃手段喪失――』
「いいえまだまだよ! あの手のタイプはしつこいわよ! そら来た!」
すると敵であるアルゴスの瞳は、その球体の表面から無数のハッチを開いて、内部から多数のミサイルを展開したのだ。
『敵ミサイル攻撃開始、弾数100発以上――』
「問題ないわ! 私たちの総合力なら! スティール! 敵攻撃回避動作開始! エリュシオはプラズマブラスト制御に介入! 敵攻撃回避動作を自動制御!」
『了解、自動制御開始します』
そしてさらにカリナはもう一つの武器を展開した。
――ガッシュ! ガキン!――
機体の背面に折り畳まれて収納されていた大型の剣が左腰に展開される。カリナはスティールウォリアーの右手で大型剣のグリップを握りしめた。
その間にもスティールウォーリアは敵の攻撃を回避し続ける。それでも肉薄する敵ミサイルには両腰の粒子ビーム砲で、ミサイルを撃ち落としていく。
『地上から1500、1400、1300、1200、1000――』
その時カリナは大声で叫んだ。
「逆噴射!」
それまでの落下速度を一気に相殺するかのように、落下する方向に向けて猛烈な勢いで全プラズマブラストの白銀の光を地上へとほとばしらせた。
――ゴォオオオオオオオッ!――
ようやく落下速度の減少し始める。カリナは右手で握りしめた大型剣を抜刀する。スティールウォーリアのメイン武器の一つ〝ギガントブレイド〟である。
それでも速度の勢いは凄まじいものだった。その勢いの一部を残したまま、カリナはアルガスの瞳の機体に向けてスティールウォーリアそのものを命中させた。
両脚部を下に、ギガントブレイドは両手で握りしめて切先を敵機体に確実に突き刺そうとする。
――ズゴォオオオオン!!――
メイン武器である粒子ビーム砲を破壊され、保有するミサイルを全弾かわされ、そして今また、スティールウォーリアは見事、敵の胴体部分の装甲を破壊した。
そこにさらにスティールウォーリアの中の重量がプラスされたのだ。
敵の胴体部分は上から叩き潰されたスイカのように大きくへこみ大ダメージを食っていた。
「エリュシオ! 破壊状況確認!」
『敵破壊状況確認します、さらなる武器の追加展開は無し。誘爆こそ起きてませんが内部動力メカニズムも破壊。敵行動不能、さらなる行動は不可能。作戦目的完遂いたしました』
「よし!」
カリナは満面の笑顔で力強く叫んだ。
「一気に戦域離脱するわよ!」
『了解』
『スティールウォーリア、安定飛行モードへ移行』
「このまま上空3000mまで戻って、他の状況も確認!」
今こそ、カリナたちは奇想天外なプランで地上では無敵だった敵を一撃のもとに葬り去ったのである。
( 'ω'o[ 読者さまへ ]o
お読みいただきありがとうございます。
続きが気になりましたら、ブックマークや「いいね」で応援いただけると励みになります。