勇者カリナ/未来戦線クロスロード ―魔王を倒した少女は、AI戦争の未来世界で、聖剣精霊と豪剣人機とともに人類を救う―   作:美風慶伍

94 / 94
12章:戦場の光景、再び
訓練中断 ―カリナ、再び壁の向こう側へ―


 狐につままれたような表情のカリナが居た。

 

「え? 私、なんかやばいことしました?」

「そうだなやばいと言えばやばいかな」とルーカス、

「ここから先の教習内容は一度見直した方がいいね」とエレナ、

「ワンランク上の訓練を意識しないと教えきれません」

「あぁ、そうだね」

 

 二人で真剣な表情で話し合っていた。

 

「え? はい?」

 

 だが、戸惑うばかりのカリナは途方にくれるのだった。彼らの言葉に真意を問おうと話しかける――その時だった。ルーカスが腰に下げていたスマート端末が鳴った。

 

「はい、ルーカスです――え? カリナを? 今すぐ?――外部隔壁外の駐屯基地ですね? わかりました」

 

 ルーカスは端末を切りながらカリナに告げた。

 

「カリナ、今すぐ出かけるぞ。支度だ」

「え? どこに?」

「説明している暇はない!」

「は、はい」

 

 話すのと同時にルーカスは走り出した。そして、エレナに声をかけて装甲オフロード仕様の車両を借り出してプラズマ動力仕様のエンジンを掛ける。

 

「乗れ!」

「はい!」

 

 カリナは左腰に愛用のレギオンブレイドを下げて車に乗り込む。そして、彼らは一路、イスタンボールの外部へと向かったのだった。

 

§

 

 大容量のプラズマバッテリーに支えられた電気動力式の装甲オフロード車両大型は、よく晴れた空の下、一路北西を目指す。

 安定して走り始めてから、少しおいてカリナはルーカスに尋ねた。

 

「あの、何があったんですか?」

 

 シンプルなその問いかけにルーカスは答える。

 

「レオン隊長から連絡があった。君にどうしても来てほしいそうだ」

 

 レオンが呼んでいる――、その事実が複数の疑問を生み出した。

 傭兵アーセナルコマンドとしての技量を求めているなら、ヴァンガードパイロットとしての腕はまだ練習中だからありえないだろう。

 それになぜレオンが呼んでいるのだ? しかもこんなに急いで慌てて――

 カリナはとてつもなく嫌な予感を頭の中に思い描いた。

 

「――――!」

 だがそれを口にするのは飲み込んだ。声にして言ってはいけないような気がしたからだ。

 そうしている間にも防衛都市の外殻防壁にたどり着きゲートを通過し、その先の荒野を突き進んでいく。

 

「壁の中と外――、別世界のように違いますね」

 

 その言葉にルーカスが反応する。

 

「当然だ、壁の外は人類が生き残れるかどうかの瀬戸際の戦場だからな」

「そうですね、ここはもう戦場なんですよね」

 

 カリナはしみじみと語る。

 

「やはり戦場の風景は見慣れているのか?」

「ええ、見慣れているというより、目に焼き付いているという感じですね。失われた命の跡、倒された敵の残骸――それらが点在するかのように何もない平原の上に累々と並んでいるんです。いつになっても見慣れるということはないです」

「当然だな、ここで、見慣れたとか、見ていて楽しい――なんて言葉を漏らす奴がいたら俺はそいつを殴る」

 

 その言葉は案にルーカスが過酷な戦場を生きていたということを表していた。カリナも続けた。

 

「人間を滅ぼそうとする魔王軍、それに立ち向かう人間、私は人間たちの旗印となり100年にわたる大戦を終結に導きました。平和になった世界で生きていたけど突然こっちに飛ばされた。世界を平和にするまでの戦いは過酷だった。こう言う何もない荒れ果てた戦場は何度も見てきた」

 

 一呼吸おいてカリナは言う。

 

「この世界も、向こうの世界も、戦場が荒れ果てているという事実に変わりはないです」

 

 その時、ルーカスは尋ねてきた。

 

「カリナ、戦いは辛かったか?」

「楽しい戦いなんてどこの世界にもないです。勝利とは味方の屍を積み上げてなし得るものだから」

「そうだな」

 

 ルーカスはカリナを否定しなかったのだった。

 




( 'ω'o[ 読者様へ ]o
お読みいただきありがとうございます。
感想や読了報告などをいただけましたら、とても励みになります。
続きが気になりましたら、ブックマークや☆評価で応援していただけると嬉しいです。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
一言
0文字 一言(任意:500文字まで)
※評価値0,10は一言の入力が必須です。参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

ダンジョン中毒から抜け出したい【書籍化&コミカライズ決定】(作者:1パチより4パチ派)(オリジナル現代/コメディ)

ダンジョンのドロップにどハマりして身を崩した主人公が、過去に脳を焼いちゃった仲間や世間からの妨害(ほぼ自業自得)にめげずに社会復帰を目指す話。▼※2026年2月10日 書籍化&コミカライズ決定しました。


総合評価:7751/評価:8.19/連載:100話/更新日時:2026年08月09日(日) 19:42 小説情報

最強ギルドマスターは十年前のゲーム世界に転生した 〜未来知識だけを武器に、見習い傭兵から王座を目指す〜(作者:窮北の風)(オリジナルファンタジー/冒険・バトル)

ゲーム開始十年前。最強だった男は、最弱の見習い傭兵として戦場に立つ。▼かつて俺は、世界的人気ゲーム『Throne of Glory』で最強ギルドを率いるギルドマスターだった。▼しかしギルド任務の最中、操作していたキャラクターは強敵に倒されてしまう。▼……次に目を覚ました時、俺はそのゲーム世界に転生していた。▼しかも時代は、ゲーム開始の十年前。▼今の俺は、ただ…


総合評価:3438/評価:8.45/連載:87話/更新日時:2026年07月25日(土) 23:16 小説情報

ロマン職は異世界から帰りたい(作者:庶民ザウルス三世)(オリジナルファンタジー/冒険・バトル)

これが絶対浪漫の力だ!▼人は夢を見る。▼そして、効率よりも自分の“好き”を信じて、浪漫を追いかける者たちがいる。▼ソロ専、人見知り。▼だけど、クリティカルが決まった時の一撃だけは誰よりも重い。▼そんな趣味全開のロマン職キャラを愛した男は、課金帰りの事故をきっかけに、ゲームで使っていた女性キャラ――ラシア・ラ・シーラとして異世界で目を覚ます。▼しかも、レベルも…


総合評価:6583/評価:8.51/連載:170話/更新日時:2026年08月13日(木) 07:09 小説情報

そいつの開発者、俺なんだが(作者:束田せんたっき)(オリジナルSF/コメディ)

なんか学生時代の黒歴史が、未来でディストピアの管理AIをやってたんですけど。国家ぐるみのストーキングやめてね。▼《真面目なあらすじ》▼高城之男へ一致せよ。▼タカギニアでは、すべての人間が、三百年前に死んだ偉人・高城之男とどれだけ似ているかで評価される。似ている者には栄光を、似ていない者には屈辱を。▼管理番号11-F-283-D503、平野平人。彼は一致度0.…


総合評価:6389/評価:8.24/連載:40話/更新日時:2026年08月12日(水) 22:54 小説情報

女尊男卑な異世界で成り上がるためにはわからせとハクスラが必要らしい(作者:ベリーナイスメル/靴下香)(オリジナルファンタジー/冒険・バトル)

マゾ向けゲーで逆転したい、したくない?


総合評価:13721/評価:8.65/完結:39話/更新日時:2026年05月10日(日) 10:53 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>