勇者カリナ/未来戦線クロスロード ―魔王を倒した少女は、AI戦争の未来世界で、聖剣精霊と豪剣人機とともに人類を救う― 作:美風慶伍
それから、日も暮れた夜のこと、三人は無事にエレナのところに戻ってきた。
ブレーブハーツアライアンスにヘリで到着後、マイクがむかえにきてくれただ。トレーラーは要修理、代替の小型トラックでの出迎えだった。
マイクのトレーラーがクロムハウンドに襲われた事はエレナにも伝わっていた。カリナが着くなり、ガレージの中から飛び出してくる。
「マイク! 大丈夫だったかい?! ローミングが3体って聞いたけど?」
「大丈夫だよ、エレナ婆ちゃん! カリナ姉ちゃんが防いでくれたから」
当然、エレナの視線はカリナに向いた。
「聖剣の力で結界を張りました。ギリギリでしたがなんとかトレーラーを壊されずにすみました」
付き添ったジェイもカリナの褒めた。
「相当ギリギリの状態だったようですが、命をもぎ取って還ってきました。カリナもマイクも傷一つありませんぜ」
「そうかい、それは良かった」
そしてエレナは、ややお疲れの表情のカリナを気遣う。
「あんたの表情を見るだけでも、何があったか想像つくよ。まぁ、生き残れたのは何よりだ。上に上がって着替えな。戦いのあとは体を休めることさ」
「はい、そうさせていただきます」
にこやかに微笑み合う二人にマイクは言う。
「それじゃ、俺も行くよ」
「そう――、気をつけてね」
「あぁ、それじゃ!」
軽やかに小型トラックに乗り込むとマイクは手を振りながら去っていった。
部屋着に着替えて、エレナたちと夕食を取る。ルーカスが遅れて訪れてあれこれ聞かれる。だが――
「かなりハードな状況だったようだな、詳しい話は明日以降にきかせてもらうよ」
クールなルーカスも、カリナの疲労を察するくらいには気を利かせられるのだった。
なれない世界でのなれない戦い、かなり神経を使ったのだとカリナ自身も自覚していた。
ジェイが帰り際、カリナに歩み寄り耳元でそっと囁いた。
「今日はゆっくり休め。それだけのことをしたのだからな」
「はい――」
たった、それだけのやり取りだったが、カリナは頬を赤らめるほどに喜びを感じていた。
――褒められた――
それがカリナを幸せな気分にしてくれたのだから。
ジェイたちが帰った後、エレナにそれとなく問いかけられる。
「ずいぶん、嬉しそうじゃないか」
「え? あっ――はい……、その――、勇者として戦っている頃は、どんな状況でも勝って当たり前なんです。勝って褒められた事自体が初めてで」
「そうかい。まぁ、今はゆっくり休みな」
「はい」
エレナには解っていた。戦って褒められたからではない。ジェイに褒められたからこそ、カリナは嬉しいのだと。
そして、エレナから割り振られた部屋で、服を脱いでネグリジェに着替えるのもそこそこにベッドで眠りに落ちる。
いつ眠ったのか自覚がないほどに深く心地よい疲労の中で眠るのだった。