勇者カリナ/未来戦線クロスロード ―魔王を倒した少女は、AI戦争の未来世界で、聖剣精霊と豪剣人機とともに人類を救う―   作:美風慶伍

3 / 33
断ち斬れ! 魔王の悪業の牙! ―カリナ! 風の刃で華麗に舞い踊る!―

 エルリックたちが魔王の攻撃と行動を封じる中、カリナは風をまとって華麗に舞うとレギオンブレイドで魔王に風の刃を繰り出しながら幾度も幾度も斬りつけていく。

 

「風斬波!」

 

 緑色に輝く風の刃、それが空中を飛び交う中、巨大な魔力を持つ魔王を確実にその生命力と魔力を削っていった。

 魔王は必死になってこの包囲網を突破し攻撃を繰り出そうとするが、エルリックの近接攻撃と、ソフィアの魔法と、ミリアの銃撃、その三段構えで魔道の発動すらできない状況になっている。苛立ちをさらに貯める魔王に対してカリナが告げる。

 

「魔王ヴァルガリアス! 100年程度しか生きられない人間種族を散々侮ってきた貴様だ、この状況はさぞやお前にとって苦しいものだろう。だが忘れるな! 弱いからこそともに手を取り合い! 助け合い! 1人1人が小さくともその小さなものが集まることでお前を超えるより巨大な力となるのだ!」

「黙れ! 小娘が!」

 

 そう叫んで魔王の右腕が降り上がった。膨大な魔力を右腕の手のひらの中に溜め込み圧縮している。カリナはそれを見逃さなかった。

 

「隙あり!」

 

 レギオンブレイドを右腰に貯めると、エアリスの風魔法とブレイズの体技を駆使して超高速移動で魔王の懐に一気に飛び込む。

 魔法の右脇の下を瞬時に通り抜けざまに、カリナは剣を振り上げて逆袈裟懸けに一閃炸裂させる。

 

――ザバァッ!――

 

 剣の刃峰から斬撃と共に高圧の風の(やいば)がほとばしった。

―ビュオゥッ!――

 

 レギオンブレイドから最大級の出力の風斬波を生み出して魔王の右腕を肩の付け根の根元から一刀両断に切り裂いた。そして――

 

「がぁあああああっ!」

 

 魔王の悲鳴が上がるなか、その右腕は落下して床へと落ちる。さらに右の手のひらの中に溜め込んだ巨大な魔力が制御を失って暴発した。

 

――ボゥオオオオオンッ!――

 

「ぐあああああっ?!」

 

 皮肉にも魔王は、自らの魔力で自らを吹き飛ばす形となったのだ。後方へと弾き飛ばされる形で魔王は床の上を転げ回る。ソルスター世界の大地を恐怖のどん底へと叩き起こした魔王その人と思えないほども無様な姿だ。

 だがそれは千載一遇の最大のチャンスだった。

 

「今だ! すべての英霊の力を借りる時!」

 

 カリナは一気に後方に下がると床に降り立つ。そして、レギオンブレイドを頭上に向けてかかげると再び詠唱をした。さらなる英霊召喚である。

 

「〝英霊(エイドロン)召喚(・イヴォーク)大隊(バタリオンズ)戦列(ビルドゥング)!」

 

 詠唱とともにレギオンブレイドは光り輝いた。そして、まるで天界の門が開いたかのようにカリナの背後に数多の過去の勇者たち、その仲間たちが魂となりて現れたのだ。その数、総数200柱。かつてない規模の大規模召喚だった。魔王は、200柱の英霊たちの持つ魂の輝きの前に身動き一つできなくなっていた。

 今の状況を見て巨大なバトルアックスを抱えた髭面の老齢の勇者が語る。

 

『どこに招かれるかと思えば、よもやここは魔王城!』

 

 まだ少年といって差し支えないあどけない容姿の若い勇者が語る。

 

『と、言う事はここは最終決戦の地!』

 

 腰にバスタードソードを帯びた、いかにも剣士風の麗女が語った。

 

『現世の勇者殿がついにたどり着いたということか』

 

 全身総鎧の騎士勇者が語る。

 

『なればここは現世魔王ヴァルガリアスの居城! 最後の覇王の軍勢が終焉の時を迎えるということだな?』

 

 その彼らにエアリスは告げた。

 

『いかにも! 現世勇者カリナ・ウィングス卿がついになし得たのです! 魔族と人間の長きにわたる戦いもついに終局!』

 

 さらにブレイズも告げる。

 

『勇者諸衆! 各々方も戦列に加わられよ!』

 

 その言葉に英霊たちは自ら武器を構えた。英霊たちの列の中央に立ついにしえの魔導士風の姿の麗しき老女の勇者がカリナに語りかけた。

 

『勇者カリナよ! 今こそ人間と魔族の決着の時! 我ら歴代の英霊、総力を上げて汝に力を貸そう』

「恐悦至極! 英霊諸衆! 戦列構築を! 絶対防御陣展開!」

『おう!!!!』

 

 カリナの掛け声とともにレギオンブレイドは輝き英霊たちは叫びを上げ隊列を組む。その光景に驚愕したのは魔王だった。

 

「馬鹿な? 歴戦の勇者たちのすべての魂だと?!」

「そうよ! それが我らがレギオンブレイドの力です! あなたたちが100年足らずと侮蔑する人間の魂が生きてきたその証をこの聖剣は記録し続けるのです! そして時を超えて平和をもたらすために力を与えてくれるのよ!」

 

 魔王を睨みつけながら、カリナは汗ばむ手で聖剣を必死に握り直す。聖剣に宿るエリュシオに向けて彼女は叫んだ。

 

「エリュシオ! 攻撃発動!」

『了解、アサルトエフェクト発動します』

「行きます! 抗魔斬撃! 無限刃列発動!」

 

 レギオンブレイドのさらなる輝きのもとに歴代の偉大なる勇者たちが一斉に剣を抜いた。そしてその剣の力はレギオンブレイドに一つに重なる。

 長年の間、共に戦場を駆け抜けた重装騎士にして戦士長のエルリックが叫んだ。

 

「カリナ今だ!」

 

 カリナが率いる軍団アルカナヴァンガードの魔法の最大の要にして、偉大な魔法使いであるソフィアも告げる。

 

「ヴァルガリアスの魔力が再活性化する前にとどめを!」

 

 全てを見抜く戦場の目であり、弓や銃を持つ兵たちを率いる斥候兵長のミリアも叫ぶ。

 

「全ての命に自由を!」

 

 それらの言葉を得てカリナは、足元を踏みしめると、ひときわ高く舞い上がった。

 

「いざ尋常に! 勝負!」

 

 その姿に魔王は驚愕の表情で防御魔力障壁を展開した。

 

「おおおおおおぉ?! おのれぇ!!」

 

 だが、カリナのレギオンブレイドはそれを易々と突き破る。

 

――パキィイイン!――

 

「魔王ヴァルガリアス! 覚悟!」

「人間ごときがぁああ!」

 

 それが魔王の最後の叫びだった。無限に近い聖なる力を宿したレギオンブレイドは魔王の体を真っ二つに切り裂いた。

 

――ザヴァアアアッ!――

 

 だが――

 

――ゴァッ!――

 

 猛烈な風が巻き起こる。それは目も開いていられないほどの嵐だ。

 

「こ、これは?」と、カリナ。

「魔王の体内の魔力の暴走だわ!」とソフィア、

 

 謁見の間の全体に魔力嵐が巻き起こる。その場の全員が足を踏ん張り、飛ばされないようにするだけで精一杯だった。

 

――ギュヴォアァッ!――

 

 その風が逆流した。吹き出しから吸い込み始めたのだ。その時、魔王の至近距離に居たのは――

 

「カリナ?」と、エルリックが驚きの声を上げる。

「カリナァ!」と、ソフィアが悲鳴を上げた。

 

 カリナがまともに吸い込まれたのだ。その小柄な体が宙を舞い、螺旋を描く。

 

「キャァアアアアアッ!」

 

 カリナ自身がつんざくような悲鳴を上げる中、魔力の渦は空中に穴を生じさせていた。

 

「あれは? 次元の穴?」と、ミリア

「まずい、吸い込まれたら別世界に飛ばされる!」と、ソフィアも焦りを浮かべた。

 

 魔導杖を掲げ、手持ちの魔導詠唱水晶板から空間制御魔法を展開するソフィア、

 

「英霊諸氏の皆さん! 魔導詠唱が出来る方は、私ソフィア・ホーリーウィンドの名前をルートとして、カリナを時空漂流から救い出すための空間制御魔法を支援詠唱してください!」

 

 魔道士である知恵の西風(ゼファー)、エアリスも叫んだ。

 

『みんな! 急げ! カリナが失われる前に!』

『おおおっ!』

 

 そして、魔王の最後のもがきから、カリナを救うべくソフィアを中心に一斉に100人近くが魔導詠唱を始めた。

 聖なる力は一つにまとまり、それがカリナの体を救う糸となる。糸は紡がれて、束ねられ、強靭なロープとなり、そして、それはカリナの体を確実に掴んだ。

 

――キュウウッ――

 

「掴んだ!」と、ミリアが視認する。

「引っ張るわよ! 収束魔法、追加詠唱!」

 

 カリナの体は元の空間へと確実に戻ろうとしていた――

 




第3話までお読みいただき、ありがとうございます。
少女勇者カリナと魔王の戦いは佳境を迎えました。
カリナはここからどうなるのか?

気に入っていただけましたら、ブックマーク・フォロー等で応援いただけると励みになります。

引き続き『聖剣機兵カリナ』をよろしくお願いいたします。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。