実際問題あの3人はどこまでの関係になるのか?!
えー、法学部止めて理系に行って10年かけてロボット再現してる時点で一線は越えてるのはほぼ確定なんですけど、じゃあかぐやに会う前に男性に巡り会っていた場合、色葉さんは普通に結ばれているのかというのがテーマです。勝手に討論してください
社畜の幽霊からの呪言を受けた翌日。【ツクヨミ】もログインボーナスだけ受け取って大人しく寝たが、変な夢を見てしまって頭がぼんやりしている。
宇宙人が侵略しに来るみたいなありきたりのB級映画の夢だ。日曜朝の特撮映画の方がまだ見ごたえがある。
「幽霊なのか宇宙人なのかはっきりしろって……」
ぼやきながら布団から這い出て朝食の準備を始める。昼は適当なゼリーでもいいから朝だけは無理してでもちゃんと食うこと。これを徹底出来なきゃガタが来る。
いつもと同じところではねる寝癖を直し着替えを終え、学校に向けて自転車を漕ぎ出す。新学期なので奮発して購入した新品が軽快に進んでいく。
幽霊も夢も自分には関係ないことだと思いたいが、動画かテレビで何かを伝えたいから現れるなんていうことを聞く。一高校生の自分に何を伝えたいのか……出来るなら何とかしてやりたいくらいには思う。
学校に到着し自転車を止め校内を進んでいく。周りからのざわざわと騒がしい声を掻き分け教室に到着する。どのクラスもある程度はグループが固まってきたが、自分がどこかと言われたらどこにも属していないが正解だろう。
小さい頃の影響もあって、誰かとつるむよりも一人がいいと思う時が多い。コミュ障で何も喋れなくなるとかまでじゃないし。引っ越しの片付けとめんどくさかったって理由で最初の集まりに参加しなかったのが原因かもしれない。
そしてやはり何処からともなく月見ヤチヨのライブ抽選の話が聞こえてくる。外れた報告が多い。
一瞬誰か誘うかと思ったけれど別に無理して口実作る必要もなくねと自己完結してしまう。こんなんだから友達出来ないって?それはそう。
地元の友人はほぼ小学生からの付き合いだから問答無用で出来てたけど、この歳から新天地になると共通の趣味とかないと難しいよな。そもそもこの時期まで一人のやつなんてそうそういないか。
そう思っていた自分が3時間程度ありました。いないと思っていたが、どうやらすぐ身近にいたようだ。
昼休みになり廊下を歩いていると、昨日店にやってきた酒寄さんの姿があった。一人弁当を食べながら教科書代わりの電子パットと睨みあいをしている。
あそこまで追い詰めてるのは俺の責任なのか?現実を突きつけられると嫌でもそう思えてしまう。
「ごめん、酒寄さんってあんな感じなの?」
「へ?別に暗い性格って訳じゃないと思うけど……」
話しかけた窓際の女子は口ごもるように言った。別に学年2位なんて全然誇れる順位だし先生からも期待は高いはずだ。初日から改造スマコンバレて叱られた俺よりかはずっと。
ちなみにネット接続を消して幾つかのカラコンを瞬時に切り換えられるお遊びものなんだけどーー別にこれの説明はいいか。
「そっか。ありがと」
自分がどうのこうの口出しする問題じゃない。昨日もそうだが自分は当たり前のことをやって、それで合格した。まちがってはーー
『ここよりずっと楽しい場所なんだろうなぁ……』
ふと社畜の幽霊からの言葉を思い出す。ここよりずっと楽しい場所。自分が今まで生きてきたなかで一番楽しいと思えたのは両親と一緒にいた過去だ。
母親は未だ音信不通……のつもりだろうが、父親と電話で話していることは知っている。それでも二人が何も言わなかったってことは確執まではいかないが、面を合わせる勇気がないんだろうと思っている。何か楽しいこと、かぁ……
ライブの当選メールを見てもの思う。
「こっちからアクションしないと」
受け身じゃなくて主体で動く。それが自分には必要だ。
「って、思った訳なんだけど」
「絶対に行け」
学校が終わり帰宅した後、【ツクヨミ】内の釣り堀にて地元の友人に出来事とともに相談すると、予想外の答えが返ってきた。
「ライブの件に関してはお前が当てたんだ。一緒に行きたい人がいるならそれでいい」
糸を引く釣竿を引き上げ釣り上げた魚をバケツに放り込む。何匹釣れてるか数えていないが、自分はボウズなのは惹き付けられる何かがあるのだろうか。
「それよりも、だ。お前まだ向こうで友達の一人も出来てないのが問題だ」
「それは別にいいだろ」
「はぁ……あのさ、お前って自分が思ってる以上に外見がいいわけ。ボッーと頬杖しながら座ってるだけでも絵力が強すぎて誰も寄ってこないのに、自分からいかなきゃ出来る筈ないだろ。この際女子でも良いから交友関係作っとけ」
ポチャン、と針にエサを付けた釣糸を投げ入れる。友人がいないのが問題か。自分はお前がいれば充分くらいなんだけど。
「何とかしてみるよ」
「そうしろ」
釣れない魚を諦めてログアウトしようと操作を始めると、右腕を掴まれ止められてしまう。
「もうやらないのか、【KASSEN】」
「……気が向いたらやるよ。またな、
オブジェクトポリゴンが消えて一人残される幸紀。つまらなそうな顔でバケツに入っていた魚を放流し、空になった中身を見つめる。
「俺が変わり者じゃなかったら、こんな思いしなくて済んだのかな……」
お互い変わり者だった故に出来た友情。いまさらひっくり返す事なんて出来ない。やっちゃいけない。
どれだけ惨めでも俺は俺、私は私。あいつの幸せを思って前に進むしかない。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
学校に来て一番に富士からGWのヤチヨライブに誘われた。
金欠の件もあり、結果発表される前にデータ消去したので今回は行けないことが確定していてやさぐれていたこともあって、突然の誘いにも関わらず二つ返事してしまった。
学校後のアルバイト最中でも歓喜の模様が滲み出てしまっていたらしく、聞かれてしまったので事情を話した。
『それってデートの誘いじゃない?』
言われて初めて気づいた。
本人達がそうじゃなくても端から見ればその構図に見られて当たり前だ。
初対面であんな悪態をついたのにどうして私を誘ったのか。しかも思い返せば廊下でいきなり誘ってきたのは他の人にも見られている。
勉強や遊びにも全力でも、正直な話今は恋愛事に現を抜かしている場合じゃない。
「別にそんなのじゃないから!」
バイトが終わり家に帰って叫んでしまった。とはいえ本当に思惑が分からない。
私が主席合格取れなかったのは彼が悪い訳じゃない。ただ色んな不幸が重なってしまった結果、八つ当たりしてしまった。
帰り際にもやってしまったと反省したし、何とか謝罪の言葉をとか考えた。その前に取り合ってもらえるかとも考えた。
「向こうから来るとは思わないじゃん……」
椅子に座りポケットからデータが消えたスマコンを取り出す。データ移行は諦めてたから完全新規かぁ。見た目はともかく服装のスキン手に入れるの大変なんだよね。
スマコンを装着し起動する。初期画面へ転送され、目の前に現れるのは最推しの月見ヤチヨの分身体。
「…………」
「…………?」
「……太陽が沈んで、夜がやってきます。新規登録のようですが、過去のデータを使って復旧しますか?」
なんか怒ってる?そんな訳ないよね?
「データの復旧出来るの?」
「以前に残っていたふじゅ~を全消費することで可能です」
やっぱり怒ってるよこれ。もっとフランクな感じというか、他人行儀な敬語使わないもん。でもこれはこれであり。
ふじゅ~全消費で復旧か。元々無くなってたみたいなもんだし、大丈夫でしょ。
「じゃあそれでお願い」
「はい。……それでは、改めて【ツクヨミ】の世界にいってらっしゃい!」
ヤチヨの笑顔に背中を押され鳥居を潜る。その後ろ姿を見届けるとヤチヨはふぅ、と一段落つき夜空を見上げる。
「あの時の色葉もこんな感情だったのかな……」
大切な存在が急に消える感覚。今はもう違う存在になってしまったけど、時々思い出す。
本来はデータ移行していない旧式は復旧できない。やれない訳じゃないが、かなり無茶をした。とても焦った。眠れなかった。
「あともう少し」
いつもの笑顔を作りヤチヨは姿を消す。その場に水面の波紋を残して。
で、討論終わった?
個人的には真実さんみたいに相手はいつつも推しは推し!みたいなスタンスだったらいいなって……