勇者カリナ/未来戦線クロスロード ―魔王を倒した少女は、AI戦争の未来世界で、聖剣精霊と豪剣人機とともに人類を救う―   作:美風慶伍

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魔王の爪・勇者の剣 ―歴代英霊・二〇〇柱召喚―

 エルリックたちが魔王の攻撃と行動を封じる中、カリナは風をまとって華麗に舞うとレギオンブレイドで魔王に風の刃を繰り出しながら幾度も幾度も斬りつけていく。

 

「風斬波!」

 

 緑色に輝く風の刃、それが空中を飛び交う中、巨大な魔力を持つ魔王を確実にその生命力と魔力を削っていった。

 魔王は必死になってこの包囲網を突破し攻撃を繰り出そうとするが、エルリックの近接攻撃と、ソフィアの魔法と、ミリアの銃撃、その三段構えで魔道の発動すらできない状況になっている。苛立ちをさらに貯める魔王に対してカリナが告げる。

 

「魔王ヴァルガリアス! 100年程度しか生きられない人間種族を散々侮ってきた貴様だ、この状況はさぞやお前にとって苦しいものだろう。だが忘れるな! 弱いからこそともに手を取り合い! 助け合い! 1人1人が小さくともその小さなものが集まることでお前を超えるより巨大な力となるのだ!」

「黙れ! 小娘が!」

 

 そう叫んで魔王の右腕が降り上がった。膨大な魔力を右腕の手のひらの中に溜め込み圧縮している。カリナはそれを見逃さなかった。

 

「隙あり!」

 

 レギオンブレイドを右腰に貯めると、エアリスの風魔法とブレイズの体技を駆使して超高速移動で魔王の懐に一気に飛び込む。

 魔法の右脇の下を瞬時に通り抜けざまに、錐揉み旋回する。同時に逆袈裟懸けに剣を一閃炸裂させる。

 

――ザバァッ!――

 

 剣の刃峰から斬撃と共に高圧の風の(やいば)がほとばしった。

 

――ビュオゥッ!――

 

 レギオンブレイドから最大級の出力の風斬波を生み出して魔王の右腕を肩の付け根の根元から一刀両断に切り裂いた。そして――

 

「がぁあああああっ!」

 

 魔王の悲鳴が上がるなか、その右腕は落下して床へと落ちる。さらに右の手のひらの中に溜め込んだ巨大な魔力が制御を失って暴発した。

 

――ボゥオオオオオンッ!――

 

「ぐあああああっ?!」

 

 皮肉にも魔王は、自らの魔力で自らを吹き飛ばす形となったのだ。後方へと弾き飛ばされる形で魔王は床の上を転げ回る。ソルスター世界の大地を恐怖のどん底へと叩き起こした魔王その人と思えないほども無様な姿だ。

 

 だがそれは千載一遇の最大のチャンスだった。

 

「今だ! すべての英霊の力を借りる時!」

 

 カリナは一気に後方に下がると床に降り立つ。そして、レギオンブレイドを頭上に向けてかかげると再び詠唱をした。さらなる英霊召喚である。

 

「〝英霊(エイドロン)召喚(・イヴォーク)大隊(バタリオンズ)戦列(ビルドゥング)!」

 

 詠唱とともにレギオンブレイドは光り輝いた。そして、まるで天界の門が開いたかのようにカリナの背後に数多の過去の勇者たち、その仲間たちが魂となりて現れたのだ。その数、総数200柱。かつてない規模の大規模召喚だった。魔王は、200柱の英霊たちの持つ魂の輝きの前に身動き一つできなくなっていた。

 今の状況を見て巨大なバトルアックスを抱えた髭面の老齢の勇者が語る。

 

『どこに招かれるかと思えば、よもやここは魔王城!』

 

 まだ少年といって差し支えないあどけない容姿の若い勇者が語る。

 

『と、言う事はここは最終決戦の地!』

 

 腰にバスタードソードを帯びた、いかにも剣士風の麗女が語った。

 

『現世の勇者殿がついにたどり着いたということか』

 

 全身総鎧の騎士勇者が語る。

 

『なればここは現世魔王ヴァルガリアスの居城! 最後の覇王の軍勢が終焉の時を迎えるということだな?』

 

 その彼らにエアリスは告げた。

 

『いかにも! 現世勇者カリナ・ウィングス卿がついになし得たのです! 魔族と人間の長きにわたる戦いもついに終局!』

 

 さらにブレイズも告げる。

 

『勇者諸衆! 各々方も戦列に加わられよ!』

 

 その言葉に英霊たちは自ら武器を構えた。英霊たちの列の中央に立ついにしえの魔導士風の姿の麗しき老女の勇者がカリナに語りかけた。

 

『勇者カリナよ! 今こそ人間と魔族の決着の時! 我ら歴代の英霊、総力を上げて汝に力を貸そう』

「恐悦至極! 英霊諸衆! 戦列構築を! 絶対防御陣展開!」

『おう!!!!』

 

 カリナの掛け声とともにレギオンブレイドは輝き英霊たちは叫びを上げ隊列を組む。その光景に驚愕したのは魔王だった。

 

「馬鹿な? 歴戦の勇者たちのすべての魂だと?!」

「そうよ! それが我らがレギオンブレイドの力です! あなたたちが100年足らずと侮蔑する人間の魂が生きてきたその証をこの聖剣は記録し続けるのです! そして時を超えて平和をもたらすために力を与えてくれるのよ!」

 

 魔王を睨みつけながら、カリナは汗ばむ手で聖剣を必死に握り直す。聖剣に宿るエリュシオに向けて彼女は叫んだ。

 

「エリュシオ! 攻撃発動!」

『了解、アサルトエフェクト発動します』

「行きます! 抗魔斬撃! 無限刃列発動!」

 

 レギオンブレイドのさらなる輝きのもとに歴代の偉大なる勇者たちが一斉に剣を抜いた。そしてその剣の力はレギオンブレイドに一つに重なる。

 カリナは、足元を踏みしめると、ひときわ高く舞い上がった。

 

「いざ尋常に! 勝負!」

 

 その姿に魔王は驚愕の表情で防御魔力障壁を展開した。

 

「おおおおおおぉ?! おのれぇ!!」

 

 だが、カリナのレギオンブレイドはそれを易々と突き破る。

 

――パキィイイン!――

 

 それは勝利の瞬間――、エルリックもソフィアもミリアも、おどろき、喜び、固唾をのんで見守っていた。

 

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